「2020年最初の関西旅行記 #2-1」のつづきです。
高校野球発祥の地記念公園の見物を終えた私は、豊中駅から大阪梅田行きの各停に乗り、大阪梅田駅へ。
大阪で電車に乗って、すごいなぁ と、いつも思うのは、阪急・大阪梅田駅のプラットホームの壮大さと、御堂筋線のいくつかの駅の天井の高さ
そもそも、私鉄の電車が同じ方向に併走する光景自体、首都圏では見られないんですが、頭端式ホーム、いわゆる櫛形ホームが10面9線もある(日本一らしい)大阪梅田駅のホームに、同時に複数の電車が入線したり発車したりする光景は壮観です
ちなみに世界一多数の頭端式ホームを持つ駅はニューヨークのグランド・セントラル駅だそうで、そのホーム数は、44面67線ですって
私、うん十年前に、ボストンからニューヨークにアムトラックで移動したんですが(写真はボストン南駅かと思われます)、
このとき、グランド・セントラル駅で降りたんじゃないか? と思ったけれど、どうやらペンシルバニア駅に降り立ったみたいです
それはさておき、大阪梅田駅の改札を抜けると、まだ11時を回ったばかりでしたが、新梅田食道街で早めの昼食を摂ったあと、御堂筋線に乗って次なる目的地に向かいました。
この日の朝だったか前夜だったか、NHKのローカルニュースで、大阪地盤の企業が保有する絵画作品を披露する展覧会が開かれているという話題を取り上げていまして、俄然興味を持った私は、その会場である江之子島文化芸術総合センター[enoco]に出かけることにしたのです。
企業って、結構、大家の作品を保有しているものですが、誰でも観られるエントランスやロビーよりも、役員フロアや役員室内に飾ってある作品の方が遙かに多いはずで、それらには、まずお目にかかれません。
私が勤務していた会社では、会長室にはベルナール・ビュフェ、副会長室には荻須高徳の作品が飾られていましたっけ…
社長室には入ったことが1~2回しかなく、観察できませんでした
企業のお宝美術作品を集めた展覧会なんて、そうそう開かれるものじゃありませんので、これ幸いと「enoco」に向かったのです。
その途中、本町駅で御堂筋線から中央線に乗り換えた際、中央線ホームのあまりの幅の広さに驚愕しました。
上の写真は、私が乗ろうとしていたコスモスクエア方面行きホームから反対方向の長田方面行きホームを撮ったもので、この幅、何十mあるのでしょうか
構内図に⇔で示した辺りです。
間違って 逆方向の電車に乗ってしまった人が、本町駅のこの辺りで反対方向の電車に乗り換えようとしたら、急いでいる場合は、ちょっとした短距離走になってしまいます。
そんなケースは滅多にないと思いますが…。
本町駅から一駅で、enoco最寄りの阿波座駅です。
8番出口から地上に出て、ちょっと歩くと、江之子島文化芸術総合センター[enoco]に着きました。
曲面や庇の使い方からして、昭和初期の建築とお見受けしました
後で調べると、1929(昭和4)年に「大阪府工業奨励館」として建てられたものだそうで、私の見たては当たり
内部も「モダニズム」感がそこはかとなく漂っていました。
エレベーターで4階まで上がると、マスコミ各社からのお祝いの花が飾られていて、現役芸術家の個展みたいな感じ。
で、観覧料500円をお支払いして、第2回「なにわの企業が集めた絵画の物語」展を観始めました。
市民や企業が、進んで自分たちの街を良くするのが、八百八橋の昔から、近代の「大大阪」時代を通じて、大阪の誇る精神的伝統です。本展覧会の根底にも、大阪がつちかったフィランソロピー(Philanthoropy)と呼ばれる、博愛主義による社会貢献の精神があります。昨年の第1回展では、こうした大阪本来の精神を引き継ぐ好企画は、毎年つづけて開催して欲しいとの声を多数いただきました。
ということで、去年が第一弾だったんですな。
そして、この展覧会の主催は、関西経済同友会(企業所有美術品展実行委員会)とな
極めて個人的にへぇ~~ です。
それはそうと、展示されていた作品は、どれもこれも素晴らしいものばかり
右の画像は、フライヤーから拝借したものですが、トゥールーズ=ロートレック、藤田嗣治、アルベール・マルケ、マリー・ローランサン、岡本太郎、そして、アンドリュー・ワイエス
まさか、大好きなワイエスの水彩画(こちらの記事をご参照方)まで観られるとは思いもよりませんでした
しかも、この「アフタヌーン・フライト」(所有はコクヨ)は、実物 or 図録を通じて初めて拝見しましたが、実にイイ…
この展覧会で最も「お持ち帰りしたい作品」でした
この他、エドゥアール・マネ「夫人像」(所有は三井住友銀行)は「いかにもマネ」な黒と白が魅惑的でしたし、和田英作「農家の庭先」(所有は住友電工)からは田舎のにおいが漂ってくるようだったし、アルフォンソ・ミュシャ「ムーズ・ビール」(所有はサントリーHD)は大麦のヘッドドレスとホップの耳飾り(ビールのポスターですから)がcuteだったし、、、、でキリがありません
変わり種は、竹中大工道具館(行きました)所蔵の平鉋(碓氷健吾作)と大鉋(石堂秀一作)でしょう。
「道具」を出展する竹中大工道具館の「道具愛」が麗しい…
実際、機能美が素晴らしいですもの
もう一つの「変わり種」は、1984年生まれの若い画家、パスカル・チューマの「少女の教育」(所有はサラヤ)。
「鑑賞ガイド」から引用しますと、
パスカル・チューマ(1984-)は、ケニアのナイロビに生まれ、現在まだ30歳半ばと非常に若い画家である。5歳から絵に興味を示し、美大で絵を学んだ後、ケニアの文化や社会的な課題、人々の暮らしやそれを取り巻く環境といった主題を、画家の精神的な内面とともに描く。(中略) 作品購入にあたっては2016年のTICAD6 (第6回 アフリカ開発会議)への参加が鍵になったという。
だそうです。
ぱっと見、メキシコ辺りの画家の作品かな? と思ったのですが、ケニアの画家の作品でした。
各企業が、「あそこがアレを出展するんやったら、こっちも負けてられへんで」と、競い合ってご自慢の美術作品を出展している感じ(とりわけ三井住友銀行 vs 住友電工) が伝わってきて、実にほほえましい
いやはや、ホントに良い展覧会でした。
会場出口で、求められてアンケートを記入したら、「鑑賞ガイド」と、この展覧会の招待券をいただきました
観覧料を払ったあとで招待券をいただいても、2月15日が会期末のこの展覧会を再訪することはあり得ないしねぇ~
「お知り合いにもご紹介ください」という意味なんだろな、K.I.T…
ところで、関西経済同友会が、こんな素晴らしい展覧会を開催している中、本家筋の経済同友会は何もしないのかな?
経済同友会は会社経営者が個人の資格で参加しているとはいっても、各社のTOPの鶴の一声で、とんでもない美術品がドッサリと集まるんじゃなかろうか?
一応、期待しておきます
つづき:2020/02/01 2020年最初の関西旅行記 #2-3