何を見ても何かを思い出す

He who laughs last laughs best

ナイトサービス?!

2015-07-20 13:07:01 | ひとりごと
ワンコは毎年誕生日には、ワンコ生誕の地である犬舎にご挨拶に行く。
我が家では犬舎の御夫妻を(ワンコの)実家のお父さんとお母さんとお呼びして、色々教えを乞うている。
あれは、10歳の誕生日のご挨拶に伺った時だろうか。

犬との生活から学ぶことは本当に多いのだと話された。
クリントン元大統領が不倫で窮地に陥っている時、犬がいつも傍らにいたという記事を例にひいて話されたことがある。

「犬は、飼い主が大統領だから(彼を)好きなわけではない。
 犬は、飼い主が社長であっても平社員であっても、富める時も貧しい時も辛い時も嬉しい時も、
 飼い主が好き。
 飼い主が何者であるかは犬にとって関係ない。
 あなたが、あなたであれば、犬はあなたが好き。
 だから、犬は存在そのものが愛。」
「犬はそんな存在だから、犬が年をとり介護が必要になった時、人は優しい気持ちで介護ができる。
 犬と暮らし、犬の介護を経験しておくことは、
 これから介護をする若い世代、これから介護を受ける世代にとって勉強になる。
 犬にしてあげたいと思う優しさを人の介護に活かせるように考えておくこと、
 犬が愛される理由を介護される側が考えておくこと。
 これを心に留めて、これからのワンコ生活を過ごすだけでも、実際に(人間の親子で)介護が必要になった
 とき、助けになる」と。

「なるほど」と思いつつも実感はなかったが、ワンコ(準)介護生活で、この言葉を噛みしめている。

「デイサービスというのは必要なものかもしれない。」
まさか我が家最大の難物である初等?新参?前期?高齢者から、この言葉を聞く日があろうとは。
「子が親を敬いその恩に報いるのは人として当然のことであり、親の介護を人任せにするなど人間の風上にも置けぬ」と言って憚らないこの新参者の高齢者が、老人ホームはもちろんデイサービスなどにも苦々しい視線を向けているのは日頃の言動から明らかだった。
介護の大変さを耳にするにつけ、他人様の手を借りることを良しとしない気難しい頑固者の御大が、どのように年を重ねていってくれるのかは、新聞で知る2025年問題に現実味を与える大きな気がかりだった。

そんな御大の寝室をワンコは寝座にしている。
若い頃はサークルで寝ていたが、神経痛がでるようになってからは家族の側で寝るようになり、この数年間は御大の側を寝座にしているワンコだが、夜中に歩き回っては哀切を帯びた声で鳴く。
(痴呆のせいで)寝座が変わると余計に鳴くので、家族皆が交代で御大の部屋に詰めてはワンコをだっこをして宥めていて、そこはさながら介護ステーションの様を呈している。
当然のこと御大は熟睡できない。

これでは新参高齢者である御大が参ってしまうと、この連休中、ワンコが我々の部屋で過す時間を設けた。
始めは抵抗していたワンコだが、我々の部屋で過していた若かりし日を少しは思い出したのだろうか、徐々に落ち着いて過ごすようになったので、お泊りを試してみた。
やはり、夜中に起き出してはウロウロし鳴きはするが、その気配は御大の元にはさほど届かずゆっくり休めたらしいので、これからは金曜と土曜の夜はワンコが我々の部屋に泊りにくることになった。

それで例の言葉
「(人間の)デイサービスというのも必要かもしれない」
「どんなにワンコが大切で、長生きしてほしいと心から願っても、毎夜熟睡できなければ体が参ってしまう。
 週に一度でも、ゆっくり休めたら、気持ちにゆとりが出来る。
 少し預ける時間と場所があるというのは、介護には必要なんだな。」と。

我々としては、平日も交代でだっこ寝し、休日はデイサービスならぬナイトサービスで泊りにくることになるので体の負担は多少増えるが、「介護は、愛情だけで全てが完結するものではない。介護を受ける側の気持ちだけでなく、介護する側の体力への配慮が必要だ」と御大が気付いてくれただけでも、将来的には明るい材料。

犬と暮らし、ともに年を重ねることから学ぶことは本当に多い。

初のワンコ介護生活なので途惑うこともあるが、実家の両親や獣医さんや、ご近所ペット仲間のアドバイスもある。
だから安心して長生きしておくれ、ワンコ!

ワンコの元気と長生きのための介護なのだから。