エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

#自分に正直 #人間支援の要諦 #生きている実感を法則にすること

2018-09-30 08:26:15 | トラウマを負う≪本当の自分≫を取り戻す
 
現世考: #政治の季節 #全うな人生の第一歩 
   発達トラウマ障害(DTD)のご相談は,こちらへ。agape☆gmail.com  但し,全て半角にしてから,☆→1430777@に変換してください。当方,年間70~8......
 

 

 ヴァン・デ・コーク教授の  The body keeps the score : brain, mind, body in the healing of trauma 『大切にされなかったら、意識できなくても、身体はその傷を覚えてますよ : 脳と心と身体がトラウマを治療する時どうなるか?』
 第2章。「心と身体を理解する,革命」,p.26,第5パラグラフから。その前もご一緒に。




苦しみを理解すること


 研究病棟で過ごして数年,私は医学校に戻って,新米の医学博士として,マサチューセッツ州立健康センターに戻りました。それは,精神科医として,ワクワクして引き受けたプログラムの訓練を受けるためでした。たくさんの著名な精神科医がここで訓練を受けていきました。その中には,後にノーベル賞の生理学医学賞を受賞した,エリック・カンデルもいました。アラン・ホブソンが夢を生み出す脳細胞を病院の地下室で発見したのも,私がそこで訓練を受けている時でした。鬱の化学的な基盤に関する最初の研究も,マサチューセッツ州立健康センターで行われました。しかし,我々研修医にとっては,最大の関心事は,患者さん達でしたね。私どもは,患者さん達と6時間一緒にいて,その後で,グループで,先輩の精神科医達に観察したことを分かち合って,様々な質問をしたり,1番合点のいく言葉を競い合ったりしました。
 私どものとても大切な先生,エルヴィン・セムラド先生は,1年生のうちは,精神科の教科書を読んではならん! と檄を飛ばしていました(知的に飢えたおかげで,仲間の殆どが,後々,様々な分野の本を読み漁り,多くの研究業績をあげることになりました)。セムラド先生は,精神科の診断名が誤診でも,正しい診断だと信じてしまうことで,事実が見えなくなることがないようにして欲しかったのでした。セムラド先生に質問したことが,ありましたね。「この患者さんは,統合失調でしょうか,それとも,統合失調感情障害でしょうか?」。セムラド先生は,暫く黙ったまま,顎を撫でてから,「たしか,彼のことは,マイケル・マッキンタイヤーと呼んだと思うけど」と応えました。

 セムラド先生が私どもに教えてくださったことは,人間の苦しみは,たいてい,大切にされないことと大切な人をなくすことに関係する,ということと,セラピストの務めは,人が,自分の生きている実感に「気づき,体験し,身に着ける」のをてだすけすることだ,ということでしたね。生きている実感には,様々な喜びも胸が張り裂けるほどの悲しみもつきものでしょ。「私どもの苦しみの源は,私どもが自分につくウソです」。セムラド先生はそのようにおっしゃって,私どもが経験するすべての局面で,自分が生きている実感に忠実であるようにと勧めました。セムラド先生がよくおっしゃった教えは,自分が知っていることを知っていることなしに,自分が実感していることを実感することなしには,良くなりません,ということでしたね。

 


 セムラド先生やヴァン・デ・コーク教授は,「生きている実感を法則にする」という言葉こそ使っていませんが,言っていることは,そういうことでしょ。 

 なぜならば,生きている実感に気づき,体感して,身に着けることこそが,生きている実感を法則にすることに他ならないからです。

 生きている実感を法則にして,腑に落ちて生きることを支援するのが,セラピストはもちろん,およそ,人間を支援するプロフェッショナルの務めです。

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「私が生きている」実感を取り戻す

2018-04-26 19:18:30 | トラウマを負う≪本当の自分≫を取り戻す

 

 

 Paul Frewen , Ruth Lanius (2015) , Healing the Traumatized Self   consciousness, neuroscience, treatmet 『トラウマを負わされた自分に対する囚われから自由になること  意識、脳科学、治療』の翻訳。発達トラウマ障害(DTD)の子どもで、TRASCがあつてもなくても、早期治療するの限ります。

 最終章の第7章、p.283の、第2パラグラフから。

 2年前の翻訳を訂正します。

 

 

 

 

 

 過去に繰り返し味わった怖いことに、安心できるセラピーの場で、向き合うことで初めて、トラウマを負わされた人は、ひとりびとり、「それまでは、話せなかったこと」を話せること出来るようになります(ハーマン,1992)し、トラウマを負わされた時の記憶を、(訳注:無意識に)蘇ってくるものではなく、(訳注:意識的に)思い出すことができる物語に変換することができます。この変容過程が生じる時、私が生きている」実感が蘇ってくるのを体験します。それは、時間、思い、身体、気持ちに相渡つて、一層変わることのない、一層一貫性のある意識が、生じるからです。

 

 

 

 

 

 「私が生きている」実感、それは、それは、実に確かなものですね。

 驚きを伴う感激,ヌミノースを体験します。

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#発達トラウマ障害のセラピー には,#強力な治療同盟が必要だ

2017-06-09 08:10:05 | トラウマを負う≪本当の自分≫を取り戻す

 

 

 

 
遊びの治癒力
  息吹の言葉  神様は風、息吹 ≪いまここ≫に流れる。 肌身に沁みる恵みと悦び、 ≪いまここ≫にあり  見逃す者の愚かしさ ...>続きを読む......
 

 Paul Frewen , Ruth Lanius (2015) , Healing the Traumatized Self   consciousness, neuroscience, treatmet 『トラウマを負わされた自分に対する囚われから自由になること  意識、脳科学、治療』の翻訳。発達トラウマ障害(DTD)=愛着障害の子どもも、自分の物語を自分の≪声≫で、物語ることが、回復には欠かせません

 最終章の第7章、p.283の、第3パラグラフから。

 

 

 

 

 

 トラウマを負わされた人は、新鮮な、以前よりも、周りに上手に合わせた人生を物語る旅を始める時、トラウマを負わされたいろんな経験の結果として生じた、計り知れない喪失に向き合わざるを得ませんね。こういったバカデカイ喪失に直面することは、喪の作業になるのが一般的ですが、トラウマを負わされた人はひとりびとりにとっては、耐え難い恐れである方が普通です。クライアントとセラピストとの間に、強力に信頼し合う治療同盟があれば、この強力な治療同盟こそが、トラウマを負わされたことからくる悩みや悲しみに、クライアントが耐えるのに、一番役立つものです

 

 

 

 

 

 発達トラウマ障害(DTD)の子どもに一番足りないのが、信頼し合う関係,と,その関係がプレゼントしてくれる根源的信頼感です。

 わたくしは,ここを翻訳しておきながら,その重要性になかなか気が付きませんでしたね。いろんなケースを振り返ってみたら,ラニウスさんたちのこの言葉がαληθεια,真実,アレセイア,ホントだなぁ,とつくづく感じましたね。αληθεια,真実は,なかなか気が付かなくて,不意に,向こうからやってくるもの,という意味が中心的な意味でしょう。

 発達トラウマ障害(DTD)の子どものセラピーには,普通のセラピーよりも,強力な治療同盟,強力な信頼関係が,必ず必要です。それは,発達トラウマ障害(DTD)の子供たちが,わたくしに教えてくれたことです。 

 

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ヴァン・デ・コーク教授の #弟子入り

2017-06-01 01:36:45 | トラウマを負う≪本当の自分≫を取り戻す

 

 

 

  発達トラウマ障害(DTD)のご相談は,こちらへ。agape☆gmail.com  但し,全て半角にしてから,☆→1430777@に変換してください。当方,年間70~80ケースの発達トラウマ障害(DTD)セラピーをしてきていて,かなりのケースが善くなっていますよ。あなたも是非位一度連絡してください。料金は収入によっていろいろです。世帯所得によって,ワンセッション500円(家庭保護世帯,母親のひとり親世帯など)~

 
暴力には演劇トラウマ療法もタジタジ
   本物の目印 改訂版  ルターは、深ーい憎しみを抱いたおかげで、文字通り、「天にも昇る悦び」を体験できました。 Young Man Luther 『......
 

 PBSP(Pesso Boyden System Psychomotor) psychomotor theraphy,ペッソ・ボイデン体感療法 https://pbsp.com/,の続きです。

 ヴァン・デ・コーク教授の  The body keeps the score : brain, mind, body in the healing of trauma 虐待されたら、意識できなくても、身体は覚えてますよ : 脳と心と身体がトラウマを治療する時どうなるか?』p.301,第3パラグラフ。

 

 

 

 

 

 私が,アル・ペッソさんに,いま暴かれたことについて話をした時,ペッソさんは頷いて,「あなたの人生の見通しを変えさせてもらえませんか?」と訊かれました。私はまた,疑り深い気持ちがむくむくと蘇ってきましてね。それでも,私はペッソさんのことが好きでしたし,彼のセラピーにも関心がありましたから,不承不承「お願いします」と応えました。それで,ペッソさんは,ご自分の身体を,私と,ソファーやランプとの間に入れてきて,私からソファーとランプが見えないように遮ったんですよ。そしたら,たちまち,身体が心底リラックスしたんですね。胸がキュッと締め付けられた感じも楽になり,呼吸も落ち着いてきたんです。その瞬間,私はペッソさんの生徒になろうと決心しましたね。

 

 

 

 

 

 さすがに,ヴァン・デ・コーク教授は,理性の人なんですね。でも,アル・ペッソさんは,直感の人,体感の人,根源的信頼感の深い人なんです。

 ヴァン・デ・コーク教授,筋道,理論が大事,

 アル・ペッソさんは,実感,体感が大事。

 ヴァン・デ・コーク教授も,ペッソ・ボイデン体感療法の善さを実感・体感して,アル・ペッソさんに弟子入りです。

 

 

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社会的関心が,研究には大事だ

2017-05-12 02:22:50 | トラウマを負う≪本当の自分≫を取り戻す

 

 

 

 
表情がない、怒りが止まらない…
   男と女の性役割の習慣に疑問を持つことから、男女の解放が始まる  性差をどれだけ認めるかで、男も女性も、性役割が変わってきます。 The life ......
 

 発達トラウマ障害(DTD)=愛着障害の子ども。ヴァン・デ・コーク教授の  The body keeps the score : brain, mind, body in the healing of trauma 虐待されたら、意識できなくても、身体は覚えてますよ : 脳と心と身体がトラウマを治療する時どうなるか?』p.179, 第3パラグラフから。

 

 

 

 

 

 ヒステリーに対する関心は,特にフランスで強かったんですね。よくあることですが,それは,当時フランス政治の世界がヒステリーでしたでしょ。ジャン・マルタン・シャルコーは,神経学の父と広く見なされますが,ジョルジュ・ジル・ド・ラ・トゥレットみたいに,その弟子たちは,シャルコーの名前をたくさんの神経病に付けていますが,政治的に活発でしたでしょ。ナポレオン三世が1870年に退いた後,王政主義者(カトリック司祭たちが擁護した旧秩序)と,新生のフランス共和制養護者たち(科学と平信徒の民主主義を信頼していました)との間には,戦いがありました。シャルコーが信じたのは,女性がこの戦いのポイントだということと,自分のヒステリー研究は,「熱狂的な状況,魔術,悪魔祓い,宗教的陶酔みたいな現象を科学的に説明するもの」だ,ということでしたからね。

 

 

 

 

 シャルコーのヒステリー研究が,フランス革命の熱狂,戦いを理解するためのものだったことは,知りませんでしたね。やっぱり,社会的関心が,研究には大事だ,ということでしょう。

 

 

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