最初期ピキシーをご紹介します。
ピキシーのプロトタイプで大珍品です。
上三点の画像:マーフィー型ハンドル(1950年以前)の試作品です。
画像:上からマーフィーピキシー、2番目はガーバー社製造の1951年(初年度)ピキシー・同年製造ベークライトハンドルピキシー。
●ブレード材:マーフィー型は帯鋸用工具鋼、ガーバー製造ピキシーはハイス鋼です。
マーフィー型のプロトタイプは論外ですが、ハンドルがベークライト(Bakelite :数あるプラスチックのなかでもっとも歴史の古いもので、1908年ベルギー生まれのアメリカ人、ベークランドが開発したフェノール樹脂の商品名)のピキシーも大珍品です。
1950年勃発した朝鮮戦争でアルミニューム不足のため急遽ハンドルがアルミニウムからベークライトにかえられたものですがすぐに元のアルミに変わります。この合成樹脂製のハンドルは当時のガーバー社のキッチンナイフ・ハンティングナイフの一部に使われますが、一連のハンドルを「ジェットハンドル」と呼んでいます。『ガーバー社が朝鮮戦争協力のためアルミハンドルから合成樹脂のハンドルに換え、アルミニウムがジェット機を作る材料として使われた為そう呼ばれます。』赤字の部分はこれまで私が勝手に憶測して書いていたものです。一人合点とは恐ろしいものです。恥ずかしい。
ジェットハンドルと呼ばれるのは、宝石のジェットに似ているから、ジェットハンドルと呼ばれていたのです。
いつもお世話になっている友人に教えてもらいました。
そのジェットという宝石について
『ジェットは褐炭(かったん)と関連のある化石化した木で、よどんだ水の化学作用により、その結果大きな圧力によって平らになった流木に由来します。ジェットは密度が1.10~1.40 比重が1.30と非常に軽い宝石で水晶類の約半分の重さしかありません。水晶で12mm丸玉ネックレスですとさすがに重く、長時間すると肩が凝ってきますが、ジェットの12mm丸玉ネックレスは、重量感を感じずに長時間使用することができます。また、モールス硬度は2.5~4で、真珠のモールス硬度3.5~4と同じぐらいの柔らかさです。屈折率は1.66でジェットは全体的に暖かい感じを受ける宝石です。
ジェットは「ブラック アーバン」黒い琥珀とも呼ばれていますが、それは琥珀の密度が1.03~1.10 モールス硬度が2~2.5 比重が1.08と非常に似ております。
また、最大の要因は、双方とも擦ると摩擦によりマイナスの静電気を起こる性質があることが「ブラック アーバン」黒い琥珀と呼ばれている由縁です。』
ベークライトピキシーのマークとシース
画像:一番下は1952~53年製造。
1952~53年製造のピキシーは形状が変わってきます。ブレードの幅が広くなります。中期・後期はさらにブレードは広くなります。また、ハンドルは側面の丸みがなく平らになります。このハンドルの側面の形状はこの時期だけで中期・後期は再び丸みをおびるように変わります。
ピキシーはベークライトハンドル以外は全てアルミにブレードを鋳込むという質実剛健のハンドルです。初期の頃は全ての製品にメッキは施されていません。アルミ無垢です。
ブレードは多くの製品にハイス鋼(ハイスピード・ツール・スチール)が使われ始めた1947年から少しの間メッキなしでしたが、ハイス鋼の材質から錆び易いという欠点があるため、1949年から全ての製品にメッキされるようになりました。
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しばしば「ハイス」と呼ばれる高速度鋼(こうそくどこう、high-speed steel)は、工具鋼における高温下での耐軟化性の低さを補い、より高速での金属材料の切削を可能にする工具の材料とするべく開発された鋼である。高速度工具鋼(high-speed tool steel)とも呼ばれる。「ハイス」の呼称は、「ハイスピード・スチール」が縮まったもので、また、HSSと略記される。日本国内では、安来鉄鋼合資会社(現、日立金属安来工場)で1913年(大正2年)に坩堝製鋼により初めて高速度鋼の製造に成功している。これは、フレデリック・テイラー(Frederick Winslow Tayior)による1899年のテイラー・ホワイト鋼(高速度鋼)の創製より14年目のことである。その後、1919年(大正8年)に高速度刃物鋼(特許33675号)としてその存在を示したのである。
高速度鋼は、高温下での硬さや耐軟化性を高めるべく、鋼にクロム、タングステン、モリブデン、バナジウムといった金属成分を多量に添加したもので、焼入れ等の熱処理を施した後、研磨により成形して使用される。超硬合金と比較すると、耐摩耗性において劣るが靭性に富み、より高速切削を可能とした粉末冶金法によるこの合金の普及する以前には、金属材料のあらゆる切削に用いられた。
青文字の文章は フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』から引用しました。
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ハイス鋼を刃に使ったナイフの信奉者の私は古き時代のガーバー社のナイフの虜になっていきます。1950年代の製品全て、キッチンナイフからハンティングナイフまでがハイス鋼のブレードだったのです。なにしろ金属を切断するためにつくられたもの、一般の鋼材よりも高価なものでしたが、よく切れる、へたらない、よくきれる。
ただそれだけ。
いいではないですか。
ピキシーの使用目的ですが、狩猟では小型の鳥、釣りでの小型の鱒類用として、また果物ナイフとして製作されました。大きな体格の人が多いアメリカでこんな小さなナイフが実用的なのだろうかと不思議に思ったりしましたが実際果物ナイフとして使ってみるとなかなかすぐれたナイフであることがわかります。現在のアメリカでもオールドガーバーナイフの中でとても人気があるナイフです。
ピキシーはハンティングナイフの主役マグナムハンター・ビッグハンター・ショウティ・ミニマグナム・フレイヤーなどにカンガルーシースでコンビとして納められもして、よく使われました。これらコンボの製品は人気が高いアイテムです。
ピキシーのプロトタイプで大珍品です。
上三点の画像:マーフィー型ハンドル(1950年以前)の試作品です。
画像:上からマーフィーピキシー、2番目はガーバー社製造の1951年(初年度)ピキシー・同年製造ベークライトハンドルピキシー。
●ブレード材:マーフィー型は帯鋸用工具鋼、ガーバー製造ピキシーはハイス鋼です。
マーフィー型のプロトタイプは論外ですが、ハンドルがベークライト(Bakelite :数あるプラスチックのなかでもっとも歴史の古いもので、1908年ベルギー生まれのアメリカ人、ベークランドが開発したフェノール樹脂の商品名)のピキシーも大珍品です。
1950年勃発した朝鮮戦争でアルミニューム不足のため急遽ハンドルがアルミニウムからベークライトにかえられたものですがすぐに元のアルミに変わります。この合成樹脂製のハンドルは当時のガーバー社のキッチンナイフ・ハンティングナイフの一部に使われますが、一連のハンドルを「ジェットハンドル」と呼んでいます。『ガーバー社が朝鮮戦争協力のためアルミハンドルから合成樹脂のハンドルに換え、アルミニウムがジェット機を作る材料として使われた為そう呼ばれます。』赤字の部分はこれまで私が勝手に憶測して書いていたものです。一人合点とは恐ろしいものです。恥ずかしい。
ジェットハンドルと呼ばれるのは、宝石のジェットに似ているから、ジェットハンドルと呼ばれていたのです。
いつもお世話になっている友人に教えてもらいました。
そのジェットという宝石について
『ジェットは褐炭(かったん)と関連のある化石化した木で、よどんだ水の化学作用により、その結果大きな圧力によって平らになった流木に由来します。ジェットは密度が1.10~1.40 比重が1.30と非常に軽い宝石で水晶類の約半分の重さしかありません。水晶で12mm丸玉ネックレスですとさすがに重く、長時間すると肩が凝ってきますが、ジェットの12mm丸玉ネックレスは、重量感を感じずに長時間使用することができます。また、モールス硬度は2.5~4で、真珠のモールス硬度3.5~4と同じぐらいの柔らかさです。屈折率は1.66でジェットは全体的に暖かい感じを受ける宝石です。
ジェットは「ブラック アーバン」黒い琥珀とも呼ばれていますが、それは琥珀の密度が1.03~1.10 モールス硬度が2~2.5 比重が1.08と非常に似ております。
また、最大の要因は、双方とも擦ると摩擦によりマイナスの静電気を起こる性質があることが「ブラック アーバン」黒い琥珀と呼ばれている由縁です。』
ベークライトピキシーのマークとシース
画像:一番下は1952~53年製造。
1952~53年製造のピキシーは形状が変わってきます。ブレードの幅が広くなります。中期・後期はさらにブレードは広くなります。また、ハンドルは側面の丸みがなく平らになります。このハンドルの側面の形状はこの時期だけで中期・後期は再び丸みをおびるように変わります。
ピキシーはベークライトハンドル以外は全てアルミにブレードを鋳込むという質実剛健のハンドルです。初期の頃は全ての製品にメッキは施されていません。アルミ無垢です。
ブレードは多くの製品にハイス鋼(ハイスピード・ツール・スチール)が使われ始めた1947年から少しの間メッキなしでしたが、ハイス鋼の材質から錆び易いという欠点があるため、1949年から全ての製品にメッキされるようになりました。
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しばしば「ハイス」と呼ばれる高速度鋼(こうそくどこう、high-speed steel)は、工具鋼における高温下での耐軟化性の低さを補い、より高速での金属材料の切削を可能にする工具の材料とするべく開発された鋼である。高速度工具鋼(high-speed tool steel)とも呼ばれる。「ハイス」の呼称は、「ハイスピード・スチール」が縮まったもので、また、HSSと略記される。日本国内では、安来鉄鋼合資会社(現、日立金属安来工場)で1913年(大正2年)に坩堝製鋼により初めて高速度鋼の製造に成功している。これは、フレデリック・テイラー(Frederick Winslow Tayior)による1899年のテイラー・ホワイト鋼(高速度鋼)の創製より14年目のことである。その後、1919年(大正8年)に高速度刃物鋼(特許33675号)としてその存在を示したのである。
高速度鋼は、高温下での硬さや耐軟化性を高めるべく、鋼にクロム、タングステン、モリブデン、バナジウムといった金属成分を多量に添加したもので、焼入れ等の熱処理を施した後、研磨により成形して使用される。超硬合金と比較すると、耐摩耗性において劣るが靭性に富み、より高速切削を可能とした粉末冶金法によるこの合金の普及する以前には、金属材料のあらゆる切削に用いられた。
青文字の文章は フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』から引用しました。
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ハイス鋼を刃に使ったナイフの信奉者の私は古き時代のガーバー社のナイフの虜になっていきます。1950年代の製品全て、キッチンナイフからハンティングナイフまでがハイス鋼のブレードだったのです。なにしろ金属を切断するためにつくられたもの、一般の鋼材よりも高価なものでしたが、よく切れる、へたらない、よくきれる。
ただそれだけ。
いいではないですか。
ピキシーの使用目的ですが、狩猟では小型の鳥、釣りでの小型の鱒類用として、また果物ナイフとして製作されました。大きな体格の人が多いアメリカでこんな小さなナイフが実用的なのだろうかと不思議に思ったりしましたが実際果物ナイフとして使ってみるとなかなかすぐれたナイフであることがわかります。現在のアメリカでもオールドガーバーナイフの中でとても人気があるナイフです。
ピキシーはハンティングナイフの主役マグナムハンター・ビッグハンター・ショウティ・ミニマグナム・フレイヤーなどにカンガルーシースでコンビとして納められもして、よく使われました。これらコンボの製品は人気が高いアイテムです。