「倍返しで取り戻せ」からの続き
<東芝、新体制の人選は難航必至 イメージ回復へ「特効薬」なし> SankeiBiz 2015/7/22 08:15より一部引用
利益水増し問題により、取締役16人の半数に当たる8人が辞任するという異例の事態に陥った東芝。暫定的に社長を兼務する室町正志会長は21日、社外取締役らからなる「経営刷新委員会」を設置する方針を示した。企業統治(コーポレートガバナンス)の強化や新経営陣の人選に乗り出すが、主要役員は軒並み辞任しており、新体制での船出に向け前途は多難だ。今回の問題で東芝のブランドイメージは大きく傷ついた。21日の会見で、田中久雄氏は「20万人の従業員が一丸となり、日々の活動を通して全力で取り組む姿をご理解いただくしかない」と述べ、“特効薬”はないとの見方を強調。市場からの期待に応えるには、実行力のある新体制の構築が前提になる。
最大の焦点は後任社長人事だ。本来なら候補者として名前が挙がる4人の副社長全員が辞任しており、人選は難航が予想される。
歴代社長3人を含む役員の半数が辞任する事態となった東芝の後任人事が難航することは目に見えていたが、金は天下の回りモノというべきか、これをグローバル経済というべきか、海の向こうで集団訴訟が起こりそうなので、人選はさらに難航するかもしれない。
<東芝の不正会計処理 集団訴訟に発展か 米国> 7月23日 6時09分NHKより一部引用
東芝の不正な会計処理で多額の損失を被ったとしてアメリカの裁判所に提訴した原告の弁護士は、NHKの取材に対して、すでに数十人の投資家が訴訟に参加する意向を示しており、今後、集団訴訟に発展するという見通しを示しました。
東芝が会計処理で利益をかさ上げした問題を巡っては、東芝の株を購入したアメリカの投資家の男性が、問題が発覚したあと株価が急落して多額の損失を被ったとして、損害賠償を求める訴えをカリフォルニア州の連邦地裁に起こしています。
これについて、原告の代理人でニューヨークにあるローゼン法律事務所のフィリップ・キム弁護士は22日、NHKのインタビューに応じ、「第三者委員会が不正な会計処理を断定したので、次の焦点は投資家がどの程度の損害を受け、どれくらいの人数が訴訟に参加するかだ」と述べ、賠償金額を算出する考え
さらにキム弁護士は、「第三者委員会が報告書で経営陣の責任を認めたため、われわれは有利な状況だ。一般的に企業は多額の費用と時間がかかるため裁判を避けたがる」と述べ、東芝と和解を探る展開になるのではないかという見方を示しました。
「異端の大義」(楡周平)もそうだが、「銀翼のイカロス」(池井戸潤)の半沢直樹が経営危機の帝國航空の再建に関わるように、経営再建には程度の差はあれ、メイバンクが再建案や新体制での人事に介入してくる。
メインバンクというのは、融資先(企業)を潰したくないという点では企業と利害が一致し、一見公正であるというイメージと様々な人脈に通じているという点で再建に寄与しやすく、数字に強いという最強の武器で、企業再建に乗り込んでくるが、経営再建といえども銭金の勘定だけではすまない問題もある。
近年、経営不振のメーカーがリストラなど一時しのぎの対応をしたために、日本の高度な技術が海外に流出してしまったことを考えれば、原子力や軍事部門をもつ東芝の技術は何としても守らねばならない。
技術を守りながら、失った信頼を取り戻し、尚且つ海外の投資家の集団訴訟や(おそらく国内でも起こるであろう)株主代表訴訟を乗り切れる新たな人材・体制を整えるのは至難の業だと思うが、東芝が手掛けていた技術を考えれば立ち直ってもらわねばならない。
人事が一新される東芝にメインバンクがどの程度かかわるのかは分からないが、再建の精神として、自身が銀行マンでもあった池井戸氏の青臭くはあるが大切な言葉を記したい。
メインバンクに見捨てられた経験がある父の『夢を見続けるってのは難しいもんだ』という言葉を覚えている半沢は、夢が醜い現実にすり替わる厳しさを説く友人に、『夢を見続けるってのは、実は途轍もなく難しいことなんだよ。その難しさを知っている者だけが、夢を見続けることができる。そういうことなんじゃないのか』と語る。
「三階建の夢」でも書いたが、池井戸作品では「夢」について語られることが多い。
『仕事っていうのは、二階建ての家みたいものだと思う。
一階部分は、飯を食うためだ。必要な資金を稼ぎ、生活していくために働く。
だけど、それだけでは窮屈だ。
だから、仕事には夢がなきゃならないと思う。
それが二階部分だ。
夢だけ追っかけても飯は食えないし、飯だけ食えても 夢がなければつまらない。』(下町ロケットより)
池井戸氏の小説で「夢」について繰り返し語られるのは、池井戸氏がバンカーとして、夢をもつ人物や夢のある企業を応援したいと考えてきたからではないかと思われる。
これが今一番大切なことに思えてならない。
東芝の新たな体制がどうなるのかは分からないが、銭金の問題だけでなく、高い技術力を守りきったその先に「夢」があることを願っている。
ところで、危機に際した企業を救うべくメインバンクから派遣され辛い事後処理にあたられた人として、
江頭豊氏がおられる。
水俣病を出したチッソの立て直しのために、メインバンクの日本興業銀行の常務から派遣され、社長・会長を歴任されたのだ。
公害病を出した会社の立て直しでは最初から「夢」などあろうはずはなく辛いばかりだと思うが、公害病を出した企業が倒れてしまっては被害者救済が出来ず、(被害者の方々や社員の)飯を食うための一階部分さえも潰れてしまうのだ。
憎まれ役になることを承知で厳しい役回りを引き受ける人間がいなければ、社会が成り立たないのは分かっていそうなものだが、お茶の間的正義感が架空空間を跋扈し実態社会を呑み込んでいるような現代では、まともな人ほど、そんな役回りを避けるようになる。
その先にある社会は・・・・・。
「鬼はもとより」(青山文平)が書くように、誰もが責任を負おうとしないことが国を一番腐らすのだとしたら、誰かの責任を黙って負ってくれる人を、せめて黙って応援したい。
そして、黙った胸に仕舞われている「夢」が日の目を見るのを応援したいと思っている。
<東芝、新体制の人選は難航必至 イメージ回復へ「特効薬」なし> SankeiBiz 2015/7/22 08:15より一部引用
利益水増し問題により、取締役16人の半数に当たる8人が辞任するという異例の事態に陥った東芝。暫定的に社長を兼務する室町正志会長は21日、社外取締役らからなる「経営刷新委員会」を設置する方針を示した。企業統治(コーポレートガバナンス)の強化や新経営陣の人選に乗り出すが、主要役員は軒並み辞任しており、新体制での船出に向け前途は多難だ。今回の問題で東芝のブランドイメージは大きく傷ついた。21日の会見で、田中久雄氏は「20万人の従業員が一丸となり、日々の活動を通して全力で取り組む姿をご理解いただくしかない」と述べ、“特効薬”はないとの見方を強調。市場からの期待に応えるには、実行力のある新体制の構築が前提になる。
最大の焦点は後任社長人事だ。本来なら候補者として名前が挙がる4人の副社長全員が辞任しており、人選は難航が予想される。
歴代社長3人を含む役員の半数が辞任する事態となった東芝の後任人事が難航することは目に見えていたが、金は天下の回りモノというべきか、これをグローバル経済というべきか、海の向こうで集団訴訟が起こりそうなので、人選はさらに難航するかもしれない。
<東芝の不正会計処理 集団訴訟に発展か 米国> 7月23日 6時09分NHKより一部引用
東芝の不正な会計処理で多額の損失を被ったとしてアメリカの裁判所に提訴した原告の弁護士は、NHKの取材に対して、すでに数十人の投資家が訴訟に参加する意向を示しており、今後、集団訴訟に発展するという見通しを示しました。
東芝が会計処理で利益をかさ上げした問題を巡っては、東芝の株を購入したアメリカの投資家の男性が、問題が発覚したあと株価が急落して多額の損失を被ったとして、損害賠償を求める訴えをカリフォルニア州の連邦地裁に起こしています。
これについて、原告の代理人でニューヨークにあるローゼン法律事務所のフィリップ・キム弁護士は22日、NHKのインタビューに応じ、「第三者委員会が不正な会計処理を断定したので、次の焦点は投資家がどの程度の損害を受け、どれくらいの人数が訴訟に参加するかだ」と述べ、賠償金額を算出する考え
さらにキム弁護士は、「第三者委員会が報告書で経営陣の責任を認めたため、われわれは有利な状況だ。一般的に企業は多額の費用と時間がかかるため裁判を避けたがる」と述べ、東芝と和解を探る展開になるのではないかという見方を示しました。
「異端の大義」(楡周平)もそうだが、「銀翼のイカロス」(池井戸潤)の半沢直樹が経営危機の帝國航空の再建に関わるように、経営再建には程度の差はあれ、メイバンクが再建案や新体制での人事に介入してくる。
メインバンクというのは、融資先(企業)を潰したくないという点では企業と利害が一致し、一見公正であるというイメージと様々な人脈に通じているという点で再建に寄与しやすく、数字に強いという最強の武器で、企業再建に乗り込んでくるが、経営再建といえども銭金の勘定だけではすまない問題もある。
近年、経営不振のメーカーがリストラなど一時しのぎの対応をしたために、日本の高度な技術が海外に流出してしまったことを考えれば、原子力や軍事部門をもつ東芝の技術は何としても守らねばならない。
技術を守りながら、失った信頼を取り戻し、尚且つ海外の投資家の集団訴訟や(おそらく国内でも起こるであろう)株主代表訴訟を乗り切れる新たな人材・体制を整えるのは至難の業だと思うが、東芝が手掛けていた技術を考えれば立ち直ってもらわねばならない。
人事が一新される東芝にメインバンクがどの程度かかわるのかは分からないが、再建の精神として、自身が銀行マンでもあった池井戸氏の青臭くはあるが大切な言葉を記したい。
メインバンクに見捨てられた経験がある父の『夢を見続けるってのは難しいもんだ』という言葉を覚えている半沢は、夢が醜い現実にすり替わる厳しさを説く友人に、『夢を見続けるってのは、実は途轍もなく難しいことなんだよ。その難しさを知っている者だけが、夢を見続けることができる。そういうことなんじゃないのか』と語る。
「三階建の夢」でも書いたが、池井戸作品では「夢」について語られることが多い。
『仕事っていうのは、二階建ての家みたいものだと思う。
一階部分は、飯を食うためだ。必要な資金を稼ぎ、生活していくために働く。
だけど、それだけでは窮屈だ。
だから、仕事には夢がなきゃならないと思う。
それが二階部分だ。
夢だけ追っかけても飯は食えないし、飯だけ食えても 夢がなければつまらない。』(下町ロケットより)
池井戸氏の小説で「夢」について繰り返し語られるのは、池井戸氏がバンカーとして、夢をもつ人物や夢のある企業を応援したいと考えてきたからではないかと思われる。
これが今一番大切なことに思えてならない。
東芝の新たな体制がどうなるのかは分からないが、銭金の問題だけでなく、高い技術力を守りきったその先に「夢」があることを願っている。
ところで、危機に際した企業を救うべくメインバンクから派遣され辛い事後処理にあたられた人として、
江頭豊氏がおられる。
水俣病を出したチッソの立て直しのために、メインバンクの日本興業銀行の常務から派遣され、社長・会長を歴任されたのだ。
公害病を出した会社の立て直しでは最初から「夢」などあろうはずはなく辛いばかりだと思うが、公害病を出した企業が倒れてしまっては被害者救済が出来ず、(被害者の方々や社員の)飯を食うための一階部分さえも潰れてしまうのだ。
憎まれ役になることを承知で厳しい役回りを引き受ける人間がいなければ、社会が成り立たないのは分かっていそうなものだが、お茶の間的正義感が架空空間を跋扈し実態社会を呑み込んでいるような現代では、まともな人ほど、そんな役回りを避けるようになる。
その先にある社会は・・・・・。
「鬼はもとより」(青山文平)が書くように、誰もが責任を負おうとしないことが国を一番腐らすのだとしたら、誰かの責任を黙って負ってくれる人を、せめて黙って応援したい。
そして、黙った胸に仕舞われている「夢」が日の目を見るのを応援したいと思っている。