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新・徒然煙草の咄嗟日記

つれづれなるまゝに日くらしPCにむかひて心に移りゆくよしなし事をそこはかとなく紫煙に託せばあやしうこそものぐるほしけれ

平日の映画館は空いていた

2011-07-02 14:04:51 | 映画

サントリー美術館で「不滅のシンボル 鳳凰と獅子」展の鑑賞を終えた私は、東京ミッドタウンでちょっとした日常品を衝動買いした後、ケータイで映画のチケットを予約し、そして、六本木駅へと向かいました。

昨日一日の行程はこんな感じ。

自宅⇒徒歩最寄り駅JR埼京線通勤快速)⇒新宿駅都営大江戸線
六本木駅徒歩東京ミッドタウン(美術館&買い物)⇒徒歩六本木駅
東京メトロ日比谷線
日比谷駅徒歩有楽町駅JR山手線東京駅
JR京浜東北線
快速)⇒浦和駅徒歩浦和PARCO(昼食&映画
徒歩浦和駅JR京浜東北線南浦和駅JR武蔵野線最寄り駅徒歩
⇒自宅

よくよく見ると、鉄道は南浦和⇔浦和だけが往復区間で、基本的にループになっていますそれがどうした ですナ
それはさておき、観てきた映画は、

110702_1_2

プリンセス トヨトミ」です(上の画像をクリックすると公式サイトにジャンプします)。
結論から言いますと、「映画の日」割引料金1,000円)分の価値(楽しみ)はあったけれど、通常料金を払って観るほどの作品ではありませんでした。

そこそこ楽しめます。
とりわけ、私の場合、予告編を観た程度の予備知識(≒ほどんどまっさら)でしたから、この先どうなると、リアルタイムでは楽しんで観ることができました(映画の設定が来週だということからしてわぉ)。

でも、基本的に薄っぺらい

原作を読んでいませんので、そもそも原作が悪いのか、脚本が悪いのか、演出が悪いのかは判りませんが、「つじつまが合わないそりゃないだろちょっとぉっ」といったつっこみどころがたっぷり

せっかく登場人物の名前を歴史上の人たち(松平鳥居真田蜂須賀長宗我部など)から拝借するのならば、その歴史上の有名人の行動や性格に重ねるとか、真田役に中井貴一好演)ではなく真田広之を起用するとかすれば良かったのにとも思いました。

特に、ラストの富士山は、そのちょっと前から私に襲いかかっていた睡魔一気に退散するショボさでした

110702_2 公式サイトに原作者:万城目学氏(「まきめ・まなぶ」とお読みするんですな)がこんなコメントを寄せています。

う~む、、、「見たことがないくらい変な映画であることが…」には若干同意するけれど、そうかなぁ~って感じです。

ということで、時間とお金と心に余裕があって、「ちょっと小腹が空いた」という人にはお薦めしますが、「映画作品に正面から向かい合いたい」という高い志を持った方にはお薦めできません。

そうそう、一番の収穫は、橋場茶子役の沢木ルカが良かったこと。
眼差しが大変によろしい
今後の活躍に期待します

プリンセス・トヨトミ (文春文庫) プリンセス・トヨトミ (文春文庫)
価格:¥ 750(税込)
発売日:2011-04-08
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「ソーシャル・ネットワーク」を観てきた

2011-01-22 10:22:25 | 映画

昨夜、サッカー・アジアカップ準々決勝「日本 vs カタール」戦のことをすっかり忘れて、レイトショー(\1000)で映画を観てきました。


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ソーシャル・ネットワーク」です。


あらすじは(公式サイトからの引用)、


2003年の秋の夜、ハーバード大の学生であり、コンピュータ・プログラミングの天才=マーク・ザッカーバーグはPCに向かって座り、ある新しいアイディアに夢中になっていた。大学寮の小さな一室で始めたブログやプログラミングに対する彼の激しい情熱は、すぐに世界的なソーシャル・ネットワーク・サービスへと成長し、コミュニケーションの革命を起こすことになる。
わずか6年で5億人が登録。マーク・ザッカーバーグは歴史上もっとも若い億万長者となった。しかしこの成功と同時に、彼には複雑な人間関係と、権利トラブルが待ち受けていた…。


というもの。「コンピュータ・プログラミング」「複雑な人間関係」「権利トラブル」と、これを見ただけで、先日観てハラハラ&ドキドキを楽しんできた「アンストッパブル」とは正反対っぽいことは容易に想像がつきます。


しかも、登場人物たちは、私のようなフツー日本人のおっさんには理解不能な方々がほとんど
名門大学の秀才たちに、コンピュータ・オタクに、超ハイソサエティなお坊ちゃまに、揚げ足取りや「重箱の隅つつき」が大好きな弁護士たち…。
お友達になれないっつうか、お友達になりたくない方々がわんさかでてきます。
主人公のマーク・ザッカーバーグジェシー・アイゼンバーグが好演)とか、Napsterの開発者のショーン・ファニングとかとは、とうてい会話が成立しそうにありません

それでいて、悪人らしい悪人は出てこないところがリアルです。


早口の会話の応酬の連続で、(字幕読みネ)とフル回転せざるを得ない中、一服の清涼剤というかなごめたのが、大富豪のご子息にして、ハーバード大の学生にして、ボート競技のオリンピック候補(実際、北京オリンピックMen’s Pairに出場)にして、イケメンのウィンクルボス兄弟アーミー・ハマーがCG合成で二役)


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強烈なエリート意識とプライドを持っていて、「アイデアをマーク・ザッカーバーグに乗っ取られた」と怒りつつも、「ハーバード人はマスコミや訴訟に頼ってはいけない」なんて見得を切ったりします。それは良い心がけだと思うのですが、代わりに採った方法が、パパの会社の顧問弁護士を通じてマーク・ザッカーバーグ警告書を送ったり、パパのコネを使って学長に面会して「マークったら、学生倫理規定に違反してるんだよ」と直訴したりと、お子ちゃまなのが笑えます。(学長=元財務長官のサマーズさんにけんもほろろにあしらわれるのが痛快


   


繰り返しますが、この作品、とにかく会話が多くて、しかも早口

おかげで、映画を観に行ったのか、字幕を読みに行ったのか判らない、、、、というのは冗談ですが、少なくとも映像に集中することはできませんで、かなり見逃したシーンがありそうです。


そんなわけで、もう1回は観に行きたいと思っています。


こちらの「クラブ」のシーン(かなりお気に入り)は、


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後でBlu-rayディスク版を買ったとしても、自宅で堪能するのはぜぇ~ったいに無理(近所から苦情が来るのは必至)ですし。


   


万人にお薦め」ではありませんが、かなり特殊な人たちのかなり特殊な物語で、楽しめる人には「来る映画」だと思います。


それにしても、実在の人物、それも現役の人物を実名で、虚実取り混ぜて(制作側が公言しています)映画を作ってしまうなんて驚きです。日本ではあり得ないと思いますし、ましてや訴訟大国の米国ですぞ 当然、法的な準備は万全なのでしょうけど…。


ソーシャル・ネットワーク」のことは、後日、書き足すかもしれませんが、とりあえずきょうのところはこれまで

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「最後の忠臣蔵」は海外で受けるのだろうか?(その2)

2010-12-23 10:45:12 | 映画

『最後の忠臣蔵』は海外で受けるのだろうか?(その1)」のつづきです。

映画の公式サイトに登場人物の相関関係やストーリーが載っていますので、その範囲内で書こうと思いますが、「まっさらの状態で映画を観たい」という方は、この記事をすっ飛ばしていただきたいと存じます

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As Time Goes By」のメロディが流れ、ワーナー・ブラザースのロゴが映し出されたときは、また予告編かと思っていました。
が、次にスクリーンに現れたのは、人形浄瑠璃の名作「曽根崎心中」の道行(みちゆき)の場面。
そして、教科書にも載っていた近松門左衛門の名文が映し出されます。

此の世の名残 夜も名残 死に行く身を譬ふれば あだしが原の道の霜
一足づゝに消えて行く 夢の夢こそ あはれなれ

 

ここに来て、「本編」が始まったことに気づきました。
そして、物語が決して明るく終わることはないであろう予感も…。

 

作中、何度も挿入される「曽根崎心中」の初演は、題材となったお初・徳兵衛の心中事件からわずか1か月後元禄16年(1703年)赤穂浪士の討入り元禄15年12月=1703年)からほんの半年後のこと。スキャンダラスな心中事件に大騒ぎする一方で、集団で名門旗本家に押し入り、主君の本懐を遂げた赤穂浪士に喝采を送った人々に反応には、太平の世が始まって(元和厭武)から100年近く経った時代の、熱湯と冷水が混じったようなアンビバレントな世情が感じられます。

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最後の忠臣蔵」の主人公は、吉良家討入り直前に逐電(ちくでん)し、「敵前逃亡した卑怯者」との世評を背負いながらも、主君・大石内蔵助浅野内匠頭ではありません)の命令を受けて16年間生きながらえてきた瀬尾孫左右衛門です。
武士の身分を捨てて古物商として暮らしているだけではなく、墓参りで遭遇した旧浅野家家臣たちから「どの面を下げて生きている」と斬りつけられると(そういうあんたらはどうして生きていると突っ込みたい)、「命だけはご勘弁を 今死ぬわけにはまいらないのでございます」と必死に命乞いする情けない姿をさらけ出す「まござ=孫左右衛門」。

まござが、恥辱に耐えて守ったもの、それは大石内蔵助の遺児・可音(かね)だし、大石内蔵助から授けられた使命だし、武士道そのものだったわけですな。

ですから、可音をしっかりと育て上げ、玉の輿に乗せることで内蔵助の命令を果たした後、まござがとるであろう行動は、、、やはりあれしかないのだと私は納得しました。

レビューを読むと、映画の結末に不満の方も時々いらっしゃるようですが、それは現代人の感覚を江戸時代の武士に求めているからだと思うわけで、まござの最後の台詞をちょいといじくって、

かいしゃく無用

と言いたくなります。

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ところで、この記事のタイトル「『最後の忠臣蔵』は海外で受けるのだろうか?」ですが、映画の結末が外国人に受け入れられる=理解されるかが、私にはよく判りません。
日本人だって受け入れられない人がいるというのに、です。

でも、こちらの記事によれば、10月18日にロサンゼルスで行われたプレミア試写会では、

本編上映中は、各役者の演技に笑い声などのリアクションが起きるも、終盤以降は涙を拭ったり、すすり泣く観客が続出。本編が終わった後も、エンドロール終了まで誰一人として席を立たず、上映終了と共にスタンディングオベーションがおこり、喝采は数分間にも及んだ。この様子を見て本社スタッフも「プレミア上映といっても、エンドロールになれば席を立つことはハリウッドでは当たり前。このスタンディングオベーションは、作品が認められた証だと思って間違いないです!」と、熱のこもった意見を聞かせてくれた。

 

だそうです。

判らないといえば、何度も挿入される「曽根崎心中」と映画のストーリーとの関係を完全に理解できていません。
同時代性」はあるものの「同期性」は感じられませんでした。可音まござの関係はお初徳兵衛との関係とはまるで違います。「恋というものを知りません」と言う可音が「恋というもの」をおぼろげに知るきっかけになり、まござに対して恋心のようなものを抱いた可能性はあるかもしれませんが、まござ可音に対して恋愛感情を抱くような展開にはなっていないと思います。

そんなわけで、繰り返し「曽根崎心中」の場面が映し出されることには?????です。

でも、「最後の忠臣蔵」の話の筋を離れると、「曽根崎心中」の場面場面のなんとステキなこと

語りと三味線一挺だけのシンプルな「音響」と人形で、あれほど見事な舞台が作り上げられるとは、なんとも凄い 特に、人形の所作は、ちょっとした俳優では太刀打ちできない素晴らしさでした。
と思ったら、人形を遣っているのは当代の第一人者の一人、三世 桐竹勘十郎さん
いつか生で人形浄瑠璃を観たいものだと心底思いました。

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キャストの皆さんは、まござ役の役所広司寺坂吉右衛門役の佐藤浩市(16年間の互いの辛労辛苦を思いやって見つめ合うシーンは秀逸)だけでなく、どなたも好演でした(ラスト近くの奥野将監不要だと思う 監督とか映画会社と縁の深い役者を顔見せで使うのは日本映画の悪いクセ)。

とりわけ印象的だったのは、可音役の桜庭ななみ(私、去年、NHKで放映された連ドラ「ふたつのスピカ」を、ベタだなぁ~なんて思いながら、ほとんど観てました)。気品と清楚さが出ていて、大変によろしかったと思います。竹本座で人形浄瑠璃を見物する可音の姿は、茶屋四郎次郎笈田ヨシが雰囲気満点)・修一郎親子ならずともハッとするほど光り輝いていました

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その1」で書きましたように、

お薦めします

でして、5つ星満点では★★★★
一つの減点は、前述の「奥野将監が登場した」ことと「曽根崎心中」の位置づけが不明瞭だったこと、そして、嫁入り道中に旧浅野家家臣たちが加わるエピソードがくどかったことが理由です。
でも、渋くて素晴らしい作品だと思います。
(恐らく)今年最後の映画鑑賞でも素晴らしい作品に巡り逢えて幸せデス

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「最後の忠臣蔵」は海外で受けるのだろうか?(その1)

2010-12-20 06:29:12 | 映画

映画「最後の忠臣蔵」を観てきました。


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12月18日に公開されたばかりですから、この「その1」は、「まっさらの状態で作品を観たい」という方にも差し障りのない原作者ネタにとどめておきます。


ただ、これだけは書いておきたい


お薦めします


   


最後の忠臣蔵」の原作者は池宮彰一郎さん。これまた役所広司の主演で今年公開された時代劇「十三人の刺客」の原作者でもあります。

私の蔵書目録を検索しますと、


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と、1990年代後半に私が池宮さんの著作にハマっていたことが見てとれます。

ちなみに、96年夏に購入した単行本「四十七人目の浪士」が、映画「最後の忠臣蔵」の原作本となった「最後の忠臣蔵」のオリジナル・タイトルです。


最後の忠臣蔵 (角川文庫) 最後の忠臣蔵 (角川文庫)
価格:¥ 620(税込)
発売日:2004-10

この作品は、「四十七人目の浪士」こと寺坂吉右衛門の「討ち入り後」を描いた4つの短編(中編?)で構成されていまして、その最後に置かれたのが「最後の忠臣蔵」。
最後の忠臣蔵」への改題は、6年前に金曜時代劇としてNHKが映像化したのがその理由ではなかろうかという見方もあるようです。


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原作本のタイトルは、「最後の忠臣蔵」の方が売れるでしょうが、やはり「四十七人目の浪士」の方が適切だと私は思うのですがねぇ


それはさておき、池宮さん、盗用問題からかなり寂しく文筆活動を終え、そして亡くなってしまいましたが、今、元々の活動の場だった映画を通じて脚光を浴びています。
稀に見る優れたストーリー・テラーだった池宮さんは、小説家よりも脚本家の道を最後まで歩まれた方が良かったのではないかと思います。

「最後の忠臣蔵」の原作を読んでみようという方には、こちらの作品を先に読むことをお薦めします。

四十七人の刺客〈上〉 (角川文庫) 四十七人の刺客〈上〉 (角川文庫)
価格:¥ 580(税込)
発売日:2004-04
四十七人の刺客〈下〉 (角川文庫) 四十七人の刺客〈下〉 (角川文庫)
価格:¥ 580(税込)
発売日:2004-04

映画化された「四十七人の刺客」は、かなり物足りないデキでした(TVで観た感想)。映画を観て不完全燃焼だった方にも、原作本はお薦めデス。

それと、こちら。こちらはイチオシ!
1989年に本名の池上金男名義で発表された「幻の関東軍解体計画」に加筆修正の上、刊行された、「事変-リットン報告書ヲ奪取セヨ


事変―リットン報告書ヲ奪取セヨ (角川文庫) 事変―リットン報告書ヲ奪取セヨ (角川文庫)
価格:¥ 700(税込)
発売日:2007-06

事実がどうだったか、なんてさておいて、面白ければいい
これもまた一つの見識だと思います。


その2」では、映画「最後の忠臣蔵」の感想を書きます。


つづき:2010/12/23 「最後の忠臣蔵」は海外で受けるのだろうか?(その2)

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「ノルウェイの森」と「ノルウェーの森」

2010-12-12 10:31:09 | 映画

昨夜、話題の映画を観てきました。


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ノルウェイの森」です。


原作は、発表当時(1987年)に読みました。

ノルウェイの森  上下巻セット (講談社文庫) ノルウェイの森  上下巻セット (講談社文庫)
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発売日:2010-11-05

実家の書棚には単行本の初版がひっそりしているはずです。

Wikipediaによれば、「ノルウェイの森」の発行部数は、上下巻・単行本・文庫本を合わせて1000万部を超えているそうな。上下巻を別にカウントするのはどうかと思いますが、それを差し引いても凄い数字です。

当時、超特大ベストセラーの登場で、版元の講談社は大いに潤い、古色蒼然とした音羽の本社をツインビルに建て替えるなんて「」が流れてきました。しかも、ツインビルは、片方が赤いビルでもう片方が緑のビル、そして、ビルの呼び方は「上館」と「下館」・・・・ここまで来れば、明らかにネタですな


   


それはともかくも、映画「ノルウェイの森」、5つ星満点で、★★★といった印象でしょうか。


原作を読んでいない人にとってこの映画作品はかなり退屈ではなかろうかとか、なぜタイトルが「ノルウェイの森」なのか判らないのではないかとか、登場人物が次から次へと亡くなっていきひたすら陰鬱ではなかろうかとか、直子と緑との対比がボケているのではないかとか、、、。


私にとって村上春樹の作品は、現実離れしたシチュエーション、かなり個性的な登場人物、意表を突くウィットに富んだ台詞、ユニークな比喩、それらが醸し出す雰囲気、といったところが好きで(一番好きな作品は「羊をめぐる冒険」)、こうしたところからすれば、リアルな「ノルウェイの森」はちょっと異色な作品だと思っています(そうした作品が一番売れているというのはビミョーな気分です)。


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では、私が映画「ノルウェイの森」に期待していたものは何だったかというと、、、、正直、あまりありませんでした。大好きな作家と言っても良い村上春樹の、嫌いではない「ノルウェイの森」がどのように映像化されたのかを見たいといった程度のもの。

そんなあまりテンションの高くない私の期待を更に裏切る駄作ではなかった一方で、不明をわびさせるような傑作でもなかった、というのが「★★★」の評価の理由です。


映画の中にも、魅力的な会話(台詞)がちりばめられています。

例えば、


直子「思うんだけど人って、十八と十九の間を行ったり来たりすべきなのよ。
   十八が終わったら十九になって、十九が終わったら十八になるの。
   そしたら…、そしたら、色んなことがもっと楽になるのに」

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とか、


ワタナベ「孤独が好きな人間なんていないさ。無理に友達を作らないだけ。
   そんなことをしたってがっかりするだけだから」
緑 「もしあなたが自叙伝を書くことになったら、その台詞使えるわよ」
ワタナベ「からかってるの?」
緑 「私、あなたの喋り方すごく好きよ。私、緑っていうの」

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とか…。


でも、本ならば、読み返すまではいかなくても、なんどか視点が戻って反芻することができますが、映画ではそうは行きません(いくつかは公式サイトで見られますが…)。あっという間に埋もれてしまいます。


   

と、ここまで不満ばかりを書いてきましたけれど、画面から漂う1960年代末の雰囲気(私、実体験の記憶はほとんど無しですが…)は、とてつもなく良かった


ファッションも、騒然とした大学のキャンパスも、家の中の家具・家電・調度類も、レコードショップ(レコード針が並ぶ棚)も、40年以上前の日本はこうだったんだと納得させられるものになっていました。

モノだけでなく、ワタナベ松山ケンイチ)と永沢玉山鉄二)の二人は、全身から1960年代末を発散していました


1962年生まれのベトナム系フランス人トラン・アン・ユンが監督・脚本を担当した作品で、ここまで「1960年代末の日本」を写せるなんて、奇跡ではないかと思ってしまいます(スタッフさんたちにも拍手)。


トラン・アン・ユン監督と言えば、何度も画面に大きく映し出される登場人物たちのとか、これまた何度も登場する「家の外は雨」のシーンとか、かなり村上春樹を読んでいらっしゃるなと思いましたです。


   


ところで、冒頭、

なぜタイトルが「ノルウェイの森」なのか判らないのではないか

と書きました。


原作では、40歳間近の作家らしい「」を乗せたボーイング747ハンブルク空港に着陸し、その機内で流れてきたビートルズの「ノルウェーの森」を耳にした「僕」が過去に思いを馳せるシーンから始まっています。

映画には、原作の冒頭シーンは無いし、レイコさんがギターを弾きながらを歌うシーンが出てくるものの、公式サイトの「名場面集」で紹介されている「ノルウェイの森」をめぐる会話も、映画の公開版では無くなっているような気がします(見落とした?)。

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ここで気になるのは、この記事のタイトルにした「ノルウェイの森」と「ノルウェーの森」のこと。

村上春樹の小説は「ノルウェイの森」で、ビートルズの曲は「ノルウェーの森」(EMIの公式サイトをご参照方)。著作権を気をつかってのことでしょうか?

ラバー・ソウル ラバー・ソウル
価格:¥ 2,600(税込)
発売日:2009-09-09

EMIの公式サイトの中に、東芝EMIで、ビートルズの日本版ディレクターだった高嶋弘之さんの衝撃的なインタビュー(聞き手は放送作家の倉本美津留さん)が載っています。


高嶋 : 歌詞がすぐには来ないから、日本にいる外国人に聞き取りをしてもらうんですよ。それが間違えていることもあるから一応読みますけど、僕はいちいち辞書を引いて訳つけないんですよ。歌詞を自分の知ってる単語で適当に訳すんですよ。それから歌を聴いて、自分でひらめいたところでメインのタイトルをつける。後で振り返ってみてね、一番最悪だったのは、「ノルウェーの森」ですよ
倉本 : 「Norwegian Wood」ですよね。
高嶋 : あれ「ノルウェー製家具」ですよそんなもん知るかってことですよ。パッと聞いたら「ノルウェーの森」って、浮かんだんですよ。


そんないい加減な…
でも、タイトルの語感からしても、曲の感じからしても、「ノルウェーの森」がぴったりだと思います。


   

と、まぁ、例によってとりとめもなくなってきましたが、原作を読まずに映画「ノルウェイの森」を観た人の感想を知りたい私であります。

コメント (7)
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唐津でイカ料理を食べたくなった

2010-09-25 13:21:27 | 映画

昨日、2日連続となる映画鑑賞を決行(?)しました。
観たのは、

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モントリオール世界映画祭深津絵里が主演女優賞を獲得したことでも話題になっている「悪人」です。
例によって、上の画像をクリックすると公式サイトにジャンプします。

ひとことで言って、どすぅ~ん心に重く響く良い作品でした。
長崎・佐賀・福岡と、限られた地域を舞台に、閉塞感と孤独感にあふれる若者たちが、極めて現代的なきっかけで知り合い、他人を傷つけ合い、そして、衝動的に殺人を犯してしまった主人公は事情を知らない女と逃避行を始める…。主人公の男女の逃避行は、まさに近松門左衛門あたりが得意にした「死出の道行(みちゆき)」の現代版でした。

作品のキャッチコピーは、

ひとつの殺人事件。引き裂かれた家族。誰が本当の“悪人”なのか?

というもの。
悪人」が「善人ではない」ことを意味するとすれば、「悪人」が何人も登場します。主人公の祐一しかり、被害者の佳乃しかり、大学生の増尾しかり、増尾の友人たちしかり、祐一の母親しかり、怪しげな漢方薬販売業者しかり、祐一の祖母にハエのようにたかるマスコミしかり、そして、映画には登場しないけれど、マスコミ報道を深刻そうな顔をしながらも実は楽しんでいる一般大衆しかり…。

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でも、「極悪人」とまで断言できる人は一人もでてきません。せいぜい、日本中にワンサカいるであろう「小悪人」程度です。
そんな人間関係の中で、一人の人間が殺され、被害者の家族はもちろん、加害者の家族までが塗炭の苦しみと悲しみを味あわされます。

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誰もが、意識することなく他人を傷つけてしまうこの現実、そして、「出会い系」で知り合った人と刹那的な時を過ごす孤独…。いやぁ~、重い…

   

悪人」のことは、8月8日の記事「真夏の関西旅行記(その4)[大阪編の3]」でも触れました。
きょうの記事に載せた画像は、「悪人」が朝日新聞に連載された時に掲載された束芋(たばいも)さんの挿画を再構成した「惡人」(原作や映画のタイトルとは「」の字が違う)から拝借したものです。

惡人 惡人
価格:¥ 1,890(税込)
発売日:2010-07-07

映画を観てからこの画集(なんでしょうな)を観ると、やはり凄い
束芋さん独特のヌメヌメ感ゾクっとします。

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映画を思い出しながら、「惡人」を観ていると、だんだん、吉田修一さんの原作も読みたくなってきます。どうしましょうかねぇ…

悪人(上) (朝日文庫) 悪人(上) (朝日文庫)
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発売日:2009-11-06
悪人(下) (朝日文庫) 悪人(下) (朝日文庫)
価格:¥ 567(税込)
発売日:2009-11-06

   

話を映画「悪人」に戻しましょう。

この作品成功の最大の理由は、主演・脇役を含めて、出演者たちの演技が素晴らしかったことだと思っています。
出演者・役名ごとに、感想(一部雑感)を書いておきます。

妻夫木聡(清水祐一):アップにならない限り、妻夫木さんとは判らないでしょう。金髪で、一人ドライブとアレが唯二の「趣味」で、無口な解体工と、いかにもその辺にいそうな若者にしか見えませんでした(立ち姿歩き方も)。

深津絵里(馬込光代):これまた、紳士服量販店チェーンの地味な店員役が嵌(はま)っていました。

あの国道の脇を入った田んぼの真ん中の高校に通っとったんよ。それに高校の手前の中学校、小学校にも・・・。いまの職場は、あの国道沿いにある。考えてみたら、私って、あの国道からぜんぜん離れんやったとねぇ…」

という語り口がなんとも純朴で、寂しくて、光代の不器用な生き方がいとおしくさえ思えました。華のない(誉め言葉デス)素晴らしい好演でした。

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柄本明(石橋佳男)熱演娘を殺された父親の悲しみ・怒り・憎しみが爆発していました。

樹木希林(清水房枝)マスゴミに囲まれてバス停に向かうシーンや漢方薬屋に乗り込むシーンでは、ガンバレ-と応援したくなります。また、孫・祐一に夕食を食べさせるところなんざ、ホント、その辺のおばあちゃん。やはり、傑出した名脇役です。

岡田将生(増尾圭吾)鼻持ちならない金持ち大学生(老舗温泉旅館の跡取り息子)を、何ともいやらしく演じていました。「岡田クンったら、ひどぉ~い」と勘違いしたファンが離れて行ってしまうのではないかと心配してしまいます。

満島ひかり(石橋佳乃):見た目はかわいいのだけれど、好きになられたら超鬱陶しいし、嫌われたら手に負えない困ったねえちゃんそのものでした。お見事

   

佐賀県フィルムコミッション長崎県フィルムコミッション、関係市町・団体が共同で制作した「『悪人』ロケ地ガイド&マップ」が大好評だそうです。

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上の画像をクリックすると、PDFで「『悪人』ロケ地ガイド&マップ」をご覧いただけます。

9月17日付けの読売によれば(サイトはこちら:切れてたらゴメン)、

最初に作った7万部は11日の公開後にほぼなくなり、急きょ約5万部を増刷

だそうな。

おかげで、祐一が殺人を犯したことを告白する場面に使われたイカ料理屋さんは大繁盛とか。

映画が地域振興につながるのは大変結構なことです。ただ、いつかは確実に「悪人ブーム」は終わるわけで、それまでにイカにして地元を売り込んでリピーターを増やすかが課題でしょう。

ということで、映画「悪人」は自信を持ってお薦めします

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こちらも久しぶり、東京都写真美術館 (その2)

2010-09-20 08:26:41 | 映画

100920_1_1こちらも久しぶり、東京都写真美術館 (その1)」のつづきです。


さて、「黒澤明生誕100年記念画コンテ展 映画に捧ぐ」、「絵コンテと画コンテとはどう違う?」なんてヤボな疑問はさておきまして、ここでは「画コンテ」で通しておくことにします。
「主催者」のご挨拶によれば、


映画「影武者」の製作が予算面で暗礁に乗り上げた際、「せめて、動かぬ画であろうとも、世界中の人々に見て貰いたいと思った」と再び絵筆を執り、描き始めたのが「画コンテ」でした。


だそうです。
展覧会場では、黒澤監督を敬愛するフランシス・フォード・コッポラ監督とジョージ・ルーカス監督へのインタビュー・ビデオが流されていまして、その中で、黒澤監督の苦境を知ったルーカス監督が20世紀フォックスに「影武者」の製作費の一部を出資することを掛け合ったところ、すぐに受けてもらえた、なんてエピソードが紹介されていました。
この時、影武者の画コンテがどのような働きをしたのかは判りません。仮に、無名の監督が、「次の作品の構想です」と、この画コンテをルーカスさんに見せたとしたら、ルーカスさんは20世紀フォックスへの口添えをしてくれたでしょうか?
でも、「こんな映画を撮りたいんだけど、お金が集まらなくてねぇ」なんて言いながら、黒澤監督がこの画コンテを見せてくれたとしたら、、、、。いてもたってもいられないでしょ、きっと。


前置きが長くなりました。


展覧会場に入ると、真正面に掲げられているのが、2.94m×2.24mもの巨大な作品、


100920_1_2


」から「楓の方」です。これは肉筆の「現物」ではなく、「高精細複製画パネル」だそうですが、それにしてはよくできた複製画でした。
楓の方を演じた原田美枝子さんは、この絵を見て役作りしたのでしょうか?


黒澤監督にとって画コンテがどのような意味を持つものだったのかは、次のコメントから想像できます。


画コンテを描く時、随分、いろんな事を考える。その場所のセッティング、その場面に出る人物の心理や感情、その人達の動き。それを掴まえるキャメラ・アングル、光線の状態、衣裳や小道具、そう云ういろんな事を具体的に考えないと、その場面を画には描けない。 いや、それを考えるために画コンテを描くのだ、と云った方がいいかも知れない。私は、そうやって、映画の一つ一つの場面のイメージを眼に見える様にかため、ふくらませ、しっかり掴んで、それから映画の撮影に臨む。
しかし、どうもこの作業は、シナリオを書く時から、私の頭の中で始まっているらしく、書き損なった原稿用紙の裏にいろんな画が描いてあるのを時々見つけることがある。


100920_1_4 画コンテを描く過程を通じて、黒澤監督の頭の中では作品の完成版が作られていき、撮影現場は監督の頭の中にある完成形をフィルムに焼き付ける作業場ということでしょうか?

」での仲代達也さんなんて、右の画コンテそのままですもんなぁ。


こうしてみれば、黒澤監督がスタッフや大物キャストと衝突しまくりだったのもうなずけます。
でも、コッポラさんに言わせれば、黒澤監督と衝突して「影武者」の主役を降りた勝新太郎さんについて、「監督に忠実な仲代さんよりも、破天荒な勝さんの方が役に合っていたのではないか。勝さんの『影武者』が見たかった」だそうです。


   


黒澤監督描くところの画コンテを観ていて思いました。「黒澤監督はゴッホが大好きだったに違いない」と。
例えばこの画コンテなんてどうでしょうか


100920_1_5


まんま、ゴッホさん
もっともこれは「」の第5話「」に登場するフィンセント・ファン・ゴッホさんです。
この展覧会に出展されている「」の画コンテ10点は、すべて「」でゴッホを演じたマーティン・スコセッシ監督が黒澤監督から譲り受けたもので、日本初公開とか。
スコセッシ監督の献辞を抜き書きしてみましょう。


準備段階で描かれた画コンテを見れば、黒澤がいかに完璧なまでに映画を掌握していたかを感じ取ることができるでしょう。黒澤から譲り受けた、映画「夢」で私がゴッホを演じたシーンの画コンテを見ていると、1ショットの中で私が歩くべき歩数、腕の位置、ゴッホの筆の動き、フレームの中での私の眼や髪の見え方…あらゆる点について、黒澤が完璧なまでに緻密だったのが思い出されます。一枚一枚がダイナミックな働きを与えられ、完全に再現されるべく迫りくるような画コンテを見れば、黒澤が映画とともに生き、息づいているのが感じられるでしょう。


いかに完璧なまでに映画を掌握していたか(原文:this absolute mastery of cinema)」という表現がステキです。
黒澤映画の下書きだった画コンテ、映画ファンは必見ですよ と書いてみる…。
会期は10月11日(祝・月)まで、まだ余裕があります。


最後に、映画好きにはたまらない作品(黒澤作品ではありませぬ)を紹介します。

これを観たら、ますます映画が好きになってしまうこと請け合いです


映画に愛をこめて アメリカの夜 特別版 [DVD] 映画に愛をこめて アメリカの夜 特別版 [DVD]
価格:¥ 980(税込)
発売日:2008-10-08

早く再発売して欲しいゾ (私は持っていますが

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スウィンギン・ロンドン 50's―60's

2010-07-25 10:19:59 | 映画

去る「海の日」(7月19日)、冗談ではない猛暑の中、埼玉県立近代美術館(MOMAS)で開催中の企画展「スウィンギン・ロンドン 50's―60's ミニスカート・ロック・ベスパ―狂騒のポップカルチャー」を観てきました。


先月6日の記事「埼玉県立近代美術館の次の企画展は…」で、


行くしかないっ て感じ


と書いたことですし、やはり行くしかないっ でしょう。


100725_1_1 MOMASのある北浦和公演の入口の掲示板には、こんなポスターが、、、、、って、これはポスターではなく、展覧会のフライヤー(6月6日の記事で紹介した12インチ・レコード・サイズのモノ)を3枚×2枚、表裏を互い違いに貼ってあるだけではありませんか

おぉ、POPですなぁ。


また、美術館前のやや小ぶりの掲示板には、


100725_1_2 と、同じフライヤーが(2+1/2)枚×3/4枚並べて貼られていました。


もしかして、ポスターの制作費をケチったのでしょうか?

でも、こんな凝ったフライヤーを作れば、それを活用しない手はないと思います。


   


MOMASの館内に入りますと、1階の階段手前のスペースに最初の展示物がありました。

ロータス・エリート(1963年製)です。世界初のオールFRPモノコック構造だそうで、いかにもそれっぽい、ヌメヌメした感じが斬新です。当時も今も、まちなかを走れば相当目立ちそうです。でも、ぶつけて、ボディーが凹んだり割れたりしたら、修理はこれまた大変そう…。

100725_1_3
さて、2階の企画展示室に向かおうとすると、展示室の場所を示す掲示が目に入りました。

これまたデザインといい色使いといい、POPです

すでにここまで結構楽しんでいましたが、ここでようやく展覧会の会場に入場。


   


いつものように、もぎりのおばさまにfam's(美術館フレンド)の会員証を提示しますと、「ジョン・レノン・ミュージアム(JLM)の入場料が割引になります」と言って、半券をくださいました。

100725_1_4 これを持ってJLMに行けば、入場料が、1500円⇒1300円に割り引きされます。

MOMASJLMとの相互割引(どちらに先に行くかが金額的にものを言う)については、「埼玉県立近代美術館の次の企画展は…」で紹介&考察しましたので、そちらをご参照くださいませ。


さて、展示会場に入って最初に目についたのは、ど~んと置かれたベスパ(下の画像はMOMAS製の「ワークシート」)


100725_1_5
展覧会のサブ・タイトルが「ミニスカート・ロック・ベスパ -狂騒のポップカルチャー」ですから、当然と言えば当然でしょう。


また、その先にはギターがこれまたど~んと並べられていました。テレキャスターストラトキャスターレス・ポールと、エレクトリック・ギターの大御所

わたくし、寡聞にして存じ上げませんでしたが、これら「大御所ギター」たち、いずれも1950年代にデビューしたモデルなんですね。50年以上も原型を保ったまま造られ続けているなんて、なんとも驚きでした。


振り返ってみれば、これほど一般大衆向けの工業製品(マス・プロダクツ)が並ぶ展覧会というのは珍しいかもしれません。

当時にしては高価なものもあるでしょうけれど、ポータブルラジオやポータブルテレビ(ソニー製品が多かった)とか、調理器具(BRAUNの65年製コーヒーミルなんぞ、時空を超えたデザインだと思う)とか、家具とか、食器とか、ある程度以上の水準の生活をしている家庭なら普通に使っていたであろう製品(作品)が、何とも楽しい


そうそう、私の家にもあった製品が展示されていました。松下電器(現Panasonic)製のラジオ「パナペット70」です。
このラジオ、まだ実家にあるような気がします。この夏の帰省の時に探してみましょう。

ちなみに、去年1~2月に国立科学博物館で開催されていた「1970年 大阪万博の軌跡」(訪問記はこちら)の「EXPOグッズ・コーナー」でもパナペット70が展示されておりましたです。


100725_1_8


   


会場内で、ときおり、ロックが鳴り響いていて、どんな展示なのだろうと思っていました。


100725_1_9 と、目の前に立ちはだかったのは巨大な映画ポスター

ミケランジェロ・アントニオーニ監督の「欲望(BLOW-UP)」のポスターでした。


展示室の一角で、「欲望」の一場面が繰り返し上映されていたのです。

主人公が入り込んだライブハウスでYardbirdsが演奏しているシーンです。

この映画が撮影された頃のYardbirdsは、Jeff Beck様と、「スウィンギン・ロンドン 50's―60's」展のキー・マンの一人、Jimmy Page殿のツイン・リード・ギターで活動していて、MOMASで上映されていた「欲望」のシーンでも、お二人の演奏をチラ見できます。


いやいや、チラ見どころではなく、超お宝シーンといっても良いでしょう。


演奏中、アンプの調子が悪くなって、Jeff様がギターのヘッドでアンプをゴン ちょいと具合が良くなったかと思うと、またダメで、Jeff様はもう一回ギターでゴン 更にもう一回、、、そしてついにキレてしまったJeff様はギターで思い切りアンプを殴りつける 完全に壊れてしまったJeff様は、ギターを床に叩きつけるは、踏んづけるはで、完膚無きまでにギターを破壊して、最後はギターのネックを客席に放り投げたぁ~


まさしく「狂騒のポップカルチャー」であります。


欲望 [DVD] 欲望 [DVD]
価格:¥ 1,500(税込)
発売日:2010-04-21

   


何とも話が尽きませんので、この他、私が気に入った作品をざらっと並べておきましょう。


リチャード・ハミルトンの「インテリア」(シルクスクリーン)
グレイ広告社(米)デザインのポスター「ホンダに乗るのは最高に素敵な人たち
ヴェニーニ・ムラーノ社(伊)製の「ランプ」(ガラス製) ←かなり欲しい!
ブラウン社(西独)製の教育玩具「レクトロン」 ←西独版「電子ブロック」?
マリー・クワント(デザイン)の「デイ・ドレス」 ←とても街着には見えない
リーバイス社(米)製のジーンズ「501」「502」 ←美術館に展示されるかぁ~
バング&オルフセン社(典)製のラジオ「ベオリット400」「ベオリット500
オリベッティ社(伊)製のタイプライター「バレンタイン


どれもPOP


   


100725_1_x 常設展(MOMASコレクション)を観たあと(こちらの話はまた後日)、ミュージアム・ショップで、「スウィンギン・ロンドン 50's―60's」展の図録を買ったところ、「先着順のプレゼントです」と、おまけをいただきました。


右の写真の下の方に写っている、JLMグッズ2品、缶バッジと転写シールです。

どちらにも「NOT FOR SALE」と書かれていて、JLM今年9月末で閉館してしまうことを考えれば、かなりうれしいプレゼントです


とまぁ、超暑いながらも、気分良くMOMASを後にしたのでありました。


時間に余裕があれば、このままJLMにハシゴしようかとも思っていたのですが、超暑いし(まちなかの歩行者が少ない…)、散髪の予約時刻が迫っていたこともあり、JLM訪問は後日に延期しました。


つづきのようなもの:2010/08/21 寂しさはあるけれど…

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「のだめ 最終楽章 前編」のBlu-rayが届いた

2010-06-04 07:16:45 | 映画

昨夜帰宅すると 1ヶ月以上も前に予約していた「のだめカンタービレ 最終楽章 前編」のBlu-ray版が届いていました。


のだめカンタービレ 最終楽章 前編 [Blu-ray] のだめカンタービレ 最終楽章 前編 [Blu-ray]
価格:¥ 5,040(税込)
発売日:2010-06-04

今週末にじっくり楽しむつもりなのですが、パッケージを開いてびっくり


100604_1_1

ふぁおおぉんと吠えてしまうような簡潔さ。
リーフレットどころか、説明書き1枚も入っていません。ケースの表紙(というのか?)の内側でさえも白紙…。一瞬、「海賊版か?」とまで思うような手抜き、、、いや、シンプルさです
ディスクの中身も、本編以外に特典映像として収録されているのは劇場版予告編やTVスポットなどトータル5分間のみ。
おまけが欲しい方は、DVD 3枚組で、トータル3時間を超える特典映像を盛り込んだスペシャルエディションを買ってくれ」ということなのでしょうナ。


のだめカンタービレ 最終楽章 前編 スペシャル・エディション [DVD] のだめカンタービレ 最終楽章 前編
スペシャル・エディション [DVD]

価格:¥ 6,090(税込)
発売日:2010-06-04

最近、こういう「商売」が多い…。表向きには「様々なニーズに細かく応じるため」、いろいろなエディションのディスクを発売して、あわよくば1人の顧客に何枚ものディスクを買わせてしまおうという見え見えの作戦デス

でも、私は「のだめカンタービレ 最終楽章 前編」をきれいな映像&よい音響で楽しみたいだけですので、このBlu-ray版だけで十分です。


とか言いながら、実家の両親へのプレゼントとして「DVDスタンダード・エディション」を手配していますので、結局複数枚買った私であります…。


のだめカンタービレ 最終楽章 前編 スタンダード・エディション [DVD] のだめカンタービレ 最終楽章 前編
スタンダード・エディション [DVD]

価格:¥ 3,990(税込)
発売日:2010-06-04
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Amazonの「おすすめ商品」がうっとうしい時もある

2010-02-25 07:07:47 | 映画

Amazonに「おすすめ商品」という機能があります。


100225_1_1


過去に購入した商品に関連がある商品を「おすすめ」してくれる機能です。
ここで「関連がある」というのには、二つの意味があります。一つは、これまでAmazonで買ったことのある作品(買わなくても、「持っています」にチェックをいれた作品)と同じ監督とか作曲家とかミュージシャンの作品。もう一つは、同じ作品を買った他の人が買った作品というもの。

へぇ~ と思う紹介されることがある反面、「ちょっと、いいかげんにしてよ…」と思うのも事実です。

例えば、最近では大のお気に入りの、MISIAの「星のように…」の「持っています」にチェックを入れると…、

星のように・・・ 星のように・・・
価格:¥ 1,260(税込)
発売日:2009-12-16


ウルトラマン・シリーズのDVDとかサントラCDが、これでもかぁ とばかりに「おすすめ」にズラズラと並びます。

わたしゃぁ、映画「大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説」の主題歌だからと「星のように…」を買ったのではなく、大好きなMISIAの新作シングルCDを買ったら、それが「大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説」の主題歌だったというだけなのですがねぇ

はっきり言って、わたしゃ、ウルトラマンには興味がない

   

Amazonの「おすすめ」がうっとうしいパターンとしては、上記の「ズレ」のほか、


1) 持っている単行本が文庫本で発売された
2) 持っている本が、タイトルを変えて再版された
3) 「ディレクターズ・カット」とか「ファイナル・カット」とか、持っている映画のDVDの別バージョンが発売された
4) 持っている映画のDVDが、廉価版として再版された
5) CDが高品質版で再版された


といったものがあります。


加えてやっかいなのが、JazzのCDで多い、「初版時にボツになっていたテイクを追加して再版」というパターン。

例えば、Amazonで「bill evans waltz for debby」をキーワードにして、「ミュージック」を検索してみてください。
すると出てくる、出てくる…。いったい何バージョンあるんだぁ~


Waltz for Debby Waltz for Debby
価格:¥ 1,149(税込)
発売日:1990-10-17

ワルツ・フォー・デビイ+4 ワルツ・フォー・デビイ+4
価格:¥ 1,800(税込)
発売日:2007-09-19

Waltz for Debby Waltz for Debby
価格:¥ 3,067(税込)
発売日:2002-06-11

ワルツ・フォー・デビイ+4 ワルツ・フォー・デビイ+4
価格:¥ 2,800(税込)
発売日:2009-01-21


上に載せたのは、きょう時点で新品を購入できるものだけですが、「おすすめ」には中古品まで加わるものですから、もう収拾がつきません…。

   

最近では、Webの検索サイトでも、キーワードに合わせた広告を載っけたりしていますが、これもまた便利な時がある反面、失笑するしかないケースもあります。

例えば、わたしの過去の記事にたどり着いた人が頼りにしたこちらの検索サイト

何度もかかってくる売り込みの電話にいらついてマンション経営 迷惑電話」をキーワードに対策を検索したに違いない人に対して、「マンション経営するならココ!」とか「マンション経営で税金対策!」なんて広告を並べてどうすんのよ

タチの悪い冗談デスよ、これじゃ…。

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