【ワシントン共同】ラッセル米国務次官補は5日、下院外交委員会アジア・太平洋小委員会の公聴会で、沖縄県・尖閣諸島周辺で「中国海洋当局による危険な行動がかつてなく増えている」と批判、先月下旬に訪中したバーンズ副長官が中国側との会談で懸念を伝えたことを明らかにした。書面証言の中で言及した。
中国海警局の船が尖閣周辺の領海に侵入を繰り返していることを受け、中国に対し、自制を強く求めた。
中国が尖閣上空を含む東シナ海上空に設定した防空識別圏についても「挑発的行動であり、米国は認めない」と重ねて強調した。
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【ワシントン白戸圭一】ラッセル米国務次官補(東アジア・太平洋担当)は5日の米下院外交委員会公聴会で、中国による東シナ海、南シナ海での海洋進出や防空識別圏の設定が「地域の緊張を高めている」と述べ、西太平洋の空と海で勢力拡大を図る中国を批判した。南シナ海での領有権拡大に関する中国政府の主張についても「国際法に矛盾している」と明言した。
領有権争いで一方に肩入れすることを避けてきたオバマ政権が、中国の領有権に関する主張を否定するのは異例。ラッセル氏は4日の記者会見でも中国の対外政策を強く批判する一方、アジアの安全保障に果たす日本の役割を評価した。4月のオバマ大統領の訪日に向け、米国の「同盟重視」と「対中けん制」が鮮明になった。
ラッセル氏は公聴会で、中国による防空識別圏設定を「挑発的行動であり、悪い方向に向けた深刻な一歩だ」と批判。「尖閣諸島は日本の施政下にある。一方的な現状変更の試みは緊張を高めるもので、国際法の下での領有権に関する主張を強化するものではない」と述べ、中国の防空識別圏設定を認めない方針を強調した。
また、中国による南シナ海のスカボロー礁(中国名・黄岩島)の実効支配を念頭に「一方の主張に肩入れはしないが、南シナ海において、地形に基づかずに領有権を主張することには根本的な欠陥がある」と述べ、中国の主張を「国際法違反」とするフィリピンの立場を支持した。
その上でラッセル氏は、(1)中国による南シナ海での外国漁船の操業規制(2)中国当局船の尖閣諸島周辺の航行(3)防空識別圏の設定--などを列挙し、「これらの行為は地域の緊張を高め、南シナ海、東シナ海の双方における中国の目的に懸念を抱かせる」と中国政府をけん制した。
オバマ政権は挑発的行為の自制を中国に求める一方、安倍晋三首相の靖国神社参拝に「失望」を表明し、日中関係の改善を促してきた。だが、中国政府による日本批判の世界的なキャンペーンが続く中、中国の狙いを「日米同盟にくさびを打ち込むこと」と捉えて警戒感を強め、4月の大統領訪日を前に「同盟重視」と「対中けん制」を鮮明にした可能性がある。
中国海警局の船が尖閣周辺の領海に侵入を繰り返していることを受け、中国に対し、自制を強く求めた。
中国が尖閣上空を含む東シナ海上空に設定した防空識別圏についても「挑発的行動であり、米国は認めない」と重ねて強調した。
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【ワシントン白戸圭一】ラッセル米国務次官補(東アジア・太平洋担当)は5日の米下院外交委員会公聴会で、中国による東シナ海、南シナ海での海洋進出や防空識別圏の設定が「地域の緊張を高めている」と述べ、西太平洋の空と海で勢力拡大を図る中国を批判した。南シナ海での領有権拡大に関する中国政府の主張についても「国際法に矛盾している」と明言した。
領有権争いで一方に肩入れすることを避けてきたオバマ政権が、中国の領有権に関する主張を否定するのは異例。ラッセル氏は4日の記者会見でも中国の対外政策を強く批判する一方、アジアの安全保障に果たす日本の役割を評価した。4月のオバマ大統領の訪日に向け、米国の「同盟重視」と「対中けん制」が鮮明になった。
ラッセル氏は公聴会で、中国による防空識別圏設定を「挑発的行動であり、悪い方向に向けた深刻な一歩だ」と批判。「尖閣諸島は日本の施政下にある。一方的な現状変更の試みは緊張を高めるもので、国際法の下での領有権に関する主張を強化するものではない」と述べ、中国の防空識別圏設定を認めない方針を強調した。
また、中国による南シナ海のスカボロー礁(中国名・黄岩島)の実効支配を念頭に「一方の主張に肩入れはしないが、南シナ海において、地形に基づかずに領有権を主張することには根本的な欠陥がある」と述べ、中国の主張を「国際法違反」とするフィリピンの立場を支持した。
その上でラッセル氏は、(1)中国による南シナ海での外国漁船の操業規制(2)中国当局船の尖閣諸島周辺の航行(3)防空識別圏の設定--などを列挙し、「これらの行為は地域の緊張を高め、南シナ海、東シナ海の双方における中国の目的に懸念を抱かせる」と中国政府をけん制した。
オバマ政権は挑発的行為の自制を中国に求める一方、安倍晋三首相の靖国神社参拝に「失望」を表明し、日中関係の改善を促してきた。だが、中国政府による日本批判の世界的なキャンペーンが続く中、中国の狙いを「日米同盟にくさびを打ち込むこと」と捉えて警戒感を強め、4月の大統領訪日を前に「同盟重視」と「対中けん制」を鮮明にした可能性がある。