何を見ても何かを思い出す

He who laughs last laughs best

ワンコの夜鳴きをエールと受け留め

2015-12-19 02:21:37 | ひとりごと
「人もワンコも、あぁ二度童」からのつづき

疲労から歯の不調でダウンする者もいる、と書いていたが本格的にダウン状態となり病院を駆けずり回る事態となっているので、年末年始にかけて先ずは何をおいても家族の応援に専念するなか、かなり不定期な記録になると思う。

数週間前、歯茎にできた小さな嚢胞のようなデキモノを切開&消毒してもらった家人。
すっきりしたようなしないような微妙な感じを騙し騙し過ごしていたが、ここ最近の寝不足のせいで抵抗力が落ちていたのも悪かったのかもしれない。歯茎の痛みは、目の痛み頭痛へと広がり、38度を超える熱まで出てきたので、歯科だけでなく内科にも駆け込む事態となり、今は明日の血液検査の結果を待ちつつ、眠れない夜を過ごしている。
掛かりつけ内科医さんは、どうも口腔外科の専門家へ問い合わせて下さったようだが、「白血球の数値などを特に重点的に調べるように」という電話の会話から察するに、何らかの感染症を疑っておられるようで心配でたまらない。

嚢胞といえば、25歳という若い女性皇族殿下が卵巣嚢胞の手術を受けられたとニュースが伝えていた。
嚢胞は良性で手術も成功したというから良かったが、未婚のうら若き女性の婦人科系の御病気についてまで発表せねばならないかと釈然としない思いを抱いている。
未婚の女性が婦人科にかかるというのは、皇族であれ一般人であれ心中穏やかでないのは容易に想像できることだが、エセ言論界は二言目には「公人」を盾に人の心の奥深くに土足で踏み込んでゆく。
雅子妃殿下も、適応障害と病名を明らかにし、投薬とカウンセリングによる治療を受けておられると発表されているが、医師でもない宮内庁担当記者が薬の内容から量まで公表するよう東宮大夫に詰め寄り、思う情報が得られなければ、「公人の自覚が足りぬ」と責め立ててきた。
婦人科系の治療も心の病も、患者にとって、ただその病気と向き合うだけでも勇気が必要だと思われるが、そこを土足で踏み荒らされなければならない「公人」とは何と辛いお立場であろうか。
もっともらしく「公私の区別」だの「公人の自覚」だの講釈を垂れる者に、節度と良識と公平と中立について問うてみたいが、女王殿下の手術も成功し雅子妃殿下も御回復の兆候が確かなものとなっているので、今はお二方の御健康を心から祈りたいと思っている。

他人の病名や病状にまで土足で踏み込む無神経を書きながら、家族とはいえ別人格の病気について誰が読むとも分からないネットで書いている自分の矛盾と「公私の区別」について考えていて、思い出した話がある。
米原万里氏のたしか「真昼の星空」だったと思うが、「海外では(少なくとも米原氏が暮らしたロシアでは)学校の宿題に日記がだされることはない」と書かれていた。
米原氏は、外国人の友人の「日記というのは内省的なものであり、人に見せるために書くものではない。もし宿題で(先生に提出するための)日記を書くとしたら、それは表日記であり、本当の心のうちは別の裏日記に書かなければならなくなる」という言葉を受けて、日本人のブログに言及していた。
米原氏曰く、誰が見るとも分からない形態のブログに、日本人ほど日記を書く民族は少ないと思われるが、それは子供の頃から他人に見せることを前提とした日記を書くことに慣れているからかもしれない、と。
この米原氏の考察は、たしか2000年頃に書かれたものであり、あれから世界は急速に変化し、世界中が日記どころかツブヤキ(独り言)まで架空空間に垂れ流す時代になっているので、事情は異なってきてはいるが、日本人の「公」と「私」の境界を考える際のヒントになると思われるのだ。
宿題日記の、公にするために心の内を記す日記を書くという矛盾は、何を題材に書くかが本人に委ねられているという曖昧さまではらんでいる。
得手勝手に選んだ題材について、公私の区別の判然としないものを書くのが、宿題日記。
わたくしの境界を自分で決め、わたくしの内面を公にする習慣が、他人の心の境界を自分勝手に判断し平気で他人の心に土足で踏み込むことに繋がるのかもしれないと、ワンコの夜鳴きで朦朧としている頭で考えてみるテスト。

こう書いてはきたものの、私は宿題日記には大いに賛成で、この宿題が激減したことが国語力の低下に繋がっているのではないかとさえ思っている。
やはり誰かに読んでもらうことを前提に、ものを書くというのは頭の体操になるのだ。

自分の気分次第で選んだ題材から本の一節を思い出し、我流の解釈を書き散らかしている私のブログも多くの矛盾を抱えているとは思うが、真面目に真摯に頑張っている人を応援する、「応援する」という一点を大切にしながら、頭の体操にも努めたいと思っている。(参照 「アインス、ツバイ、ドライ応援を 繋ぐんじゃ」

病者と、病者を心配する人々の心の平安を祈っている。

人もワンコも、あぁ二度童

2015-12-17 00:07:08 | ひとりごと
最近またワンコの夜鳴きコーラスが凄まじい。

以前は膝だっこをすれば、多少はおとなしくなったのだが、これはこれで抱く者は股関節を痛めるのだが、ともかく膝だっこをすれば静かに寝息をたてることが多かったので、痛みと眠気をこらえて抱いていた。
が、最近ではどうにもこうにも鳴き止まない。
抱きさえすれば鳴き止むのなら、「夜通し抱き係」の当番を決めて他の者は寝るのだが、どうにもこうにも鳴き止まないので結局家族皆が眠れない。

膝や股関節痛を抱え、その疲労から歯の不調でダウンする者、膀胱炎になる者、腱鞘炎を悪化させる者、そして家族皆が慢性的寝不足でフラフラになってきている。
当然のこと年齢の高い順に、愚痴を口にすることが多くなる。
そんな時、職場でワンコ介護の夜鳴きを愚痴ったらしい家人が「自分の家は、夜は裏山につないでましたよ」という同僚のトンデモない話を聞いてきた。
連日連夜の夜鳴きに同僚家族は疲れ果て、ご近所の白い目もあり、裏山のシイタケ栽培のための小屋に夜だけつなぐ(外泊させる)ことにしたらしい。
そこは同僚ワンコの若き日の遊び場であったため、勝手知ったる何とやらでワンコは数週間は平気な顔をしていたらしいが、ある早朝いつものように迎えに行くと、そこにはもうワンコの姿はなかったそうだ。同僚家族は「飼い主に忠実な犬は、最期の姿を飼い主に見せないというから・・・」と思うことで、何とか自分達を納得させようとしているそうだ・・・・・。

だが、それでは、ワンコ版「姨捨山」(大和物語156段)ではないか。

わが心 慰めかねつ更級や 姨捨山に照る月を見て

月を見る度、ワンコを悲しく思い出すなど考えたくもない。
昨夜のふたご座流星群こそ曇り空で見ることはできなかったが、ワンコの丑三つチッチのおかげで美しい月も星も見ることが出来たというのに、それはない。(参照、「星は、朝づつ、犬星」

それはあり得ないが、皆疲労困憊しているのも確かではある。
そんななか、御大にゼミの同窓会の案内があった。
ワンコ介護のローテーションを気にして御大は出席を渋っていたが、「気分転換も必要」という皆の勧めに従い出席した、これが結果的に家族皆に良かった。
少なくとも、一番愚痴の数が増えていた御大の心持には良かった。

御大の親友にしてゼミ一番の出世頭が、90歳をこえる実の母の介護をしている話に始まり、どの旧友も介護にまつわる問題を抱えていたそうだ。
痴呆による徘徊や暴言・暴力、リアル「母に襁褓をあてるとき」(桝添要一)
舅姑の介護に疲れ果てた妻に先立たれ、残され一人で実母の介護をしている友人。
矍鑠と厳し過ぎた姑のために妻は家を出、残され一人で実母の介護をしている友人。
介護には一切タッチしなかった兄弟が財産分与だけは平等に請求する様に、幻滅している友人。

認知症の介護は、体力的にキツイだけでなく、威厳のあった父や優しかった母との思い出を根こそぎ奪われるという精神的な苦しもまた大きい。
同窓会で束の間の休息を得た旧友たちは、会が終われば、疲れた体を引きずって、又それぞれ介護生活に戻っていく。
そんな旧友に、ワンコ介護の愚痴など言えようはずもない。
帰宅した御大の口から久々に「ワンコは鳴くのが仕事だもんな」と穏やかな声。

医療は進み寿命は延びたが、若き日のまま健やかな時間が延びるわけではない。
どんな医療も、老いにともなう心の葛藤を解決してはくれない。
それは個々人が、人生観をかけて向き合っていくことだとは分かっていても、難しい。
四人に一人が高齢者という超高齢化社会、逃れることの出来ない難問にぶち当たっている。

同じ方向を見つめ伴に歩く

2015-12-14 19:12:09 | 
「真面目・誠実・真摯の根っこは 夢」 「悪妻の夫、良妻の夫」からのつづき。

「悪妻をもつと夫は優れた哲学者になれる」と言ったのはソクラテスだが、良妻を娶らば優れた科学者が誕生するのか。
このエピソードで思い出したのが、子供の頃に読んだ伝記「豊田佐吉」
集英社からでていた「母と子の世界の伝記」シリーズを読むのが好きだったが、その中でも特に印象に残っていた「豊田佐吉」を、子供の本箱から探し出し、週末読み返してみた。

豊田佐吉とは、自動機織り機の発明家にして、云わずと知れたあのトヨタグループの創始者である。
今から150年ほど前の時代のこと。
大工の長男だった佐吉は小学校を終えると、父親について真面目に修行するが、不景気になると仕事がないことや、外国から次々と新しいものが入って来ることに危機感を覚え『これからの世の中は、外国との競争だ。その競争に勝たなければ、日本はいつまでたっても貧乏な国から抜け出せないよ』と、夜の勉強会を始める。そこで読んだ「西国立志篇」(中村正直)に触発され発明家の道を志し、動力を使った機織り機を発明しようと決意する。それは母の仕事を楽にしたいという優しい願いでもあったが、妻子も顧みず発明の為におなごと一緒に機織りに夢中になり、発明の為に借金を重ねる佐吉は村中の笑い者になっていく。
一度目の結婚生活は短期間に終わったが、 二度目の妻浅子は佐吉の発明にかける情熱を理解し一番の応援者となる。浅子は店の経理を佐吉以上に上手くまわし資金面で佐吉を支えただけでなく、機械についても明るく佐吉は妻浅子だけを助手にして発明に取り組んだほどだった。その甲斐あって7年の年月をかけた木製動力織機が完成するのだ。それからは、佐吉の機械を見込んだ三井物産から提携を申し入れられたり、大隈重信が視察に来たりとトントン拍子に事は進み、肝心の発明でも、日本の小規模な工場にも対応できるような動力の小型化が必要だと知るや新たに石油エンジンの研究に取り掛かり、それを二か月で完成させるなど絶頂を極めたかに思えた。
が、利潤をあげることばかり追及する親方三井物産は研究費を出し惜しむようになる。それに業を煮やした佐吉は「お金のために研究しているのではない」と妻と弟と共に完全自前の会社を設立し、発明の研究に打ち込むようになる、これがトヨタの前進『豊田商会』だ。
この後も三井物産とは付かず離れず一悶着もふた悶着もありながらも発明を続け、息子には「次代は自動車だ」と新たな発明の道筋をつける先見の明の確かさを描いたところで、子供向け伝記「豊田佐吉」は物語を終えている。

ノーベル賞を受賞された大村博士が、亡き妻文子さんの写真を胸に授賞式の臨まれるというニュースで、子供の頃に読んだ「豊田佐吉」を思い出すほどに、伝記を読んだ当時の私には佐吉の妻の印象が強かった。それは、我が家がサラリーマン家庭で、夫の仕事を妻が直接支えるという場面に出くわしたことがなかったからかもしれないし、佐吉の研究を妻が手伝うだけでなく、トヨタの前進企業の設立に妻である女性が大きく関与していたことを公に認めていることにも意外性を感じたからかもしれない、そして、それを意外に感じるほどに、子供時代の私は保守的な思考をしていたのだろう。

が、長ずるに従い、器の大きな人間ほど、男尊女卑のうえに胡坐をかかず堂々と女性の能力を認める傾向があることを知ることとなった。あまり卑近な例や立志伝中の人物ばかり例にあげても仕方がないので、最近話題となった例で考えると、佐吉と同時代を描く「あさが来た」の加野屋の大旦那は、嫁いできたばかりの若嫁の商才を見込めば店の者に「あさちゃんの言うとおりにせぇ」と命じる度量があり、この見込みの確かさと度量の大きさゆえに、大阪の両替商が軒並み潰れたなかにあって、加野屋は発展していくのだと思われる。(参照、「チェスト行け!朝がくる」

ソクラテスは「悪妻をもてば夫は哲学者になれる」と云っているが、「良妻をもてば幸せになる」とも云っている。
が、妻はひとりで悪妻になったり良妻になったりするのではない、はずだ。家風や夫との関係性のなかで悪妻にも良妻にもなり得るのであり、妻を尊重する度量がお家と夫にあってこそ良妻が生まれるのかもしれない、などと妻への感謝を素直に語られる大村博士の姿勢に思うノーベル賞授賞式であった。

ところで良い夫婦といえば、真っ先に皇太子ご夫妻を思い浮かべる。
御成婚から間もない頃は、お見合い結婚独特のぎこちなさが感じられないでもなかったが、年を追うごとに御夫妻の信頼関係が深まっているのは、よく伝わってくる。
結婚生活22年のうちの12年もの間、雅子妃殿下が病にふせっておられ又それ故の多くのバッシングを以て「悪妻」とみる人もいるだろうが、俗人の誤ったその見方すら昇華させ、皇太子様が御人格を更に高めておられると拝察されるし、皇太子御一家の明るく温かな御姿を拝見すれば、答えは出ている。
皇太子様は、御病気の雅子妃殿下が出来る範囲で懸命に務めを果たそうとされていることを認めたうえで公に感謝の言葉を述べておられる。その具体例を御自身であげられることはなかったが、先頃皇太子様は国連で英語で御講演されるにあたり雅子妃殿下から語学だけでなく英語でのスピーチのコツなどを学ばれたと伝えられていた。
自分にないものを持つ人間から素直に学び感謝を示すという姿勢は、何かを知っているという以上に素晴らしいく、真に強く懐の深い人間だけが出来る事だと思われる。
素晴らしい皇太子様のもと雅子妃殿下は良妻であり、互いに人格を認め合う素晴らしい御夫妻が築かれる皇太子御一家は、俗人の俗物的価値観がなんと言おうと、お幸せなのだと思っている。

傍らで病む者や苦しむ者の人格を尊重される皇太子様の強さと優しさを尊敬している。
皇太子様の歩まれる道を、信じている。

悪妻の夫、良妻の夫

2015-12-13 22:08:45 | ひとりごと
「ドンネルの男 北里柴三郎」(山崎光夫)を読んでいた者としては、北里大学からノーベル賞受賞者が出たことも嬉しいが、「真面目・誠実・真摯の根っこ 夢」でも書いたように、大村氏の研究がワンコの寿命を延ばしてくれるものだったので、その喜びは倍増している。(参照、「祝ノーベル賞受賞 ブラボー北里研究所!」 「ドンネルのワンコも祝福」

<犬の長寿化に貢献=大村さんの薬、寄生虫駆除> 時事通信12月9日(水)4時59分配信より一部引用
過去35年間で、犬の平均寿命は大幅に延びた。
今年のノーベル医学生理学賞を受賞する北里大特別栄誉教授の大村智さん(80)は、その立役者の一人だ。大村さんが開発に貢献した薬「イベルメクチン」の登場で、犬の主な死因だった寄生虫「フィラリア」が大幅に減った。
フィラリアは蚊が媒介し、犬の心臓に巣くう寄生虫。幼虫段階で駆除するには、以前は毎日の投薬が必要だったが、1987年にイベルメクチンが発売され、月に1度で済むようになった。
東京都日野市で動物病院を営む須田沖夫獣医師は、~中略~これまでに診た千数百頭の犬が死んだ年齢と死因を調べている。統計を始めた80年は若いうちに死ぬ例が多く、平均で約4歳だった。その後徐々に延び、90年代後半に約14歳に達した。
長寿化の要因は、他の病気でワクチンが普及したことや栄養状態の改善、治療法の向上などさまざま。中でも死因の2割を占めていたフィラリアに有効な薬が登場し、今ではゼロに近くなった効果は大きいという。


我が家のワンコ、寄る年波には逆らえず、幼児帰りか昨夜も家族総出で丑三つコーラス大会の聴衆に・・・眠い。
が、二度童のぬくぬく生活を楽しめるのも、大村博士の研究のおかげである。
三月半ばになると、ワンコ病院から「今年もフィラリア予防の時期ですよ」と葉書が届き、血液検査を受けたうえで5月から11月まで月一錠のフィラリラ薬を欠かさず飲んできた、ワンコ。

ワンコの長寿は大村博士のおかげだが、大村博士の研究は奥方のおかげだという。

ノーベル賞級の研究など理解できる頭ではないので、関係者の方々には迷惑千万な話だとは承知しているが、やはり受賞者のお人柄やご家族の秘話などを嬉しく読ませて頂いている。
これは家人がワイドショーなどで仕入れた話。定時制高校の教師をしながら研究を続けていた若き大村青年との縁談が持ち上がった時、後に妻となられる文子さんの父は、経済的に厳しい生活になると考え大反対だったそうだが、文子さんは「この人(大村氏)はノーベル賞をとる人になる」と父を説得して結婚されたということだ。
この言葉を実現させるため、というわけではないだろうが、結婚後の文子さんが大村氏を支え続けたエピソードは数多くあるようだ。
(大村氏のよると)安月給のほとんどを研究と書籍の購入に費やしてしまうので生活はいつも苦しく、文子さんは裕福な実家を頼ることもあったそうだが、自らも学習塾や家庭教師をして家計を支え、大村氏が夜通しで実験をしているときはデータ計算を手伝ったりと研究のサポートまでされたそうだ。それどころか文子さんは、89年に開院した北里メディカルセンターの開設に一役も二役もかっておられるそうだ。
2015年12月5日21時05分配信の毎日新聞によると、こうだ。
『大村さんは82年ごろ、自身の開発で得た特許料を使って「病院過疎地」とも呼ばれた埼玉県の北本市に病院を建設しようと考えた。しかし、地元医師会は「患者が奪われる」と猛反対。話し合いもできず、暗礁に乗り上げかけた。
そのとき、文子さんが病院建設を訴える住民の署名活動を始めた。北本市の周辺市も含め、集まった署名は2万5000人以上。ついに地元医師会も折れ、病院建設を認めた。北里大メディカルセンターは89年3月に開院、現在は病床数372床、30科の診療科がある地域の中核病院だ。
建設準備からかかわってきた広瀬隆一病院長は「現在は、地元医師会とも極めて良好な連携関係にある」と話す。医師会による講演会や研究会、会議などにも病院の施設を利用するとともに、検査や診療でも地元のかかりつけ医と協力しながら地域住民の健康を守る拠点となっている。』

そして、何よりノーベル賞受賞研究のイベルメクチンは文子さんが大村氏を拉致した結果だというから驚きである。
12月11日(金)10時31分配信の女性自身によると『 引用開始~ 「そういえば、一度、女房に“拉致”されて精神科に連れて いかれたことがありました。ちょうど30代半ばで、北里大学で助教授に昇格したころ。それまで一心不乱に研究をしていましたが、行き詰まっていたんですね。めまいがして、何も手に付かない毎日が続いていたんです。精神科の先生からは『仕事のやりすぎだから、パチンコかゴルフをしなさい』と言われ、ゴルフを始めたんです」 医師の助言が、静岡県の川奈ゴルフ場の近くの土壌で微生物を見つけることにつながる。そして、この発見がアフリカなどの熱帯地方で猛威を振るった「河川盲目症」の特効薬「イベルメクチン」開発のきっかけに。文子さんの“拉致”がなければ、今回の受賞もなかったかもしれない--。
URL http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151211-00010004-jisin-soci

奥方の数々の支えがあってのノーベル賞受賞
<大村智さん亡き妻の写真胸に授賞式へ> 毎日新聞2015年12月5日21時05分より一部引用
ノーベル医学生理学賞を受賞する大村智・北里大特別栄誉教授(80)が5日午前(日本時間5日午後)、授賞式が開かれるストックホルムに到着した。10日の授賞式に、大村さんは2000年に亡くなった妻文子(ふみこ)さんの写真を胸のポケットに入れて出席する。研究に没頭する大村さんを支え続けた文子さんに「感謝の気持ちを伝えたい」との思いからだ。


「真面目・誠実・真摯の根っこは 夢」でソクラテスについて触れた。そのソクラテスは、「悪妻をもつと夫は優れた哲学者になれる」と言っているが、良妻を娶らば科学者が誕生するのか、そのあたりで思い出した本については、つづく

真面目・誠実・真摯の根っ子は 夢

2015-12-11 13:07:19 | ひとりごと
「龍の契り」に出会って以来、服部真澄氏の作品は欠かさず読んできたが、「GMO」以降の作品は、情報化社会や遺伝子組み換え食品や環境問題について神の領域を冒しかねない技術革新という視点で書かれており、スケールも難易度も私の手に余るので、息もつかせないストーリー展開を楽しむことに終始し、ちっぽけな私の生き方を考えるためのヒントとなる言葉を探しながら読むことは少なかった。(参照「時代に即した祈り」

つい先日まで読んでいた「クラウド・ナイン」も、検索エンジン・サービスの世界的巨大企業をめぐる先端科学技術の話であり、本の帯は「人類は、技術は、神を超えてもよいのか」と警鐘を鳴らしているが、明日にも実現しそうな技術とはいえ、人工血液に宇宙太陽光発電衛星を利用した気象兵器とくれば、もう私の出る幕ではない。
「クラウド・ナイン」で書かれる人類の技術と神の領域は、私の出る幕でもお呼びでもないのだが、本書のメインテーマ「人工血液」への伏線となるサッカー・ワールドカップのドーピング問題の場面で交わされた会話を思い出させるニュースがあったので、「クラウド・ナイン」を再度手に取った。

本書でドーピングを疑われる選手は、サッカー選手としての単純な功名心でそれに手を出すわけではないのだが、事情聴収をする主人公が語りかける言葉が印象に残っていたのだ。
『''隠された罪の問題''っていうことが、ソクラテスとプラトンとの間で、すでに紀元前から話題になっていた。
 つまりー、神と当人を除いては誰にも明らかになっていない犯罪、ってことだけど』
『ソクラテスはいっている。''人は何処へ行こうと、どんなことをしようと、彼は自分を見ている者をもつ。
 彼自身は自動的に法廷となり、良心と呼ばれる裁きの場所となる'' てなことを』

これまでも、服部氏には、「GMO」の遺伝子組み換え食品のように「たとえ技術的に可能であっても人間が踏み込んでもよい領域なのか」という視点の著作があり、今回の人工血液や気象兵器でも同様の問題意識が提起されている。
遺伝子組み換え食品の利用には、食の安全を守りながら採算の取れる大規模農家の経営を目指すというプラスの面があるし、人工血液の成功は超少子高齢化社会のため2027年には百万人分の輸血用製剤が不足すると云われている日本の希望となるとも考えられるし、気象兵器の開発により近年の異常気象がもたらす大災害を未然に防ぐことが出来れば、有難いことには違いがない。
だが、人は銭金に弱いし何より功名心に取り憑かれやすいし、功名心はいずれ神の領域をも冒しかねない。
遺伝子組み換え食品を操作すれば、人の生きるための糧を握ることになり、人工血液を牛耳ることは正に他者の命を手中に収めることになる。エネルギー問題から考えれば、宇宙での太陽光発電衛星は進んで欲しいしいが、そのエネルギを利用して思うがままに異常気象を操作するとなると、開発を進めて良いとは思えない。
物事には+-両面があり、最初から間違った目的で事を進める者ばかりではないが、醜く弱い人間は、いずれ方向を間違えることになる。その醜さ弱さの分かりやすい例としてドーピング問題が使われたのではないか、本書の主題は「隠された罪の問題」ではないだろうか。
人口血液や気象兵器に私の出る幕はないが、他人の褌を利用してまでも自分の能力を偽り高評価を得ようとする浅ましさなら、よくある嫌な話であり、それを見せつけられるようなニュースがあったので、「クラウド・ナイン」のなかの「隠された罪の問題」が思い出されたのだ。

とはいえ、誰に評価されなくとも真面目に誠実に真摯に頑張っている人を応援するために、私はブログを書いているので、他人の褌でジタバタしているニュースについては無視をすることにする。

真面目に誠実に真摯に道を究めてきた方々のノーベル賞の授賞式が行われている。

<ノーベル賞受賞の大村・梶田両博士夫妻、スウェーデン国王の晩餐会に出席>産経新聞 12月11日(金)10時24分配信より一部引用
ノーベル賞を受賞した大村智・北里大特別栄誉教授(80)と梶田隆章・東京大宇宙線研究所長(56)は10日夜、スウェーデン国王カール16世グスタフの晩餐会に夫人らとともに出席した。
晩餐会に先立ち市内のコンサートホールで行われたノーベル賞授賞式では、来賓や夫人らが見守るなか、大村さん、梶田さんに国王からメダルと賞状が授与された。


ノーベル賞級の研究など理解できるわけもなく、日本人のノーベル賞受賞を喜び受賞者のお人柄や秘話などを有難く読んでいる私だが、ワンコの寿命を延ばしてくださった大村博士には殊の外恩義を感じている。ソクラテスも話題になったことであるし?そのあたりについては、つづく

ノーベル賞のノーベルとはダイナマイトを発明したことで有名であるが、やはり物事には両面がある。その良い面を人のために活かそうとする根っこにあるのは野望ではなく、’’夢’’だと思う。

敬宮様・作 テーマは’’夢’’



写真出展 TBS系(JNN)12月10日(木)13時58分配信より
       http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20151210-00000054-jnn-soci