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【 コラム 】 予約のとれない温泉宿-2

   
【写真/左上から】 手白澤温泉(栃木) / 川原湯温泉「新源泉足湯」の温泉たまご(群馬) / 五浦のひもの(茨城) / フェンネル

<「予約のとれない温泉宿」の条件>

とりあえず10発あげてみました。(料金面はのぞく)

1.温泉地の資質
自然あふれる山奥の一軒宿。温泉地の場合は温泉地全体に歴史に裏打ちされた風情があること。泉源地や共同浴場、自社仏閣、おいしい蕎麦屋などが適度に分散し、そぞろ歩きができるとベスト。しっかりと車歩分離がされていて、ゆったり歩けることも大きなポイント。「湯巡り手形」は近年のトレンド。

2.こぢんまり・お隠(こも)り宿
一晩1組という極端な宿もあるが、なんとなく息が詰まりそう(笑)
5室以下だと時季によっては1組のみ(これってけっこう淋しい ^^; )になるので、6~9室程度がベストか。このくらいだと浴場独占で入れる可能性も高い。「お隠(こも)り宿」は最近のトレンド。ただし、●ゃ■んあたりで特集されると一気にトレンディスポット化、ぜんぜん”お隠り”じゃなくなる(笑)

3.選ばせる
HPで部屋の情報を公開しお客に選ばせる。食事のメニューを選ばせる。浴衣のデザインを選ばせる。枕の硬さを選ばせる、チェックアウトの時間を選ばせる。とにかくできるかぎりお客に選択権をもたせる。
これは宿にとっては手間が増えることだけど、お客は”選ぶ”ということ自体を楽しみ、たとえ結果が気に入らなくても大きな不満は抱かない(と、思う・・・(笑) 一種の自己責任感か?)。

4.和情緒
南欧風やエスニック、アーリーアメリカンなどはマンションでもインテリアやベランダガーデニングなどで演出することができるけれど、本格的な”和空間”を創ろうとするとものすごい金と技量と手間がかかる。自宅では味わえない”上質な和”はそれだけに貴重。快適な環境のなかで”和のエッセンス”を味わえる和モダンの人気が高いのもうなづける。

5.風趣・風合い・鄙び
時代を経るにしたがってますます価値を増していくものがある。それらは素材の良さや手入れの良さが前提。両方備えると格調高い”風趣・風合い”となり、製作者の技量が高いと文化財の域に達する。素材はさほどでなくても手入れがいいと”鄙び”になる(と思う)。素材も手入れも悪いとB級感や煤け感が出て、一般人からは忌避されることになる。

6.露天・貸切露天・部屋付露天
あいかわらずの人気アイテム。とくに貸切・部屋付は若いカップルにはキラーアイテムとなっている。湯量が少ないのに無理につくることも多いが、個人的には大浴場の湯づかいを犠牲にするくらいなら、貸切・部屋付は真湯でもいいと思うけどね。湯宿は大浴場(内湯)のお湯のよさが基本だと思う。

7.100%源泉かけ流し
最近の際だったトレンド。とにかくかけ流しで循環は絶対NGという客が多いらしい。「100%源泉かけ流し」と「ゆったり広め露天」「貸切露天」を同時に求められたりするので、宿側にしてみればたまったものではない(^^)。ちょろちょろ100%かけ流しより、湯口源泉投入の半循環のほうが、よっぽどお湯がいいことはいくらもあるけどね。泉質や自家源泉にまでこだわる客はまだ少ないと思う。

8.地もの旬もの食材
いまや都会でも産直食材がふんだんに入手できる時代。お客には「わざわざ遠くまで来て金払って輸入食材や冷凍ものを食べさせられるなんて論外」という意識が高い。地旬もの(=この時季にここでしか味わえないもの)、出会いもの(=旬のものを組み合わせた創作料理)はメニューの目玉に・・・。鍋系の重たい郷土料理より、鮮度の高い地もの食材をあまりいじらずに提供するほうが都会人の嗜好にはあっているような気がする。稀少な地酒が日本酒度別に数銘柄用意されているとうれしい。

9.部屋出し
なぜかみょ~にこだわる客がいる。酒や鍋の臭いが部屋に残ったりするので、個人的には雰囲気のある食事処が別にあるほうが好き。朝食部屋出しなど、せわしくてたまらない。

10.ポリシー
老舗の重み、お湯の良さ、料理へのこだわり、自然との共生 etc...、とにかくお宿がプライドをもてるなにかをもっていること。それが本物であり、お客に感銘を与えるレベルにあること。感銘はファンを生み、さらに口コミで固定客の厚みを広げていく。

(つづく(かも?))
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【 コラム 】 予約のとれない温泉宿-1

   
【写真/左上から】 湯宿温泉「湯本館」(群馬) / 芦ノ湯温泉「きのくにや」(神奈川) / 田沢温泉「ますや」(長野) / 高峰温泉(長野)

このところ、温泉宿の休廃業があいついでいます。これは原油価格の高騰もあると思いますが、底流には客のニーズがシビアになり、人気宿とそうでない宿の格差が広がっていることがあると思います。
そこで、今回は人気宿=「予約のとれない温泉宿」の条件について考えてみました。
なお、これもまったくの個人的主観によるものなので、違ってたらご免なさい。(と、またまた先に謝っておく(笑))
また、暇にまかせて一気に書き上げたので、さらに思いついたら、追加でカキコします。

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<「予約のとれない温泉宿」の類型>

1.山奥の秘湯宿
衰えをみせない秘湯人気。ほうっておいてもマスコミが取りあげてくれる。「ランプの宿」「歩いてしか行けない」「乳白色にごり湯」などの付加価値(?)がつけばベスト。これに「和モダン系」が加わると、松田教授の提唱される「新・秘湯の宿」に昇格(?)し、さらにパワーアップ。こういう宿は最近ではおばさまグループに占拠されることが多い。
とにかく最奥に位置することが条件で、手前の宿とは混み方がぜんぜん違う。(でも、お湯的には空いている手前の宿のほうがぜんぜん良かったりする ^^ )。

2.和モダン系の宿
”和”の心地よい部分と最新設備による機能性を兼ね備えた宿モデル。浴衣のデザインにこだわったり、和系くずし文字のロゴをつかうなど、トータルなプロデュースが必要。”和モダン”は、近年都心の飲食店でも主流となっている。やや粗製濫造気味だが、今後の温泉宿の大きな方向性だと思う。

3.癒し系・ロハス系宿
スローライフ、フローフードの流れにのった新潮流。「和モダン系」とラップする部分も多いが、これに南プロバンスやエスニック系の味つけが加わるケースが多い。宿側が自然や環境に対するしっかりとしたポリシーをもっていることが重要。お宿がトレッキングや野鳥観察ツアーを主催することも多い。BGMはヒーリング系かジャズかボサノバ(か自然の音)、食事は無(減)農薬の地のものをつかったカロリー控えめキュイジーヌ系。無農薬の自家農園栽培のハーブやリーフ野菜、自家窯焼きのパンやクッキー、自家製ジャムやフルーツソースが差別化の武器に・・・。大人週末系やロハス系雑誌で紹介されると一気にブレーク。

4.和風老舗系宿
”老舗”と謳うからには少なくとも江戸期以前創業の歴史の重みは欲しい。築100年級の日本建築の粋を凝らした建物が残っていること。本館は老舗系、新館は和モダン系の二元戦略をもっていると最強。温泉地自体の重厚な歴史や温泉地内での格式(大湯元、本陣宿など)も必須。

5.古民家郷愁系宿
「どこか懐かしい日本の田舎」がコンセプト? 囲炉裏や黒光りする廊下、自然木の太柱、庭先で餌をつつくニワトリなどが見せ場に。”郷愁”といっても所帯臭さが出ると一気にポイントダウンするので、要注意か?

6.名湯一本勝負の宿
とにかくお湯のよさと浴室の雰囲気で勝負する宿。少なくとも自家源泉があること。足下湧出泉があればベスト。温泉マニアの口コミで広がることが多く、湯治系ないしは鄙び系の風情をもっていればいうことなし。
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