アメリカ人のアイデンティティが、スーパー・アイデンティティと呼ばれ、一括取引の中で生じるといいます。それは、科学技術の勝利によるものですが、ひとりびとりにとっては、「破壊的」なもののようです。今日は、そのことが話題になります。
アメリカの科学技術の勝利は月にはるばる到達することで頂点に達しました。1人の宇宙飛行士が、自分のゴルフ・クラブを持っていったことによって、古い勝負と新しい勝負を結びつけました。しかし、その勝利は、幾分うぬぼれの強いものになったのは、大統領が人類に向かって「これは『天地創造以来最も偉大な瞬間です』と述べ、「宇宙飛行士諸兄は『神が地球を見る』ように、今地球を見ています」と言ったためです。一方で、新しい科学技術的な「死に方」、つまり、冷徹に大量殺戮を行うことは、すでにヒロシマで頂点に達しました。しかし、この国の人々がなかなか自覚しないのは、ローレンス・アイズリーが「宇宙の破滅的要素」と呼んだものの現代版を始める運命に選ばれて来た、という事実です。アラモゴードやヒロシマにおいて(それに、月の上でも)、この夢は、どうしてか、それ自体理解されません。アラモゴードやヒロシマが明らかにした権力の勝利は、現代の暮らしによって、あまりにも多くの人が、境界線のない青写真の元では、目的も自分自身の声も失ってしまったロボットと貶められている、という感じを補うことはできませんでした。1枚の青写真の調整が行われるのは、計画を理解する知恵によってではなしに、容赦のない変化にずっとあわせつづけることによることが多いのです。この容赦のない変化は、意義深い代替案もなく、また、再儀式化を活気づけるのではなしに、形ばかりの応答だけを良しとするのです。
現代は大量殺戮という悪夢に脅かされているのですが、悪夢はそれだけではないのですね。科学技術の発展は、人々の暮らしを、目的も声も見失ったものにしてしまう、という恐ろしくも、非常に退屈でもある、また1つの悪夢をもたらすのでした。
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