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■ 岩間温泉 「岩間温泉旅館」

 

岩間温泉 「岩間温泉旅館」
住 所 :山梨県甲州市塩山上萩原1411 (旧 塩山市)
電 話 :0553-32-2705
時 間 :10:00~19:00(要事前確認)
料 金 :500円
紹介ページ (山梨の温泉宿(求人ジャーナル社))
紹介ページ (富士の国やまなし観光ネット)
※ 営業状況・時間・料金・TELなどは、原則としてUP日時点の最新データに直してありますが、掲載内容を保証するものではありません。ご利用の際は必ず事前に各施設にご確認ください。

延喜式内社である岩間明神、通称神部神社(湯山明神とも)の境内から湧き出づる霊泉をつかう湯宿。
(延喜式内社とは平安期、延長五年(927)に編纂された全国の神社一覧、『延喜式神名帳』に記載されたお社のことで、相当の格式をもちます。)

山梨の温泉宿(求人ジャーナル社)によると「岩間明神、通称神部神社の境内を泉源とし、古代より絶えることなく湧出している。この霊泉を明治41年、旧神金村の依頼により同館の館主の曾祖父、徳良佐治郎が同年、岩間鉱泉として創業し、祖父の代に岩間温泉と改め、現在に至っている。」とあるので、古くから鉱泉宿として営業していたようです。

 
【写真 上(左)】 サイン
【写真 下(右)】 バス

ここは前に二度ほどトライしましたが、いずれも人気がなかったので営業しているかどうか?でしたが、三度目で入湯成功。
鉱泉なので入れるタイミングが限られるようです。
ただ、この日は真新しい送迎バスが停めてあったので、意外と寄り合いなどにつかわれているのかもしれません。

神社の境内のおくに民家風のつくり。B級入っているかと思いきや、館内はきっちりと清掃され一種清冽の気が流れています。
さすがにお社のなかのお湯です。

 
【写真 上(左)】 扁額
【写真 下(右)】 内湯の湯口

由緒ある鉱泉らしく、館内には数々のいわれなどが貼り出され、明治四十一年の鉱泉分析書も掲示されていました。

廊下のおくに浴場。おくが女湯、手前が男湯です。
こぢんまりとした脱衣所。木の脱衣棚に掛けられた手拭いが、いい味をだしています。

 
【写真 上(左)】 手拭い
【写真 下(右)】 男湯

あかるすぎず暗すぎず、おちつきのあるいい浴室。
窓の外は荒れた畑(?)で野趣あふれるもの。

手前に石枠水色丸タイル貼2-3人の冷水槽と、となりあっておくに同4-2人の主浴槽(ややぬる)の2槽。
壁面には石膏らしきクリーム色の析出がでています。

 
【写真 上(左)】 冷水槽
【写真 下(右)】 男湯主浴槽

カラン5、シャワー・シャンプーあり。ドライヤーなし。
日曜14時で独占。

 
【写真 上(左)】 洗い場
【写真 下(右)】 女湯主浴槽の湯口

主浴槽はうすく茶色に変色した石の湯口から適温湯の投入+熱湯側面注入で、大量のオーバーフローがあります。
冷水槽は、側面注入?で、手前切欠からの上面排湯。
水(湯)質は冷水槽のほうがいいように感じ、これは非加温の源泉槽かもしれません。
絶妙の温度とやわらかな湯ざわりに、とりことなってなかなか抜けられません。

 
【写真 上(左)】 男湯主浴槽の湯口
【写真 下(右)】 潤沢なオーバーフロー

ごくうすく懸濁したお湯は、うす茶の浮遊物をわずかに浮かべ、湯中の指先がよわく青白に発光しています。
うすめの石膏泉系味臭。

きしきしとヌルすべが拮抗する湯ざわりで、かすかなとろみも感じます。
成分はうすめで派手さはないものの、どこかおくぶかい浴感と当たりのやわらかさがあって記憶に残ります。
浴後は肌にはりがでて肌がつるつるになる美人の湯系。

分析をかけていますが、温泉規定には該当していません。
でも、このお湯の価値を語るとき、温泉であろうがなかろうが、たいしたことではないようにも思いました。

湯慣れた方がしみじみと湯浴みをしたいときには、うってつけのお湯かと思いますが、事前問合せ必須かと。

 
【写真 上(左)】 神部神社
【写真 下(右)】 手水鉢

帰りしなに神社に参詣しました。
手水鉢には源泉とおぼしき冷水がかけ流されていました。

〔 源泉名: 岩間温泉〕 <S60.8.17分析>
本検水は、温泉法第2条の規定する温泉に該当しません。
23.2℃、pH=9.46、519L/min自噴、成分総計=0.187g/kg
Na^+=22.2mg/kg (78.23mval%)、Ca^2+=4.5 (17.74)、Cl^-=5.3 (12.40)、SO_4^2-=14.8 (25.62)、HCO_3^-=15.3 (20.66)、CO_3^2-=15.0 (41.32)
陽イオン計=28.2 (1.24mval)、陰イオン計=50.5 (1.21mval)、メタけい酸=25.7、遊離炭酸=81.5

〔 館内掲示 〕
徳川家康公入國ノ砌黒印●石八斗余寄附(山梨懸神社取調書抄)永禄四年ノ番帳元亀二年ノ棟札ニハ岩間ヲ湯山ニ作ル社中霊泉アレバナリ (以下略)

■ブランドグルメ
〔 塩山のプラム 〕
旧塩山市、とくに大菩薩連嶺のふもとではプラムの栽培がさかんで、観光農園もあります。
円錐形の独特な形状と絶妙な味わい・芳香をもちながら生産量がすくないため「幻のプラム」と呼ばれる”月光”という品種も栽培されています。
塩山の塩山洋酒醸造では、塩山市神金地区のプラムを100%使用したプラムわいんもつくられています。

〔 2012/05/22UP (2008/08入湯) 〕


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■ 清河寺温泉 「いずみの湯」 (仮設浴場)

 

清河寺温泉 「いずみの湯」
※ 現在、新施設オープン、当施設は撤去済 / 下記は体験入浴実施時のデータ
住 所 :埼玉県さいたま市西区大字清河寺683−4
電 話 :不掲載
時 間 :11:00~22:00、毎時00分から50分間の貸切入浴(予約制)
料 金 :無料(体験入浴)
※ 営業状況・時間・料金・TELなどは、原則としてUP日時点の最新データに直してありますが、掲載内容を保証するものではありません。ご利用の際は必ず事前に各施設にご確認ください。

人気日帰り施設、「さいたま清河寺温泉」の前身の仮設浴場。
2003年秋、仮設浴場に入浴したときの(※ 現在施設撤去済)レポです。
記録の意味で、画像を追加してリニューアルアップします。

 
【写真 上(左)】 体験入浴の案内
【写真 下(右)】 道路側から

パチンコ店が掘り当てた温泉に、仮設浴場で体験入浴できるのでいってみました。
場所は、R17新大宮バイパスとR16が合流する「宮前IC」の西北、「清河寺」の六叉路から県道216上野さいたま線を上尾方向に少し走った右手(カインズホームの少し手前)にある「パチンコCube」の敷地内です。

 
【写真 上(左)】 裏側から
【写真 下(右)】 ご挨拶

空いていれば飛び込みでも入れますが、けっこう人気のようなので、TEL予約がベターかと。
パチンコ店の景品カウンターで住所氏名を書いて申し込み、浴場のカギを受け取ります。毎時00分から50分間の貸し切り入浴ができます。

駐車場の道路ぎわにある仮設浴場は、トタン板で囲まれた露天ですが、屋根つきの脱衣所にはロッカーもあります。
持ち帰り用に分析書コピーが置いてあるのはえらい!

 
【写真 上(左)】 立派な分析書
【写真 下(右)】 全容

ベンチや観葉植物やパラソルなどもおいてあり、仮設にしては余裕のあるつくり。

 
【写真 上(左)】 水風呂
【写真 下(右)】 水風呂の掲示

細長い露天ゾーンには人工芝が敷いてあり、左手に木樽の1人用の浴槽が3つでややぬるく、これは非加温の源泉槽でしょう。
右手には、かけ湯槽と水風呂(地下300mからの天然水)とかがり火(温泉とともに噴出する天然ガスを燃焼)。

 
【写真 上(左)】 かけ湯槽
【写真 下(右)】 かがり火

さらにおくには、やや大きめの木樽風呂(1-2人)がふたつ。左が適温槽で右手が高温槽、適温槽には非加温源泉と加温源泉のパイプ、42℃くらいの高温槽には加温源泉のパイプのみが引かれています。

 
【写真 上(左)】 手前の非加温3槽
【写真 下(右)】 おくの加温2槽

 
【写真 上(左)】 おくの右、高温槽
【写真 下(右)】 おくの左、適温槽

どの浴槽も塩ビパイプから注(投)入で、当然オーバーフローの源泉かけ流し。床は川状態。とくに一番おくの非加温槽は、30L/minほども投入のザンザコかけ流しで鮮度感はピカ一。

 
【写真 上(左)】 おくから非加温3槽
【写真 下(右)】 非加温槽(おく)

お湯はすばらしいものです。(ほとんど非加温槽にいたのでその様子です)
緑灰色ささにごりのお湯は、気泡でさらに白濁。気泡は非加温槽で多いですが加温槽にもあり。
遊離炭酸=13.2mgなので、この気泡は炭酸ガスではなく、窒素などの気体によるものでしょう。

 
【写真 上(左)】 非加温槽(中)
【写真 下(右)】 非加温槽(手前)

入ったとたん全身がアワアワに包まれます。すごい量で、アワつきで有名な韮崎旭や山口を軽く凌駕しています。
拭っても次の瞬間にはアワがつき始め、湯面では気泡がはねています。

 
【写真 上(左)】 ただようアワアワ
【写真 下(右)】 アワまみれの手

肌をなでるあわあわがくすぐったくてサイダーに浸かっているよう。
弱塩味+微重曹味+明瞭なだし味。金気臭にかすかなモール?臭は、甲府の自噴泉群のイメージに近いもの。分析書データより鉄分がつよい感じです。

 
【写真 上(左)】 気泡でにごる非加温槽
【写真 下(右)】 ザンザコです

お湯じたいにも重曹泉系のツルすべがありますが、アワつきのぬるぬるがすごいです。
浴中は清涼感ある軽やかな浴感で長湯できますが、浴後はのどが乾きどっしりときてあとを曳きまくります。さすがに総計5g/kg近い力のあるお湯です。

体験入浴は10月末日までで、その後入浴施設の建築に着手するよう。
「保健所の許す限り『100%天然温泉掛け流し』をめざし新施設をたちあげていきたい」とのはり紙があったので期待できそうです。
浴後書いたアンケートにも、「非加温源泉かけ流し槽」の設置をお願いしてきました。
優良スペックなので可能性は充分あるかと・・・。

〔 源泉名:清河寺温泉 〕 <H11.7.27分析>
Na-塩化物温泉 38.3℃、pH=7.71、480L/min掘削揚湯、成分総計=4.690g/kg
Na^+=1580mg/kg (91.97mval%)、Ca^2+=71.6、Fe^2+=0.4、Cl^-=2343 (87.33)、HCO_3^-=576.6 (12.49)
陽イオン計=1695 (74.73mval)、陰イオン計=2925 (75.68mval)、メタほう酸=8.1 、遊離炭酸=13.2

●現在、T岡設計の設計により新施設を建設中で開業は2006年1月の予定。
パースを見る限り典型的なスパ銭になりそうなので、どこまで源泉が活かせるか興味ぶかいところです。

●新施設「さいたま清河寺温泉」は2006年2月2日グランドオープンしています。
(→ 新施設「さいたま清河寺温泉」のレポ

●仮設浴場に入浴した温泉好きの声の多くは「非加温源泉かけ流し槽」の設置だったようで、これは、新施設で「生源泉湯」として見事実現されました。
この浴槽は新施設屈指の人気浴槽となり、埼玉県を中心に小ブームとなった「ぬる湯源泉かけ流し」のはしりとなりました。

〔 場内掲示 〕
約二ヶ月の間の「無料体験入浴」は、ご満足いただけましたでしょうか?
大変ご好評頂いておりましたが、10月31日をもちまして終了とさせていただきます。
ご入浴された皆様方のご意見、ご指導を参考にさせていただき、保健所の許す限り「100%天然温泉掛け流し」をめざし新施設をたちあげていきたいとスタッフ一同頑張ってまいります。
どうぞ新しい清河寺温泉にご期待ください。
清河寺温泉「いずみの湯」

一郷一会100名湯

〔 2012/05/22画像補強のうえUP (2003/10/04レポ (2003/10入湯)) 〕


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■ 大丸温泉 「大丸温泉旅館」

 

大丸温泉 「大丸温泉旅館」
住 所 :栃木県那須郡那須町湯本269
電 話 :0287-76-3050
時 間 :11:30~14:30(受付終了) / 不定休(事前確認必須)
料 金 :1,000円
オフィシャルHP
紹介ページ (MAPPLE トラベル)
紹介ページ (BIGLOBE温泉)
紹介ページ (Yahoo!トラベル)
紹介ページ (楽天トラベル)
紹介ページ (ぐるなびトラベル)
紹介ページ (るるぶトラベル)
紹介ページ (じゃらんnet)
紹介ページ (那須温泉旅館協同組合)
紹介ページ (温泉みしゅらん)
※ 営業状況・時間・料金・TELなどは、原則としてUP日時点の最新データに直してありますが、掲載内容を保証するものではありません。ご利用の際は必ず事前に各施設にご確認ください。

※ 浴場内カメラ持ち込み不可なので、浴場の写真はありません。こちらをご覧ください。

那須温泉郷のいちばん上、茶臼岳中腹の標高1,300mに位置する、”川の露天”で有名な創業二百年の老舗人気旅館です。
日帰り対応もしていますが、天候の関係などで中止とすることもあり、じっさいこれまで2度トライしてロスト。3度目でようやくの制覇となりました。

 
【写真 上(左)】 大丸への道
【写真 下(右)】 駐車場下から

 
【写真 上(左)】 衝撃の「本日休館」看板(笑)
【写真 下(右)】 日帰り案内看板

大丸の展望台駐車場に駐車し、坂道を谷筋の宿に向かっておりていきます。
白土川(この白土川が”温泉の川”です)の小沢をはさんで、右手が母屋、左手が浴場棟、橋をわたって正面に玄関の絶妙なアプローチ & 高級旅館的たたずまい。

 
【写真 上(左)】 入口
【写真 下(右)】 高級旅館の趣

GW中につき、なかばあきらめモードで突入するも意外にもOK。
ただ、館内は日帰り客でごった返していました。

 
【写真 上(左)】 玄関
【写真 下(右)】 建物の下を流れる白土川

下駄箱は日帰り客と宿泊客で分離され、日帰り客用のはスリッパが備えられています。
玄関左手の帳場で受付。人気宿なのでタカピーな応対かと思いきや、丁寧な接客で好感。
こんなところにも人気の理由があるのかも。
ここは「日本秘湯を守る会」会員宿で、同じく会員の人気宿、福島の二岐温泉「大丸あすなろ荘」は”だいまる”と読み、こちらは”おおまる”と読みます。

 
【写真 上(左)】 玄関先の案内板
【写真 下(右)】 日本秘湯を守る会会員宿のスタンプ

帳場おくの廊下を左手に進むと飲泉所で、「桜の湯」源泉を飲むことができます。
さらに進むと分岐があり、右手にいくと女湯、左手が男湯。
女湯は階段を上るので全体に男湯より高い位置にありそうです。
また、男湯へのアプローチで白土川を渡るので、男湯は右岸、女湯は左岸にあります。

 
【写真 上(左)】 飲泉所
【写真 下(右)】 浴場へのアプローチ

館内は暖色系間接照明やちょっとした意匠がきいて、シックな和の雰囲気。
このあたりの環境づくりはさすがに老舗旅館です。
ちなみにここは明治時代にかの乃木希典将軍が毎年湯治に訪れたという格式ある旅館で、廊下などに宿の歴史を語る写真が掲示されています。

 
【写真 上(左)】 和シックな館内-1
【写真 下(右)】 和シックな館内-2

 
【写真 上(左)】 渋い意匠-1
【写真 下(右)】 渋い意匠-2

休憩スペース左手の暖簾の先が男湯。
扉を開けると左手が脱衣所、右の階段を上がると休憩所があります。

 
【写真 上(左)】 休憩スペースと男湯入口
【写真 下(右)】 男湯のサイン

13時過ぎにいったときには、入口にスリッパが折り重なり、脱衣所はごった返し。
辟易して、一旦、館内のそば処でそばを食べたあと、13:40ころに再トライ。
スリッパの数はさきほどの半分くらいに減っていました。

 
【写真 上(左)】 シンプルなそば処のメニュー
【写真 下(右)】 男湯の暖簾

ここは11:30から日帰り受付、14:30に受付終了し、15:00までに退館のシステム。
内容からして、一浴客よりじっくり過ごす客が多そうなので、早めの時間が混み、遅くなるにつれ空いていくようです。
じっさい、14:40過ぎにはあの広い浴場にわたし1人の独占状態でした。

 
【写真 上(左)】 男湯入口
【写真 下(右)】 お風呂のご案内

脱衣所の扉を開けると内湯『笹の湯』。ここの浴場で男性専用はこの『笹の湯』だけです。
さほど広くはないものの落ちついた風情の浴場で、右手手前と左手窓側の2槽がとなりあってあります。

露天への扉を開けると一気に別世界。
白土川がせきとめられて池のようになった川面すべてが露天風呂です。
川の露天というと、関東周辺では群馬の尻焼温泉や長野・秋山郷の切明温泉が知られていますが、川が露天風呂としてここまできっちり収まった例は関東では記憶にありません。

まずは露天の全貌を・・・。
川筋に沿って配置された露天はすべて混浴で、バスタオル巻き入浴可。
下から『白樺の湯』、『あじさいの湯』、『あざみの湯』で、上流側の『あざみの湯』から小滝を成しつつ流れ込んでいます。

入湯前はなんとなくむやみに広くて大味な露天を想像していましたが、入ってみると立体感や奥行きがあって、浴槽ごとのもち味もちがう、湯めぐり楽しい露天でした。

なお、女湯ゾーンは、下から『相の湯』(貸切・日帰り客不可)、『桜の湯』(内湯)、『石楠花の湯』(屋根付露天)、『山ゆりの湯』(屋根なし露天)という構成。
女性は貸切風呂を含めると、じつに7つもの浴槽を楽しめるわけで、なるほど女性に人気があるのもわかります。

では、男湯・混浴露天について浴槽ごとにいきます。
(右・左は下流からみた方向で、右岸・左岸とは逆です。)
HPによると冬期の露天は下記のとおり
 『山ゆりの湯』は、冬期間中 (1月上旬~4月中旬まで) 積雪が多いため一時閉鎖。
 『あざみの湯』は、冬期間中(12月上旬~4月中旬まで)積雪が多いため一時閉鎖。

<内湯・笹の湯/手前浴槽>
木枠伊豆石敷8-9人ほどで、(たしか)石の湯口からやや熱湯を投入しスリット?からの排湯。
ややぬるめのお湯はほぼ無色透明で芒硝石膏味臭。窓側浴槽より芒硝気がつよいように感じました。
よわいとろみときしきしの硫酸塩泉らしい湯ざわり。
GWで混んでいたせいか、お湯はやや鮮度感に欠けていたような・・・。

<内湯・笹の湯/窓側浴槽>
木枠伊豆石敷6-7人ほどで、石膏の析出がでた石組の湯口からやや熱湯を投入し側溝への上面排湯。
ほぼ適温のお湯は無色透明で石膏芒硝味臭。手前浴槽より石膏気がつよいかな?。
ここもよわいとろみときしきしで、お湯の鮮度にやや生彩を欠いていたような・・・。

<露天下段/白樺の湯>
白土川をせきとめた数十人はいける大ぶりな露天で、石組に湯底は砂地と石がまじった河床そのもの。おくの右手にたたずむ東屋がいいアクセント。
川なので、当然浅いところとふかいところがあり、岩組は赤茶に変色し、少量ながらイガイガ石灰華も。

上流『あじさいの湯』湯からの大量流れ込みと、右手下流側に石組湯口から木升に熱湯を落とし込んでの投入。
手元のガイド写真では、左手山側の樋から打たせ湯が落とされているがこの日はなし。
このほか、左手なかほどから相当量の水の投入と、『あじさいの湯』からの流れ込み口あたりの岩底からぬる湯の湧出。
(ほかにも湧出があると思うが広すぎて探索断念(^^;))

湯温は場所によりさまざまですがおおむねややぬる。
一番熱いのは右手木升湯口そば、一番ぬるいのは左手の水が流れ込んでいるあたり。
とくに左手から流れ込む水は冷たくて量も多いので、流入口あたりに陣取ると半分水風呂状態が楽しめる。

お湯はうすく赤茶に懸濁し、うす茶の浮遊物。
木升への投入湯はゲキ熱でろくに味見できなかったが、おそらく重炭酸土類泉系の旨味が感じられるのでは?
香りも焦げ臭に金気がまじる重炭酸土類泉系。(さほどつよくない。)
湯ざわりも重炭酸土類泉的なぎしぎし感と、よわいながら肌にくい込むような質感も感じる。

<露天中段/あじさいの湯>
上流『あざみの湯』から流れ込む石組河床仕様7-8人の浴槽で隠れ湯的。
下流『白樺の湯』への流し出しで、たぶん岩底からお湯の湧出があると思うが詳細不明。
ここのお湯は、『白樺の湯』より重炭酸土類がつよい感じか・・・。
じっさい、『あじさいの湯』の上部あたりから岩組がいきなり赤茶に変色しているので、このあたりは重炭酸土類系の泉源があるのだと思う。

<露天上段/あざみの湯>
上流から流れ込むぬるい川を受ける石組河床仕様20人ほどの浴槽。
まわりはクマザザ生い茂る山の斜面で野趣たっぷり。あかるい雰囲気のいい露天。
川の上流側には立派な仕切があり行けないようになっている。
(この上流右手がおそらく女湯の『山ゆりの湯』にあたる。)

上流からの流れ込みと右手上流側の岩肌を伝ってゲキ熱湯のポタポタ投入。
このあたりの岩のすきま数ヶ所からも熱い源泉が湧出している。
下流『あじさいの湯』への流し口に水門があり、これで水量調整(=湯温調整?)しているかと思われる。

湯温は本流筋の左手でぬるめ、熱湯湧出のある右手上流側でやや熱。
右手上流側に大石があり、これに背をもたれさせつつ浸かるのが一番快適かな。

ここのお湯は、下の2槽とはニュアンスがちがって硫酸塩泉系。
芒硝石膏味臭が明瞭で、湯中の指先も青白く発光し、きしきしとした湯ざわりにとろみも・・・。
大量加水あると思うにあたたまり感はかなりのもの。

<女湯系>
連れのはなしによると、どの浴槽も無色透明で硫酸塩泉では?といっていた。
お湯は上流の『山ゆりの湯』がいちばんいいと思うけれど、樋から水をたくさん入れていたし長湯してもヘタらなかったので、それほど濃くはないのでは・・・?とのこと。
『あざみの湯』の上流にある『山ゆりの湯』は、大丸泉源地帯にあるのでは?と思ったが、お湯は岩の湯口数ヶ所からの投入で、底からの湧き出しはよくわからなかったとの由(^^;)
『山ゆりの湯』は”川の中の露天”という感じではなかったけど、ロケーションは抜群とほめていた。

〔 お湯について 〕
↑のように、『あざみの湯』と女湯系は硫酸塩泉系、『あじさいの湯』と『白樺の湯』は重炭酸土類型のイメージがでていると思われます。
お宿では硫酸塩泉系の「桜の湯」の分析書しか確認できませんでしたが、自遊人Webの『温泉分析書 図書館』には「川の湯」という別源泉も掲載されています。

「桜の湯」は、ほぼピュアな硫酸塩泉系。
「川の湯」は、硫酸塩メインながらも副成分的に炭酸水素塩がまじります。
(ともに泉質名は単純温泉で、陽イオンにCaやMgなどを含む。)
炭酸水素塩は陽イオンにCaやMgなどの土類がいると、たちまち重炭酸土類泉的イメージを発するので、おそらく『あじさいの湯』&『白樺の湯』は「川の湯」源泉メインでは。(木升湯口の湯温にちと疑問は残るが・・・)

でもって、硫酸塩泉系イメージのあるそれ以外の浴槽は「桜の湯」が主力源泉ではないでしょうか。
じっさい『あざみの湯』のポタポタ湯口と飲泉所(桜の湯)の味はかなり近いものがありました。
(ほかに分析されていない自然湧出泉もあると思う。)

----------------------------------------------------------------------
カラン8、シャワー・シャンプー・ドライヤーあり。
GW14時で10人以上~独占。

客層はGWということもあってか行楽客的。若いカップルがかなり入り込んでいました。
女湯からのアプローチが『あじさいの湯』のよこなので、どうしてもここがカップルの溜まり場になります。
個人的に混浴はあまり好きではないので、どうも落ちつきません(笑)。
ここは夜のほうがじっくりと入れるのでは?

 
【写真 上(左)】 脱衣所2階の休憩所
【写真 下(右)】 冬の外観

浴槽ごとの湯質の変化は面白いものの、加水もあるし、はっきりいって「絶妙にいい」といったレベルのものは感じられせんでした。
(この後攻めた「ニューおおたか」(「相の湯」源泉使用)が異様に好みのお湯で、ここのイメージがかすんでしまったということもあるかも・・・)

また、内湯『笹の湯』のどちらかの浴槽に「川の湯」源泉を入れると泉質的に変化がでるような感じもしました。(析出がでるのでメンテが大変か・・・)

でも、”川の露天”のロケは希有のものだし、料理の評判もいいし、落ちついた大人の雰囲気を満喫できそうなので、トータルで満足度の高いお宿なのだと思います。

〔 源泉名:桜の湯 〕 <H13.11.14分析>
単純温泉(Ca・Na-SO4型) 78.6℃、pH=7.1、177.5L/min自然湧出、成分総計=0.897g/kg
Na^+=54.0mg/kg (29.53mval%)、Mg^2+=19.0 (19.66)、Ca^2+=67.8 (42.47)、Fe^2+=0.0、Cl^-=1.9 (0.66)、HS^-=0.0、SO_4^2-=378.3 (97.40)、HCO_3^-=9.2 (1.87)
陽イオン計=166.7 (7.96mval)、陰イオン計=389.6 (8.09mval)、メタけい酸=318.8

自遊人『温泉分析書図書館』より「川の湯」源泉の分析書データを抜粋引用します。
------------ 引用データ ------------
〔 源泉名:川の湯 〕 <H15.7.30分析>
単純温泉(Ca・Na・Mg-SO4・HCO3型) 38.0℃、pH=7.5、200L/min自然湧出、成分総計=0.362g/kg
Na^+=16.9mg/kg (22.70mval%)、Mg^2+=8.0 (20.33)、Ca^2+=33.8 (52.08)、Fe^2+=0.0、Cl^-=3.0 (2.68)、HS^-=0.1、SO_4^2-=107.7 (70.87)、HCO_3^-=49.7 (25.74)
陽イオン計=65.0 (3.24mval)、陰イオン計=161.4 (3.16mval)、メタけい酸=132.8
------------ 引用データおわり ------------

〔 脱衣所掲示 〕
歴代館主が200年以上前から守り続けてきた湯の恵み。
当源泉は那須御用邸にも引湯されており、その成分はメタケイ酸を多く含有し保温成分が高く古くから美人の湯と云われております。(以下略)

■ブランドグルメ
〔 ジョイア・ミーアのイタリアン 〕
やんごとなき方々もお忍びで訪れるという那須の人気イタリアン。
薪釜で一枚一枚焼き上げる手作りピッツァのレベルも高いですが、個人的には海の幸ドリアと地鶏のあぶり焼きガーリック風味にインパクトを感じました。
名うての人気店なのでプライムタイムを外していくのがポイントか?

〔 2012/05/11UP (2012/05入湯) 〕


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■ 新木鉱泉 「新木鉱泉旅館」

 

新木鉱泉 「新木鉱泉旅館」
住 所 :埼玉県秩父市上山田1538
電 話 :0494-23-2641
時 間 :12:00~21:00
料 金 :900円
オフィシャルHP
紹介ページ (@nifty温泉)
紹介ページ (MAPPLE 観光ガイド)
紹介ページ (BIGLOBE温泉)
紹介ページ (Yahoo!トラベル)
紹介ページ (楽天トラベル)
紹介ページ (じゃらんnet)
※ 営業状況・時間・料金・TELなどは、原則としてUP日時点の最新データに直してありますが、掲載内容を保証するものではありません。ご利用の際は必ず事前に各施設にご確認ください。

秩父札所四番金昌寺にほど近いところ、現女将は9代目という秩父を代表する老舗旅館で、これまで幾度となく入っている近場のお気に入りです。
文政十年のむかし、初代おきくばあさんが鎮守様(恒時神社)のお導きで発見したという古いお湯で、「御代の湯」ともいわれ「秩父七湯」のひとつに数えられています。
ちなみに「秩父七湯」とは、どうやら新木の湯・鳩の湯・柴原の湯・千鹿谷の湯 <以上現存> 鹿の湯(白久)・梁場の湯・大指の湯を云うらしいですが、和銅や不動の湯が入っていることもあり固定化されていないようです。

 
【写真 上(左)】 由緒書(旧)
【写真 下(右)】 由緒書(新)

火山もなく、高温泉も少ない秩父は温泉のイメージがうすいエリアですが、古くから「秩父七湯」をはじめとする自然湧出や浅井戸の鉱泉群があって、秩父札所巡りの宿として親しまれてきました。
その多くは”たまご水”といわれる硫黄を含んだアルカリ性のヌルすべ冷鉱泉ですが、湧出量は多くなく、源泉をいいコンディションで味わえる施設は稀少。
新木鉱泉は、そんな数少ないお湯のひとつとして温泉好きに知られています。

 
【写真 上(左)】 高篠温泉郷のお湯
【写真 下(右)】 梅紫色の看板が目印

場所は秩父市内東部、”高篠鉱泉郷”といわれる一画にあります。
県道82長瀞玉淀自然公園線からすぐですが、細い路地をたどっていくので要注意。
県道沿いに看板がでています。
Pは建物前と手前にありますが、建物前は宿泊者メインのようなので、日帰りは手前に停めたほうがいいかも。

 
【写真 上(左)】 和シックな外観
【写真 下(右)】 いい味をだしています

木造民芸調の重厚な建物は独特の風情があり、館内もしっとりと落ち着いた和風旅館の雰囲気。
訪れるたびに綺麗になっていくようで感心します。

 
【写真 上(左)】 玄関脇のサイン
【写真 下(右)】 小道具が効いています

帳場で受付し、右手別棟の湯屋棟へ向かいます。
かわいい太鼓橋を渡った正面左が男湯、右が女湯の固定制です。

 
【写真 上(左)】 帳場
【写真 下(右)】 右手が湯屋棟

以前は太鼓橋手前の小スペースは休憩所(待合せ所)として提供されていましたが、いまはエステができています。
また、別に日帰りでも利用可能(3,150円/h)の貸切風呂もあります。

 
【写真 上(左)】 湯屋棟
【写真 下(右)】 以前の休憩所

 
【写真 上(左)】 太鼓橋2003
【写真 下(右)】 太鼓橋2007

細長い脱衣所はガラスを介して内湯に面した棚式。
蔵造り調のシックな内湯は天井高くこもりもなく、きもちの落ちつく空間に仕上がっています。
すぐ外にある露天は、木塀越しに前に広がるのどかな畑の景色を眺めながら入れるもので、夕暮れどきなど風情ある湯あみを楽しめます。

 
【写真 上(左)】 脱衣所
【写真 下(右)】 サウナ

内湯(木枠石貼7-8人、ジェット3付)、源泉水風呂(樽造1人)、サウナ、メイン露天(木枠伊豆石貼円形2-3人)、小露天(陶製1人)。
以前の露天は、メイン露天(木造円形2-3人)、小露天×2(木造各1人)と3槽ありましたが、いまはリニューアルされて2槽になっています。
なお、連れの話をきくと露天は女湯のほうがゆったりしていそう。
サウナは源泉水風呂入浴用に設置されたもので、ビシっと熱めできもちがいいです。

 
【写真 上(左)】 内湯
【写真 下(右)】 源泉水風呂

カラン8、シャンプー、ドライヤーあり。
人気宿で日帰り客もけっこう入るので、夕食前など混むときもありますが、わたしはほとんど18時以降にいくので、たいてい独占かせいぜい3人程度と空いています。

 
【写真 上(左)】 露天
【写真 下(右)】 以前の露天

ここの浴槽は比較的コンディションの変化が激しいのですが、最近(2012/04)入ったときはメイン露天がかなりいいコンディションになっていました。(内湯はうすい感じだった。)

 
【写真 上(左)】 内湯の湯口
【写真 下(右)】 メイン露天の湯口

お湯はコンディションがいいときは青みがかってうすく白濁。
甘いイオウ臭と燻したような臭いが混ざった独特の温泉臭があります。

 
【写真 上(左)】 入りごこちのいい内湯
【写真 下(右)】 渋い桶

源泉槽以外は槽内注吸湯ありでオーバーフローなく、たぶん循環ですがカルキ臭はほとんど感じられず。
タイミングにより湯口から源泉を投入することもあるようです。
アルカリ性のヌルすべと重曹系のツルすべが明瞭で、湯あがりさっぱりでお肌すべすべになる典型的な美人の湯です。

 
【写真 上(左)】 メイン露天
【写真 下(右)】 小露天

でも、ここはなんといっても内湯にある源泉水風呂が出色かと。
コックをひねって冷たい源泉を自分で溜めます。
Maxで5L/min程度の吐水量ですが、浴槽がちいさいのですぐにオーバーフローします。
投入口にはコップがあって飲泉もできます。

 
【写真 上(左)】 溜め中の源泉水風呂
【写真 下(右)】 源泉水風呂の湯口

明瞭な甘イオウ臭とたまご味は”たまご水”の面目躍如。
甘~いイオウ臭香るヌルすべたまご水にかけ流し状態で入れるこの浴槽は、秩父でも屈指のものかと思います。

 
【写真 上(左)】 旧分析書
【写真 下(右)】 文句なしの美人の湯

なお、以前は昭和38年の分析書しか見あたりませんでしたが、平成17年1月に分析がなされ、総硫黄6.1mg/kgの堂々たる硫黄泉であることが証明されています。

 
【写真 上(左)】 露天からの景色
【写真 下(右)】 夜の玄関

〔 源泉名:新木鉱泉 〕 <H17.1.17分析>
単純硫黄冷鉱泉(Na-HCO3型) 14.8℃、pH=9.4、8.5L/min自然湧出、成分総計=0.599g/kg
Na^+=156.1mg/kg (94.83mval%)、Cl^-=17.1、OH^-=0.3、HS^-=6.1、チオ硫酸イオン<0.1、SO_4^2-=56.5 (16.50)、HCO_3^-=295.6 (67.69)、CO_3^2-=7.1
陽イオン計=161.9 (7.16mval)、陰イオン計=391.7 (7.15mval)、硫化水素=<0.1

■源泉槽の横に下記のような説明板があります。
含硫黄アルカリ泉(?)
1.5℃、pH=9.5、11.4L/min、蒸発残留物=45000PPM、ヒドロ炭酸=34400PPM、総硫黄=5.71PPM <S38.11.12分析>

〔 由来 〕(オフィシャルHPより)
新木の名称は、荒木丹下という悪党が四番・金昌寺のご本尊により改心させられ、仏道に帰依したところから金昌寺は別名新木寺とも呼ばれ、それが当館の名ともなったとのいわれがあります。
その新木鉱泉の創業は江戸時代、文政10年(1827年)にさかのぼります。

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一郷一会100名湯

○ 元レポは「みしゅらん掲示板 特集クチコミ情報」でもご紹介いただいています。

■ブランドグルメ
〔 みな寿しの岩魚すし 〕
秩父の岩魚をつかった上品な押し寿司で、新木鉱泉にも近い大野原にお店があります。
個人的に好物(^^)で、道の駅「ちちぶ」で見つけるとたいてい買って帰ります。

〔 2012/05/04リニューアルUP (2000年以前から幾度となく入湯) 〕


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■ 勝浦うばら温泉 「かんぽの宿 勝浦」

 

勝浦うばら温泉 「かんぽの宿 勝浦」
住 所 :千葉県勝浦市鵜原2183-5
電 話 :0470-76-3011
時 間 :10:30~20:00 (繁忙期等利用制限あり要事前確認)
料 金 :800円
オフィシャルHP
紹介ページ (BIGLOBE温泉)
紹介ページ (Yahoo!トラベル)
紹介ページ (楽天トラベル)
紹介ページ (るるぶトラベル)
紹介ページ (じゃらんnet)
※ 営業状況・時間・料金・TELなどは、原則としてUP日時点の最新データに直してありますが、掲載内容を保証するものではありません。ご利用の際は必ず事前に各施設にご確認ください。

勝浦市鵜原の高台にある自家源泉のかんぽの宿が日帰り対応するもの。
勝浦市には意外に自家源泉の施設がたくさんあってここもそのひとつ。
海沿いを走るR128からも見えるし、看板も完備しているので迷うことはないでしょう。

「かんぽの宿」らしい白亜の大規模建物でPもたっぷり。
緑濃い高台から太平洋を望む抜群のロケで、なるほど「高原リゾートとマリンリゾートの両方の魅力を兼ね備えています。」(HPより)とうたうだけのことはあります。
観光地勝浦、海の幸を活かした料理も売りのようで、人気が高そうな施設です。

 
【写真 上(左)】 浴場入口
【写真 下(右)】 内湯浴場

男女別の浴場は左手が男湯、右手が女湯。べつに専用露天風呂(温泉)付和洋室があります。
脱衣所はゆったりで団体客対応も万全。

窓の広いあかるい浴場で、窓越しに海がみえます。
左手扉から出る露天はさらに眺望絶佳で、やわらかくうねる丘陵越しに青く輝く太平洋が一望できます。
これだけ開放感あふれる露天はそうはありません。

 
【写真 上(左)】 開放感あふれる露天
【写真 下(右)】 露天からの眺望

内湯ゾーンは内湯(黒みかげ石&水色タイル枠鉄平石敷10人以上、やや熱)ととなりあってジャグジー槽(同3-4人)。べつに真湯でカルキつよめの機能浴槽があります。
露天ゾーンに露天(丸石造5-6人、適温)1槽。

カラン13、シャワー・シャンプー・ドライヤーあり。
正月14時で3人~15人、グループ客が多いので入り込みに波があります。

 
【写真 上(左)】 内湯
【写真 下(右)】 内湯の湯口

内湯はクリーム&うす茶に色づいた石の湯口から投入でオーバーフローないので、槽内排湯とみました。
露天はクリーム&茶色に変色した岩組の湯口から投入で軽いオーバーフロー+側面吸湯?。

 
【写真 上(左)】 露天
【写真 下(右)】 露天の湯口

お湯は緑がかった透明のお湯に茶色の浮遊物とこまかな気泡がただよい、ともにアワつきがあったのにはびっくり。(ただし、給湯過程による気泡だと思う。)
ともによわい塩味重曹味。

 
【写真 上(左)】 露天の湯色
【写真 下(右)】 内湯の湯色

内湯はかすかな磯の香と薬品臭、露天ではあざというがい薬臭を感じました。
感じからして、露天のほうが消毒つよめかと・・・。
内湯は消毒気あるといっても気になるほどではなく、かんぽ系にしてはいい湯づかいでは?
ジャグジー槽は内湯・露天とくらべるとややうすめかと思います。

 
【写真 上(左)】 内湯の湯口&湯色
【写真 下(右)】 掲示

きしきしとツルすべを兼ね備え、重厚な浴感があってよくあたたまります。
温泉に入った!、という感じのお湯なので宿泊客も満足では?

 
【写真 上(左)】 機能浴槽
【写真 下(右)】 泉源施設?

なんといっても黒潮おどる太平洋を望むロケは抜群なので、オーシャンビュー露天好きにはたまらない施設かと思います。

〔 源泉名:勝浦うばら温泉 〕 <H15.4.22分析>
Na-塩化物冷鉱泉 22.9℃、pH・湧出量不明(1,500m掘削揚湯)
Na^+=1589mg/kg (93.84mval%)、Ca^2+=65.4、Fe^2+=0.4、Cl^-=2470 (94.39)、Br^-=6.8、I^-=2.4、SO_4^2-=21.4、HCO_3^-=178.8、CO_3^2-=18.6、メタほう酸=26.1
※ 分析書に成分濃度関係の掲示はみあたりませんでしたが、主要成分(Na、Cl)だけでも4g/kgを越えているのでなかなかの濃度です。

<温泉利用掲示>
加水:あり(湯張り時のみ) 加温:あり 循環ろ過装置使用:あり 塩素系薬剤使用:あり
※一部浴槽には真湯を使用しています。

〔 脱衣所掲示 〕
天然温泉のため浴槽内に湯の花が散見されることもありますがご了解下さい。

■ブランドグルメ
〔 勝浦産コシヒカリ(勝浦米) 〕
あまり知られていないですが、千葉は質のいい米の産地でいくつかの銘柄米があります。
勝浦市のオフィシャルHPで、カツオ、なまり節(カツオは日本有数の水揚げ港)などとともに米(コシヒカリ)が「非常に美味しい勝浦米」と紹介されているので、相当のものがありそうです。
「常温除湿乾燥方式のライスセンターで米本来の味を逃さず乾燥調整し、販売」しているとのことです。
(勝浦市オフィシャルHPなどを参考。)

〔 2012/05/04UP (2008/01入湯) 〕


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■ 梅ヶ島温泉 「さつき苑」

  

梅ヶ島温泉 「さつき苑」
住 所 :静岡県静岡市葵区梅ケ島5255-9
電 話 :054-269-2010
時 間 :7:00~19:00
料 金 :500円
オフィシャルHP ← 音がでます
紹介ページ (BIGLOBE温泉)
紹介ページ (Yahoo!トラベル)
紹介ページ (じゃらんnet)
※ 営業状況・時間・料金・TELなどは、原則としてUP日時点の最新データに直してありますが、掲載内容を保証するものではありません。ご利用の際は必ず事前に各施設にご確認ください。

静岡有数の名湯、梅ヶ島温泉は安倍川の上流、山ふところふかくにあります。
南アルプスも南に下ったこのあたりの山は、通称”安倍奥”といわれ、2000メートル級の山々がふかい渓谷を刻んでいます。
梅ヶ島温泉は1700年ほど前に発見されたと伝えられる古湯で、武田信玄公の隠し湯としてつかわれ、近くに金山があったことから「黄金の湯」と呼ばれたこともあります。

 
【写真 上(左)】 林道の交通情報板
【写真 下(右)】 林道からの景色

静岡市といってもすぐ上の安倍峠を越えれば甲州、身延で、静岡よりも距離的にははるかに近いです。
この日も身延から林道豊岡梅ヶ島線経由で安倍峠を越えてのアプローチ。
ただ、この林道はたびたび通行止めとなるので要注意。事前確認必須です。
(例年、晩秋~GW頃まで冬期閉鎖、夜間通行止、道は急傾斜ワインディングで路面は荒れ気味ながら全線舗装。ただし落石なども多く走行は自己責任で・・・。)
通行情報、照会先:055-240-4148/峡南林務環境事務所治山林道課

 
【写真 上(左)】 安倍峠
【写真 下(右)】 梅ヶ島温泉

ふつうは静岡側からのアプローチとなりますが、静岡駅からバスで1時間45分、マイカーでも東名、静岡・清水の各ICから優に1時間はかかります。
ただ、2012/04/14に開通した新東名の「新静岡」ICからは、距離的に近く街なかを通らないのでアクセスはかなり改善されています。

 
【写真 上(左)】 山手のお宿
【写真 下(右)】 浴場入口

湯宿は安倍川沿いと山手に点在し、ここは山手に位置します。
日帰り受付している宿も多いので迷いましたが、なんとなくお湯のよさげなここにしました。
(老舗の「梅薫楼」が有名ですが、ここはまたの楽しみに・・・)

全8室のこぢんまりとしたお宿で、外観はやや古びているものの、館内はよく手入れされています。
お宿の方の対応もきもちよく、居ごこちがよさそう。
やまめの刺身、しし鍋、自家製ごま豆腐など、地元食材を活かした料理にも自信がありそうで、泊まってみるのもいいかも。

 
【写真 上(左)】 脱衣所
【写真 下(右)】 男湯の浴槽

浴室は手前が女湯、おくが男湯で、男湯のほうがきもち広いようです。
明るすぎず暗すぎず、落ちついた雰囲気のあるいい浴室です。

 
【写真 上(左)】 右が適温槽、左がぬる湯槽
【写真 下(右)】 ぬる湯槽

男湯は左手4-5人のぬる湯槽と、となりあって右に2人ほどの適温槽。
石組石枠青い丸タイル敷で2槽のあいだの黒タイル貼の仕切りがいいアクセント。
両槽は側面の孔と仕切り上の越流でお湯の行き来があります。

 
【写真 上(左)】 適温槽
【写真 下(右)】 硫化したカラン

ぬる湯槽おくの石の湯口から適温湯の少量投入+仕切り窓よりの石の湯口からややぬる湯の投入+適温槽の窓際、ガラスブロック越しに引き入れられた塩ビ管からの熱湯注入の3ヶ所からの投注入。
槽内排湯はみあたらず、ぬる湯槽側切欠からの上面排湯は、掲示どおりの加温かけ流しかと思います。
カラン2、シャワー・シャンプーあり、ドライヤーなし。
土曜11時で独占~2人。

 
【写真 上(左)】 ぬる湯槽の湯口
【写真 下(右)】 窓よりの湯口

お湯はうすく黄色味を帯びてわずかに懸濁し、灰白~うすピンク色の湯の花多数。
湯中の指先がよわく青白に発光しています。
甘+弱しぶ焦げイオウ臭が浴室でも香ります。

 
【写真 上(左)】 塩ビ管の湯口
【写真 下(右)】 湯色

明瞭なたまご味+重曹味+甘味で、この甘味はこのあたりのお湯に特有のもの。(山梨市の「初花」で感じられるようなもの。)
イオウ臭は味のインパクトほどにはつよくないですが、硫黄重曹泉のイメージゆたか。
オイリーなツルすべにとろみをまじえる独特の湯ざわりで、浴後お肌つるつるになる文句なしの美人の湯です。

さすがに名湯、梅ヶ島。それも好みの硫黄重曹泉とあって、ついつい長湯になりました。

〔 源泉名:梅ヶ島温泉 混合泉 〕 <H14.11.28分析>
Na・Ca-塩化物・炭酸水素塩・硫酸塩温泉 39.5℃、pH=9.6、湧出量不明、成分総計=0.253g/kg
Na^+=56.3mg/kg (93.16mval%)、Ca^2+=3.0、Cl^-=3.4 (3.19)、HS^-=13.4、SO_4^2-=18.7 (12.46)、HCO_3^-=30.6 (15.97)、CO_3^2-=48.2 (51.44)
陽イオン計=60.1 (2.63mval)、陰イオン計=118.6 (3.13mval)、メタけい酸=74.2

<温泉利用掲示>
加水:なし 加温:あり 循環ろ過装置使用:なし 消毒薬使用:なし

■ブランドグルメ
〔 梅ヶ島のしし鍋 〕
山ぶかい梅ヶ島温泉では冬になるとしし鍋(いのしし肉の鍋)がよく出されます。
赤身のつよい肉をぼたんの花のように皿に盛りつけることから「ぼたん鍋」ともいわれます。いのししの肉は、滋養強壮効果があり、からだがよくあたたまるといわれます。

〔 2012/05/04UP (2007/08入湯) 〕


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〔 温泉地巡り 〕 伊香保温泉

 

〔伊香保温泉について〕
伊香保づくし(伊香保温泉旅館協同組合)
伊香保観光協会((社)伊香保観光協会) 

<プロフィール>
伊香保温泉は草津温泉とともに上州を代表する温泉地で、かの「上毛かるた」で”伊香保温泉日本の名湯”(著作権:(財)群馬文化協会)と詠まれているほど。
榛名山の山腹、傾斜を活かした石段の両側に、温泉旅館、みやげ物屋、飲食店などが軒を連ねて「石段街」とよばれる独特な景観をつくり出しています。
ベルツ博士に賞賛されたお湯は独特な赤茶のにごり湯で、温泉街上の泉源地から石段の下を流されて、”小間口”と呼ばれる引湯口から各旅館に分湯されています。

 
【写真 上(左)】 石段街-1
【写真 下(右)】 小間口

伊香保温泉も団体客の減少など、観光産業の構造変化に悩まされているようですが、他の温泉地にはない「石段街」や、温泉マニアをうならせる湯元の露天風呂、歴史ある飲泉所など多くの資産をもっている分、活性化は図りやすいのでは?

 
【写真 上(左)】 以前の石段
【写真 下(右)】 手スリがつきました

近年、すこしづつ手が入れられて歩きやすくなってきましたが、2010年春には石段街が下の県道まで延長・拡幅され(計365段となった)、足湯も設けられるなど、新たな振興策が図られています。

 
【写真 上(左)】 新装なった石段街下部
【写真 上(左)】 新設された足湯

ただ、個人的には伊香保本来の魅力は、こういう開けっぴろげな明るさより、むしろしっとりと落ちついた湯場の風情にあると思われ、その意味では、石段街上から露天風呂にかけてのエリアの方がよほど面白い気がします。

 
【写真 上(左)】 開けた感じになりました
【写真 下(右)】 石段365段

多くの観光客は石段街上の「処々や」あたりまで来て”伊香保焼き”を食べて戻ってしまいますが、ここから露天風呂まで足をのばすことをおすすめします。
露天風呂はすぐ下まで車で入れますが、石段街下のPに停め、石段街を散策しつつアプローチすれば、別の魅力がみえてくるような気がします。

 
【写真 上(左)】 石段街の上
【写真 下(右)】 露天風呂への道

伊香保温泉は情報発信も活発で、関連サイトによる情報提供のほか各種のイベントが企画・開催されています。
とくに10~11月にかけての河鹿橋周辺の紅葉ライトアップは見事。
新しいところでは、「石段鍋」。「あつ~く熱した石の器を使用した料理」だそうです。(冬期限定かも?)

 
【写真 上(左)】 河鹿橋の紅葉-1
【写真 下(右)】 河鹿橋の紅葉-2

<歴史> (「岸権旅館」/「ふくぜん」HPなどを参考)
古来、”伊香保”は榛名山一帯をさしていたとされ、万葉集第十四巻、東歌のなかで伊香保を詠った歌が九首収録されています。
その九首の歌碑が建てられて観光ポイントとなっています。

 伊香保風吹く日吹かぬ日ありといへど吾が恋のみし時なかりけり (14-3441)

   
【写真 上(左)】 与謝野晶子の詩碑
【写真 下(右)】 ポストが効いています

伊香保の湯は、第十一代垂仁天皇の御代に開かれたという説と、天平時代の僧、行基(668-749年)によって発見されたというふたつの湯縁起が伝わります。
室町時代の連歌師、宗祇(1421-1502年)についての記録「宗祇終焉紀」には、伊香保についての効能が記されているので、すでにこのころから効能あらたかな湯場として知られていたようです。

 伊香保といふ名所の湯あり。中風のためによしなど間きて、
 宗祗はそなたにおもむき、二かたになりぬ。
 此の湯にてわづらひそめて、湯におるゝ事もなくて、
 五月のみじか夜をしもあかしあびぬるにや

  (デジタル化/笹心太氏)

永禄六年(1563)、上州の名族、長野氏の居城箕輪城を甲州武田氏が攻略した後、当地の有力者千明氏や神官職の岸氏をはじめ、付近の地主であった大島氏、木暮氏、後閑氏、望月(永井)氏、島田氏も武田氏に属するようになりました。

 
【写真 上(左)】 絵図
【写真 下(右)】 温泉都市計画第一号の地

天正四年(1576/長篠の戦いの翌年)、武田勝頼公が戦傷者の保養地とするために温泉街を整備、傾斜を利用して石段街をつくり、湯元から引いた樋から石段街の左右に配置した温宿に湯を分けたとされ、これが現在の石段街の原型となっています。
この時期に計画的に温泉街が整備されたのは期を画することで、石段街に建つ町制施行100周年記念碑には「わが国第一号の温泉都市計画であり、先駆的役割を果たして参りました。」と誇らしげに刻まれています。
(なお、石段街整備以前の伊香保は、湯元(現在の露天風呂周辺)にいくつかの浴舎があって、これが石段街に移転・引湯がなされたとみられています。)

 
【写真 上(左)】 記念碑
【写真 下(右)】 老舗宿二軒

このときに上の7氏が引湯権を与えられたとされ、その後寛永十六年(1639)、引湯(小間口)権についての規定が定められた頃には、引湯権をもつ氏は14になりました。
温泉宿を兼ねた「大屋」(おおや/14軒)とこれに属する施設「門屋」(もんや)があり、とくに12軒の「大屋」についてはそれぞれ十二支があてられました。
伊香保温泉の石段には、これにちなむ十二支のプレートが埋め込まれています。

□ 大屋12軒と干支
伊香保温泉観光ナビ、小間口湯量は伊香保温泉小間口権者組合HPより引用)

「子」 小暮武太夫 → 「ホテル木暮」(9分/2寸4分)
「丑」 小暮八左衛門
「寅」 小暮金太夫 → 「金太夫」
「卯」 島田平左衛門
「辰」 岸権三衛門 → 「岸権旅館」(7分9厘/5分)
「巳」 岸六左衛門
「午」 永井喜左衛門
「未」 大島勘左衛門
「申」 岸又左衛門
「酉」 千明三右衛門 → 「千明仁泉亭」(9分7厘/8分/末端) 
「戌」 後閑弥右衛門
「亥」 島田治左衛門

 
【写真 上(左)】 石段街上部から
【写真 下(右)】 水澤観世音

江戸時代には上州を代表する湯治場として栄え、とくに「子宝の湯」として知られて婦人客を多く迎えたとされ、温泉番付でもたいてい前頭上位~関脇あたりに位置づけられています。
近くに坂東十六番札所の五徳山水澤寺(水澤観世音)や、榛名神社があるので参詣を兼ねた宿泊客を集めたものと思われます。
多くの湯治客の往来を受けて、口留番所が設けられました。

 
【写真 上(左)】 榛名神社
【写真 下(右)】 榛名山

明治に入ると伊香保の名声はますます高まり、徳冨蘆花、田山花袋、萩原朔太郎、芥川龍之介、島崎藤村、与謝野晶子など錚々たる文人が逗留して著作をものしています。

 榛名山の一角に 段また段を成して 騾馬時代の野外劇場の如く
 斜めに刻み附けられた 桟敷形の伊香保の街
 屋根の上に屋根 部屋の上に部屋 すべてが温泉宿である
 そして榛の若葉の光が 柔らかい緑で 街全體を濡してゐる

 〔「伊香保の街」 与謝野晶子 (大正四年)〕 石段街石段より 

とくに徳富蘆花は伊香保をこよなく愛し、ここを舞台に名作「不如帰」を成し、この地でその生涯を終えています。
さらに、大正浪漫を代表する画家、竹久夢二も伊香保にゆかりをもち、「竹下夢二伊香保記念館」に代表作が収蔵されています。

 
【写真 上(左)】 伊香保神社
【写真 下(右)】 渋い木造建築の「横手館」

明治9年、ドイツより招聘されたエルヴィン・フォン・ベルツ(Erwin von Balz)博士は、伊香保の泉質に注目し、著書「日本公泉論」のなかで婦人病や胃病などへの効用や入浴法について書き記しています。
標高700mの高所にある伊香保温泉は避暑地としても知られ、お湯の効能もあいまって多くの要人を迎えました。
1893年から1945年まで、「伊香保御用邸」が設けられ、迪宮裕仁親王・淳宮雍仁親王・光宮宣仁親王が避暑のため逗留されていることからも、保養地としての当時の地位の高さがうかがわれます。

 
【写真 上(左)】 飲泉所
【写真 下(右)】 飲泉所湯口

 
【写真 上(左)】 今はなき「ベルツの湯」
【写真 下(右)】 レトロなWC

明治43年、伊香保電気軌道として開通した東武伊香保軌道線は、昭和31年に廃線となるまで多くの観光客を運びました。
渋川~伊香保を結ぶこの線は有数の長距離軌道で、路面電車としてはめずらしいスイッチバックをもつ路線として広く知られていました。

 
【写真 上(左)】 石段街下部から
【写真 下(右)】 石段街上部

戦後の高度成長期にも交通の便のよい伊香保の人気は衰えず、大型ホテルが相次いで建てられて団体客の集客に成功しました。
その後、個人客へのシフトなど環境の変化につれて、個人の嗜好を重視するお宿も増えて現在に至っています。
伊香保を代表する老舗「金太夫」が伊東園グループ入りしたのはおどろきでしたが、客層が若返り、カップル層も増えて活性化に貢献しているような感じもします。(このへんは見方の分かれるところか・・・)

 
【写真 上(左)】 伊香保焼き
【写真 下(右)】 まんじゅう屋さんも数軒

<温泉>
「温泉今昔物語その18(伊香保温泉) 木暮金太夫氏著 (地熱エネルギーVol.19No.4 1994年)」を適宜参考(数値等引用*印)にしています。

伊香保温泉には「黄金の湯」と「白銀の湯」があります。
(「おはぐろの湯」といわれる源泉もあるらしいが、現在、入浴できる施設はありません。)
古来からの伊香保の湯は「黄金の湯」で、「白銀の湯」は「黄金の湯」の湯量不足を補うために1996年に開発されたもの。

〔黄金の湯/伊香保温泉本線(総合湯)〕
「黄金の湯」の正式名は、”伊香保温泉本線(総合湯)”で、伊香保温泉本来のお湯です。

 
【写真 上(左)】 源泉湧出口観覧所
【写真 下(右)】 湧き出る源泉

● 源泉
・旧来の伊香保の源泉は8ケ所の自然湧出泉であった。昭和23~34年にかけて、湯量増加を目的として6本の温泉井掘削がなされた結果、旧源泉の湯量の激減と温度低下をきたしほとんど使用不能となった。(新規掘削後の総湧出量は旧源泉湧出量とほぼ同量)
・現在の主な源泉は掘削井6本のうちの5本(1.2.4.5.6号泉)で、すべて深度400m*以内の比較的浅い井戸である。
・湧出量がもっとも多いのは露天風呂よこの2号泉の1210L/min*でこれが主力源泉。泉温がもっとも高いのは砂防堰堤上の6号泉で65.9℃*。総湧出量は約5000L/min*。
・これら掘削泉に自然湧出泉を併せた源泉は集められ総合湯(本線)として、自然流下等により石段街などに引湯されている。
・3号泉は水位調査井、5号泉は飲泉所用として使われているらしい。
・これら新旧の源泉は、湯沢川紅葉橋より上流、砂防堰堤上にかけての約300mの谷筋に集中している。また、源泉の熱源は、6世紀に活動した二ッ岳の火山活動の余熱と考えられている。

 
【写真 上(左)】 このおくが泉源地帯
【写真 下(右)】 5号源泉

● 泉質
・自然湧出泉のなかには単純温泉もあるが、湧出量の多い2号泉の泉質をうけて、総合湯(本線)の泉質はCa・Na-SO4・HCO3・Cl泉となっている。

 
【写真 上(左)】 河鹿橋と赤茶に変色した河床
【写真 下(右)】 赤茶の川 (露天風呂P付近)

● 本線(混合泉)の分析書データ
Ca・Na-硫酸塩・炭酸水素塩・塩化物温泉 41.6℃、pH=6.3、5000L/min、成分総計=1.39g/kg
Na^+=115mg/kg (33.25mval%)、Mg^2+=30.8 (16.77)、Ca^2+=138 (45.60)、Fe^2+=7.34、Cl^-=127 (24.40)、SO_4^2-=313 (44.49)、HCO_3^-=278 (31.06)、陽イオン計=306 (15.1mval)、陰イオン計=718 (14.7mval)、メタけい酸=181、メタほう酸=8.0、遊離炭酸=174 <H19.6.8分析>

Ca・Na-硫酸塩・炭酸水素塩・塩化物温泉 40.9℃(平成10年10月現在44.3℃)、pH=6.4、3300L/min、成分総計=1.28g/kg
Na^+=105mg/kg (30.99mval%)、Mg^2+=29.5 (16.56)、Ca^2+=142 (48.29)、Fe^2+=8.28、Cl^-=118 (23.42)、SO_4^2-=301 (44.06)、HCO_3^-=282 (32.42)、陽イオン計=296 (14.7mval)、陰イオン計=701 (14.2mval)、メタけい酸=177、メタほう酸=7.7、遊離炭酸=98.6 <H9.7.18分析>

 
【写真 上(左)】 「処々や」よこの源泉落とし口
【写真 下(右)】 流れる源泉

● 引湯による影響
・湯元から石段街下のベルツの湯まで約2.1km*の自然流下による引湯がされているため、これによる泉温や泉質への影響が考えられる。
・泉温変化は以下のとおり。
 '88/3/29調査* 湯元45.4℃ → 金太夫小間口45.0℃ → ベルツの湯第1受湯槽41.8℃
 '88/12/10調査* 湯元46.5℃ → 金太夫小間口46.1℃ → ベルツの湯第1受湯槽42.7℃
・石段街上部にある金太夫小間口までは大きな温度低下はなく、非加熱で利用できる範囲であり、実際、石段街には本線を非加熱利用している旅館がいくつかある。(下記参照)
・成分的にはCO2の減少と鉄分の変化が顕著。とくに鉄分は、湯元付近では溶存態(Fe^2+)であったものが、引湯されるにつれて懸濁態(Fe^3+)へと変化する。
・露天風呂では貝汁臭のする緑がかったうす懸濁湯、石段街の旅館ではやや赤みがかった濁り湯、ベルツの湯では鉄サビ臭の強い濃い赤茶濁り湯というふうに変化していく。

 
【写真 上(左)】 伊香保露天風呂-1
【写真 下(右)】 伊香保露天風呂-2

● 伊香保露天風呂の凄さ
・このように伊香保のお湯は鉄分を多く含むため、引湯によるお湯の変化が体感的に味わえる。
・泉源分布から考えて、「伊香保露天風呂」がいかに恵まれた立地にあるかが判る。
・伊香保でのおすすめは、やはり「伊香保露天風呂」と下記の石段街周辺の本線かけ流し施設かと思われる。

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湯元~石段街周辺の本線(黄金の湯)のみ使用のかけ流し施設は以下のとおり。
(旧 伊香保町HPより、平成17年7月現在、現時点で変わっている可能性あり。)
(○:通年非加温槽あり / □:殺菌処理なし槽あり)

伊香保露天風呂→○□ ・・ 橋本ホテル→□ ・・ ホテル紅葉→□
柏屋旅館→□ ・・ 横手館→□ ・・ 金太夫旅館→
吉田屋旅館→○□   ・・ 岸権旅館→□ ・・ 金田屋旅館→□
有明館→○□   ・・ 青山旅館→□ ・・ 丸本館→□
千明仁泉亭→○□ ・・ 観山荘→□ ・・ 村松旅館→□
市川旅館→○□    ・・ 石坂旅館→□ ・・ 古久屋旅館→○□
森秋旅館→□     ・・ ホテル木暮→□ ・・ 町営石段の湯→□

 
【写真 上(左)】 千明仁泉亭
【写真 下(右)】 青山旅館

 
【写真 上(左)】 処々や
【写真 下(右)】 吉田屋旅館

● お湯
お湯については、各レポをご覧ください。

 
【写真 上(左)】 有明館
【写真 下(右)】 柏屋旅館

伊香保本線は、鉄分を多く含むので、酸化すると赤茶のにごりがつよくなります。
お湯的には、露天風呂は別格として、石段街上部の小規模な湯宿にいいものが多く、なかには”小間口”から湯船に直接お湯を落としているのではないかと思われるものもあります。
鮮度が高いと緑味を帯びたうす透明となり、成分的にきわめてバランスのよい名湯を堪能することができます。

 
【写真 上(左)】 石段の湯-1
【写真 下(右)】 石段の湯-2

〔白金の湯/西沢の湯〕
「白銀の湯」は、正式には”西沢の湯”といい、元は伊香保町営でしたがいまは市町村合併で渋川市に移管され、「渋川市伊香保温泉白銀の湯供給条例」および施行規則に則り運用されています。

 
【写真 上(左)】 白銀の湯(かのうや露天)
【写真 下(右)】 石段街-2

● 源泉・泉質
「白銀の湯」についてのやませみさんの貴重な情報を引用させていただきます。(「温泉みしゅらん掲示板」2004/08/12付でレスをいただいたもの。)
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「群馬県温泉協会二十年誌」に掲載されている分析では以下のようになっています。(中略)

西沢の湯1号 H07.08分析 大字伊香保乙湯元586-17
  規定泉(メタ珪酸) pH=6.4
   ER=0.32 g/kg 無色澄明
   Na=9.39 K=2.41 Mg=12.0 Ca=56.3 Fe(II)=0.4 Mn=0.95 Al=0.4
   F=0.06 Cl=3.48 SO4=62.5 HCO3=160 NO3=12.1
   H2SiO3=87.0 HBO2<0.2

西沢の湯2号 H07.08分析 大字伊香保一二平589-1                
  規定泉(メタ珪酸) pH=6.3
   ER=0.31 g/kg 無色澄明
   Na=10.1 K=1.54 Mg=8.58 Ca=58.8 Fe(II)=0.3 Mn=0.03 Al=0.13
   F=0.05 Cl=5.31 SO4=58.4 HCO3=154 NO3=12.1
   H2SiO3=91.3 HBO2=0.2

西沢の湯3号 H08.02分析 大字湯中子字西沢992-1
  規定泉(メタ珪酸) pH=7.1
   ER=0.13 g/kg 無色澄明
   Na=5.09 K=0.92 Mg=2.56 Ca=17.1 Fe(II)<0.01 Mn<0.005 Al=0.5
   F=0.13 Cl=1.88 SO4=30.9 HCO3=26.9 NO3=12.8
   H2SiO3=58.7 HBO2=0.9
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伊香保の小字はWeb地図で曳いてもでてこないので、小字( )を外して検索してみました。

■西沢の湯1号 大字伊香保(乙湯元)586-17
 → 586は「橋本ホテル」
■西沢の湯2号 大字伊香保(一二平)589-1
 → 588は榛名湖へ上がる県道、旧榛名町との境の手前の二ッ岳西側
 → 591は湯元河鹿橋の東側
■西沢の湯3号 大字湯中子(字西沢)992-1
 → 991は榛名湖へ上がる県道の途中にある「老人憩の家」

場所はおのおのバラバラですが、どこかに集湯され混合配湯されているのではないかと・・・。

● お湯
ほぼ無色透明でうす茶の湯の花が大量に浮かびます。
よわい芒硝系の味といわきあたりの鉱泉で感じる漢方薬のような苦っぽい湯の香。
きしきしとした湯ざわりに弱とろみをまじえた、つつみこまれるようなやわらかなお湯で、悪くありません。
泉質は通ごのみの含芒硝-重炭酸土類(Ca-HCO3・SO4)型で、どことなくクセもの湯的なイメージもあります。

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【写真 上(左)】 石段街-3
【写真 下(右)】 伊香保神社参道

伊香保温泉はどうしても古来からの「黄金の湯」が主役で、新源泉「白銀の湯」はメタけい酸の規定泉ということもあって低く評価されがちです。
名湯「黄金の湯」とくらべるのはさすがに気の毒ですが、「かのうや」露天で充分な浴感を感じられたのはある意味おどろきでした。
ただ、「かのうや」内湯ではさして浴感を感じられなかったので、湯づかいに影響を受けやすいデリケートな源泉なのだろうと思います。
→ レポ

■ 源泉名:西沢の湯1号2号3号の混合(伊香保温泉・白銀の湯)
規定泉(メタけい酸)(Ca-HCO3・SO4型) 10.7℃、pH=6.2、湧出量不明、成分総計=0.38g/kg
Na^+=8.51mg/kg、Mg^2+=7.31、Ca^2+=38.9、Fe^2+=0.20、Cl^-=2.9、SO_4^2-=51.7、HCO_3^-=102、NO_3^-=3.1、陽イオン計=57.4、陰イオン計=159.8、メタけい酸=74.8、遊離炭酸=83.9 <H8.11.28分析>

多くの旅館で日帰り客を受け入れているので、入りくらべてみるのも面白いかも。

 
【写真 上(左)】 源泉湯桶
【写真 下(右)】 石段街-4

ずいぶんとながくなりましたが、それだけ魅力に富んだ温泉地ということか・・・。
東京からも近いし、もっともっと注目を浴びてもいい温泉地だと思います。

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