AMASHINと戦慄

~STARLESS & AMASHIN BLOG~
日々ブログレッシヴに生きる

CCCD

2022年09月11日 | プログレッシヴ草稿
Porcupine Treeの13年ぶりの新譜『CLOSURE / CONTINUATION』の音源をようやく聴いた。


この13年間、ずっとソロ活動に専念してきたスティーヴン・ウィルソンだったが、昨年あたりに「みんなが期待していないところでアルバムを出すかもしれない」と公言していたが、それを言った時点でみんな期待するでしょと。

そして、長期に渡るキング・クリムゾンツアーからようやく解放されたギャヴィン・ハリソンが戻ってきて、今年の6月、満を持して『Incident』以来となる待望の新作リリースに至ったといったところだろう。

先に聴いてたロック仲間の二人は両者口を揃えて「今回のはイマイチ」という評価を伝えてきたが、まぁひとりは「オマエ今までPorcupine Treeのことなんか全然口にしてなかったやないけ」みたいな受け売り追従腰巾着みたいなヤツなので参考にはならなかった。


で、何回か聴いたところ、「最高!」とまではいかないものの、「イマイチ」という要素は見当たらなかった。
良くも悪くも、“静”と”動”が交差する、いつものPT。
いわゆるプログレメタルとは一線を画す、手数、複雑さだけに留まらないウィルソンのグランジ、オルタナ、トリップホップからの影響を感じさせる多様なる楽曲センスと、職人肌の緻密なサウンドプロダクション。
そして、この人が叩くだけで楽曲が2割も3割も高質(硬質)感が増すギャヴィンのドラミングも相変わらず最高で、最後まで全然楽しめる内容。


なんか、役者だけが出てるしょーもないオフィシャルMVなんかも作ってるが、スタジオセッション(風MV?)映像も公開されているのでこちらを貼り付けておく。



ライブではサポートメンバーが何人かつくが、レコーディングはやっぱ3人だけでこなしてるんやね。
これを観てると、Porcupine Treeって、ウィルソン60%、ギャヴィン40%、バルビエリ(元JAPAN)10%で成り立っているような気がする。


メタル好きには物足りないウィルソンの洗練された透明感のある歌、そしてSE的役割のバルビエリの作り出すエレクトロっぽい音空間が秀逸な、こういった楽曲もPTならでは。




まぁ確かに以前の作品と比べて、アルバム全体的に少しコンパクトにまとめられ過ぎたかなとは思うが。
そこが友人に「イマイチ」と感じさせた要素なのかもしれない。


トータルも47分と、プログレバンドにしては短く、それ故にテープ盤もリリースされたのかと。



あ、記事タイトルまぎらわしいですが、コピーコントロールCDではありません。
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支援&コレクター

2022年08月07日 | プログレッシヴ草稿
なんと、ピンク・フロイドが 28年ぶりに新曲をリリースした。

1994年のアルバム『対 (TSUI) / The Division Bell』以来の新曲である。
(2014年のラストアルバム『永遠』は、『対』の素材の音源を使って構成されているため、それは省かれている)




この曲をリリースするきっかけとなったのは、そう、今年2月からのロシアによるウクライナ侵攻により、ウクライナ市民に多大なる犠牲者と甚大な被害が出ていることから、デイヴ・ギルモアがピンク・フロイドのプロジェクトとして動いたのだ。
聞くところによると、デイヴの今の嫁さんがウクライナ出身で、義理の娘と孫がウクライナ人なんだとか。
そら動かずにはいられなかっただろう。


新曲は「Hey Hey Rise Up」という曲で、ウクライナの人々を支援するため4月にデジタル配信された。
で、今月完全生産限定のCDおよび7インチアナログ盤もリリースされ、配信と同様に、本盤の売上の収益はウクライナ人道支援募金へ寄付されるとのこと。
うん、これは全世界のフロイドファンの食指も動かずにはいられないだろう。
なので私もウクライナ支援&フロイドコレクターズアイテムの名目でアナログ盤を購入した。

日本盤のみクリアヴァイナル。



新曲には、ニック・メイスン、そしてピンク・フロイドのベーシストを長く務めたガイ・プラット、キーボードにはニティン・ソーニーが加わり、故リチャード・ライトの娘ガラも参加しているとか。ロジャー以外のフロイド関連者総動員といったところか。

そしてこの楽曲にはウクライナのバンド、Boombox のアンドリーイ・クリヴニュークのヴォーカルがフィーチャーされていて、実に民族性の強い楽曲となっている。





で、B面にはアルバム『対』収録の「壁が崩壊した日」の “2022年ヴァージョン” が収録されている。
オリジナルとどれだけ違いがあるのかは、私も『対』はあんまり聴き込んでないので、全くと言っていいほどわからない。

A Great Day for Freedom 2022
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あけましてクリムゾン!

2022年01月23日 | プログレッシヴ草稿
一昨年の家庭事情により大部屋が1つ空き、その時くらいからずっと計画を温めてた大型テレビ設置計画。
どのサイズにするか、どこのメーカーにするか、どのくらいの値段で折り合いを付けるかで悩みに悩むまま、だんだんと考えるのも面倒くさくなって、一向に購入に踏み切れなかったのであるが・・・

昨年の暮れ、ふと立ち寄ったドンキの家電コーナーでパッと目についたのがパナソVIERAの55型。
数分考え込んで「もうこれでええんやないか」と、即スタッフを呼んで購入に踏み切った。

送料が思ってたより高く(1万!まぁそんなもんらしいが)、自分で持ち帰ることに。
とはいっても一人ではとてもじゃないけど無理で、とりあえずスタッフに車まで運んでもらって、後部座席を倒して運転席を極力前にスライドさせてギリギリ収まった。
帰りの運転がどういう状態だったかはご想像におまかせします。

で、家に着いてからも問題で、まずひとりでは部屋まで運べない。
そこで既婚の姉を呼び出して一緒に運んでもらうほかなかった。
いやいや、近くに住んでくれててほんと助かった。組み立てもひとりではちょっと無理だったであろう。




テレビ台もいろいろ物色してたんだが、これや!というのがなかなか見つからず、とりあえず家にあった折りたたみ机を代用。意外とシックリいったのでもうこのままでええんやないかと。

テレビを自分で購入したのは、かれこれ20年ぶりくらいのことで、自分の部屋にあるテレビは祖母の遺品のブラウン管テレビで、地デジの映るフラット型テレビの購入は今まで考えてはいたんだが、物だらけの狭い部屋の配置事情から設置は難しく、まぁ普段テレビはあんま観ないし、DVD鑑賞はPCで事足りていた。

ではなぜ今回大型テレビを購入したのかというと、まぁ1部屋空いたってのが一番デカいが、ブルーレイ映像を大画面で観たいってのがあった。
実はブルーレイデッキだけは8年前(消費税が5%→8%に上がる前)にすでに購入していた。
今回はその8年間未開封のままだったブルーレイデッキをひっぱり出してきて取り付けたところ、無事起動してくれたんでホッとした。
まぁ4K対応だし、HDの容量以外は最近のとあまりスペックは変わらないんではないかと。録画してまで観たい番組もそんなないしね。


ブルーレイソフトもこの数年間でいくらか取り揃えていた。



私にはブルーレイでどうしても観たかったものがあった。
それはテレビを買った2日後の30日に届けられた。


そう、キング・クリムゾンの『Meltdown Live in Mexico』。

なにしろ、この映像はブルーレイでしか発売されていないシロモノだ。
こいつを鑑賞するために、私は大画面テレビを購入したといっても過言ではないかもしれない。




本作は、体調不良のため一時離脱していたビル・リーフリンがキーボーディストとして復帰し、ビルの代役だったジェレミー・ステイシーはそのままトリプルドラマーの一員として残り、90年代の『THRAK』期を凌ぐ8人編成という大所帯で行われた2017年夏の北米ツアーから4日間に渡り行われた同年7月メキシコのMEXICO CITY公演音源から選曲/編纂されたLIVE音源をCD3枚、そしてその映像をBLU-RAY1枚に収めたテンコ盛り4枚組ライブ盤。

リリース当時、気にはなってたんだが、2015年の日本公演を収めた『RADICAL ACTION TO UNSEAT THE HOLD OF MONKEY MIND』のDVDもあったし、本映像はブルーレイ盤でしか出てなくてやっぱ高いし、数か月後にすぐ来日公演も控えてたので、その時は触手がのびなかった。


本映像がヤバそうだな、欲しいなと思ったのは、2018年の来日公演でも披露され、その演奏を目の当たりにして、情緒がどうにかなっちゃうほど興奮させられたトリプルドラムの真骨頂ともいえる「Indisciprine」のライブ映像をYOUTUBEで観たときだった。
うん、この映像を観るためだけでも本作を購入する価値あるなと思って。

何回も貼り付けてすみません。しかもこれしかない。



今年の年越しライブ映像鑑賞はこいつしかないなと、昨年年越しそば喰ったあと、すぐに大画面テレビを設置した大部屋に籠り、部屋を真っ暗にしてホームセンターで購入したばかりの安ものの座椅子に腰かけ、その全貌を確認した。




本ライブはジェレミーのジャズスタイルのドラムで始まる「Neurotica」から。
それにしても、本クリムゾンにジェレミーが加わったことの楽曲レパートリーの広がりの効果と言うものは絶大だったと言うしかない。
2018年の時、この得体の知れないドラマーさんが、いきなり「LIZARD」のあの流麗な旋律のピアノを弾き出したときはホンマ度肝抜かれたもんな。
「この人何者!?」って。




本映像では、私が生で拝見できなかった「Cirkus」、そして組曲「LIZARD」から「戦場のガラスの涙 including ⅰ.夜明けの歌 ⅱ.最後の戦い ⅲ.ルーパート王子の嘆き」が演奏されている。
う~ん、とてもレアなんだがドラムの2人がなんかインプロフィルインを持て余してる感がハンパない。つか2人もいらん。
フリップも上から「コラ、ちょっとオマエ叩き過ぎやろ」と言いたげな感じで睨んでいたように見えたのは、気のせいかしら?
とにかく長編なんでけっこうキツいというか、お腹いっぱいになる。


そして年が明け、しばらくしてから・・・・・

早くも「Furacture」キターーーーーーっ!!!!!

フリップ翁ほんまに弾いてはる!ピロピロピロピロ弾いてはる!
なんちゅー貴重な映像や!まさか翁のこの曲の演奏姿が拝めるとは!



本ライブ映像は、2015~2017年にかけてのツアーで演奏されたセトリの、まさにいいとこ取りみたいな内容といっても過言ではない。
昨年のライブが集大成?いやいや、この映像こそ集大成だろう。
まぁ「Easy Money」、「太陽と戦慄 Pt.1」、「船乗りの話」なんかは、日本公演のやつの方がアレンジよかったと思うが。

とにかく、2015年ライブ『Radical Action~』よりさらにグレードアップしており、映像も綺麗だしカメラアングルもよい。
まぁブルーレイだからってのもあるのだろうが。
しかし、これだけのテンコ盛り映像がディスク1枚に収まりきれちゃうんだからね。


メル・コリンズもいろんな管楽器を取り揃えて奮闘。



てかこの人もフルート弾けはるんや、器用やな。



8分割!!



そして、この日の「21世紀の精神異常者」もすごかった!
間奏部分では、まず最初のジェレミーとトニー・レヴィンの一騎打ちとなるジャジー展開が素晴らしい。そこに珍しくフリップのワウを駆使したギターが切り込んでくるカッコよさったらない。それを引き継いだメルのサックスソロも絶品。
ひととおりのソロが終わり、ジェレミーとメルが「決まったな!」って感じのアイコンタクトを交わしてるのがいい。


そして恒例のギャヴィン・ハリソンの超絶ドラムソロ!!やはり会場が沸き立つ。


この時のソロはニール・パートみたいに電子ドラムパッドを交えた音色がたまらない。
(途中で「Smoke on the Water」のフレーズ挿れた?)
手をとめてる他のメンバーたちも圧倒されてる様子。
もう圧巻と言うほかない。


そして、演奏を決めたときのフリップ翁のドヤ笑顔が萌える。



大画面でキング・クリムゾンの映像観ながら、なんかひとり贅沢な年越しを過ごした感じだったけど、この濃すぎる膨大な内容量は2日に分けて観るのがいいかもね。
ちょっとお腹いっぱいすぎ。
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クリムゾンロス

2021年12月19日 | プログレッシヴ草稿
先週12月8日、東京・Bunkamuraオーチャードホールのライブで、キング・クリムゾンの日本での全公演が終了。


そう、終わってしまったのだ!


トニー・レヴィンは自身のツアーダイアリーの中で、「今回のツアーは、バンドの最後の日本公演として発表されていますが、キング・クリムゾンの最後のツアーである可能性が高い」と記している。


また、クリムゾン研究の第一人者であるシド・スミスはSNSに、

「1972年のこの日、キング・クリムゾンのコンサートを見て、私の人生は変わりました。
2021年のこの日、キング・クリムゾンはステージ上で最後の音を奏でました。
信じられないような旅をしてきました。
この冒険に参加し、特別なものにしてくれたすべての人に深く感謝しています」

と投稿し、クリムゾンのSNSはこれを共有しているとか。


まぁ、だからといって別に感傷に耽っているわけではない。
もうこの6年間で十分楽しませてくれたからね。
この編成で、もうこれ以上のものは望めそうもないなってのは、今回のライブでなんとなく感じたし。


つか一生観れないと諦めてたのに、3回も来てくれるとは思わなかったよなぁ。
おかげでパンフレット3冊も買わされたよ。

中身の内容はほぼ一緒。



問題:どれがどの年のフリップでしょーか?



人前でなかなか着られないクリムゾンTシャツやアパレルも随分と増えたもんだ。
ちなみにREDTシャツを着て近場の温泉施設に赴いたら、そこの受付の兄ちゃんに「REDじゃないですか!そんなTシャツどこで買ったんですか?」と指摘されたのはおもしろかった。




なお、今ツアーで購入したクリムゾンTは以下の通り。今回は3着。

まず、ロゴだけのシンプルなやつ。
これは通学とか近所のスーパーに買い物に出掛けるなど、普段人前でも着れる感じの手頃なカジュアルTといったところ。
クリムゾンの深遠なる世界を知らない若い女の子にも「そのTシャツ超かわいいーっ」なんて言われてモテモテになるかもしれない。



これは終演後に迷いに迷って購入した今回のツアーアートになったやつ。
『貴婦人と動物たち』といったところか。今流行りのケモナーに通ずる要素も。
クリムゾン最後のツアー記念品として購入を決断したところがあるので、部屋の片隅に絵画よろしく飾っておくのがベストかと。



クリムゾンファンはこの『太陽と戦慄』柄に滅法弱い。私も今回で3着目(Pt.3)だ。
これはいわゆる勝負服ってところかな。
DJイベントとか、心に決めた女の子に告白する日とかに着ていくのには持ってこいかと。
『太陽と戦慄』は溶解とインプロヴィゼーションを繰り返しながら、連綿と続いて行くのである。




クリムゾンの今世最後となるであろうライブが終わり、心にポッカリと穴が空いたようなやるせない寂しさに打ちひしがれているファンも少なくないかもしれない。

クリムゾンファンってのは、その音楽嗜好からいって心に歪みを持ってる孤立した人が多いって印象なので周りに共感者も少ない気がする。
私もどっちかっつっとそういう種類の人間なので。


そんな人は、大阪心斎橋のロックバー“STARLESS”の扉を叩くのもいいかもしれない。



まぁ実は今回も終演後、前回の大阪公演以来久々に私も訪れたのであるが。

扉を開けると、すでにできあがってたクリムゾン帰りのプログレマニア集団で席がいっぱいになってて、私は隅の方でその輪に入ることもできず、飲めない酒をチビリチビリやりながら「やっぱ来るんじゃなかった」という後悔の念に打ちひしがれていた。
店内では、私が今なお馴染めないでいるマクドナルド・アンド・ジャイルズの曲が流れていた。
1時間くらいでその集団も一人残らず帰ってしまい、さらにミジメな気持ちを抱いていたら、しばらく疎遠になってた(彼も確か前回の公演以来)恐ろしく音楽趣味の合う(しかもクトゥルー神話好き!)知り合いが来店してくれて、ほんと心から救われた気持ちになった。

そして始発までの長い夜、オールで音楽談義に花が咲いたのでした。


名古屋のロックバーの件もあったし、ひょっとしたらメンバーが店を訪れるんじゃないかというクソ甘い期待を胸に一応持参してたキャットフードのEPと、ライブ前寄ったキタのユニオンで安くで購入したMr.ミスターのLP。



バブル期でチャラチャラしていた頃のマステロット。
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謹賀心母

2021年01月28日 | プログレッシヴ草稿
昨年身内の者が亡くなりましたので、さすがに新年の挨拶ブログは無理ということで。
だからといって新年一発目のブログ更新が大幅に遅れた言い訳にはならないというか、べつに言い訳する必要性もないのですが。


正月に甥っ子が姉と2年ぶりにやってきましたので(クソっ、去年は来なかったのに)、渋々お年玉をみつくろって軽く2万円とんでいきましたが、そん時も甥っ子に新年の挨拶をしたら、それもダメだと姉に窘められましてんけど、死んだのは去年やねんから別にええやないかと。
だったらおせちも雑煮もお年玉も!!自粛やろと。


それはそうと、今年は丑年ということで、丑といえば誰もが思い浮かぶのが、やはりピンクフロイドの『原子心母』ですよね。
(て、たぶん12年前のブログでもおんなじような記事書いてたと思う)
昨年の10月2日、実は『原子心母』は50歳の誕生日を迎えてたりしたんですが、コロナ禍の影響か、あまり盛り上がってなかったような気がいたします。

日本最大のフロイドトリビュートバンド“原始神母”が昨年の秋のツアーで、アルバム『原子心母』の完全再現をやる予定だったらしいですが、なんでかしらんけどそれはやめたらしいです。でもレアな「Summer '68」をやったとか。




5.4年前、神戸チキンジョージに原始神母を初めて観に行き、『原子心母』のA面を(ほぼ)再現してくれたのを目の当たりにした時は、その圧巻のサウンドとライブパフォーマンスに涙が溢れ出たのを思い出します。

映像だけでは十二分に伝わらない。原始神母は是非生ライブを体感すべし。
【Live】原始神母2015「Atom Heart Mother」@150826Chicken George




で、50周年を祝ってというわけではありませんが、2016年に復刻シリーズでリリースされた『原子心母』のアナログリマスタ盤を思いきってオンラインで購入したのですが、まず残念だったのがジャケットの印刷の安っぽさ。
いや、これが普通なんかも知れないが、私が高校の時に京都河原町の三条通りにあった今は亡きスローターハウスという中古レコード屋さんで購入した『原子心母』のアナログ盤のは、ザラっとした質感のケースに深みのある色合いの印刷が施されていて、どうみてもこっちの方が質がいい。
リマスタっていってるけど音もそれほど良くはないし、これはつかまされたなと。




いや、私はただ単に、レトロな字体の帯が欲しかっただけなのかもしれない。


1971年 箱根アフロディーテ
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2020

2020年12月31日 | プログレッシヴ草稿
今年2020年は、忌むべき新型コロナウィルスの下で、無慈悲にも著名人を含む多くの人命が奪われた。
コロナ禍の影響か、俳優さんの自殺ニュースなんかも多かったように思う。


そして、これはもう最近毎年なんだけど、好きなミュージシャンたちの死。

なんといってもエディ・ヴァン・ヘイレンの訃報はかなりの衝撃だった。
元フリートウッド・マックのピーター・グリーン、
あと、元ユーライア・ヒープのケン・ヘンズレーと・・・・
ニール・パートも今年だっけ?

自分が青春真っ只中だった十代の頃に夢中だった憧れのミュージシャンが毎年のように次々と死んでいってしまうのは、本当に寂しいことであり、自分の時代はもう終焉を迎えんとしているのだなぁ・・・って悲しい気持ちになってしまう。


そして実はこの一年間で、実に4名のキング・クリムゾン関係者がひっそりとこの世から去っていたりする。

まず、現キング・クリムゾンのドラマー/キーボード奏者であったビル・リーフリンが、3月24日に逝去。
まだ59歳だった。死因はクリムゾン参加以前より患ってたという癌。



リーフリンは90年代に、ミニストリー、ラード、KMFDM、ナイン・インチ・ネイルズなどのインダストリアル系のドラマーとして活躍したセッションミュージシャンで、私自信彼の存在を知ったのはクリムゾンに合流してからなんだが、十代の頃からすでに彼の音楽に触れていたんだなと。
そして2015年のクリムゾン来日公演で初に彼のプレイを拝んでいるが、その後、一時体調不良のためクリムゾンのツアーから離脱したというニュースは聞いていた。
ジェレミー・ステーシーという彼と同等の能力を持つ代役がクリムゾンに加わったにも関わらず、フリップは彼を切ることなくリーフリンはバンドに復帰、クリムゾン史上初のキーボード専任奏者となって2年前、2度目の来日を果たしている。

これが、彼の演奏する最後の姿になろうとは・・・(2018.12.9)



リーフリンのことでもうひとつ悲しい事実を知ったんだが、彼の妻は現代画家・イラストレーターであるフランチェスカ・サンドステンという方で、なんと彼が亡くなる約半年前に癌で亡くなっていたとのこと。
しかも、リーフリンが参加した2015年の日本公演のライブ模様を収録した『ラディカル・アクション〜ライブ・イン・ジャパン+モア』のあの印象深い一つ目男のカバーアートを手掛けたのが、なんとそのフランチェスカさんだったという・・・





そして、クリムゾンの史上初のキーボード専任奏者になり損ねた男というか、なることを拒んだ男、キース・ティペット。
今年の 6月14日、心臓発作により72歳で亡くなった。



『クリムゾン・キングの宮殿』リリースの2ヶ月後、オリジナルクリムゾンがあっけなく崩壊した後の、不安定な時期のクリムゾンをメル・コリンズと共に支えたフリージャズピアニストで、『ポセイドンのめざめ』、『LIZARD』、『ISLANDS』などに参加。
フリップからの熱心な誘いがあったが、決してクリムゾンの正式メンバーにはならなかった男である。

『ポセイドンのめざめ』の頃。
つかこのアー写はフリップ以外誰一人正式メンバーではない。


個人的に、シングル曲「Cat Food」にみられるような、キースのピャラピャラしたアヴァンギャルドなピアノワークはあまり好みではなかったが、アルバム『ISLANDS』のような、宇宙の深淵を漂うかのような、霊験あらたかで崇高なキースのピアノワークは絶品であるかと。

キースの魂よ、宇宙に飛んで、永遠によろこびの中に漂いたまえ・・・・


King Crimson - Formentera Lady (Instrumental Edit)




今年の7月12日に肺癌で亡くなったジュディ・ダイブル(享年71歳)は、キング・クリムゾンの活動には一切加わってはいないが、当時つきあっていたイアン・マクドナルドとともに、クリムゾンの前身バンドであるジャイルズ・ジャイルズ&フリップに参加していたシンガー。



ジュディの歌うオリジナル「風に語りて」は、JJ&Fの『The Brondesbury Tapes』で聴くことができるが、クリムゾンの『A Young Person's Guide to King Crimson ~新世代への啓示~』にも収録されている。

I Talk To The Wind (Giles Giles & Fripp)




そして、クリムゾンメンバーの中で、フリップの最も古い盟友と言っていい?ゴードン・ハスケルも、今年の10月16日に逝去。享年74歳。



ハスケルは、15歳の時に幼馴染のロバート・フリップと一緒に初めてのトリオバンドであるレイブンズを結成しベースを担当している。
その後、5人編成となってバンド名をザ・リーグ・オブ・ジェントルメンと改名。
第一期クリムゾン崩壊後、正式メンバーが定まらないままオーディションを繰り返しながら『ポセイドンのめざめ』をレコーディングしていた中、最初まだ売れてなかった頃のエルトン・ジョンが「ケイデンスとカスケイド」を歌うことになってたのが、「なんだあいつは?」とフリップが拒否。
そこで抜擢されたのが、フリップの旧友であるゴードン・ハスケルだった。
そのままクリムゾンの正式なメンバーとなるが、3rdアルバム『LIZARD』発表の2日後に脱退。
2人の間でどのような対立があったかは知らないが、74年のクリムゾン解散の節目に出されたベスト『新世代への啓示』には『LIZARD』からの曲は一切収録されず、91年リリースの4枚組BOXベスト『紅伝説』収録の「ケイデンスとカスケイド」のヴォーカルとベースをエイドリアン・ブリューに差し替えるなどから、フリップとハスケルとの確執は相当のものであったことが窺える。
聞くところによると、山口百恵のバックバンドを務めたこともあるのだとか。


クリムゾンファミリーツリーもそろそろ更新時だな。




で、このコロナ禍で身動きがとれず、自宅に閉じ籠もっているかのフリップ翁はどうしているのかというと・・・・

現在彼の最愛の妻であるトーヤ・ウィルコックスと毎週日曜に夫婦漫才を繰り広げて動画をアップしてるという、陽気なユーチューバーになり果てておったとさ。

恐竜の着ぐるみ姿のトーヤ夫人が、フリップの演奏で「21世紀の精神異常者」の替え歌を歌うという珍動画。




そういえば、今年は私の身内の者も亡くなっているんだっけ。
2020年は、忘れ得ぬ年となることだろう。


来年もそれなりに暗いニュースが続くとは思いますが、このフリップ夫妻のように楽しく心豊かに過ごせる年になればなと。

それではみなさん、よいお年を。
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不思議の国のアニー

2020年04月30日 | プログレッシヴ草稿
ついに、シンフォニックプログレッシヴロックバンドRENAISSANCEのヴォーカリスト、アニー・ハズラムの1977年の初ソロ作品を購入してしまった。

多少の不安はありました。
これはルネッサンスやのうて、アニーのソロ作品なので。
けっこうキツいんではないかと。
でも、この邦題なもんだから買わずにはいられなかった。


そのタイトルとは、『不思議の国のアニー』。


お察しの通り、大学の数学講師であったルイス・キャロルことチャールズ・ラトウィッジ・ドジソンが、学寮長の娘アリス・リデルのために書き下ろした童話『不思議の国のアリス』を模したものである。


恥ずかしいのであまり言いたくはないんですが、私は昔からこの『不思議の国のアリス』の童話に興味を抱いている乙女チックな心のオッサンなんです。

まぁ若い頃読んでたミステリー小説やマンガによく『不思議の国のアリス』の場面やフレーズが引用されることが多く、それで原作の内容も知っておかなければと浪人の頃読んだのが最初だったと思うが、物語の不条理でナンセンスなおもしろさもあるけど、なんといってもジョン・テニエルの筆による挿絵がとにかく魅力的で大好きだった。




最初に読んだミステリーオムニバス『アリスミステリー傑作選』には、小栗虫太郎、中井英夫、山田正紀氏などの作家も名を連ねていた。
それだけアリスの物語はミステリー作家にとって魅力的な題材なのだろう。




こういう狂った実験的文章の綴り方も魔術的で好き。



恥ずかしながら海洋堂のフィギアもめっちゃ集めてた。



ところで、アニー・ハズラムのソロアルバムのジャケットのアートワークは、なんと本作のプロデューサーであり(ていうか、演奏含めほとんど彼が作った?)彼女の夫でもあった(現在は離婚)ロイ・ウッドが描いたものだとか。
もちろん『不思議の国のアリス』の構図をパロったもので、よくみると結構チープではあるが、まぁここまで描けたら上等だろう。

おそらくガキの頃のアニーと思われる写真も掲載されている。



で、表ジャケットは、アリスの物語にでてくる有名な”キチガイお茶会”のシーンなのはわかるが、帽子屋がけっこう気持ち悪く描かれていて、三月ウサギの格好が謎すぎる。ネムリネズミ(ヤマネ)が布団敷いて寝てるアレンジはなかなかおもしろい。
まぁ青木雄二画ばりに遠近感はないが。

ところで現在出版されてる『不思議の国のアリス』って、まだ“キチガイお茶会”って表記されてるのかなぁ。
だとしたらけっこう攻めてる感じで好感が持てるんだが。今度本屋行って調べてみよう。
まぁでも、作品の真意とかあんまり理解してないけど、この物語に出てくる魑魅魍魎たちの会話の内容とか、ほんま支離滅裂感がハンパなく、精神病患者同士のタワゴトとしか思えんのよ。

このシーンとか、本当に狂気を感じるし・・・



さて、肝心のアルバムの内容なんですが・・・・・

べつにシロウサギに誘われて、メルヘンチックな不思議の国に迷い込んでしまったかのような感覚には陥りませんでしたね。

「私が音楽でできていたら」、「愛への疑い」、「もしも貴方を愛したら」という曲タイトルを見てみても、べつに幻惑的な童話ファンタジーをテーマとしたコンセプトアルバムっていうわけではなく、ただ有名な童話のタイトルをテキトーに拝借しただけだったんだということがわかって、ちょっと残念な気持ちになった。

正直ほとんどルネッサンスやないけな内容で、まぁそれはレコーディングメンバーにルネッサンスの面々が数名参加しているので必然であったかと。
アニーの歌声にも不思議さや無垢な感じもなく、いつもの母性溢れるアニーで、若干ソプラノがいつもより際立っている気がするかな。

ただ、ルネッサンスよりかは大仰さが若干抑えられてる感じで、楽曲もキャッチーでわかりやすく、アニーの歌声に柔軟性も見受けられる。
本作は『お伽噺』と『四季』との中間で作られた作品らしく、まぁちょっと息抜きがてら気張らずに夫婦仲良く楽しく作り上げたものかと思われる。
だからといって、ルネッサンスの諸作品に見劣りするなんてことは決してなく、各楽曲ともクオリティーが高くよく作り込んである。

とにかく本作はアニーのソプラノが映えている。
特に5曲目のスキャットのみの歌唱の楽曲「ROCKALISE」の神々しいアニーのソプラノは絶品!
そして、カヴァー曲も何曲か収録されていて、おそらく欧米ではスタンダードナンバーなのであろう「NATURE BOY」は、色んなアーティストがカヴァーしているのをどこかで耳にしてきたと思われ、なんか聴き馴染がある。
この曲の後半のアニーのスキャットとエレクトリック・シタールとのユニゾンがもう最高!
ちなみに、この手法の大家であるジョージ・ベンソンも、この「NATURE BOY」をカヴァーしているが、アニーのスキャットユニゾンのアレンジの方が秀逸だと思う。
う~ん、惚れ直した!




ラストは日本でも閉店のテーマでお馴染みドヴォルザークの「家路」でほっこりと。

あたかも「不要不急の外出はその辺で止めにして、早く家へお帰りなさい」と、アニーにやさしく諭されてるかのようである。
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1010事変

2019年10月10日 | プログレッシヴ草稿
ビートルズの『アビイ・ロード』50周年デラックス盤がリリースされ、50年ぶりに再び全英チャート1位の座に返り咲いたらしいじゃないですか。
やっぱビートルズはすごいっすねぇ~
まぁビートルズ好きの人はやたらこのアルバム推す人多いからなぁ。

でもね、でもね、

てことはだよ!

キング・クリムゾンの『クリムゾン・キングの宮殿』がまた50年ぶりに『アビイ・ロード』を1位の座から引きずり落とすってこともあるかもしれないぢゃないか!

まぁあれは当時日本に入ってきた完全なる誤情報で、実際は全英チャート5位止まりだったっていう噂もあるけど・・・・

だってここに書いてあるじゃないか!



まぁ真偽のほどはともかく・・・・・

それだけこのアルバムは、当時ビートルズの『アビイ・ロード』をも脅かすほどにセンセーショナルな作品だったってことですよ。


そう、10月10日の今日は、キング・クリムゾンの衝撃のデビュー作『クリムゾン・キングの宮殿』がリリースされてちょうど50年にあたる。
記念すべき今日の日を、『宮殿』を爆音でかけながら盛大に祝いたいのは山々なんですが、今夜タイミング悪く尼崎に人生初のナイトレンジャーのライブ観に行かんとあかんので、血塗られた拷問台や有刺鉄線について話したり、風と語ってるヒマもないんですよ。

記事の続きは、またナイトレンジャーのライブ終わって帰ってきてからという事で!(You Can Still!!)



・・・てな感じで、途中で執筆を切り上げ尼崎まで赴いたんですが。

その日は少しでも50周年を祝おうと、クリムゾン・キングの宮殿Tシャツを着てナイトレンジャーのライブに臨みました。

尼崎駅のマクドにて。



i-Podでナイトレンジャーの「Can't Find Me A Thrill」を聴き、ベーコンレタスバーガーをほおばりながら、私は心の中でそっとつぶやいた。


キング・クリムゾン・・・・50周年おめでとう。

King Crimson 1969年



『クリムゾン・キングの宮殿』が発売されてから2ヵ月後、この編成はもろくも分解する。
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こぼれたミルクに泣かぬよう

2018年12月08日 | プログレッシヴ草稿
明日いよいよキング・クリムゾン大阪公演初日。
まぁ私は3年前に人生で初めて彼らのライブを体感したワケですが。
その時同行した学生時代からのプログレ友のサムソンの終演後の第一声が思い出される。

「いやー某プログレバンドなんかとは比べものにならない。ホンモノを見た!って感じ」

まったく同感である。
ただ、残念なことに、今回彼は都合で(ウチのカミさんがコレでっていう事情)一緒に観にいくことが叶わず、寂しく単身でのクリムゾン観戦。
まぁ前回のライブの豪華セトリで十分満足だったけど、また日本来てくれたのだから行くしかない。
思いや好みは人それぞれだが、ハッキリいってプログレ4大バンドの地位に君臨するクリムゾンのライブを観にいけるというせっかくのチャンスを逃すという行為は、愚鈍以外のなにものでもないと思う。
まだみたことない人ならなおさらだ。
まぁ私はそれを23年前にやらかしていて、悔やんでも悔やみきれない思いに一生苛まれることになったのだが。

キング・クリムゾンは、間違いないくライブバンドである。
それを思い知ったのは、私自身けっこう遅くて、あるときYOU TUBEで、あのしょーもない『Tree of A Perfect Pair』をリリースした時の来日公演のライブ映像を目撃した時であった。



「この曲確かあんま聴いてない『Beat』に収録されてた曲やったと思うけど、ライブでめっちゃ化けとるやんけ!!カッコいい!」と。
まさに目から鱗であった。
まぁトニー・レヴィンとビル・ブラッフォードという鉄壁のリズム隊だからなぁ。
そこにアヴァンギャルドなフリップのウネウネするような知的でありながらインプロめいたギターワークがはいずるまわるというカッコよさ!
私は即オンラインでその時のライブDVD『Neil and Jack and Me』を取り寄せた。
そしてこの時代にクリムゾンを生体験した上の世代の人たちを羨ましく思った。

そう、だからその時でたアルバムがしょーもないとか、曲あんま知らんとかの理由でクリムゾンの来日公演を見逃しちゃダメなんだと。
私は『THRAK』の時にその過ちを犯してしまったのだ。


そして、入れ替わりの激しいクリムゾンメンバーであるが、常に確実にカッコいい。
クリムゾンのメンバーに抜擢されるってことだけでも十分にカッコいいのだ。
(なお、オーディションに落ちたやつは、エルトン・ジョンであれ、ダサい扱いを受ける)



技術的な面からみても、ロバート・フリップ、トニー・レヴィン、そしてギャヴィン・ハリソンと、もうこの三者だけ抜き取っても十分バンドとして成立するゴージャスな面子だ。
16000円払う価値は十二分にあるだろう。

70年代からの盟友メル・コリンズなどもクリムゾンファンにとっては頼もしい存在だが、クリムゾンの面子が凄いのは、旧いメンバーであっても劣化を感じさせるメンバーがひとりもいないことである。
だから往年の名曲のテンポが遅くなったり、ソロパートがひどくなったりするようなことは、まずない。
まぁ曲あんま知らないバンドに16000円払うのを渋る気持ちもわからんではないが、もどきVoや劣化した同窓会的なメンバーの寄せ集めによる予定調和な懐メロライブを観にいくより、よっぽど観応えあると思うんだがな。

現ヴォーカルのジャッコ・ジャクスジクは、確かにクリムゾンのトリビュートバンドで歌ってた人で、私も3年前はかなり懐疑的な構えで観ていたんだが、まぁクリムゾンのヴォーカルってのは昔から流動的で楽器ついでってところもあり、時代時代タイプもかなり違う。まぁそこがクリムゾンのおもしろいところでもあるのだが。
なのでクリムゾンファンにとってヴォーカルってのはさほど重要ではない。
で、このジャクスジクは他のバンドのように、いわゆる“もどき”というワケではなくて、ちゃんと自分の味というものを持っていて、さすがフリップに抜擢されるだけあってとてもいいヴォーカリストなのだ。




まぁ私のようなムシケラ同然の人間がいくら「クリムゾンライブはすごい!!」と吠えたてたところでだれも耳をかさないってのが現実です。

なので、やっぱ有名人のこの方の語りをご覧いただければよいかと。

マリファナ自家栽培してるジャンキーにしか見えんのやけど。



予め最近のセトリを調べるような愚かなことはしない(まぁ海外ツアーでのウワサはたまに入ってきてしまうが)。
公演ごとにセトリを変えてくるらしいので、ヘタしたらくやしい思いもするかもしれない。

でも今回どんな曲が飛び出すのか?!


今からワクワクが止まらない。


今日の1曲:『Circus(inc.カメレオンの参上)』/ King Crimson
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中年プログレクソ野郎*

2018年08月12日 | プログレッシヴ草稿
1年くらい前に岡山の大学時代のツレの家で、このツレがなかなか筋金入りの音楽マニアで、彼がその時なにげに観せてくれたのが英国のプログレバンドFROST*の『The Rockfield Files』という作品のライブ映像。
ライブといっても、メンバーがスタジオに籠もって客なしで演奏を繰り広げるというもので、一発録りのレコーディングみたいなものだ。

まぁメンバーに新生IT BITESの2代目ヴォーカル兼ギターを務めるジョン・ミッチェルが在籍しているので、関連バンドとして興味あるだろうと私に観せてくれたんだと思うが、最初なんかダサめの冴えないオッサンどもがスタジオで戯れてる感じのこの映像を、少し嘲笑ぎみの態度で観ていたのだが、徐々にこのオッサンどもの一筋縄ではいかない卓越した演奏力と絶妙な楽曲のメロディセンスにグイグイと惹き込まれている自分がいた。

その後、このFROST*のことが頭の片隅にずっと残っていて、このスタジオライブの映像作品がどうしても欲しくなり、ネットで探しまくったのだが、まぁマイナーなバンドなもんだから日本盤はすでに廃盤で、輸入盤ですら入手困難な状況だった。
で、先週ディスクユニオンのウォントリストをふと閲覧してみると、どうやら最近また限定再発されたみたいで新品購入可能状態となっており、一も二もなくカゴに入れ、同じく品切れ状態であったモーターヘッドの“Road Crew”ビールと共に無事私のもとに届けられた。

本作はスタジオライブのDVD映像、そして同内容のCD音源の2枚組。
Disc1の方がDVDとなっており、本作が映像メンイで制作されたことが窺える。
約1年振りに本作を鑑賞してみたが、やはり私がこの映像に心動かされたあの時の心情は間違ってはいなかったのだと確信に至った。
やはりこのバンドは凄かった。




まぁこういう例えは陳腐過ぎるかもしれないが、一言でいうと“DREAM THEATER meets IT BITES”といったところか。(ゴメンナサイ、近代プログレバンドは、この2バンドくらいしか知らないもので)
DREAM THEATERからジェイムズ・ラブリエの要素を除き、IT BITESのポップさでバンドをスッキリさせた感じといおうか。
まぁハッキリいってIT BITESよりテクニカルで、今のDREAM THEATERより断然楽曲センスが優れいている。

このバンドの主導権を握っているのは、明らかにキーボーディストのジェム・ゴドフリー。
最初映像を観た時、この七福神の布袋尊のような小太りのオッサンが、まさかリードヴォーカルも兼任していることがわかった時は思わず噴き出してしまった。まぁまずヴィジュアル系バンドじゃ考えられないだろう。
ただ、これが結構いい声をしていて、まぁこのオッサンがなかなかの曲者だったりする。




キーボードテクは超一級。3台の鍵盤を駆使し、ニコニコと余裕の表情で様々な洗練された音色のシンセを巧みに操作する。
まぁ元々売れっ子のプロデューサー業の人みたいで、スタジオの使い方は熟知してるらしく、細やかなSEなど実にハイサウンドなセッティングを施している。
ソロも全編に渡りどれも超絶でカッコいい。
そしてこの人はなんといっても歌メロセンスが抜群に優れいてる。
ここまで超絶なプログレ構成の楽曲でありながら、ちゃんとポップで絶妙なメロディセンスを兼ね備えており、そこんとこはIT BITESと相通ずる部分ではあるが、まぁそこらへんのテクニカルなだけのプログレメタルバンドとは明らかにレベルが違う。


見よ!この余裕の反りポーズ!



インテリアにもなかなかのこだわりを持っているようで、なんかアイロン台がシンセ。



ジョン・ミッチェルもこのバンドではサポート的な役割ではあるが、随所でいい感じのリードヴォーカルもとっており、ソロ&バッキング共にカッコいいフレーズをきかせていて実にいい仕事をしている。

横顔のアングルはタスマニアデビルにしか見えないが。



リズム隊もしっかりしていて、ドラムのクレイグ・ブランデルは申し分ないパワフルさ、ベースのネイサン・キングは新生IT BITESでもプレイしてる人物だが、確実なリズムを保ち、ここぞというところでベースをうねらせてくる。キー高めのコーラスもうまい。



このスタジオライブで演奏された楽曲はアコースティックセッションを除き6曲で、いずれも粒揃い。
まず1曲目のプログレフュージョンなインストナンバー“Hyperventilate”からその転調の絶妙さにすでに惹き込まれてしまう。一番キャッチーな作りのポンプロックナンバー“Heartstrings”でのジェム&ジョンの聴かせる歌の掛け合いも素晴らしい。
キラキラとした美しいシーケンスループが印象的な10分を超すプログレナンバー“Black Light Machine”の後半の怒濤のスリリング展開には興奮せずにはいられないし、ヘヴィサウンドで最もハードな曲展開をみせる“Dear Dead Days”においてもやはり歌をもの凄く大事にしていて、特に冒頭のジェムの歌メロが素晴らしい。
そして本作のハイライトとも言うべき24分超えの壮大なスケールの超大作“Milliontown”。
ジェムによるQUEENのようなシットリとした独唱で始まり、そしてダイナミックな怒涛のプログレ展開へ。ここでは各々のプレイヤーが己のプログレセンスを遺憾なく発揮しており、個人的にはネイサン・キングのベースワークが注目に値するかと。
終盤ではセッションならではの、客の盛り上がりではなく、リラックスムードだった各プレイヤー同士の触発のし合いが、プログレッシヴな演奏にいよいよ拍車をかけ、スタジオ内に凄まじい高揚感をもたらしているのが見てとれる。


CGを使った余計な映像遊びも。いらんことしいの一面もあるようだ。



いや~この盆休み、墓参りと通院以外は全く予定がないのだが、このFROST*のライブDVDで5日間もつんじゃないかというくらい、久々にプログレバンドで興奮してる。
まぁ私の自室にはPerfumeのライブDVDなんかも数点あるんだけど、そんなものより、まず女の子は食いつかないであろうダサい感じの中年のオッサンどものスタジオ内の戯れ事を観て興奮してる私はヤバいですか?



今日の1曲:『Milliontown』/ Frost*
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星ひとつない、聖なる闇

2017年02月06日 | プログレッシヴ草稿
グレッグの次はウェットンもかよ!!

なんなんだ?
あの世のプログレ界で、腕利きのメンバー集めて壮大なスーパープログレバンドプロジェクトでも推進してるのか?
にしてはベーシストに偏っている気もするが・・・


それにしても、プログレファン、いや、ロックファンにとって、ジョン・ウェットン逝去による喪失感は計り知れないものがあると思う。
なんせこの人、節操がないくらいあらゆるバンドを渡り歩いてきた引っ張りダコミュージシャンだからね。

KING CRIMSON、UK、ASIAはもちろんのこと、FAMILY、BRYAN FERRY、とまぁこのへんまではわかる。
WISHBONE ASHとかURIAH HEEPとかになってくると、この人単なる誘われたら断れないいい人ミュージシャンとしか思えないんよね。

&nbsp&nbsp&nbsp&nbsp


だから、プログレ好きならジョン参加の作品はかなりの枚数所持してると思うし、その周辺のブリティッシュロック好きもウェットンのベースはよく耳にしてると思うんだ。
まぁ私なんかは追求しきれてないとはいえ、クリムゾン作品をまぁまぁ蒐集してるから、関わりが多いのは必然になってくる。




私がジョン・ウェットンの音楽に最初に触れたのは、やっぱりエイジア。
姉が2nd『Alpha』のLPを持っていたので。
まぁ80'sポップ真っ盛りの頃だったとはいえ、ウェットンのさわやかポップな楽曲は生意気盛りな小学生の私の感性にはあまり響いてこなかった。
それにこのころはジョン・ウェットンの存在なんてまだ知らないしね。

私がウェットンが関わってる音楽に興味持ち出したのは、やはりキング・クリムゾン在籍時の作品。
高校の時、『宮殿』でクリムゾンにウワァーーッ!!っと目覚めて次に購入したのが『太陽と戦慄』だった。
ただ、ウェットンの抒情的な歌が数曲入ってるとはいえ、このあまりにアヴァンギャルドで破壊的な内容の作品を聴いて、私はこの歌とベースを担当してるのが、あの小学生の時聴いたエイジアで歌っている人と同一人物であることにまだ気づかないでいた。
その後、『RED』とUKの『憂国の四士』はたぶん同じ時期に聴いたように思うが、どっちが先だったかは記憶が曖昧。
ただ、UKを聴いて、私はようやくジョン・ウェットンなる人物が、実はプログレ界でかなり重要な人物であるということに気づきはじめるのである。


ジョン・ウェットンは、優れたベースプレイヤーとしての側面、甘い歌声とメロディーメイカーとしての側面と、評価する所は人それぞれだと思う。
まぁこんなこと言ったらまたいつかの記事へのコメントみたいに「耳の腐った変人め!!」などとプチ炎上するかもしれないが、UKの時点で既に思ってたんだが、ウェットンはベース弾くついでにヴォーカルを無難にこなす適任者って感じで、時折歌い方によっては「ダサいな」と思う瞬間も否めない。
まぁUKは超がつくスーパーバンドの形態で、複雑な楽曲の中でもウェットンのメロディーメイカーとしての役割がバランス良く機能していたし、「瞑想療法」などで聴かせる流麗なベースワークも耳を惹くものがある。
イエス、ELP、クリムゾンのメンバーが大集結したエイジアもスーパーバンドの様相を呈してはいるが、UKとは随分事情が違っていてウェットンのポップシンガーとしての側面が前面に出てしまって、どうも私の感性にはピンとくるものがない。
だから、ソロ作品など、ウェットン色の強そうなアルバムには全くといっていいほど手をつけてこなかった。

それでも一度くらいはエイジアのライブに行くべきだったと思う。
メンバーが在籍してたバンドの持ち曲をけっこう披露してくれてたみたいだし、ウェットンはもちろんクリムゾン、UKの名曲の数々を披露したとか。
一度でいいからウェットンの歌う「Starless」を生で聴きたかった・・・・・

思えば5年前、あの3人が奇跡的に再集結したトリオUK大阪公演が、ウェットンの生の姿を見た最初で最後のライブとなってしまった。
まぁ、テリーがあのドラムセットを持ち込んだせいで、ウェットンの演奏がイマイチ印象に残ってないのだが、あの甘い歌声がほとんど衰えてなかったことは覚えている。
とにかくあのライブを見れたことはほんとラッキーだった。




個人的には、やはりウェットンを一番魅力的に感じれるのは、クリムゾンにいた時。
まぁこのバンドでやっていくには、そうとうの精神力が必要になってくるので、誰もが“漢”になるんだよね。
ウェットン自身も、1974年のニューヨークのセントラル・パークでのライブを思い起こし、「エイジアでの活動やその他のすべてのものは、ただ僕の成功を決定づけたものにすぎない。あのギグはたった一つのものだ。」と、クリムゾンが自分のキャリアの中でもっとも重要な意味を持っていたということを認めている。
まぁエイジアの頃とは考えられないくらいベースがガリガリと唸っているもんね。


そして、なによりも70'sクリムゾンの終焉を想わせる「Starless」の、あの沈鬱で深遠なる哀愁の歌メロを思いついたウェットンのメロディーメイカーとしての資質は、やはり天才的と言いうほかないのである。


もう涙なくして聴けないよね。



今日の1曲:『Starless』/ King Crimson
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明日私は泣いていることだろう

2016年12月11日 | プログレッシヴ草稿
今年春に逝ったキースにつづき、彼までもが・・・・


ELPの活躍などで知られるグレッグ・レイクが12月7日、癌のため死去。
享年69歳。


そうか、ついにこっちの方のELPのメンバー全員死んじゃったんだなー・・・・・



いや、そうじゃない!
まぁ世間一般的にはどちらかというと、エマーソン、レイク&パーマーのヴォーカル兼ベーシストとしての方が通りがいいかと思われるが、私としてはとうとうキング・クリムゾンの一期生のメンバーがひとり天に召されてしまったというショックの方が遥かにデカかった。




まぁプログレ史上に残る4大傑作の内、この2枚に参加してるってだけで、グレッグの偉大さがわかろうというものだ。



以前にも言ってると思うが、私をプログレッシヴロックに没入させるキッカケとなったのは、高校の頃出会ったELPの『タルカス』だったのであるが、クリムゾンの『宮殿』の音源はすでに聴いてはいたが、最初の頃はあまり良さが分からず、ましてやこのアルバムで歌ってるのがグレッグ・レイクであることすら高校卒業するくらいまで気づいてなかったりした。
クリムゾン第一期は、ロック史上に残る最大の名作『クリムゾン・キングの宮殿』を1枚世に出し世界に衝撃を与え、次作を待たずして分解、フリップ以外誰一人としてバンドに留まらなかったというビッグバン的編成期で、演奏力に奏でた選りすぐりのメンバーが最大限の力量と溢れんばかりの創作力を発揮し、最初にして天地をひっくり返すかのような、あまりにも完成され過ぎた名作をこしらえてしまった。
中でも誰もが耳にしたことがあるかと思われる「21世紀の精神異常者」での各メンバーのアンサブルは凄まじく、そこで私が高校生のときまず耳を惹いたのが、猛々しくも自由奔放にうねりまくるグレッグのベースラインだった。

そして「風に語りて」、「エピタフ ~墓碑銘~」、「ムーン・チャイルド」、「クリムゾン・キングの宮殿」などの幻想的で荘厳なる楽曲群で聴かせるグレッグの抒情的な歌は、まさにバリー・ゴッドバー描く宮殿のジャケットの“嘆き”の世界観(あるいは、ピートの詩世界)を見事に表しているといっていい。
ELPでのグレッグの牧歌的な歌は、楽曲に夢心地な雰囲気を与えていてこっちもいい塩梅なのだが、クリムゾンほどの崇高さは感じられないし、ちょっとしんどい感じもする。
グレッグの声がクリムゾンの楽曲に合っていたというか、やはりクリムゾンというひとつのエネルギー体が生み出す神憑り的な楽曲のなせる業なのであろう。


まぁここ数日、喪に服さんとばかりに車ん中で『宮殿』ばっか流してたけど、「エピタフ」なんかはさすが当時から“ドゥームロック”と呼称されるだけあって普段なら朝から聴くには重すぎて停止ボタンを押してしまうのであるが、今回ばかりはグレッグ・レイクに思いを馳せずにはいられなく聴き入ってしまい、深く心に浸透し、思わず目頭が熱くなってしまうのであった。





今日の1曲:『Epitaph』/ KING CRIMSON
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二つ目がいた!!

2016年09月22日 | プログレッシヴ草稿
ご無沙汰しております。
ところでみなさまはもうキング・クリムゾンの昨年行われた高松公演をベースにしたライブ音源+映像を収めた『RADICAL ACTION(TO UNSEAT THE HOLD OF MONKEY MIND)』は購入されましたか?
え?まだご購入されてない?正気ですか?

3CD+2DVDの5枚組で4500円ですよ!
パネェーーーっす!


大阪フェスティバルホールで人生初のクリムゾンライブを目の当たりにしたのが昨年の12月。
まさか1年経たずしてその時の映像にありつけるとは・・・
最近他のアーティストの作品が残念なものが多いだけに、ほんとほんとにありがたいことです。


封を開いておもむろに中身を取り出すと・・・(ドキドキトキドキ・・・)

な、なんと!中に二つ目がいた!!パ、パネェーーーっす!!



本作はさっきも言った通り高松公演の記録を中心とした音源+映像から構成されており、ヨーロッパ、カナダ、そして東京公演の記録を一部採用しているようであるが、どの曲がどの公演なのかまでは不明。
こういうミックス形式にしたのは、このツアーで演奏された曲を全曲余すとこなくファンにお届けしようというフリップ翁の配慮であろう。
観にいった公演でその日は演奏されなかった曲がどんなライブ内容だったのか、これはファンとして実に気になるところである。
ライブDVDは編集の都合で一部カットされることの方が多い中、こういうのは実にありがたい。
実際私の観にいった公演では「船乗りの話」、「再び赤い悪夢」などが演奏されなく、他の公演でそれらが演奏されたと聞いて非常に歯がゆい思いを抱いていた。
で、今回のDVDでその映像を拝見して、さらに悔しさが増したのであった。

「やっぱメチャメチャかっこええやんけっ!この日のライブに行った人はラッキーだ!」と。

楽器と楽器のぶつかるこの渦巻くようなカオスと見事なアンサブル!「船乗りの話」こそロバート・フリップギターの真骨頂だと、この映像を観て確信した次第である。



ロバート・フリップのギターを弾く姿。
実は私の観にいったフェスティバルホールの席は、5列目という良席でありながらロバートの位置からは随分かけ離れていて、ロバートがどこで何を弾いてるのかほとんどわからなかったのだ。
だから今回の映像を観て「おお、翁けっこう弾いてるやん!」と、ホンマにファンかという驚きと感動を覚えた。

あと、ちょっと懐疑的であったギターヴォーカルのジャッコ・ジャクスジクの存在。
彼、実はマイケル・ジャイルズの娘婿らしく、その辺も行動派のクリムゾン追っかけとしかいいようがないのだが、そんなストーカー野郎をロバートはよくクリムゾンメンバーに加えたなぁと、その翁らしからぬ寛容ぶりに少し寂しい気持ちを抱いていたのだが。
ただ、今回の映像で「こいつ、単なるトリビュート野郎と見くびってたが、意外にいい声しててやるな」と少し見直してしまった。
それを特に感じたのが、A King Crimson ProjeKctの『Scarcity of Miracles』に収録されているタイトル曲。なにこのシックな雰囲気、カッコ気持ちいい。メルのクラリネットの音色も心にしんみり響いてくる。
A King Crimson ProjeKctは「バンド名からしてクリムゾンじゃない」と敬遠していたが、ちょっと聴いてみたくなった。
ま、クリムゾンのヴォーカリストってのは以前から流動的で、ジャッコ自身個性は薄いが、他の大御所バンドによくみられるもどき、そっくりさんヴォーカルってわけじゃないからな。
クリムゾンの従来の名曲群にしても彼なりに上手く消化できてると思う。

このDVDにひとつ苦言を呈するなら、映像の編集の仕方。
一場面一場面コマが目まぐるしく切り替わるのではなく、固定カメラであらゆる方向から撮影したものを各アーティストをフェードイン、フェードアウトでダブらせて映し出すというもの。
これには最初ガッカリした。なんやねんこの透明感・・・
ライブ感がイマイチ薄れるというか、なんか迫力に欠けるのだ。
編集技術の凝ったブートレグ映像を観さされているよう。画質も微妙に悪い。

でも珠玉のセットリスト&ライブ内容が素晴らしいので、何回も見てるうちにその映像にもだんだん慣れてきます。
それに、よくわからないが24bit/48kHz DTSサラウンド、24bit/48kHz LPCMステレオ再生?なので、音質には確かな自信があります!(誰?)


DU特典の紙ジャケ収納BOX。全然入りきらない。ていうかこれは必要なものですか?







今日の1曲:『Easy Money』/ King Crimson
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テクノポップ

2016年04月16日 | プログレッシヴ草稿
Perfumeはメジャーデビューしたての頃は、「近未来テクノポップユニット」というキャッチフレーズを掲げ世に出てきた。

中田ヤスタカ氏がPerfumeの曲を手掛けるようになってから、彼女たちに言わせると「ちゃっちい」音楽として当時いたく困惑させたテクノポップミュージック。
まぁもともと70年代後半から日本で流行り出した「テクノポップ」というジャンル語は日本発祥の造語らしく、その「テクノポップ」という言葉をいたく気に入って全世界に広めたというクラフトワーク(なんせ『エレクトリック・カフェ』というタイトルやったものを近年になって『テクノ・ポップ』に改題したくらいやからな)の存在は無視できないだろう。
つか私自信『人間解体』だけ持ってて今まで無視し続けてきて、今頃になってリマスタ音源を買い漁ってるわけだが。




正直この手のジャンルに疎い私にとって「テクノポップ」とはなんなのかわからない。
先日大阪のディスクユニオンでクラフトワークの中古を探してて、洋楽ロックコーナーにもテクノコーナーにも見当たらなくて、スタッフにたずねるとなんとプログレッシヴロックコーナーに案内されて、「クラフトワークってプログレでもあるのかよ!」と思わず関東弁でつっこんでしまった(ウソ)。
まぁ確かにメジャーデビュー作『アウトバーン』は、A面まるまる1曲20分を超す壮大なる構成の曲で、このフワフワとしたアルバムが大ヒットしたって、クラフトワークが編み出したこういう電子音による無機質な音楽が当時もの凄く斬新で進歩的やったってことなんやろな。
東京の年配の知り合いの方もこの作品をフェイバリットに挙げとったし。

私としては80年代に入ってから、ちょっとニューウェイブ色が加味されだした頃の『コンピューター・ワールド』がドンピシャという感じ。
同じテクノポップっつってもクラフトワークはPerfumeと違ってダンスミュージックとか、今で言うEDMというカテゴリーには分類できないだろう。まず踊れない。
言うなれば電子音を脳内で楽しむ音楽。そういう意味ではPerfumeもそうである。
この単調なリズムと80年代の家庭用のテレビゲームみたいな無機質なピコピコとした音色に、なぜか私は心奪われるのである。
幼少の頃、親にファミコンも買ってもらったことないのに・・・(ゲームウォッチは持ってた)


曲目をざっと紹介すると・・・

コンピューター・ワールド
コンピューター・ワールド2
コンピューター・ラヴ
ホーム・コンピューター
コンピューターはボクのオモチャ

・・・と、ほぼコンピューターのことしか歌ってない、いわゆるコンセプトアルバムというやつだ。
てゆーか、この時代はパーソナル・コンピューターがまだ一般家庭に普及してない頃で、メンバー自身ですら所持してなかったとか。
だからほとんど妄想の世界なんですね。
あるいはコンピューター時代の到来をすでに予感していたと思えば、クラフトワークこそがまさに「近未来テクノポップユニット」と呼べるのかもしれない。

個人的お気に入りナンバーは「ポケット・カルキュレーター」。そう、電卓。
電卓を叩く音をイメージして構成された曲みたいだが、実際はTexas Instruments社から発売された携帯翻訳機の操作音を奏でてるんだとか。
つまり様々な言語を音声で翻訳してくれる機能の付いた当時最新鋭の電子卓上計算機。
そんな便利なトンデモ計算機が昔あったのか。私の時代はそんなもん家になかったぞ。
プッシュ音も鳴らんかったし。



あとは「コンピューター・ラヴ」。
なんだか今の私の心情を歌っているようで、ラルフの無機質で淡い感じの歌い方が心に沁みてきて切なくなってくる。
ホワホワしたメロディーを奏でるシンセ音もよい。




幼少の頃、ほとんどの人が家庭用ゲーム機やアーケードゲームに夢中になった時代があると思う。
そしてゲーム中誰もがスーパーマリオやドラゴンクエストなどの電子がかったピコピコとしたBGMはやけに耳に心地よく響いてたはずだ。
誰も無音でゲームやってたなんてことはないだろう。
だから人工的でプログラミング加工されたピコピコとした音楽なんて味気なくてショボいとかちゃっちいなんて言ってテクノを侮るのはいかがなものかと。
ゲームサウンドが好きだったのがもとで打ち込み加工中心の曲をやりだしたヤスタカ氏。
確かにPerfumeのメジャーデビューシングル「リニアモーターガール」はゲームサウンドっぽい曲だった。
そして初期のシングル曲「コンピューター・シティ」「コンピューター・ドライビング」「エレクトロ・ワールド」といったストレートでシンプルなタイトルは、どこかクラフトワークの影響を思わせる。
そういった簡素でピコピコした感じの電子音楽で多くの人々に嗜まれている。
そういうのがたぶんテクノポップなんだということでよろしいでしょうか?
違うか?





今日の1曲:『Computer World』/ Kraftwerk
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スティル・・・ユー・ターン・ミー・オン

2016年03月13日 | プログレッシヴ草稿
この2、3ヵ月の間というもの、あまりにも大物アーティストの訃報が多過ぎる!
ちょ、ちょっと待ってくれ!という感じだ。

昨日の昼間、大阪のディスクユニオンにフラっと立ち寄ったんだが、店頭にELPの作品がズラっと並べられてあって、店内ではアルバム『恐怖の頭脳改革』がリピートで流れてて気にはなったんだが、まぁディスクユニオンだしそう珍しいことでもないし、その時は全く気づかなかった。
で、夕方頃家帰ってPCつけたら・・・・・

キース・エマーソンさん、自宅にてピストル自殺か・・・・・


いやいや、これはさすがにデマやろ?と思ったが、フォロワーさんやマイミクさんのつぶやきでそれが事実だということを認めざるを得なかった。
来月ビルボードで来日公演が控えていたというのに・・・あまりにも呆気なくて悲劇的すぎる死だ。

キース・エマーソンが5年前、東日本大震災の被災者の為に作った曲『日出ずる国へ』。
今となっては彼自身に対する鎮魂歌にしか聴こえない・・・・




私がキース・エマーソンの音楽に初めて触れたのは、小学生低学年の頃に遡る。
当時話題沸騰であった石ノ森章太郎のマンガをアニメ映画化した『幻魔大戦』のテーマソングである。



映画そのものは見に行ってないが、家にこの主題歌のドーナツシングルがあって、私はそれがいたく気に入っており、とくにB面に収録されていたインスト曲『地球を護る者』が大のお気に入りだった。
もちろんその頃はキースの存在など知る由もなかったのであるが。




まぁメタラーってのは、とにかくキーボーディストなんてものには注目しない傾向にあり、マトモに知っているのはせいぜいジョン・ロードくらい。
最近はそうでもないが当時のB!誌のキーボード部門の人気投票を見てみても、トミー・リー、エディ、ヨシキなどが上位を占めているというなんとも情けない有様なのだ。
そんなメタル少年期を経た私が、高校生になってからなぜかピアノという楽器に惹かれはじめ、なにかキーボードをフューチャーした音楽はないものかと手を出したのがエマーソン、レイク &パーマの代表作『タルカス』だった。




このアルバムを聴いた時はまさに衝撃だった!
ここまでキーボードがフューチャーされたロックアルバムがあるなどとは!
しかも実にスリリングな展開が随所にあって、壮大でストーリーが見えてくるこの不可思議な音楽にもう夢中になってしまった。
これがプログレなのだと!
プログレッシヴロック体験は実はクリムゾンの1stの方が先だったのだが、高校前半の頃はELP、キース・エマーソンにゾッコンで風呂や台所などにもラジカセを持ちこんで常にテープで繰り返し聴いていたのを今でも覚えている。
そして全然とけ込んでなかったクラスで、ロックにほとんど興味のない同級生になにか音楽的な話のキッカケがあればELPのテープを貸し付けたりしていたことも。
(もちろん翌日になんの感想もなく突っ返されたが)

まぁ大学生の頃には、ちょっと聴き過ぎたってのもあり、もっと巧いバンドなどもどんどん出てきて徐々に冷めていってしまって今じゃほとんど聴かなくなったけど、それでもELPの作品はけっこう買いましたよ。
『四部作』なんていうメンバーそれぞれのソロ音源がはいってるやつとか。そん中でキースがオーケストラと共演してるいわゆるピアノ協奏曲なんかけっこう気に入ってて今でも日曜の朝とかに聴きたくなる。




キース・エマーソンの楽曲は、今や我々日本国民にとっては馴染み深いものとなっており、さっき紹介した『幻魔大戦』のアニソンとしてもそうだし、NHK大河ドラマ『平清盛』でも「タルカス」のオーケストラ版が劇中音楽として使用されていた。




でも一番知られている曲と言えば、やっぱこれになるのかな?
まぁこっちはELPでもパウエルの方やけど。

Emerson,Lake&Powell - The Score



キース、辛かったんでしょうね。
安らかに・・・

今日の1曲:『庶民のファンファーレ』/ Emerson Lake & Palmer
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