福島章恭 合唱指揮とレコード蒐集に生きるⅢ

合唱指揮者、音楽評論家である福島章恭が、レコード、CD、オーディオ、合唱指揮活動から世間話まで、気ままに綴ります。

インバル&大阪フィル初日

2016-09-27 22:33:57 | コンサート


大阪フィル第502回定期演奏会初日。
終演とともに会場の沸き返る凄まじい名演となりました。やはり、大フィルの音はデカくなければ!

マーラーはスケールが巨大なだけでなく、破天荒のエネルギーと人間の多様な情感を秘めた超名演。感傷とは無縁でありながら、これほど儚く、美しい愛に溢れたアダージェットは稀でありましょう。

前半のモーツァルトも、古典的な様式美が、内的なエネルギーによって輝くというひとつの理想が具現されていました。

早速、オーケストラ・マネージャーが楽屋を訪ね、「次はいつ(大阪フィルに)いらして頂けますか?」と問うと、すかさず横から奥様が「明日!」との茶目っ気溢れるお返事。

そう、2日目の明日、大阪フィルは、さらに完成度の高いパフォーマンスを披露してくれるでしょう。

渾身の指揮を終え、しばらくソファーに身体を横たえておられたマエストロですが、楽屋口にお客様が並んでると聞くと、すっくと立ち上がられ、エレベーターにて階下に降りられました。相当なお疲れの中にあって、ファンを大事にされる姿勢にも感銘を受けた次第。

次の機会に大阪フィル合唱団と共演できることを切に祈ります。






ああ大阪の人間になってゆく・・

2016-09-27 13:05:23 | 日記


およそ半世紀ぶりに散髪に行く。

幼少期に大阪在住だったため、家庭では「散髪」と呼ぶのが普通であったが、横浜への移住後は周りの友だちに合わせて、「床屋」と言うようになった。なんだか少し大人になったような気がしたものだ。ただ、父親は未だに「散髪」という。これ、鹿児島弁ではないと思うのだが・・。

その後、桐朋学園在学中に仙川の美容院に通い始めてからは美容院ばかり、男性専科の床屋を含めても30余年ぶりである。

散髪と床屋。
呼び方が違うだけで中身は一緒ではないか? との声も聞こえてきそうだが、昨日行ったのは、断じて、床屋ではなく大阪ならではの散髪屋だ。

驚くべきは、合理的な分業制である。
1.受付の会計係、2.座席まで案内する人、3.椅子を整えて前掛けをかける人、4.髪の毛を切る人(当店のマスター)、5.洗髪とひげ剃りの担当者、6.最後にブローしながら髪型を整える人、店に入ってから出るまでに、6人もの人が代わる代わるボクの身体を通り抜けていったことになる(笑)。こういうシステムのお店が関東に存在するのかどうかは知らないが、カルチャーショックではあった。

日頃、馴染みの美容院では、担当者と世間話をしたり、家族の近況を話したり、人と人との触れ合いを楽しんだりするが、ここの散髪は非情なまでに人間性を切り捨てている。例えばブローと仕上げ担当の方は、朝から晩まで、人の頭とドライヤーにしか触れていないワケで、これでは人情の芽生える暇もない。甚だ合理的ではあるが、ボクにはできないお仕事だな、と思った。

しかし、不意の空き時に予約なしで飛び込むことができ、30分未満で全てが終わるというのは、わたしのような移動の多い人間には大いに助かる存在ではある。今後も利用する機会はありそうだ。

宿に戻り、鏡をみる。
心なしか東京とは違うテイストの髪型となったような・・。最近、地元のエスカレーターでも無意識に右側に立ってはハッと我に返ることもあるように、また少し大阪の人間になり近づきつつあることを感じ、慄然としてしまった。