何を見ても何かを思い出す

He who laughs last laughs best

号外 命を守る行動を

2015-09-10 19:23:43 | ニュース
つい最近、「富士山噴火」(高嶋哲夫)を読んだので、そのうち「夜は雲の柱」(石黒 耀夫)とあわせて書きたいと思っていたが、「富士山噴火」のなかの言葉を、こんなに早く、こんな形で書くことになるとは思いもしなかった。
最終的には山体崩壊する富士山大噴火から、御殿場をはじめとする被災地域の住民を、まさに命がけで救助する自衛隊員の言葉
『我々の撤退があるとすれば最後である。御殿場の全住民の避難を見届けてからだ』
それを支える自衛隊の信念とは
『十分な準備と訓練、そして強い意思は、不可能を可能に近づける』
「富士山噴火」を読むと、高嶋氏が連作している災害クライシス・シリーズの一環というよりも、自衛隊宣伝機関紙かと思われるほどに全編自衛隊への信頼と賞賛の言葉で埋め尽くされているが、災害救助の現場における自衛隊の活躍を心強く感じている私としては違和感なく読めるものであった。
しかし、その自衛隊が活動しなければならない災害がまた起こるとは。

〔特別警報〕栃木・茨城に大雨特別警報発表 直ちに命を守る行動を
レスキューナウニュース 9月10日(木)7時45分配信
10日12:30現在、気象庁は栃木県と茨城県の全域に大雨特別警報を発表しています。重大な災害の危険性が著しく高まっており、数十年に一度しかないような非常に危険な状況にあります。周囲の状況や市町村から発表される避難指示・避難勧告などの情報に留意し、ただちに命を守るための行動をとってください。


昨夜、例によってワンコの夜鳴きに付き合って起きていると、AM1;25気象庁が緊急に会見するという。
「直ちに命を守るために行動をとって下さい」
一夜明け、あまりの被害に、日本にまた一つ被災地と呼ばれる場所が出来てしまったことに、涙がこみあげてきた。

<茨城県常総市の堤防3カ所決壊 自衛隊ヘリで救助>日刊スポーツ2015年9月10日16時15分より一部引用
ここをクリック!
台風18号による大雨の影響で10日、茨城県常総市を流れる鬼怒川から水があふれ出た。同市若宮戸付近、筑西市船玉、伊佐山付近の計3カ所の堤防が決壊した。1階部分に濁流が押し寄せ、2階ベランダでタオルを振り続けて救助を求めていた2人の元に、自衛隊が到達。次々と救助して、ヘリコプターに収容した。


<犬と屋根で救助待つ住民2人を救助>日本テレビ系(NNN) 9月10日(木)16時57分配信より一部引用
大雨の影響で10日、茨城・常総市で鬼怒川が決壊し、住宅地に濁流が押し寄せた。犬とともに住宅の屋根で救助を待っていた住民2人を自衛隊のヘリが救出した。
ここをクリック!

以前、ワンコも避難所に入れるようになったことは書いたが、このような準備が役に立つような災害ばかり起ることが恨めしい。(注、「みんな同じ命」
身ひとつで逃げなければならない時に、今にも流されてしまいそうな屋根の上でワンコだけを胸に抱き救助を待っていた人の想いと、命がけで救助にあたった自衛隊員の想いが映像から伝わり、どうしようもなく、泣けた。

消防と警察と自衛隊の方々が、命をかけて救助して下さることへの信頼感は増すばかりだが、もうこれ以上被災地と呼ばれる場所は増えて欲しくない。
辛すぎる。

頑張れ!被災地
頑張れ!消防、警察、自衛隊
頑張れ!日本

Rebirth 社会

2015-09-10 00:27:10 | 
「リバース」(湊かなえ)について書こうと思っていたにもかかわらず、延々とコーヒーを飲み始める年齢について書いてしまったので(「reverse子供時代」)、今日こそ「リバース」について書こうと思っている。思ってはいるが、今日何杯目かのコーヒーを飲まねばならないほど頭が眠っているので、話が脱線して収拾がつかなくなるのは今から目に見えている。

ワンコの夜鳴き
ナイトサービスを交代でしているのでは間に合わないほど夜鳴きをすることがあり、違う部屋でもその声は響き渡るので、家族皆が完璧な寝不足状態。
幸いなことに?残暑どころか一気に晩秋の趣で肌寒く、どの家も雨戸を閉めているので、夜鳴きの声でご近所に御迷惑をかけてはいないのが、唯一の救いだが、そろそろ家族の体力も厳しいところにきている。
ワンコ介護仲間には獣医さんから安定剤を処方されている人もいれば、獣医さんと試行錯誤しながらチロリとオールフリーのビールを舐めさせている人もいる。
安定剤が効くワンコもいれば、全く効かないワンコもいるし、ビールなど言語道断だと怒る人もいる。
さすがにビールを試す気にはなれないが、安定剤はどうだろうかと相談してみた。
我がワンコの獣医さんは、「疾患による痛みには安定剤は有効だが、痴呆の場合にはほぼ効果が無い。場合によっては痴呆を進めることになる」との意見で、安定剤を処方されない。
・・・・・「痛い所があって鳴くなら昼夜問わないが、夜に鳴くことが多いのは昼夜逆転してるだけで、疾患があるわけではない、それはワンコにとって幸いなこと」という御大の言葉に皆が元気と勇気をもらった。
この秋は、長期の出張があるし、学校行事は多いし、遠方で法事があったりと、家族皆がそれぞれに忙しく、今からナイトサービスのケアの在り方の見直しを考えているので、このブログも少し不定期になるかもしれない。

Reverse「リバース」
この話はミステリーなのでストーリーは書かないが、ある日、主人公深瀬の恋人のもとに「深瀬和久は人殺しだ」という手紙が届くことから話が始まる。
深瀬は人を殺してはいないが(刑199)、それが何を指しているか心当たりがあったため、大学時代に亡くなった親友の足跡をたどる旅に出る。
特に人付き合いが苦手というわけではないが、とにかく平凡で、たくさんの人と一緒にいても存在を忘れられていると自認している深瀬にとって、大学生になり初めてできた親友と、その親友とコーヒを楽しむ時間は特別のものだった
その特別な存在である親友広沢の死の現場近くにいながら無力であったことへの自戒と、恋人が抱くであろう不信を解くためと、自分自身が持つ疑問を解決するため、広沢の実家を訪ね在りし日の広沢を偲ぶうちに、亡くした存在の大きさに改めて気づく深瀬。

深瀬にとって広沢が特別な存在であったように、高校時代の広沢を特別な存在だと思っている友人は多くいた。
そのなかでも広沢にイジメをかばってもらった女生徒の言葉は印象的だ。
イジメがあることを前提に社会が成り立っている、現代。
『どんな時でも、行動と思いが伴っているわけじゃない。(イジメをする)自分の行動がベストじゃないなんてことは、ほとんどの人が自覚してる。だけど、そうすることによって成り立つ世界もある。気付いていないことは指摘すれば改善されることもある。だけど、自覚していることを指摘されても、何も変わらない。むしろ、恥をかかされたって、相手を意固地にさせてしまうだけ』()私の挿入
そんな社会を生きる今時の生徒は、イジメ加害者に声高に正論を唱えても、被害者を強く庇いだてしても、イジメのターゲットが移るかイジメが更に陰湿化するだけで、イジメそのものは無くならないと知っている。
なぜなら、あらゆる社会のシステムのなかにイジメが蔓延っていることを、子供の頃から感じているから。
では、どうすればイジメ被害者は救われるのか?
高校時代の広沢にヒントがあるかもしれない。
『善悪を裁きたいという気持ちは広沢のなかには微塵もないのだ。ただ、争いごとやイジメを収めたいだけ。
 自分が受け止めることで解決するのなら、迷わず一歩を踏み出す。そういうヤツなのだ』
加害者の悪を大声で訴えるのではなく、被害者の善を大声で弁護するのでもなく、ただ被害者と加害者の間に静かに立ち、一呼吸おく、それで救われる悲しみがあることを改めて教えられるが、その間合いこそが難しいことも、読者は知っている。

深瀬が失った友・広沢は、自分が関わる人すべてが穏やかに過せるように、自分が出来ることを静かにする、そんな男であったが、それこそが、広沢の命を奪うことにつながってしまう。
事の全貌が掴めたと思った深瀬は、広沢の両親にすべてを話そうとするが、それが正しいのかと問われる。
『懺悔をした側は気持ちが軽くなると思うけど、重石を差し出された人はどうすればいいんだろう』

歪みきった世界を真っ直ぐにしようと肩ひじ張るのでなく、しなやかな杖をそっと立てかけそれ以上歪まないようにする、そんな優しさを持ちたい、自己満足でない優しさを持てるようになりたいと思いながら本を閉じた。
最後に、人からもらった物は、食べない方が良い。


ところで、イジメがあることで成り立っている社会を見せつけたのは、雅子妃殿下と敬宮様をめぐる報道である。
御病気の雅子妃殿下に向けられ続けた罵詈雑言も見るに堪えなかったが、イジメが原因で通学に不安を抱えておられた小3の少女に向けられたバッシングは決して社会が許してはならないものだった。
東宮のお姫様ゆえに過剰に庇護されるのも、公人ゆえに尊厳が過剰に狭められるのも、間違いである。
敬宮様は、静かに学校生活を送ることが許されるべき、まだ小3の少女でしかなかったのだから。
しかし、敬宮様の名誉と尊厳を蔑にして成立する社会を是とする(男という性のみを尊重する)ことを見せつけるために、公開リンチのようなバッシングが繰り広げられた。
そして、イジメは社会に承認されるものとなった。
その歪みきった社会に、しなやかな杖を立て掛ける他者が現れないまま、歪みは益々酷くなっていった。

そんな歪んだ社会を背に負い、何度も崩れ落ちそうになりながら、その都度穏やかな笑顔で立ち上がり、歪みをただす杖となって下さっている雅子妃殿下と敬宮様。
このお二人の御存在が社会を再生させて下さることを信じて、皇太子御一家を心から応援し続けたい。
皇太子御一家の御存在によって、Rebirth 社会