去る「海の日」(7月19日)、冗談ではない猛暑
の中、埼玉県立近代美術館(MOMAS)で開催中の企画展「スウィンギン・ロンドン 50's―60's ミニスカート・ロック・ベスパ―狂騒のポップカルチャー」を観てきました。
先月6日の記事「埼玉県立近代美術館の次の企画展は…」で、
行くしかないっ
て感じ
と書いたことですし、やはり行くしかないっ
でしょう。
MOMASのある北浦和公演の入口の掲示板には、こんなポスターが、、、、、って、これはポスターではなく、展覧会のフライヤー(6月6日の記事で紹介した12インチ・レコード・サイズのモノ)を3枚×2枚、表裏を互い違いに貼ってあるだけではありませんか
おぉ、POP
ですなぁ。
また、美術館前のやや小ぶりの掲示板には、
と、同じフライヤーが(2+1/2)枚×3/4枚並べて貼られていました。
もしかして、ポスターの制作費をケチったのでしょうか?
でも、こんな凝ったフライヤーを作れば、それを活用しない手はないと思います。

MOMASの館内に入りますと、1階の階段手前のスペースに最初の展示物がありました。
ロータス・エリート(1963年製)
です。世界初のオールFRPモノコック構造だそうで、いかにもそれっぽい、ヌメヌメした感じが斬新です。当時も今も、まちなかを走れば相当目立ちそうです。でも、ぶつけて、ボディーが凹んだり割れたりしたら、修理はこれまた大変そう…。

さて、2階の企画展示室に向かおうとすると、展示室の場所を示す掲示が目に入りました。
これまたデザインといい色使いといい、POPです
すでにここまで結構楽しんでいましたが、ここでようやく展覧会の会場に入場。

いつものように、もぎりのおばさまにfam's(美術館フレンド)の会員証を提示しますと、「ジョン・レノン・ミュージアム(JLM)の入場料が割引になります」と言って、半券をくださいました。
これを持ってJLMに行けば、入場料が、1500円⇒1300円に割り引きされます。
MOMASとJLMとの相互割引(どちらに先に行くかが金額的にものを言う)については、「埼玉県立近代美術館の次の企画展は…」で紹介&考察しましたので、そちらをご参照くださいませ。
さて、展示会場に入って最初に目についたのは、ど~んと置かれたベスパ
(下の画像はMOMAS製の「ワークシート」)

展覧会のサブ・タイトルが「ミニスカート・ロック・ベスパ -狂騒のポップカルチャー」ですから、当然と言えば当然でしょう。
また、その先にはギターがこれまたど~んと並べられていました。テレキャスター、ストラトキャスター、レス・ポールと、エレクトリック・ギターの大御所が
わたくし、寡聞にして存じ上げませんでしたが、これら「大御所ギター」たち、いずれも1950年代にデビューしたモデルなんですね。50年以上も原型を保ったまま造られ続けているなんて、なんとも驚きでした。
振り返ってみれば、これほど一般大衆向けの工業製品(マス・プロダクツ)が並ぶ展覧会というのは珍しいかもしれません。
当時にしては高価なものもあるでしょうけれど、ポータブルラジオやポータブルテレビ(ソニー製品が多かった)とか、調理器具(BRAUNの65年製コーヒーミルなんぞ、時空を超えたデザインだと思う)とか、家具とか、食器とか、ある程度以上の水準の生活をしている家庭なら普通に使っていたであろう製品(作品)が、何とも楽しい
そうそう、私の家にもあった製品が展示されていました。松下電器(現Panasonic)製のラジオ「パナペット70」です。
このラジオ、まだ実家にあるような気がします。この夏の帰省の時に探してみましょう。
ちなみに、去年1~2月に国立科学博物館で開催されていた「1970年 大阪万博の軌跡」(訪問記はこちら)の「EXPOグッズ・コーナー」でもパナペット70が展示されておりましたです。


会場内で、ときおり、ロックが鳴り響いていて、どんな展示なのだろうと思っていました。
と、目の前に立ちはだかったのは巨大な映画
のポスター
ミケランジェロ・アントニオーニ監督の「欲望(BLOW-UP)」のポスターでした。
展示室の一角で、「欲望」の一場面が繰り返し上映されていたのです。
主人公が入り込んだライブハウスでYardbirdsが演奏しているシーンです。
この映画が撮影された頃のYardbirdsは、Jeff Beck様と、「スウィンギン・ロンドン 50's―60's」展のキー・マンの一人、Jimmy Page殿のツイン・リード・ギターで活動していて、MOMASで上映されていた「欲望」のシーンでも、お二人の演奏をチラ見
できます。
いやいや、チラ見どころではなく、超お宝シーン
といっても良いでしょう。
演奏中、アンプの調子が悪くなって、Jeff様がギターのヘッドでアンプをゴン
ちょいと具合が良くなったかと思うと、またダメで、Jeff様はもう一回ギターでゴン
更にもう一回、、、そしてついにキレてしまったJeff様はギターで思い切りアンプを殴りつける
完全に壊れてしまったJeff様は、ギターを床に叩きつける
は、踏んづける
はで、完膚無きまでにギターを破壊
して、最後はギターのネックを客席に放り投げたぁ~
まさしく「狂騒のポップカルチャー」であります。

何とも話が尽きませんので、この他、私が気に入った作品をざらっと並べておきましょう。
リチャード・ハミルトンの「インテリア」(シルクスクリーン)
グレイ広告社(米)デザインのポスター「ホンダに乗るのは最高に素敵な人たち」
ヴェニーニ・ムラーノ社(伊)製の「ランプ」(ガラス製) ←かなり欲しい!
ブラウン社(西独)製の教育玩具「レクトロン」 ←西独版「電子ブロック」?
マリー・クワント(デザイン)の「デイ・ドレス」 ←とても街着には見えない
リーバイス社(米)製のジーンズ「501」「502」 ←美術館に展示されるかぁ~
バング&オルフセン社(典)製のラジオ「ベオリット400」「ベオリット500」
オリベッティ社(伊)製のタイプライター「バレンタイン」
どれもPOP

常設展(MOMASコレクション)を観たあと(こちらの話はまた後日)、ミュージアム・ショップで、「スウィンギン・ロンドン 50's―60's」展の図録を買ったところ、「先着順のプレゼントです
」と、おまけをいただきました。
右の写真の下の方に写っている、JLMグッズ2品、缶バッジと転写シールです。
どちらにも「NOT FOR SALE」と書かれていて、JLMが今年9月末で閉館
してしまうことを考えれば、かなりうれしいプレゼントです
とまぁ、超暑いながらも、気分良くMOMASを後にしたのでありました。
時間に余裕があれば、このままJLMにハシゴしようかとも思っていたのですが、超暑いし(まちなかの歩行者が少ない…)、散髪
の予約時刻が迫っていたこともあり、JLM訪問は後日に延期しました。
つづきのようなもの:2010/08/21 寂しさはあるけれど…