超苦手な分野の本を、
読んでみようとする時に、
私にとって、
漫画は良い入門書になってくれます。
『杜甫詩選』『李白詩選』を読もうと(書下し文で)、
思っているので『梨花の下で』を読みました。
李白・杜甫物語です。
で、
この本は、
李白(りはく)や杜甫(とほ)が主人公なのですが、
阿倍仲麻呂(仲麿)が登場します。
遣唐使だったから、
当然とはいえ、
李白とすごく親しい仲だったとは、
全然しりませんでした。
阿倍仲麻呂のことを誰もが唐名で呼ぶ中、
李白だけが、
「ナカマロ」と、
和名で呼んでくれたそうです。
阿部仲麻呂の歌は、
百人一首にも取り上げられてますね。
天の原ふりさけみれば春日なる三笠の山に出し月かも
(上記写真2枚はネットよりお借りいたしました)
空を仰ぎ見ると、
浮かんでいるのは、
故郷・春日の三笠山に出た、
あの時の月だ
この本の中では遣唐使時代に、
日本の詩を聞かせてくれと、
李白に所望されて作ったものとなってます。
(色々な説があるようです)
でも仲麻呂は、
日本へ帰る遣唐使船が沈没したため、
帰国は叶わず、
唐で生涯を終えることになってしまったそうです。
さて、
主人公の二人。
詩仙と言われた李白は即興的に、
お酒が入れば次々詩が浮かぶのに対して、
詩聖と言われた杜甫は人付き合いも苦手で、
苦しんで良い詩を作ろうとしたようです。
教科書にも載っていた二人の詩。
李白の『静夜思』の書下し文
床前月光を看る
疑うらくは是れ地上の霜かと
首を挙げて山月を望み
首を低れて故郷を思う
詩聖と言われた杜甫の「春望」
国破れて山河在り
城春にして草木深し
時に感じては花にも涙を濺ぎ
別れを恨んでは鳥にも心を驚かす
烽火三月に連なり
家書万金に抵る
白頭掻けば更に短く
渾て簪に勝へざらんと欲す
こうした詩や、
論語や三国志を読みながらも、
当時の国ぐには、
今の中国と同じとは思っておりません。
中国は覇権で成り立ってきた国ですので。
なお、
作者の杜康潤(とこう じゅん)さん(女性)は、
臨済宗の禅寺を実家として育った方だそうで、
中国留学経験もあり、
『孔明のヨメ』が代表作らしいです。
文章も上手くて、
舞い散る梨の花びらを連れて行くように、
彼は長安を後にした。
なんて李白の去る様子を描写してるのです。
楽しんで読みました。
(この本は二人の物語ですので漢詩は少ないです)