関東周辺の温泉入湯レポや御朱印情報をご紹介しています。対象エリアは、関東、甲信越、東海、南東北。
関東温泉紀行 / 関東御朱印紀行
■ 草津温泉 (わたの湯) 「草津白根マウンテンビューロッジ」
草津温泉 (わたの湯)「草津白根マウンテンビューロッジ」
住 所 :群馬県吾妻群草津町草津464-887
電 話 : 0279-88-8893
時 間 :要事前確認、冬季クローズ
料 金 :500円
■ オフィシャルHP
■ 紹介ページ (BIGLOBE温泉)
■ 紹介ページ (楽天トラベル)
■ 紹介ページ (じゃらんnet)
※ 営業状況・時間・料金・TELなどは、原則としてUP日時点の最新データに直してありますが、掲載内容を保証するものではありません。ご利用の際は必ず事前に各施設にご確認ください。
●使用画像は、年号記載ないものは2015年撮影です。
草津の数ある源泉のなかでも、とくにイオウ気がつよくて湯の花が多く、湯ざわりがやわらかいといわれる「わたの湯」源泉。
この源泉は、共同浴場で使われておらず、引湯しているお宿も少ないのでなかなか入れる機会がありません。
温泉好きのあいだでは「わたの湯」使用の宿として、「ペンションはぎわら」が知られています。また、草津ホテル別館でも使用され、ずばり「綿の湯」とネーミングされています。
スパリゾート「テルメテルメ」(中沢ヴィレッジ)の”時間湯”でも使用され、以前レポした「ルーバン山田」でも「万代鉱」との混合ながら「わたの湯」使用。
また、2010年7月にオープンした人気宿「季の庭/木の葉」でもこの源泉を使用しています。
このうち、日帰りで入浴できるのは「テルメテルメ」(時間湯)ですが、これは時間限定、草津ホテル別館「綿の湯」も日帰りできた時期があったようですが、2015年春時点の電話確認では現在日帰り対応はしていないとのこと。「ルーバン山田」は日帰り要問合せでタイミングがむずかしいのと、「季の庭/木の葉」では値段の張る予約制の日帰りプランのみとなっています。
このように日帰り難易度の高い「わたの湯」ですが、思わぬところに日帰り受入れをしているお宿があります。
草津中心街の南側の高台にある草津白根別荘地内の「草津白根マウンテンビューロッジ」です。
ここは2007年11月に宿泊していますが、うかつにもメモを紛失したため未レポのままでした。今回日帰りで入湯したのでまとめてレポします。
【写真 上(左)】 源泉閣
【写真 下(右)】 わたの湯の泉源
<わたの湯について>
わたの湯の泉源は湯畑の山側にある飲食処、「源泉閣 桔梗亭」にあって、草津温泉配湯㈱により配湯されています。
草津温泉配湯㈱の公式Webには、「源泉閣 桔梗亭」の他、「草津白根マウンテンビューロッジ」も掲載され、当社直営ないし関連施設の可能性があります。
また、草津白根別荘地も紹介され、ここにも「わたの湯」が引湯されています。
【写真 上(左)】 湯畑から。左から、わたの湯(源泉閣)、白旗源泉、御座の湯、白旗の湯、熱の湯
【写真 下(右)】 源泉閣、白旗源泉、御座の湯
当Webには「わたの湯」について丁寧な説明がありますので一部引用します。
「湯畑の目の前、『源泉閣』の地下から自噴する源泉です。湯の花が付き、硫黄泉で強酸性にもかかわらず、肌には優しく、ソフトでまるで真綿に包まれている様に湯心地まろやかということから『わたの湯』と名付けられています。」
また、孫引きですが、「草津温泉誌」には、「『わたの湯』は湯質が知らかであったので、よはき人、ひへしょうの人、心ながく入ば、げんきをます也、子なき女はくわいたひするなりといわれた。」「湯が和かいので、はじめて草津の湯に入りにきた人には宿ですすめたり、『熱の湯』などのように荒い湯に入った後でゆっくり入ったりした。」などの記載があるようで、古より、「やさしい湯質の源泉」として定評があったようです。
草津町資料(PDF)によると、江戸期に「草津五湯」と称されたのは「御座の湯」「瀧の湯」「鷲の湯」「綿の湯」「かっけの湯」で、「綿の湯」もしっかりとその座を占めています。
同資料によると「明和2(1765)年3月に普請、天明2(1782)年に浴槽を新たに造る(よろづのかきかた)温泉誌①p704 上州草津真景図(明治42年版1909)には記載 大正3年版には記載なし。「大正のはじめ頃に取り除かれてしまった」『草津温泉誌①』p704」とあります。
文化14(1817)年の「温泉角力・上州草津温泉図」、安政6(1859)年の「上州草津温泉之全図」(歌川芳虎 山田屋庄次郎板)ともに、湯畑の南東角に「わたの湯/ワタノゆ」その西側に並んで「かつけ湯/カツケのゆ」、その西に「ねツの湯/子ツノゆ」、光泉寺(薬師堂)参道(温泉宮/現在の湯善堂?)脇に「御ざの湯/ゴザノゆ」の文字が確認できます。
江戸後期刊の「上州草津温泉の図」でもほぼ同じ位置関係です。
【写真 上(左)】 奥が源泉閣、手前が白旗源泉
【写真 下(右)】 光泉寺参道
「草津温泉誌 : 一名・入湯手引草(明治21年8月刊)」(国立国会図書館「近代デジタルライブラリー」)によると、「草津温泉場浴室(ユツボ)名称」として、以下の記載があります。
<西町> 「御蓙ノ湯」、「熱ノ湯」、「脚気ノ湯」、「眼ノ湯」
<東町> 「綿ノ湯」、「松ノ湯」、「瀧ノ湯」、「和志ノ湯」、「富ノ湯」、「煮川ノ湯」
<泉水> 「凪ノ湯」、「琴平ノ湯」
<地蔵> 「地蔵ノ湯」、「眼ノ湯」
<新田> 「玉ノ湯」
<湯ノ澤> 「新御座ノ湯」「籬ノ湯」
現在の「わたの湯泉源」(源泉閣敷地内)からすると、江戸期の図絵では「御ざの湯/ゴザノゆ」の位置の方が近いような気もしますが、いずれにしても、江戸後期~明治期にかけて、湯畑の南東側に「わたの湯」の浴舎があったことが裏付けられます。
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【写真 上(左)】 対面に「季の庭/木の葉」
【写真 下(右)】 外観 (2007)
前置きが長くなりました。
「草津白根マウンテンビューロッジ」は草津中心街の南側の高台にある、草津白根別荘地内にあります。
以前は外来者は通ることも希だったと思われるこの温泉別荘地に、2010年7月㈱共立メンテナンスがコンセプト湯宿「季の庭/木の葉」をオープンさせ、あたりの雰囲気が変わっています。
(「季の庭/木の葉」は当館の北側の高台にそびえ立つようにしてあります。(「木の葉」には宿泊していて、別途レポします。))
【写真 上(左)】 夏場の外観
【写真 下(右)】 サイン
2007年に泊まったときは白い外壁のやや無機質な建物(足場が組まれて外装工事中?)でしたが、2015年日帰り再訪時はアースカラーのウッディな外観に変貌を遂げています。
ちなみにここは冬季クローズのようです。
【写真 上(左)】 エントランス&ロビー
【写真 下(右)】 浴場入口
玄関先ロビーの右手がフロント。
廊下の奥、突き当たりが左手が女湯、手前右手が男湯だったかと思います。
浴場は男湯の方が広めです。
【写真 上(左)】 脱衣所
【写真 下(右)】 男湯 (2007)
ゆったりとした脱衣所に木製の脱衣棚。
2015年再訪時の壁面掲示には「草津湯畑源泉」(分析書は「わたの湯」)とあり、念のためフロントで確認したところ「わたの湯使用」とのことでした。
【写真 上(左)】 男湯
【写真 下(右)】 女湯 (2007)
林に囲まれた雰囲気のいい浴室に、伊豆石造りの大ぶりな扇形浴槽ひとつとシンプル。
内床も豪勢な伊豆石仕上げで、これは源泉の酸や硫黄に対抗するためのものだと思います。
天井高く、窓もあけられるのでこもりなく快適。
カラン2、シャワー・シャンプー・ドライヤーあり。
平日12時で独占。
【写真 上(左)】 カラン
【写真 下(右)】 硫化したカラン (2007)
2007年は硫化して黒くなっていた混合カランが、2015年には真新しくなっていました。でも、いずれは硫化してふたたび真っ黒になってしまうのでしょう。
2007年は湯の花に彩られた伊豆石の湯口からの投入、2015年は湯口から伸びたパイプからの底面注入。
供給湯量は2007年の方が多い感じがしました。
わたの湯を大量に使用しているとみられる「季の庭/木の葉」のオープンは2010年なので、この影響で配湯量が減ったのかもしれません。
それでも充分なオーバーフローがあり、お湯の鮮度感はかなりのものがあります。
【写真 上(左)】 湯口 (2007)
【写真 下(右)】 湯口
お湯については2015年再訪時のみのレポとします。
適温~ややぬるのお湯は、うすく緑白色に濁ってクリーム色の湯の花がただよいます。
酸性泉らしい甘味混じりのレモネード味に、山のイオウ泉特有のラムネ臭+こげイオウ臭。
イオウ気は白旗ほどではないですが、草津の源泉のなかでは強い方だと思います。
山のクリアーな硫黄泉のイメージがあり、草津のなかでは奥日光や奥鬼怒に近いイメージがあるお湯かもしれません。
【写真 上(左)】 女湯の湯口 (2007)
【写真 下(右)】 潤沢なオーバーフロー
草津のお湯にしては当たりがやわらかく、酸性泉の肌が溶けるようなぬるぬる感よりも硫黄泉系のスルスルとした湯ざわりが卓越しているようなイメージがあります。
草津のお湯は、「万代鉱」にかぎらず多少なりとも追い立てられるような感じがありますが、ここのお湯はゆったり身を委ねられるような安心感があります。
なにより、鮮度感があるので入っていてきもちがいいです。
(最近、草津のお湯は源泉ごとの個性がうすくなったという声を時折きくことがありますが、このお湯ははっきりとした個性があると思います。)
【写真 上(左)】 綺麗な湯色 (2007)
【写真 下(右)】 クリーム色の湯の花 (2007)
上記のとおり日帰り難易度の高い「わたの湯」に手軽な料金で入れるこのお宿は貴重。
Pも広めだし、シャワーの出もいいので、共同湯巡りの〆に据えるのも面白いかもしれません。
〔 源泉名:草津温泉 わたの湯 〕 <H16.11.26分析>
酸性・含硫黄-Al-硫酸塩・塩化物温泉(硫化水素型) 51.1℃、pH=2.1、湧出量:測定せず(自然湧出)、成分総計=1.67g/kg
Na^+=58.2mg/kg (10.47mval%)、Mg^2+=34.6 (11.78)、Ca^2+=75.1 (15.49)、Fe^2+=17.2、Al^3+=44.7 (44.7)、H^+=8.85 (36.28)
F^-=10.4、Cl^-=371 (41.20)、SO_4^2-=602 (49.32)、HSO_4^-=181
陽イオン計=265 (24.2mval)、陰イオン計=1164 (25.4mval)、メタけい酸=221、メタほう酸=9.2、硫酸=4.1、硫化水素=7.3
<温泉利用掲示>
加水:なし 加温:あり(厳冬期など) 循環:なし 塩素系薬剤使用:記載なし
〔 脱衣所掲示 〕
当館の温泉は湯畑に源泉があり、ポンプアップにより、当浴場へ引湯しております。
厳冬期など温泉の温度を一定に保つ為、蒸気ボイラーにより加温を行う場合があります。又、加水、循環は行っておりません。
<硫化水素(H_2S)の含有量(単位mg/kg)>
わたの湯(H3)13.6、煮川(H25)10、白旗(H25)7.7、わたの湯(H16)7.3、湯畑(H25)7.1/、地蔵(H25)6.9、西ノ河原(H25)0.6、万代鉱(H25) 0.0
※ 埼北温泉愛好会 資料室よりデータを引用させていただきました。
H16分析では減っているものの、草津でも屈指の硫化水素含有量の多い源泉といえそうです。
〔 2015/06/12UP (2007/11・2015/06入湯) 〕
E138.36.33.885N36.36.58.658
【 BGM 】
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