エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

「光の子どもの家」の教育方針

2014-09-29 13:00:08 | エリクソンの発達臨床心理

 

 児童養護施設「光の子どもの家」理事長 菅原哲夫さんのインタヴュー、先日このブログでも取り上げましたから、覚えておられる方も多いと思います。先日触れなかったことにも、大事なことがありましたので、そこんとこを取り上げておきたいと思います。

 それはシャワーです。シャワーと言っても、水浴びでもなければ、突然の雨でもありません。保育士さんたちや職員の皆さんが、子どもに投げかけている心の態度のことなんですね。その心の態度と言うのがイカシテル(生かしてる)んですね。「あなたに会えて、良かった」というシャワーだからです。これは言葉になる場合もあるけれども、何気ない眼差しや、ちょっとした立ち居振る舞いになることの方がはるかに多いだろうと想像できますよね。

 ネグレクトも含めた、厳しい虐待を体験した子どもたち、昔は児童養護施設か、教護院の子どもくらいに限られたんですが、いま日本では、ビックリするほどの規模と速さで、一般家庭と呼ばれている、どこにでもある家庭の子どもたちに広がっています。私の臨床的感覚ですと、非常に軽度も含めれば、おおよそ小学生の半分は何らかの虐待を受けて、愛着障害になっているのが、悲しいかな、日本の厳しい現状です。

 ですから、この「光の子どもの家」の実践が、極めて先進的な、愛着障害の子どもに対するケアであると私は感がているんですね。ここの保育士さんたちは、マインドフルネスやEMDRを全く学んだはずはないんですが、それを学んだ人よりも遥かに、愛着障害に最も足りなくて、したがって、最も愛着障害の子どもたちが願ってやまないことを、日々の生活の中で提供しているんてす。その点が、非常に優れています。大学院でPTSDを研究してる人なんかは、その爪の垢でも煎じて飲んで貰いたいくらいですからね。

 「あなたに会えて、良かったなぁ」と言うシャワーですね。それを繰り返し浴びて、骨身に染み込む程浴びる中で、愛着障害の子どもたちは、初めて≪根源的信頼≫を取り戻し、自分が生かされている意味に、初めて気づかされるんです。私どもは、この貴重な実践から、大いに学んでいきたいものですね。

 

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