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AMASHINと戦慄

~STARLESS & AMASHIN BLOG~
日々ブログレッシヴに生きる

ベッカンコ

2017年09月10日 | ♪音楽総合♪
それは、今月行われる予定のドナルド・フェイゲン来日公演に乗じて、先月末に刊行された『THE DIG』のまるまるスティーリー・ダン特集本を図書券を使って購入し、週末にiPodで彼らの珠玉の名ナンバーを聴きながら、コーヒーハウスでカップ片手に本書を読み耽って、ひとりで大いに盛り上がっていた矢先の訃報だった。


「スティーリー・ダンでの活躍でも知られるウォルター・ベッカー(Walter Becker)が死去。
いずれもベッカーの公式サイトの発表を元に報じています。死因は明らかにされていません。
ベッカーは67歳でした。」




まぁこのウォルター・ベッカー逝去のニュース、最初ツイッター上で知ったのだが、すぐに訃報ニュースの記事が削除されたり、公式サイトがハッキングされてベッカー逝去のデマが流布したなど、かなり情報が交錯してて不可解さ極まりなかった。
つか、デマだったとしても誰に何のメリットがあんねん?と、謎は深まるばかりなのだが。


とにかく私にとってウォルター・ベッカーは、昔から実に謎めいた存在であった。
スティーリー・ダンの楽曲は大好きで、学生の頃から嗜んでいたが、ウォルター・ベッカーの存在を認識したのは確か10年前くらいからだったと思う。
彼は一体バンド内でどのパートを担当しているのか?彼の特性とは何か?
と、まぁ私の中でウォルター・ベッカーは、ワムにおけるアンドリュー・リッジリーみたいな存在だったと思う(というのは言いすぎか)。

ただ、写真を見てもわかるとおり、ヴィジュアルで売っていたなんて可能性は1ミリたりとも感じられない。
日本全国探しても「ウォルター・ベッカーが大好き!」なんて言ってる女子高生を見つけ出すのは至難の業であろう。

ウォルター・ベッカー(右)どうみてもオタクっぽいよな。



で、10年前にスティーリー・ダンの作品を紙ジャケリマスタでコンプリートした時にわかったことは、バンド内ではベースを弾くこともあり、ギターも所々で弾いてるらしいということだった。
こんな曖昧な認識で、ま、特にそれ以上追求することもなく現在にまで至ってしまった。
で、今回特集本が刊行されたので、これだけ好きなんだからいっちょその辺のことを詳しく追及してみようと本書を購入したわけである。

スティーリー・ダンがまだ固定のメンバーがいるバンド形態だった初期の作品(1st~2nd)では、ベッカーはベースを担当していたらしい。だってバンド内にはスカンク・バクスターとデニー・ダイアスという2人の弾きまくりのギタリストがいたからね。
ま、ベッカーのベースに関してはそれほど目立ったプレイは見られず、あくまで楽曲に沿った当たり障りのないプレイ。
で、3rdから固定メンバーにとらわれず、ゲストプレイヤーをガンガン投入するようになって(さわやか革命)、ここで初めてベッカーはギターで参加するようになる。
ただ、特集本でも「この曲のこのギターソロはベッカーだと思われる」といったように推測の形で語られていて、実に曖昧な説明がほとんどなので困ったもんだ。

ま、彼はベースにしろギターにしろ、グイグイ前に出て見せつけてやろうってタイプのプレイヤーではなく、あくまで理想の、いい楽曲を作ろうというクリエイトタイプの人なんだと思う。
つまりいわゆる“楽曲至上主義”ってやつ。
もちろん人前でもギターを弾く一流のプレイヤーなんであるが、なんせ当時のスティーリー・ダンの2人は大のツアー嫌いだったらしく、とにかくスタジオに籠もって曲作りをしていたい奴らだったんだって。その辺も実にウマの合う似た者同士の2人だったんだろう。
まぁそんな2人のエゴイズムが他のオリジナルメンバーを追い出す結果になるのだが(ただし、ダイアスは『Aja』まで残在していた)。

この特集本で提示された曲を聴いて、ベッカーのギタープレイを確認してみたりしたけど、思ったのは地味にカッコいいということぐらいだった。
ようはベッカーは“センスの人”なのだ。

スティーリー・ダンの楽曲はどれも“おしゃれ”だということが言える。
でも、おしゃれな曲なんて世の中にいっぱいある中で、スティーリー・ダンの楽曲が特別に惹きつけられるのは、やっぱフェイゲン、そしてベッカーが編みだすコード進行が他にはない並々ならぬ斬新さと美しさを備えているからなのだろう。
それもこれ見よがしではなく、私のように音楽理論の知識がほとんどない者にはそれがわからないほどさりげにやっているということ。


バード大学の音楽サークルの部室前を通りかかったフェイゲンが、そこから聞こえてきたウォルター・ベッカーの奏でるギターの音色に惹かれたことがキッカケで2人は出会い、スティーリー・ダンが誕生した。
その運命的な唯一無二の相棒を失ったことのフェイゲンの今の喪失感は、我々には想像を絶するものであろう。

来日公演を直前に控えたフェイゲンの心境がとても気がかりな今日この頃である(行く予定はありませんが)。


Live on Letterman in 1995



今日の1曲:『Josie』/ Steely Dan
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カンスンローセス

2017年01月21日 | ♪音楽総合♪
年明けてポケーっと過ごしてたら、気づけばもう明日(というか今日)ガンズが大阪にやってくるんやと、すっかり油断していた。
今まで散々彼らのライブは無視してきたが、今回はめずらしくちょっといってみたろかしらんという気になった。
なぜなら、私もかつて彼らのロックンロールにぶっとばされた人間のひとりだから。
あと土曜日ってのもあった(運悪く出勤日やけど)。


ガンズやったら1stが一番好きって人は、ガンダムやったらファーストが一番好きっていうのと同じくらい大多数だと思う。
私もその例に漏れない。

『APPETITE FOR DESTRUCTION』。

ガンズのこの不朽の名作に出会ったのは中学時代も半ば。
アイアン・メイデンのアルバム蒐集には余念がなかったが、メタリカの楽曲にガツーーン!!とやられ、オーソドックスなHR/HMに対しての興味がだんだん薄れ、いよいよスラッシュ嗜好へとシフトし始めた、そんな矢先であった。
ある日メタ友の穏健派リーゼントヤンキーのハルの家に訪れると、その破廉恥なジャケ画のアナログ盤が部屋にころがっていた。
まだ日本盤は発売されていなく、日本で人気に火がつく前のことである。
またハルは何をわけのわからんシロモノを買うてきたんや?と、不審の面持ちでジャケをシゲシゲと眺めた。




音源を聴かせてもらうと、小気味のいいロックンロールに合わせて甲高くて素っ頓狂な男の歌声が聞こえてきた。
「なんじゃこれは!?」と。今まで聴いたことのない声だった。
そして、トチ狂ったかのようなスキャット。

「シャナナナナナナナ、ピーィ!ピーィ!」

な、なんやねんこれは!?と。

ほんで男のくせにAV女優みたいな喘ぎ声を出すというのにも、かなり当惑をおぼえた。

この卑猥なジャケットにこの猥雑ヴォーカル。
なるほど、ハルはエロネタとして(中学生なのでシモネタ全盛期)シャレでこのアルバムを買って俺に聴かせてくれよったんやなぁと。

とりあえず、このアルバムを貸してもらって家に持ち帰ってじっくりと聴いてみることにした。
それから私は1ヵ月、ぶっ通しで毎日このアルバムを聴くことになろうとは予想だにしてなかった。


SEX、DRUG & ALCOHOL臭がプンプン匂う、頽廃的でまさにバッドボーイズロックを地で行くようなダーティサウンド。
メタラーを十分に惹きつけるサウンドだが、やってることは紛れもないロックンロールだ。そして、それはとてつもない破壊力があった。
ねちっこい粘着質なギター、演奏はルーズでパンキッシュな感じもするが、ことのほかどれもこれも楽曲がしっかりしていて展開が絶妙だ。
アクセルは甲高い声と野太い声とを楽曲ごとに使い分け、巧いヴォーカリストだけど、どこか常軌を逸していた。
まさにモンスターバンドとしかいいようがなく、その衝撃のデビュー作が紛れもないモンスターアルバムだった。


まぁしかし、ガンズは私にとっては一発屋のバンドだった(ゆーてもそれはとてつもなくデカい一発だが)。
高校生になってバンドブーム真っ盛り、2枚組の2nd『USE YOUR ILLUSION』が発売され、中学の時ハードロックの「ハ」の字も知らなかった連中が口ぐちに「ガンズ!ガンズ!」と囃したて、アクセルやスラッシュを崇拝していた。
しかし、私はその頃、他に色んな音楽がどんどん入ってきて、すでにガンズには興味をなくしてしまっており、新譜すら買う気になれなかった。
大学の頃、ブックオフで『Ⅱ』だけ購入して聴いてみたけど、確かにメンバーチェンジで演奏力が向上し、バラエティに富んだいい曲が揃ってるんだが、妙に洗練されたスタイリッシュで上品な曲が多く、そこにはかつての毒々しい不良ロックの刺激はもうなかった。
最新作『CHINESE DEMOCRACY』に関しては、数年前これまたブックオフの500円コーナーで購入したが、聴いてる最中イライラしてきて停止ボタンを押してしまうほど、堪えがたいシロモノだった。

まぁ今回のライブ、この辺の作品からもまんべんなく演るって聞いてるが、いまさら予習しても遅いよな。『Ⅰ』は音源がないし。
1stからは「Welcome To The Jungle」、「Night Train」、「Paradise City」、「Sweet Child O' Mine」あたりはマストだろう。

ただ、私が一番やってほしい曲といえば、ズバリこいつ!
みんなだってそうだろう?



今日の1曲:『Rocket Queen』/ Guns N' Roses
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シクシクウェイクミーアップ(ビフォーユーゴーゴー)

2016年12月29日 | ♪音楽総合♪
訃報記事が続きましてあれですが・・・・・

ジョージ・マイケルが死んでしまった。
しかも12月25日に・・・・

ほんまにラストクリスマスやんけ!!


いやいや、ラストというのは「去年の」という意味であって「最期の」という意味ではないのですよ。
なんて野暮なことは言いっこなし。
そんなことぐらいわかってますがな。
なんせこの曲が流行ってたのはわてが小学生の頃で家にドーナツシングルもありましたさかい。
ほならあなた会話の中でWHAM!って発音するとき、わざわざ「ワム!」ってでっかい声でいいまっか?
なにごとも臨機応変にいきましょうやって、論点がズレてる?

それにしても、アンドリュー・リッジリーからのコメントが気になるところではあるが。


まぁメタラーってのは、最近はそうでもないかもしれんけど、どうしてもラップという歌唱法を忌み嫌う傾向が強い。
私とてMCハマーや日本のテイノウヒップホップやミクスチャーなんかが流行り出した90年代初頭はけっこう毛嫌いしてた。
ラップに寛容になってきたのはレッチリの『母乳』がキッカケだったと思うが、私はメタルを聴く以前からある楽曲のおかげですでにラップには免疫がついていたように思う。

それがずばり「ワムラップ!(たのしんでるかい?)」だった。



小学生の頃から姉の影響でその頃流行ってた80'sの洋楽は嗜んでて、まぁワムなんかはマクセルのCMで「Bad Boys」がお茶の間で流れてたので、ジョージの作る耳馴染みのいいポップな楽曲と質のいい美声にはすぐに惹かれた。
姉が2nd『MAKE IT BIG』を所持していたのでそれも聴いていたが、私は後にレンタルした彼らのデビュー作『FANTASTIC』が大のお気に入りだった。




なんだろう、子供心にファンキーなノリに強く惹かれる嗜好があったのかもしれないが、この作品は彼らが明らかにブラックミュージックに強く影響されてるのが見てとれる。
全体的にはファンキーなカッティングギターとホーンセクションから成る楽曲が占めており、ジョージは若気の至りか、やたらウラ声のコーラス技で攻めているのがちょっとしんどくはある。
それでもギンギンのスラップベースで始まる「Club Tropicana」でみせるしなやかで流れるように歌うヴォーカリゼーションは、ジョージの持って生まれた研ぎ澄まされた歌の才能を感じずにはいられない。
そして、イギリス白人で当時としてはラップを導入するという大胆な試みは、ジョージが単なる流行りのポップアイドルシンガーではなく、懐の深い意欲的なミュージシャンであったことを窺わせる。
ラスト曲「Young Guns」でまくしたてるキレッキレのラップの絶妙な掛け合いはマジで痛快というほかない。

レッチリが2nd収録の「Nevermind」っていうアホな曲の歌詞の中で、コンプレックスからか「ジョージ・マイケルなんかほっとけよ」なんて揶揄するようなことを歌っているが、少なくともこの頃はどう考えてもジョージの方が優れていた。


さて、アンドリュー・リッジリーからのコメントが待たれるところである。




今日の1曲:『Young Guns(やりたいことをしようぜ!)』/ WHAM!
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手ブラジャケ

2016年11月02日 | ♪音楽総合♪

元IT BITESのギターヴォーカルのフランシス・ダナリーが27年ぶりに来日する。というかもうしてる。
今日から東京のみで3Daysのライブだ。

先日、自らがIT BITESの曲をリメイクするセリフカヴァー集をリリース。その名も『Vampires』。




3rd『Eat Me In St. Louis』の日本盤のみのボートラ曲をアルバム名にもってくるとは、やっぱ日本がターゲット?
だから、今回のライブもIT BITESの曲を演りたくるという内容のものらしい。
なぜかというと、今年でIT BITESが結成30周年を迎えるらしいのだ。
しかし、IT BITESを解散させて2009年の再結成にも加わらなかったやつが、30周年を勝手に祝ってライブを演るっていうのはどうなんだ?
でもファンにとってはこれほど嬉しいことはない。なんてったってフランシスが歌うんだから。
んで、肝心の現IT BITESメンバーは現在ほとんど分裂休止状態にあって音沙汰がないという。


フランシスの後釜としてジョン・ミッチェルが加わってからの新生IT BITESもいい塩梅で好きだし、7年前に来日した時も東京までわざわざライブを見に行った。
それでも私の場合、やはりフランシスがいた頃のIT BITESの方が遥かに思い入れがあるし、Voもフランシスの方がアクの強い独特の個性があって魅力的だ。
ただ、ジョンのさわやかVoからIT BITESを聴いた人は、フランシスのクセのあるVoに抵抗を感じる人が案外いるみたいだ。
要は「Underneath Your Pillow」などにみられるフランシスのトリッキーなコーラスをユニークで秀逸とは感じないのだな。


ならば、フランシス・ダナリーが1994年にリリースしたソロ作品第二弾『FEARLESS』を聴けば、彼の研ぎ澄まされたポップセンスと歌の巧さに気づくのではないか。

ソロ1stではまだまだIT BITESの頃のハードロック感を引きずってて、己のギターテクをひけらかすきらいがあり、サウンドも安っぽかった。
ところがこのセカンドで大変身。とにかく歌を非常に大切にしていて表情豊かに丁寧に歌い上げており、曲が実に洗練されていてバラエティに富んでおり、しかもオシャレ。
ミックスやサウンドも段違いにクオリティが高くなった。
そして時折卓越したギター技を程良くやり過ぎず切り込んでくる。
とにかく全体を通して非常に完成度が高いのだ。ハッキシいって捨て曲がない。


PVも作成されたポップ&キャッチーな「American Life in the Summertime 」。



個人的にはワウ&ダブのエッセンスがフンダンに取り入れられたシャレオツな「Fade Away」、本作でもっともハードに展開しフランシスが野太い声でダラしなく歌う「King Of The Blues」、そしてボートラ扱いであるがジェスロ・タルの名曲を別もんっちゅーくらいにシャレオツ&ユニークにアレンジした「Living In The Past」あたりが好き。


大学生の頃、軽音楽部に所属していたIT BITES好きのギター弾きのゼミ生にフランシス・ダナリーのこのCDを聴かせて貸してあげたところ、バンドで演ることになったらしく、私の『FEARLESS』は軽音楽部内でたらい回しにされた挙句、その2年後くらいにキズだらけのボロボロになって返ってきた、そんなほろ苦い思い出の詰まった名作である。


この辺のソロの曲は最終日3日の南青山MANDALAでのアコースティックセットのライブでひょっとしたら演ってくれるんやないかと。

ああ~~~っ!!フランシスに会いた~~~い!!



今日の1曲:『Fade Away』/ Francis Dunnery
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ブレアの森の選曲テープ(またはMD)

2016年05月28日 | ♪音楽総合♪
先日暗黒バーでの「13日の金曜日」というテーマで催されたDJ大会。
店のモニターには当然のごとく、映画『13日の金曜日』の映像が延々と映し出されていた。
まぁ暗黒系のメタルを好むメタラーというのは、やっぱゾンビものやスプラッター映画を好む傾向が強いというのは感じるが、私自身実はこの手のものが苦手。
基本ビビりだが、なにもゾンビやスプラッター映画が怖くてダメというのではなく、絵面がグロくてヴィジュアル的に好きじゃないのだ。
あと、“見せすぎ”なものにあまりホラーを感じないってのがある。
日本のホラー映画でも『リング』はほんとに怖くて好きだが、『呪怨』はテレビで見てそのお化け屋敷演出に「ドリフか!」と思ったもん。
やはり、H.P.ラヴクラフトの『ダンウィッチの怪』のように、“忍び寄る見えざるものの恐怖”ってのが一番怖い。チラ見せチラ見せで焦らされるあの怖さ。

今まで見たホラー映画でその究極形ともいえるのが『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』なのではないか。
今回のDJ大会で私がチョイスしたスロベニア産インダストリアル系のLaibachの「God IS God」、実は映画『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』のサントラからのナンバーだったりする。
厳格な宗教性、そしてその冷徹なデジタルサウンドは黙示録的な雰囲気を見事に醸し出している。

Laibach - God Is God



『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』(以下BWP)は、新感覚ホラームービーとして2000年頃に大ブームを巻き起こしたフェイクドキュメンタリー映画。
3人の学生がメリーランド州のブレア村の「魔女伝説」のドキュメンタリーを制作するため、その村の森に入って行ってそのまま行方不明となり、後に彼らの撮影したフィルムが発見され、そのフィルムをそのまま映画として上映するという設定の画像ブレまくりのフェイク映画である。
当時務めてた会社の映画好きの同僚とこの映画を劇場まで観に行って、鑑賞後お互い絶句状態で劇場から出てきたってゆーくらいなかなかのトラウマ映画だった。
その3年後くらいにデートした女の子はこの映画を今までで観た映画のワースト3の一本に挙げていた。
ほんでBWP大ヒットのあとから、日本の心霊スポットに潜入して行方不明になりました系のしょーもない青臭い若者向けビデオがレンタル屋の棚に蔓延りだしたっけ。
まぁこの作品も別に怖いというほどの内容ではないが、人間が徐々に極限状態に追い込まれる様がリアリルに映し出されており、なんかハッキリせぬままいや~~な残尿感を残して幕を閉じる感じが尾を引きずって後に色々な形になって頭に浮かび上がってくるという気持ち悪さがある。



ドキュメント撮影という設定なので、最後エンドクレジットで名状しがたくも気色の悪い効果音は鳴るものの、劇中歌などは一切ない。
そんな映画のサントラがあるというのは奇妙な話だが、このサントラ、実は森の入り口付近に乗り捨てられていた行方不明になったメンバーが乗ってきた車のカーステの中にあったオリジナル編集テープの中に収められていた楽曲群という設定。編集者はBWPメンバーのひとりジョシュ。なのでアルバム名は『JOSH'S BLAIR WITCH MIX』。

    


こういったお遊び心のきいた関連アイテムに、当時この映画に感銘を受けた私が思わず購入せずにいられなかったのも無理はない。
が、内容はちょっと薄味のインダストリアルな楽曲が中心で、注目に値したのは上記で紹介したLaibachとMeat Beat Manifestoくらい。
ジョシュとはあまり音楽の嗜好が合わないようである。


このサントラCDの他、BWPの大ヒットを受けてさまざまな関連書も刊行され、私も2冊ほど購入している。
興味深かったのが、『ブレア・ウィッチMANIACS』という解明本。
多くの著名人がBWPに文章を寄せており、中には水木しげる先生のご息嬢、水木花子さんの評論なども掲載されている。




中でも興味を惹いたのは、やはり日本怪奇幻想文学の権威、東雅生氏の文章。
東氏はこの映画BWPの大仕掛けのフェイク感は、アメリカの作家H.P.ラヴクラフトが自身の怪奇小説の中で考案した禁断の魔道書『ネクロノミコン』のリアルなフェイクアイテムを彷彿させると説いている。
『ネクロノミコン』に関してはラヴクラフト自身があたかも実在したかのようなもっともらしい由緒書きを遺しており、ついにはコリン・ウィルソンをも巻き込んで『魔道書ネクロノミコン』と題する一冊の奇書までが編み出されるに至ったことを紹介する一方、「魔女伝説」という中世アメリカの魔女裁判という黒歴史と密接に結びついてる欧米人特有の土着思想から、ラヴクラフトの『魔女の家の夢』を紹介している。
私自身この映画に魅力を感じたのは、この「魔女伝説」という部分に由るところが大きかったかもしれない。
禁断の地に踏みいった探索者の、そこに巣食うものどもの怒りに触れて極限状態に追い込まれてんのに、自分の身に災厄が降りかかる寸前までそれを記録にとどめておこうとする当事者の解しがたいジャーナリズム精神なんかも、ラヴクラフトの小説と相通ずるものを感じる。


あと本書でおもしろかったのが、『JOSH'S BLAIR WITCH MIX』にあやかって、“あなたが魔女の森に入るとき、持参する「ブレアの森の選曲テープ」”と題し、各著名人の選曲が紹介されている企画が大変興味深い。
ボアダムスの山塚アイ、少年ナイフの山野直子、Buffalo Daughterの山本ムーグなどのミュージシャンの他、和田ラヂヲ先生なんかもこの企画に参加している。

私も当時この企画に触発され、己が編集した『AMASHIN'S BLAIR WITCH MIX』を自作し、後にMD化もしている。
MD化したのは、MDしか再生できない車に乗っていたからだ。

テープの方は紛失してしまった。



選曲は以下の通り。昔こしらえたHPにコーナー作って掲載したもの。



これを当時BWPを一緒に観に行った同僚の家で流して聴かせたらかなりひかれた思い出がある。
今編集したら、もっと違ったセレクトになるんやろうな。
みなさんも是非(今となってはテーマが古すぎるかもしれんけど)。


今日の1曲:『Bkack Milk』/ Massive Attack
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錯乱のドライヴミュージック

2016年03月21日 | ♪音楽総合♪
ザ・カーズの6枚組BOXセット『THE ELEKTRA YEARS Ⅰ 1978-1987』を思わず購入。

最近この手のまとめてお買い得BOXはよく出てるが(私も昨年ソドムの5枚組のを買った)、本作はエレクトラ時代のアルバム6作品をリック・オケイセック自ら監修した最新デジタルリマスタ。
BOXの柄もちょっとオシャレ。ゆえに輸入盤ながら4000円とすこし高め。

MTVの洗礼を一身に受けていた小学生の頃にカーズはちょくちょく聴いていて、『HEARTBEAT CITY』がまさにリアルタイムで聴いていたアルバム(レンタルで)。
まぁその後中学校に入学と同時にメタル期に突入したため、カーズのアルバムを遡って聴いていくことはなく、後にベスト盤を中古で買ったっきりだった。
あと、ちょっとエッチなPVも小学生の頃の私には刺激的ですこし危険で大人の香りのする存在でもあった。
まぁザ・カーズってのは、「車と女」っていう男の典型的な欲望そのものをバンド名にしたってことなのかなと。




クリーントーンのシンプルなギターにフワフワとした宇宙的なキーボードがのっかり、リック・オケイセックのニューウェイブ感あふれるナヨっとしてニヒルな歌声が絶妙なケミストリーを織りなしていた最高にクールでポップなバンドとして、80年代ポップスに興味を失ってからも私の音楽嗜好の片隅に残っており、カーズは時々聴きたくなるバンドのひとつだった。
アメリカンポップアートな歴代ジャケも魅力的で、今回紙ジャケリマスタされたのをちょうどいい機会に、一気にアルバム作品を聴いてみる気になった。




で、ひととおり聴いてみて思ったことは、まぁカーズはベスト盤一枚もってりゃいいかなと。
あとは、リックの歌はニヒルすぎてずーっと聴いてると食傷気味になってくるので、時折故ベンジャミン・オールがリードVoをとる洗練された爽やかな歌がいいアクセントになってるなという事。
カーズの大ヒットナンバー「Drive」なんか、まさにベンジャミンが歌ったからこそあれだけメニーピープルの心に沁みわたる名バラードに仕上がったのだと。




あと、今回の6枚組BOXセットを購入して初めてわかったことがひとつある。
それは、私の大好きな曲「Tonight She Comes」はベスト盤にしか収録されてないってこと。
5月に発売予定の最新編集ベスト盤も買えってことなのか。





今日の1曲:『Tonight She Comes』/ The Cars
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ナルオヤジ

2016年01月24日 | ♪音楽総合♪
デヴィッド・ボウイの年始の突然の訃報は、今まで彼の音楽をほとんど通ってこなかった私にとっても、ちょっとビックリクリクリなニュースだった。
知ったのは11日NHKの21:00のトップニュースでだった。

私の周りでは、あまり年齢差のない姉を含め、ボウイを聴いてる者がほとんどいなく、まぁこれは世代的なものなんだろう。
かく言う私はこれまでの人生の中で、3度ボウイに関心を持ったことがある。

まずは幼少の頃のMTV全盛期時代。
「Blue Jean」のPVがオンエアされまくってて(あとCMソングも)、その時初めてデヴィッド・ボウイの名前を耳にした。

David Bowie - Blue Jean


まぁ小学生の頃だからして、この異様なナルシス映像には目を見張ったものの、ちょっとダンディすぎるボウイの歌い方とグラムロック然とした音楽性は、私の趣味とするところではなく、音源を入手するまでに至ることはなかった。
ただ、その存在感は絶大なもので、その頃は一風堂、沢田健二、「い・け・な・い・ルージュマジック」の忌野清志郎&坂本龍一、ボーイ・ジョージなど、女性のように自分の顔に化粧をほどこしていたオッサンがお茶の間を席巻していた時代。
それを考えると、デヴィッド・ボウイのヴィジュアルの衝撃と影響力ってのは、絶大なものがあったのであるなと。
そのナルシスト感は、後の日本におけるヴィジュアル系バンドの台頭に繋がっていき、挙句の果てにシャズナとかおかしなことになっていくわけだが。

「Blue Jean」を耳にしたちょうど同じ頃、金曜ロードショーかなんかで見た大島渚監督の映画『戦場のメリークリスマス』にビートたけし、坂本龍一などと共演した役者デヴィッド・ボウイの姿には強烈なインパクトを覚えたのを記憶している。
そもそも、ミュージシャンやコメディアンが主役級の演技をこなすということが衝撃だった。(まぁビートたけしに関してはたけちゃんマンやっていた頃なので、このシリアスな雰囲気の映画での存在感にはかなりの違和感を感じたが)
やっぱこの人はタダ者ではないんだと!




次にボウイに関心を持ったのは大学生の時。
これもまた映画キッカケなのであるが、私を震撼とさせた衝撃のサイコサスペンス映画『SEVEN』。
ラストの衝撃の結末の後、エンドロールのバックに流れるインダストリアルな音楽にビビっときたときだった。
エンドロールにデヴィッド・ボウイの名前がクレジットされてあって、なるほど、この苦手だったボウイの歌声でもこういった猟奇的なテーマソングの雰囲気にはもの凄くマッチしているんだなぁ~と。やっぱタダ者ではない!と。
そこでさっそくサントラをレンタルしたんだが、このボウイのエンディングテーマは(大人の事情か)収録されてなかったという。

David Bowie - The Heart's Filthy Lesson (Seven movie video)



デヴィッド・ボウイはマンガ界からも注目されていた。

和田ラヂヲ先生著『ロッキン・ラヂヲ』(『ROCKIN' ON』連載)より。



なんと!石森章太郎先生までもが、デヴィッド・ボウイのマンガを描いていた。



そして、ようやく私がボウイの音源を初めて入手したのが約二年前。
前作『The Next Day Extra』。



リリース当初からけっこう評判はよかったが、私なんかがどういう風の吹きまわしでボウイの作品なんかに手を出したのかというと、「Love Is Lost」のラップ音をフィーチャーしたちょっとアンビエントなエレクトロミックスヴァージョンの方をYOUTUBEで聴いて、これはけっこうサウンドの遊びがきいていてボウイ苦手な私でも楽しめるんじゃないかと。
で、「Love Is Lost」のエレクトロミックスは後にリリースされたエクストラディスクやDVDなどゴチャゴチャと付属したExtra Boxの方にしか収録されてないということで、すこし高値の『Extra』を思い切って購入した次第なのであるが、わりとオーソドックな感じの曲中心でそうでもなかったかなと。
ボウイの歌声に関しては、センチメンタルな部分はまだまだ苦手意識が否めなかったものの、シブさという観点ではなかなか楽しめる作品であった。
『Extra』の方に収録されてた「Born In The UFO」ってのは、ブルース・スプリングスティーンを茶化してるのか、マジなのか、多少の戸惑いも感じたが、最終的に思ったのは、やっぱこの人はナルだなぁということと、タダ者ではないなと。

Love Is Lost (Hello Steve Reich Mix by James Murphy for the DFA)


今日の1曲:『Love Is Lost』/ David Bowie
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Dead Man Tell No Tales

2015年12月31日 | ♪音楽総合♪
今年の年末はヒドいことの連続であった。悲惨といってもいい。
そしてダメ押しとばかりに、年の瀬にまさかこのような訃報を聞かされることになろうとは・・・
29日、ツイッターのトレンドのトップに「レミー」の名前が挙がったときには、「あ、もうそれしかないな」と確信した。
つい先月にフィルシーが61歳の若さで逝ったばかりだというのに・・・

レミー逝く。享年70歳。

今年フジロックに出演したレミー。
ライブ中ちょっと歌うのがしんどそうだったとは聞いていた。
だから、ひょっとしてこれが日本で見れるレミーの最後の姿になるのでは・・・って予感はなんとなくしてた。
で、今年フジロックまでモーターヘッドを見に行く決心をしなかったのは、大きな間違いだったんじゃないかと。




ま、それほど悲観に暮れてるワケではない。
あんな酒びたりの生活を送ってて(噂によると1975年以来シラフだったことがないとか)、70歳近くになっても毎年のようにアルバムを出し続け、老身にムチ打ってギグをやり続け世界を回っていた。
まだ生きていることの方が不思議だった。
思えば、死ぬ間際まで爆走ロックンロールを貫き人生を全うした人だと思う。
ただ、ライブを一度も見れなかったということだけが悔やまれるのである。


以前のモタヘの記事でも言っていたと思うが、最初にレミーのあの強烈なダミ声に出会ったのは中1の時に買ったHear ’n Aidのオムニバスアルバム『Stars』に収録されてた「On The Road」のライブヴァージョン。
当時この曲を聴いた時は「なんじゃこのギリギリの瀕死みたいなダミ声は」と拒絶反応を起こしたっけ。
その2年後、ちょうど発売された『Rock 'n Roll』を聴いて、まさにロックンロールでこのストレートな疾走感に一発でやられたのであった。
これ聴いてから教科書にモタヘのトレードマークのビーストやレミーの似顔絵を描きたくっていた。




そして、寺町京極にあったBLACKというバンド雑貨専門店で人生ではじめてバンドTを購入したのがこいつだった。



メタルやロックに理解のない母親にバレたらマズいと思って、棚の奥の方にかくしてたんだが、エロ本と一緒に余裕でバレてたという。
モーターヘッドの爆走ロックンロールは、思春期真っ只中の中坊の私にとってエロ本と同じくらい、危なくて刺激的な音楽であった。
そう、モーターヘッドはまさに私の青春だった。


昨夜は恒例の午後連の忘年会に呼ばれて行っていたのだが、その席に在学中は全くといっていいほど面識がなかった(一応)後輩のYが久方ぶりに顔を出しており、ジャケットを脱いだヤツのTシャツを見て思わず歓喜の声をあげた。

ウオオオーーーッ!!最終メンバーやんけ!!



残念なことに、午後連のメンバーの中にはモーターヘッド好きなど皆無に等しく、私が追悼とばかりにモーターヘッドの諸作品を準備していってもほぼ相手にされなく、いつものパターンみたいにアーティストの死をキッカケにその音楽に興味を示すなんてこともなく、絶望的な状況にあった。
そこに後輩YがモタヘのTシャツを着て現れ、私は一瞬救われた気持ちになったのであった。

ところがYにモタヘの話をふってみると、「いや、僕実はモーターヘッドは2曲くらいしか知らないんですよ」と・・・・・そこで話は終了。
その2曲とは、おそらく「Ace Of Spades」と「Overkill」であろう。



モーターヘッドは、ロックファッション的にあまりにもカッコよすぎるあのシンボルと、レミーの強烈な外見とキャラで、その知名度は日本ではAC/DCとタメをはれる程であろう。
ただ、モーターヘッドの音楽を真剣に好きな者はほとんどいないのではないか?
ツイッター上で訃報を嘆いてる人でも、実はYのようなのが案外多いのかもしれない。
私とてモーターヘッドの作品を熱心に買い求めていたのは高校生半ばくらいまでで、90年代半ば以降の作品はいっさい関知してこなかったというにわか者である。


80年初頭からリアルタイムでモーターヘッドを聴いてた人は、『極悪ライブ』や『Ace Of Spades』などをプッシュしはるかと思われますが、オリジナルじゃない頃から聴きだしたにわか者の私としましては、訃報を知った29日は以下の作品をレミーの追悼作に選んで聴いておりました。
当時よく聴いていたアルバム、そして今でもよく聴くのはこの2枚だからです。
今夜もこれらの作品を爆音で聴いて、極悪な気持ちで新年を迎えたいとおもいます。




ロックンロール!!

良いお年を。





今日の1曲:『Dead Men Tell No Tales』/ Motorhead
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ギルモアがここにいてほしい

2015年11月03日 | ♪音楽総合♪
仕事で忙殺されていた(というより書く意欲が出なかった)ため、約1ヵ月遅れとなった記事。

デヴィッド・ギルモアの9年ぶりの新作『飛翔』が届けられた。
特典テンコ盛りの豪華版とはいえ、えらい大そうな箱で送られてきた。
他の商品を頼んだ覚えもない。




大っきい箱の中身の正体はポスターだった(広告用ジャケ柄)。



このシールがいいね!



今作の豪華特典は、なんかいろいろスゴい。



ジャケのアートワークはヒプノシスのオーブリー・パウエルが担当。#2“自由への飛翔”の歌詞の題材となったジョン・ミルトン著『失楽園』第二巻の内容(英語のみ)が収録されたブックレットや、ギルモアの友人の描いた絵画のポストカードなど、わけわからんもんもいくつか放り込まれていたが、歌詞を提供した作家のギルモアの嫁さんやアルバムに参加した息子(Key)との写真や、本作のレコーディング風景などが掲載されてるブックレットや、DVDオーディオの他、リチャード・ライト最期?のスタジオセッション姿、ギルモアと嫁さんとの仲睦まじいインタビュー映像、PVなどが収録されたDVDは、ギルモア、フロイドファンにはおいしすぎるアイテムであろう。


ギルモアピック!たまらん!



前作『ON AN ISLAND』は、なんだか隠居して残りの人生を心穏やかに楽しみまっせみたいな老後的セッション感の否めない内容で、正直全部聴くのはしんどくて意識を失いそうになっていたが、今回はギルモアの音楽に対する意欲的な姿勢が楽曲やギターの音色にも顕れていて、全体的にバラエティに富んでおりメリハリがあって、なかなか退屈させない内容となっている。
イントロダクションの“午前5時の旋律”からギルモア節全開で、“And Them...”とか、故リチャード・ライトに捧げられた“天国への小船”(って、フロイドの前のアルバムジャケそのままやんけ)みたいな、少しフロイドとリンクするようなタイトルの楽曲も見受けられるが、やはりソロ作品ということで音楽スタイルの自由度が高い。
まぁおもくそジャズナンバーな#8“黄色いドレスの少女”はいい塩梅なんだが、ベタなタイトルといい、こういうのをギルモアが歌うってのはなんか畑違いな感じがして、聴いててこっちが恥ずかしくなってくる。


フランス国有鉄道の駅のホームのアナウンスで使われるジングルのメロディを聞いてインスパイアされて作ったという“Rattle That Lock”。
これがもし大阪駅だったら、たかじんの“やっぱ好きやねん ”のメロディがイントロに使われていたかもしれない。




現在ツアー中のギルモアだが、「あなたがここにいてほしい」、「Money」、「Us And Them」、「運命の鐘」、「天の支配」、「狂ったダイアモンド」、「デブでよろよろの太陽」、「時のない世界」、「Run Like Hell」と、フロイドナンバー連発とのこと。

そして、ギルモアから日本のファンへの気になる異例のメッセージが!!
これはひょっとして、ひょっとするぞ!



・・・う、う~ん、これだけじゃなぁ・・・・・

でも私はこう願うのである。

ギルモアが日本にきてほしい。

今日の1曲:『狂気の世界』/ David Gilmour
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AMASHINレコード大賞 2014 圏外&論外編

2015年03月06日 | ♪音楽総合♪
2014年ベストアルバム発表ついでにシングル部門というか、TUNE単位で10曲選ぶという新たな試みに挑戦しようかと思ったんだが、10曲も選ぶの面倒なんで、ベストアルバムからは外れてしまったけど、何曲かはドストライク!!ってな作品もけっこうあったんで、それらをテキトーに紹介しようかと。

 
Aphex Twinの13年振りの復帰作『SYRO』なんかは店舗で1曲目を試聴して、その驚異的なサウンドスケープに思わず即買いしたのだが、ちょっと私には全体的にアンビエント過ぎたかと。
SUBMOTION ORCHESTRAなるUKダブバンドの新作『ALIUM』も店舗のBGMで流れてるのを耳にして自分好みの作品だと思って手を出してみたが、家帰って何回聴いても皆目頭に入ってこうへんという昨年一番のヘタこきアルバムで、改めて試聴買いの難しさと自分の直観力の衰えを痛感する。

Aphex Twin - 『minipops 67 [120.2][source field mix]』



昨年注目を集めたTOFUBEATSは、森高千里の歌がフィーチャーされた“Don't Stop The Music”がすこぶる気に入ったので思い切ってフルレンスを購入したが、森高の曲以外は全くといっていいほどハマらなくて思わずCDを叩き割りそうになった。

tofubeats - 『Don't Stop The Music feat.森高千里』 



前作から約1年で早くも新作を完成させたきゃりーぱみゅぱみゅの『ピカピカふぁんたじん』は、まぁ全体的に悪くはないのだが、あまりにもふぉんわかパッパーしすぎなきゃりーの歌を聴いてると、こっちの頭が悪くなりそうであまり頻繁に聴くのを避けてしまった。
個人的にきゃりーのガーリーなヴォーカリゼイションの元祖的存在(ただ、こっちはホンモノの天然不思議ちゃん)としている小島麻由美がひっそりとリリースしていた『ON THE ROAD』も、本人描くジャケのかわゆらしさに10年振りくらいに新譜を購入してしまったが、相変わらずのこじまゆ節は健全ではあるけども、もはやアイデアが枯渇した感は否めない。




あと、昨年はハコものをようけ購入したような気がする。アーティスト側が5年、10年ごとに周年盤を連発するもんだから、なんや色々特典が付属して(ええ値段するわりに内容はたいしたことない)かさばってしゃーない状態に。




人間椅子と電気グルーヴは両者同時25周年を迎えており、デビュー時期が一緒やったことを初めて知った。
両者とも学生時代から仲の良かった2人がグループを支え続けており、ずっとブレずに好きなことやってきてこういった息の長い関係を保てるのはほんと羨ましい。
電気グルーヴはさすがジャケやアナログ盤など特典アイテムとかシャレがきいてて相変わらずのセンスの良さを感じる。楽曲も秀逸。
資金力の差もあるだろうが、人間椅子ももうちょっと彼らを見習ってほしい。

電気グルーヴ - 『Baby's on Fire』



一方、Perfumeはメジャーデビューシングルから数えて20枚目となる記念すべきシングル『Cling Cling』を“おっきいハコの中仕様”という豪華3DフォトジャケBOX仕様でリリース。
40ページにわたる豪華フォトブックレットは、単なるPV撮影時のショット。ド派手なジャケ及びハリウッド仕立てのPV内容含め、豪華さばかりが先行し、Perfumeの普段のクール&ビューティなイメージからはずいぶんかけ離れてしまった残念な内容。タイトル曲もイマイチ好きになれない。案の定中古屋にもかなり出回っている。
唯一の収穫だったのが、パナソニックの4K VIERAのプロモーションとして共同開発で作られた、彼女たちの正確無比なるダンステクが可能にした驚異的映像も秀逸な「DISPLAY」。

Perfume - 『DISPLAY』



なんやエレクトロ系ばっかりになってしもたな。


今日の1曲:『TREE OF SUFFOCATING SOUL』/ TRIPTYKON
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AMASHINレコード大賞 2014 

2015年02月26日 | ♪音楽総合♪
2014年ベストアルバム発表おくれやしてごめんやしておくれやす~うピヨピヨ!
これまで一月中には絶対間に合わすことを心がけていたんですが、年賀状出したのが一月末になってしまうほど齢を重ねるごとに何事にも億劫になってしまった今日この頃今日子とネンゴロ。
めっきり新譜を買わなくなって年々選出作業が困難にはなっているんですが、それでも昨年買った新譜は10枚を越えました。
ただ、あまり豊作とは言えない年でしたね。その中から消去法で残ったのがこの5枚といったところでしょうか?いや、みんなそれなりに気に入ってますよ。


第一位:『ナマで踊ろう』 / 坂本慎太郎

2位の上原とどっちを一位にするかかなり迷った。どっちが全体的にスマートなデキか、ジャケがいいかの総合評で軍配があがったのが坂本くん的終末思想ポップコンセプトアルバムというべきソロ第2弾。
何も考えなくても(考える必要がない)坂本くんの素朴なメッセージ、キャッチーなメロディ、サイケデリックな虚無感、そういったものが、スティールギターの音色とともにゆる~りふわ~りと頭の中に入ってきて、脳内はもうトコロテン状態。
哲学者ぶった気どり屋インテリロッカーや、小難しい文学や偉人の言葉を拝借してわかったような口ぶりで謳歌する押しつけがましいシンガーソングライターよりも、坂本くんの紡ぎ出す独特のフレーズは美しく頭にスッと入ってくる。
「シンプル・イズ・ベスト」なんて言葉で持てはやされているアルバムってゴミ程あるが、そういうのは坂本くんくらいのセンスがなければただの平凡で退屈な音楽ですよ。
坂本くんはそこに実にユニークなギミックをフンダンに取り入れて我々の耳を楽しませてくれる。それもやりすぎず、ちょうどいい感じに。

ナマで踊ろう



◆第二位:『ALIVE』 
/ Hiromi THE TRIO PROJECT feat. Anthony Jackson & Simon Phillips


上原ひろみ&アンソニー・ジャクソン&サイモン・フィリップスの日米英の先鋭たちが繰り広げる、前代未聞の超絶インプロヴィゼイションユニットプロジェクトの第3弾。
正直、始めは全くハマらなくて2~3ヵ月放置状態だったが、ある日突如難解頭脳パズルゲームが解けるように頭に入ってくるんだから、このトリオはあなどれないやめられない。
1曲の中で何度も転調し、ハンパなく凄まじい変拍子の嵐、ドラマティックにして美しい展開、そして転がるように流れるひろみちゃんの運指が織りなす音色の心地よさったらない!
楽曲のデキで言うならば1st『VOICE』も本作とタメをはれるくらい好きだが、やっぱ回を重ねる度に3人の阿吽の呼吸がピタリと合ってきており、その3人のフリージャズ的インプロ展開が難解で最初とっつきにくい部分でありながらも、本作を飽きさせない要素となっている。
あとレコーディング環境が向上したのだろう、各楽器の木目細かな音ひとつひとつがよりクリアに響きてきて、イアホンで聴くと我が聴覚をこの上なく楽しませてくれる、まさに極上の音のオールレンジ攻撃が脳内で繰り広げられるのだ。この3人は木星帰りか!
ELPやドリームシアターなどのプログレバンドとの類似性を指摘するリスナーもいるが、決定的に違うのは、彼女が筋書きのつかめない構築されたインプロヴィゼイションを武器にしていることであろう。(あと、いらんヴォーカルがない)そういう意味では彼女が影響を受けたバンドに名前が挙がってくるキング・クリムゾンなどの方が本質的には近い気がする。
しかし、近年ここまで聴き込み甲斐があり、何度も繰り返し聴きいてこれほど楽しめる作品はちょっとない。

ALIVE



◆第三位:『HOTEL VALENTINE』 / CIBO MATTO

バイリンガールズ(つかもうほとんど向こうの人?)ユカさん&ミホちゃんのユニットチボ・マットの約17年振りの意欲作!
というか、ミホちゃんが「女の子の幽霊が徘徊するホテル」というコンセプトテーマを思いつき、単にハウスキーパー(客室係)のコスプレがしたくて気まぐれに再結成し制作したアルバムとのこと(ボートラではホテルのフロントマン役もこなす)。
正直チボ・マット解散後のミホちゃんのソロ作品にはそれほどハマらなかったが、このブランクを全く感じさせないチボ・マットの新作には見事ハマった。
やっぱこの2人が組むと、結成当時の若かったころの女の子ならではのユニークなインスピレーションが自ずと生まれるのかもしれない。
2人のセンスがよく感じれたのは、エレベーターが降下していく数え歌から始まる#8.「Lobby」。女の子の幽霊がホテル内を徘徊するかのようなSE効果、そしてミホちゃんのウィスパーヴォイスが怪しく語りかけるというこの演出は、聴いてて本当に背筋がゾクゾクしてきて寒イボ楽しい。こういったユーモアの利いた音響アレンジがほんとうに秀逸。
オシャレ&クールな音楽性の上、このお茶目な遊び心がチボ・マットの真髄なのだ。

DEJA VU



◆第四位:『プランC』 / Cocco

Coccoは本来感情で歌う歌手なのであるが、本気出すと実に巧みに歌い上げることもできる。それがこの本作に顕れた感じ。
今回も前作同様Coccoセルフプロデュースなのであるが、前作のような「琉球」をテーマとする守備一括したコンセプチュアルな作品とは違い、ただ、もう自由奔放テキトーにCDに詰め込んだ良く言うとバラエティに富んだ、悪く言うと実に一括性のない小ネタ集的作品である。
個人的に知人に捧げたような楽曲が多く、そのため粗相がないよう丁寧に歌い上げることに努めているきらいがあり、女優業を経たためか、かなり演出がかった感じもする。
で、この作品が最後になんの?せめてツアーはやってくれ。

『ジルゼの事情』劇中歌 ドロリーナ・ジルゼ



◆第五位:『A WORLD LIT ONLY BY FIRE』 / GODFLESH

元ナパーム・デスのジャスティン・ブロードリック(あの2秒の曲「You Suffer」でギターを弾いてる張本人だ!)が、引退状態にあったG.C.グリーンを説き伏せて2010年に再始動した激重インダストリアルユニットGODFLESH。2012年には奇跡の初来日を果たし、私はそれを目撃している。それは想像をはるかに超える凄まじいライブであった。
そして本作は約13年振りとなる新録である。
どこまでも冷酷で重い歪んだリフを刻み続け、咆哮するジャスティンのスタイルはデビュー当時となんら変わらない。今回はベンのガリガリというよりグリグリと神経をエグるかのような重低音で響いてくるベースがやたら耳を惹く。生ライブでも彼が刻むベースラインが会場全体にとてつもないグルーヴ感を生みだしていたのは実体験済みである。
本作を聴いて、またしても生演奏によるあの渦巻くような重圧サウンド&ビートに、骨の髄までグチャグチャに打ちのめされたいという不埒な情念が疼き始めるのである。
再来日求む!!

Imperator


今日の1曲:『モビー・ディック』/ 小島麻由美
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ド・ド・ドリッパーズの・・・

2014年08月17日 | ♪音楽総合♪
結局サマソニ参戦を決意してしまったわけだが。
もう、ロバート・プラントが近くにくるという誘惑に負けてしまいましてねぇ。
もちろんツェッペリンの曲を期待してるわけだが、今回のROBERT PLANT AND THE SENSATIONAL SPACE SHIFTERSという、ようわからんこのプロジェクト。YOU TUBEでチラとライブ映像を拝見したが、ツェッペリンのダイナミズムとはほど遠いなんだかアコースティッキーなバンドで、この感じで“アキレス最後の戦い”をやられてもなぁって気もする(やらんだろうけど)。

あと私が聴きたいのが、ハニードリッパーズの“SEA OF LOVE”。
ハニードリッパーズは、ロバート・プラントが1984年に立ちあげた、まぁロバートのソロプロジェクトみたいなもんで、多分彼が若いころに影響を受けまくった50~60年代のアメリカのロカビリーなどのクラシック・ロックをやりたくて始めたんだと思う。

全曲カヴァー5曲入りの『VOLUME ONE』というミニアルバムを発表しているが、『SKULL THRASH ZONE VOL.1』同様、『VOLUME TWO』はいまだ発表されてない。
この作品に参加してる面子がまた豪勢で、ジミー・ペイジにジェフ・べックにナイル・ロジャース。
この作品のうち、フィル・フィリップス &ザ・トワイライターズのカヴァー“SEA OF LOVE”が全米3位のヒットを記録した。

この曲との出会いは私が小学生高学年のとき。その頃は洋楽ポップスとかが流行ってて、MTVでも“SEA OF LOVE”のPVがしょっちゅう流れとった。
このPVでロバートがドリフ風コメディに挑戦している映像は貴重。
後ろの海パン姿のオッサンがマリンバ叩きそうでなかなか叩かない仕草がまたいい。

もちろんその頃の私はこのクリクリブロンドの目つきの悪いオッサンがロバート・プラントだということは知らなくて、まぁツェッペリンすらまだ未知の存在であった頃である。
でもマセガキだったあの頃、なぜだかツェッペリンの彼からは想像もつかない太くて甘~いヴォイスで歌い上げるこの夏物ラブソングに魅了されてしまった。
この曲を聴きながらクラスの好きな女の子とのチークダンスでも妄想していたのだろうか?

今聴いても色褪せることのない普遍的名カヴァー曲。
今の季節にもピッタリやし、お願い!やってくれくれくれくれくれ・・・・・



今日の1曲:『Sea of Love』/ The Honey Drippers

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漆黒の巨匠落つ

2014年05月18日 | ♪音楽総合♪
スイスの画家、デザイナーのH・R・ギーガーさんが、先日自宅にて逝去された。
階段からの転落死とは、なんともあっけない・・・・享年74歳。

ギーガーといえば、世間一般的には映画『エイリアン』のクリーチャーデザインを手掛けたデザイナーとして知られているんだけど、私のような音楽好きメタラーにとってはやはり、セルティック・フロストやEL&Pのジャケットデザインを手掛けた画家としての方が馴染み深い。

私が最初に彼の画に出会ったのは中学生の時、中古レコード屋で見つけたCELTIC FROSTの『TO MEGA THERION』のアナログ盤だった。
当時下劣なものに恋い焦がれ、サタニックなものに傾倒していた私は、ギーガー描くこの冒瀆的なジャケに一目ぼれし、即レジに持っていったのを今でも覚えている。
アルバム内容も、ジャケットから醸し出される邪悪極まりない暗黒世界を見事に表した内容で、ジャケがややひび割れした劣化盤ではあったが、実にいい買い物をしたなと思った。


つっても、これはべつにギーガーがセルティックのアルバムのために画き下ろした絵ではなく、同じスイス出身であるフロントマンのトーマス・ガブリエル・ウォリアーがギーガーの家の近所に住んでいたらしく、アートワークをジャケットに使いたいと彼にデモテープを送ったところ、音源を気に入ってか、ギーガーから「どれでも好きなのをタダで使っていい」という快い返事が返ってきたという話は、セルティックファンの間では語り草となっている。

この絵の原題は『サタン Ⅰ』というらしいが、中央に描かれているキリストを棹にしたパチンコ(スリングショット)をかまえ、こちらを睨めつけるサタンの目があまりにもおぞましく(LPサイズだとなおさらだ)、今でも直視するのが怖い。
なお、セルティック脱退後、トム爺が新たに結成したTRIPTYKONのジャケ画にも再びギーガーのアートワークが起用され、その彼の暗黒画があしらわれた2nd『MELANA CHASMATA』は先月リリースされたばかりであり、トム爺とギーガーとの親密な交友関係は、つい最近まで続いていたことが窺い知れる。

    

トリプティコンは、セルティック・フロストのラストアルバム『NOMOTHEIST』で打ち出したズルズルと引きずるような陰鬱で暗澹たるドゥーム色の強い音楽性を引き継いだようなバンドで、ギーガーの描くウットリするような耽美的暗黒世界をまさに音で具現化したといってよい。
今回の『MELANA CHASMATA』も、その延長線上(女性コーラス多め)をいく良品である。


さて、プログレッシヴ・ロックに傾倒し始めた高校時代を経て、次に私がギーガーの画に遭遇したのは、浪人時代に近所のTSUTAYAの中古CDコーナーで見っけたエマーソン、レイク&パーマの作品『恐怖の頭脳改革』だった。
これはセルティックとはちがい、アーティスト側に依頼されてからギーガーが画き下ろしたものであることは、下部にELPのロゴマークがあしらわれていることからも察せられる。
私が当時購入したのは、旧規格盤のなんの仕掛けもないものであったが、近年紙ジャケリマスターで買い直したものはちゃんとLPジャケットを再現して観音開きになり、中からジャネット・ジャクソンみたいなドレッドな女性の顔が出没する仕組みとなっている。




CARCASSの『HEARTWORK』の造形デザインもギーガーが手掛けているのだが、発売当時は全く認識していなくて、最近もちょっと忘れていた。
『HEARTWORK』がギーガーのデザインであったと気づいたのは、学生時代に本屋の洋書コーナーで購入したTASCHENが刊行したギーガーの画集でだった。
その『HEARTWORK』の元と思われる造形の写真が掲載されていたからだ。




あと、私としてはギーガーとラヴクラフトやクトゥルー神話の関連性についても大いに気になるところである。
なにせ、『ネクロノミコン』なるギーガーの画集が2巻も敢行されているのだから!

このバフォメット神の表紙は、国書刊行会刊行の『定本ラヴクラフト全集』のカヴァーにも起用されている。


『エイリアン』の監督リドリー・スコットは、本書の中に描き出されたギーガーの驚異的な暗黒画をみて、「未曽有の宇宙生命体の完璧なプロトタイプ」を発見したのだという。
ということは、みんなの知っている映画『エイリアン』も、実はクトゥルー神話がベースとなっていると言えなくはないか!


スイスにあるというギーガー・バーにも、死ぬまでに訪れたい。

R.I.P. H.R.GIGER






今日の1曲:『Boleskine House』/ Triptykon
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ゆかさんミホさん、再び。

2014年04月13日 | ♪音楽総合♪
本田ゆかとハトリミホによるガールズユニットCIBO MATTOが、今年になって15年の沈黙を破り新作『HOTEL VALENTINE』をリリースした。
私は後追いだが、お気に入りの女子ユニットだったのでもちろん躊躇なく購入。

2011年のアメリカで行われた東日本大震災の被災地支援チャリティーライブイベントでチボがライブ復帰したという情報を得て、新譜を出すことまでは予想してなかったが、これはひょっとしたら日本でもライブやってくれんちゃうかなーっと密かに期待してたんだが。
彼女らはもちろん生粋の日本人だが、デビュー当時よりアメリカを活動拠点としており、日本ではあまりライブをやってくれてない印象がある。
チボ・マット解散後、本田ゆかさんはソロやオノ・ヨーコのアルバムのリミックスを手掛けたりと、プロデュース業を中心に活躍し、ミホちゃんは、デーモン・アルバーンのプロジェクトGollirazに参加したり、スモーキーとタッグを組んでワールドミュージック的な音楽をやったりと、やはり海外中心の活動をしていて、日本ではあまり目立った情報は入ってこなかった。
そして、それぞれ大物ミュージシャンとのプロジェクトで数々の経験を積んで、満を持して(って待たせすぎー)彼女らが再びタッグを組んだんだから、否が応でも期待しちまうってわけですよ。


前半からかなりいい感触を受けた。ああ、ハトリミホちゃんの研ぎ澄まされたあのキュートな歌声はいまだ健全だなって安心した。
とくに、#3「10TH FLOOR GHOST GIRL」なんてミホちゃんの魅力が爆発しており、ドストライクって感じ。



全体的には1st『VIVA! La Woman』の感覚を意識した仕上がりで、#2「DEJA VU」の構成やミックスなんてモロである。
当たり前だがサウンドプロダクションはそれなりに向上しており、昔みたくツギハギ的な、いい感じのドラッギーなチープさはない。プログラミングも木目細かに作り込まれていて洗練されている。まぁこの辺は機材の発展によるところが大きいのだろう。
ただ、技術が進歩しようがチボ・マットの遊び感覚のウィットに富んだ楽曲センスは昔のまま。
本作は、「ホテルの廊下を忍び歩くゴーストとのラブストーリー」という、二人がイマジネーションで作った映画であり、その(映像の存在しない映画の)サウンド・トラックのようなものをコンセプトにしているとのこと。
昔は自由奔放に食いもののことしか歌ってない印象が強かったが、テーマも少しオシャレになって、ああ、彼女らも大人になったんだなぁって、それが少し寂しい様な。
1st聴いたときも思ったんだが、私はミホちゃんのウィスパーヴォイスよりも、キュートかつ破天荒なラップの方が好きなので、後半のダラダラした感じは正直退屈だった。
アクセントとして「BIRTHDAY CAKE」みたいなパンキッシュな楽曲も聴きたかったと思うところだが、あのような曲は当時の若い感性だからこそ成立した曲で、もう彼女らも熟女と呼ばれる年齢に達したのだし、そういうの要求するのはヤボってもんだ。オメーだっていい歳のオッサンだろが。


あと、日本盤には、2曲のボーナス・トラック「FRONT DESK」「PARTY TIME FEELING」が収録されている。
「FRONT DESK」は客とホテル従業員との電話でのやりとりのコントだが、本田ゆかさんが日本語でしゃべる声が聴けるのはかなり貴重。ミホちゃんのやる気のない接客もグー。
「PARTY TIME FEELING」だが、この作品には、坂本龍一や小山田圭吾らがゲスト参加してるってのを聞いていて、本作に対する期待度を高くしていたのだが、サウンド面ではなく、この曲でのバックから聞こえてくる飲み会コントのしゃべり声で(これがけっこうザーとらしい)参加してはるだけやったんね。


つーか、いつの間にかチボ・マット来日公演決まってたようで。しかも来月って、急すぎるやろ。
平日の恵比寿のみとかムリすぎる・・・
http://www.creativeman.co.jp/artist/2014/05cibomatto/

あと、盆にもくるそうで。これまた東京ブルーノートのみで、この時期の遠征はちと厳しすぎる。
ついでにサマソニ参戦とかありえそう。
http://www.bluenote.co.jp/jp/artists/cibo-matto/


おしい・・・





今日の1曲:『MFN』/ CIBO MATTO
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AMASHINレコード大賞2013

2014年01月22日 | ♪音楽総合♪
ようやく2013年俺ベストアルバムを発表できるメドがつきやした。
「もう、だいたい予想ついとったわ!アンタの近年の好きなアーティストと、昔から好きなアーティストのジャケットと映像貼り付けてひとりで喜んどるだけでっしゃろ!?」と、言われても仕方のない今回のベスト結果と相成ったわけだが、しょせん個人ブログのベストなんだからそんなもんです。
なんか『MUSIC MAGAZINE』の影響モロ受けてない?と思われてそうな気もするが、私はあの雑誌の編集者とはほとんど気が合いそうもないし、全くのお角違いのカングリモングリだと言っておこう。


第一位:『LEVEL 3』 / Perfume


それにしても、大ブレイクしてからすでに6年以上たというというのに、彼女たちは全くPerfumeを辞める気はない。
それは、本人たちこそが一番Perfumeを好きで大切にしているからとしからなのだろう。
そんな3人だからこそ、中田ヤスタカ氏もハイクオリティな楽曲を彼女たちに提供し続けるのだと思う。この人も世間に全く迎合することをしない変人としかいいようのない天然のプロデューサである。常にクリエイティヴであることを心がけているというか。音楽以外は全く干渉しない両者の距離感もいい。
今回、彼のサウンドクリエイター且つメロディメイカーとしての技倆と、3人の持つ不可思議な和声が見事なまでに結実開花した楽曲といえば、#4“Clockwork”、そしてラストの“Dream Land”であろう。
大仰に感情を込めてビブラートをきかすでもないのに、感情を揺さぶられる彼女らの醸すこのなにげない旋律・・・・
自己主張ではなく、調和。それがPerfumeの洗練された世界観を生み出している。




◆第二位:『なんだこれくしょん』 / きゃりーぱみゅぱみゅ


ヤスタカプロデュース作品が連続しますが。まぁ長年の功績を称えPerfumeがエコ贔屓票で一位となってしまったが、作品の完成度ではこの『なんだこれくしょん』もまったく退けをとってはいなかったと思う。むしろ勢いはこっちの方が上かと。
きゃりーの声の魅力は、案外本作収録の沖縄民謡風の“のりことのりお”(auのCMのあれね)にあったかと。こういったほんわかソングをゆる~く個性的に歌えるってのはやっぱ持って生まれた才能だと思う。
あときゃりーのキャラをどういう目線で捉えるかということであるが、まぁアイドル的見方も可能だとは思うけど、やっぱ彼女のスタンスはアイドルではないと思う。PVを見てもわかると思うけど、きゃりーの世界観は大阪モード学園的発想の自由さがある。奇をてらった鼻息の荒い近年のアイドルの手法ではなく、肩の力を抜いたゆる~いポップアート性があるのだ。
だから、みんなもゆるキャラとかばっか追っかけてないで、ゆるきゃりーを聴きなよ。

にんじゃりばんばん



◆第三位:『Target Earth』 / VOIVOD


本作は、オリメンベーシストのブラッキーもバンドに復帰し、いろんな意味でVOIVODの復活作といえる。
もう終焉を迎えんとしていたVOIVODに、今回再び活力を与えたのは、間違いなく新ギタリストのダニエル・モングレイと言ってさしつかえないだろう。10年前もバンド解散の危機をメタリカを抜けたジェイソン・ニューステッドがそのピンチを救うなど、ほんとVOIVODってのは周りが辞めさせたくない何かを持っているのだろう。
最初モングレイのVOIVODごっこ感が否めなかったが、Martyrからの己のテクニカルなエッセンスも随所にちりばめ、さらに進化したVOIVODワールドがカオティックに展開している。
しかし、復活してもサウンドが今風になったり、本来の個性を見失うバンドが多い中、デビューからほとんど売れなくて、メンバーチェンジなどで紆余曲折し、曲作りの要であったメンバーを失いながらも、VOIVODらしさを全く損なわず、時代に適合せず進化することを辞めない、こんな生命力の強い矛盾したバンドはおそらくVOIVODくらいなのではないか。

Target Earth



◆第四位:『The Next Day Extra』 / David Bowie


2013年購入したCDの中で、一番の冒険作だったんじゃないかなぁ。
ここにきてデヴィッド・ボウイである。長野生まれスラッシュメタル育ちのこの私が!
ただ、本編がさほど気にいったというワケではなく、昨年11月にリリースされた『Extra』の楽曲の方にひどく感銘を受けたのであるが、それを足しての総評の順位結果と捉えていただきたい。
まぁもっとアンビエントな音世界を期待していたのだが、割とオーソドックスなロックンロールを奏でていらっしゃった。
しかし、デヴィッド・ボウイに感心持ったなんて、『戦場のメリークリスマス』以来であろうか?
とにかく渋いの一言につきるが、詳しいレビューはまた改めてしたいと考えております。

The Stars (Are Out Tonight)冒頭の渋いインストは『Extra』に収録。



◆第五位:『萬燈籠』 / 人間椅子


海外某メタルサイトでは、「日本での人間椅子に対する過小評価は犯罪レベル」などとレビューされているのだそうだ。
そんな犯罪者天国の日本でも、昨年のオズフェスト出演効果は今年に入ってもとどまることを知らず、今月のO-EAST(1300人規模)でのライブは満員御礼という、過去最大の動員数を記録したとのことだ。いや、おめでとう!
この年代モノのワインのごとき熟したハードロック的味わい深さと、和の情緒が合わさった人間椅子の不可思議な音楽性の魅力にまだ気づかない者は、一生犯罪者のレッテルを貼られたままでいることを覚悟したほうがいい。
まぁ本作は、倦怠気味だったここ最近の作品と比べて、一歩抜きんでたヘヴィメタリックな作風に仕上がったが、突然の人気に慢心することなく、さらなるレベルアップを目指して、古参の椅子ファンをも「エパダだ!」と言わしめるほどの怪作を期待したいところである。

黒百合日記



今日の1曲:『死者より』/ 坂本慎太郎
コメント (4)
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