「号外 命を守る行動を」から
日本中が固唾をのんで見守っていた、電柱おじさんとワンコ御夫婦も無事救出され、一安心したのも束の間のこと、今日は宮城県に特別警報が発令され、また河川が決壊したと伝えている。
電柱おじさんだが、電柱につかまり救助を待っている目の前を、奥さんがいる家と長男が乗っている車が濁流に飲み込まれ流されてしまったそうだ。膝までつかる濁流に薄手の夏着のまま立っているだけでも心身ともに厳しいことだろう、と映像を見る者は心配していたが、まさか目の前で妻子が濁流に流されてしまうのを目撃されていたとは、思いもしなかった。
救助された電柱おじさんは、後にやはり救助されていた妻子と再会されたが、電柱につかまりながら、家も妻子も目の前で失ったと思いながら救助を待っておられた時間を思うと、どれほど心に傷を負われたか。
「富士山噴火」(高嶋哲夫)には、大震災で目の前で母と弟を喪った心の傷が癒えない女医に、教授(医師)がかける言葉がある。
『教授によれば、人には二種類あるそうだ。
あえて逆境に立ち向かう者と、新しい環境に身を置き出直そうとする者。
「私はどちらの生き方も肯定できる。耐えられないほどの悲しみを経験した者の乗り越え方の違いだけだと
信じるからだ。
乗り越えた先の人生がより良いものだと信じている。』
被災された方がこの苦しみを乗り越え、乗り越えられた先の人生がより良いものになるよう、心から強く強く祈っている。
ところで、今回の救助で私がワンコ救助に注目したのは、もちろん私が大のワンコ好きだということもあるが、「富士山噴火」で二度と元の住まいに帰れないかもしれないと覚悟を決めながら避難する被災者に、「手荷物は一つだけにして下さい」と繰り返し要請される場面があったからだ。
長い人生を生きてきた証し、大切な思い出、これから生きていくための糧。
しかし、持ち出せるのは、たった一つ。
「富士山噴火」を読みながら、自分にとっての''一つ''を考えることは、これまでの人生と、これからの人生を見つめなおすことに繋がると感じていた矢先だったので、崩れそうな屋根の上でワンコだけを抱いて救助を待っている姿に心を打たれたのだ。
命は何ものにも代えがたい。
ワンコを守りきった御夫婦と、ワンコを守る麻袋を手に救助にあたられた自衛隊の方の優しさに、改めて''命''の尊さを教えて頂いた。
たった一つの掛け替えのないもの。
「鬼怒川」屋根に取り残された人と犬をヘリで救出
そして、災害時の優先順位。
この救出劇を生で見ていた家人によると、濁流に立つ電柱につかまっている電柱おじさんと、屋根の上で雨に打たれながら救助を待っているワンコご夫妻に先んじて、この近所の家屋に取り残された家族が救助されたそうだ。
真っ先に救助された人達の家屋は一階部分が水に浸かっているとはいえ、屋外で取り残されている人の救助が先ではないかと、やきもきしながら見ていたそうだ。
それが、この家族を救助し、次の救助にあたる前に、この家族の家屋は濁流に流されてしまったのだ。
まさに危機一髪、間一髪、自衛隊の判断が間違っておれば、その家族は家もろとも流されてしまっていた。
危機に際しての優先順位の重要性を突き付けられた。
「富士山噴火」で(先に書いた)女医は、大震災時に父である自衛隊員に救助を要請したが、父が別の救助を優先したため、母と弟を目の前で喪うという経験をしている。家族を守らなかった父を怨み、癒えない心の傷を抱えながら、富士山大噴火の被災地での医療団に加わり、現場で治療するなかで悟っていくのだ。
『父さんは私達を見捨てたんじゃない。
自分の仕事をやっただけ。一人でも多くの命を助ける。
だから私も自分の仕事をする。』
危機に直面した現場では、より助かる可能性がある者を優先的に救助したり、より危険な現場にいる者を優先的に救助したり、一度の多くの人が助けられる現場を優先したり、と一瞬一瞬の判断が運命を決することになる。
消防・警察・自衛隊など救助にあたる人々は、日頃からその判断を間違えないための訓練を積まねばならないのはもちろんだが、我々国民としては、それを信じて従わなければ、混乱をきたすし、後々心に痛いことになる。
今この瞬間にもさまざまな人々が救助に全力を尽くしておられる。
その方々を心から応援するとともに、被災された方々の無事を心から祈っている。
日本中が固唾をのんで見守っていた、電柱おじさんとワンコ御夫婦も無事救出され、一安心したのも束の間のこと、今日は宮城県に特別警報が発令され、また河川が決壊したと伝えている。
電柱おじさんだが、電柱につかまり救助を待っている目の前を、奥さんがいる家と長男が乗っている車が濁流に飲み込まれ流されてしまったそうだ。膝までつかる濁流に薄手の夏着のまま立っているだけでも心身ともに厳しいことだろう、と映像を見る者は心配していたが、まさか目の前で妻子が濁流に流されてしまうのを目撃されていたとは、思いもしなかった。
救助された電柱おじさんは、後にやはり救助されていた妻子と再会されたが、電柱につかまりながら、家も妻子も目の前で失ったと思いながら救助を待っておられた時間を思うと、どれほど心に傷を負われたか。
「富士山噴火」(高嶋哲夫)には、大震災で目の前で母と弟を喪った心の傷が癒えない女医に、教授(医師)がかける言葉がある。
『教授によれば、人には二種類あるそうだ。
あえて逆境に立ち向かう者と、新しい環境に身を置き出直そうとする者。
「私はどちらの生き方も肯定できる。耐えられないほどの悲しみを経験した者の乗り越え方の違いだけだと
信じるからだ。
乗り越えた先の人生がより良いものだと信じている。』
被災された方がこの苦しみを乗り越え、乗り越えられた先の人生がより良いものになるよう、心から強く強く祈っている。
ところで、今回の救助で私がワンコ救助に注目したのは、もちろん私が大のワンコ好きだということもあるが、「富士山噴火」で二度と元の住まいに帰れないかもしれないと覚悟を決めながら避難する被災者に、「手荷物は一つだけにして下さい」と繰り返し要請される場面があったからだ。
長い人生を生きてきた証し、大切な思い出、これから生きていくための糧。
しかし、持ち出せるのは、たった一つ。
「富士山噴火」を読みながら、自分にとっての''一つ''を考えることは、これまでの人生と、これからの人生を見つめなおすことに繋がると感じていた矢先だったので、崩れそうな屋根の上でワンコだけを抱いて救助を待っている姿に心を打たれたのだ。
命は何ものにも代えがたい。
ワンコを守りきった御夫婦と、ワンコを守る麻袋を手に救助にあたられた自衛隊の方の優しさに、改めて''命''の尊さを教えて頂いた。
たった一つの掛け替えのないもの。
「鬼怒川」屋根に取り残された人と犬をヘリで救出
そして、災害時の優先順位。
この救出劇を生で見ていた家人によると、濁流に立つ電柱につかまっている電柱おじさんと、屋根の上で雨に打たれながら救助を待っているワンコご夫妻に先んじて、この近所の家屋に取り残された家族が救助されたそうだ。
真っ先に救助された人達の家屋は一階部分が水に浸かっているとはいえ、屋外で取り残されている人の救助が先ではないかと、やきもきしながら見ていたそうだ。
それが、この家族を救助し、次の救助にあたる前に、この家族の家屋は濁流に流されてしまったのだ。
まさに危機一髪、間一髪、自衛隊の判断が間違っておれば、その家族は家もろとも流されてしまっていた。
危機に際しての優先順位の重要性を突き付けられた。
「富士山噴火」で(先に書いた)女医は、大震災時に父である自衛隊員に救助を要請したが、父が別の救助を優先したため、母と弟を目の前で喪うという経験をしている。家族を守らなかった父を怨み、癒えない心の傷を抱えながら、富士山大噴火の被災地での医療団に加わり、現場で治療するなかで悟っていくのだ。
『父さんは私達を見捨てたんじゃない。
自分の仕事をやっただけ。一人でも多くの命を助ける。
だから私も自分の仕事をする。』
危機に直面した現場では、より助かる可能性がある者を優先的に救助したり、より危険な現場にいる者を優先的に救助したり、一度の多くの人が助けられる現場を優先したり、と一瞬一瞬の判断が運命を決することになる。
消防・警察・自衛隊など救助にあたる人々は、日頃からその判断を間違えないための訓練を積まねばならないのはもちろんだが、我々国民としては、それを信じて従わなければ、混乱をきたすし、後々心に痛いことになる。
今この瞬間にもさまざまな人々が救助に全力を尽くしておられる。
その方々を心から応援するとともに、被災された方々の無事を心から祈っている。