AMASHINと戦慄

~STARLESS & AMASHIN BLOG~
日々ブログレッシヴに生きる

アルンハイムの地所

2009年12月31日 | カテゴライズできない
今年もあと数時間。
今年は色んな節目の年でもありました。

手塚治虫生誕20周年、ガンダム30周年、天皇陛下御在位20周年、人間椅子20周年と・・・
あとエドガー・アラン・ポー生誕200年でもあったんですよね。

ポーといえば、アメリカ最大の文豪と言われ、ラヴクラフトや江戸川乱歩(ペンネームまんまやし)にも多大な影響を与え、探偵推理小説というものを最初に書いた怪奇小説家であり、偉大なる詩人でもありました。
アイアン・メイデンの影響で、中学の時初めて読んだポー作品が『モルグ街の殺人』でした。
今年奇遇にも未読だった『ポオ小説全集 2』をブックオフで発見し、読了。

でも今年日本ではなんかあんまフィーチャリングされてませんでしたよねぇ。
色んな有名人が死んだり、シャブやったりしてそっちの方が盛り上がってたような気がします。

そこで、私自身が様々なベスト5を勝手に選んで今年最後ひとりで大いに盛り上がっちゃえー!なんてむなしい忘年企画を思いつきました。
いいんだいいんだ、年末になると決まって誰もかまってくれないし・・・
よって今年のベストアルバムの発表は来年に持越しです。


~エドガー・アラン・ポー作品ベスト5~



1.『タール博士とヘザー教授の療法』(精神病院もの)
2.『モルグ街の殺人』(探偵推理もの)
3.『ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語』(航海・冒険もの)
4.『不条理の天使』(不条理・ファンダジーもの)
5.『黄金虫』(暗号・探偵もの)

正直ポー作品は小難しい表現が多くてついていかれへんのですが、そんな中でも心底オモロイ!と思ったのが、『タール博士とヘザー教授の療法』。
ドイツ映画『es』的な要素もあり、狂気とユーモアが絶妙に入り混じる大ドンデン返しな結末が最高。
『ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語』は大きく2部に分けられていて、前半は難破船もの。飢餓に喘ぐ男どもの理性と狂気が葛藤する極限状態がリアルに描かれている。ついには人肉供食までに・・・
後半は大航海もので、人跡未踏の地で未開の人間どもに出くわし、そこでテケリ・リ!テケリ・リ!


~手塚治虫作品ベスト5~



1.『陽だまりの樹』(幕末・医学)
2.『きりひと賛歌』(医学サスペンス・フリークス・白い巨塔)
3.『アドルフに告ぐ』(ナチス・サスペンス)
4.『火の鳥』(SF日本史・輪廻転生)
5.『奇子』(戦後・斜陽族・近親相姦・下山事件)

今年TBSで『JIN-仁-』っていう幕末SFドラマが人気になってたけど、最初の2~3話ほど拝見して、綾瀬はるかのかわいらしさ、大沢たかおの変わらぬ大根ぶりはいいとして、蘭方医と漢方医の対立や、コロリ大流行のくだり、緒方洪庵先生登場など、手塚治虫先生の幕末漫画『陽だまりの樹』を思い浮かべずにはいられませんでした。ま、ゲスの勘繰りは控えますけど。
てゆーか幕末ゆーたら二言目には龍馬龍馬とはしゃぐ輩が多いけど、私に言わせたら三百坂の伊武谷万ニ郎を知らずして幕末を語るなぞ笑止千万!
彼こそ激動の幕末を駆け抜けた男の中の男!侍の中の侍!(融通が利かんのがたまにキズだけど)
「歴史にも書かれねえで死んでった立派な人間がゴマンと居るんだ」と、西郷どんに言い放ったのはもうひとりの主人公である若き蘭方医、手塚良庵(後に良仙)。
ちなみに彼は手塚治虫の三代先のご先祖であったりする。


~人間椅子作品ベスト5~



1.『人間失格』(1st)
2.『踊る一寸法師』(5th)
3.『黄金の夜明け』(3rd)
4.『頽廃芸術展』(7th)
5.『三悪道中膝栗毛』(12th)

椅子作品はどれも甲乙付け難いが、1stの確信犯的な古ぼけた音像は正に神!歌詞カードは昔の方が凝っててよかった。
偶然にも全歴代ドラマー参加作品万遍なく選出されたが、それぞれの時代にいい味がある。
人間椅子 will never die!!


~ガンダム名言ベスト5~



1.「スレッガーさんかい?早い、早いよ」(カイ・シデン)
2.「やらせはせん!やらせはせんぞー!!」(ドズル・ザビ)
3.「あれは、いいものだ!!」(マ・クベ)
4.「このチベを木馬のどてっ腹にぶつけーい!」(コンスコン)
5.「男冥利につきるってもんだぞ」(ジオン兵)

断末魔の叫びが多くなってしまったな。死を前にした男のセリフはカッコいい!

よいお年を

今日の1曲:『モルグ街の殺人』/ IRON MAIDEN
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鳥人体系

2009年12月28日 | カテゴライズできない
ちょっと時期遅れの話題ですが、先週のM-1はまさかのパンクブーブーが優勝でしたねぇ。
私個人ではハライチのネタがツボでしたけど。
いや、私もあの中ならパンクブーブーに一番期待が持てたんですが、なんせ1回戦目で紳助が笑い飯の鳥人ネタに異例の100点満点をつけたじゃないですか。
私的には「はぁ!?」でしたけど、あの時点で「あ~あ、ほぼ決まったかなーっ」と。
しかしフタを開けてみたら満場一致でパンクブーブーが勝利をおさめ、やっぱこの番組って正当に評価していたんかなぁと思いました。

ところで笑い飯のネタって、私の笑いの感性には全くひっかかてこない。
シュールだとは思うんですが、あの鼻息の荒さがダメなのかなぁ~
決勝の鳥人ネタはよくできてるなとは思いましたが、クスリとも笑えませんでしたし。
で、なんでもその“鳥人”が見ル野栄司という漫画家が10年以上前に創作した“鳥男”とまったくと言っていいほど同じ容姿なのだというパクリ疑惑がさっそく浮上してるとかいないとか。

でも、そんなマニアックな漫画を引き合いに出さなくっても世間の人は気づいてますよ。
“鳥人”が、1971年に英国よりデビューし当時からNWOBHM的なサウンドを打ちだしていたあのハードロックバンドBUDGIEのジャケットのキャラクターと同一ではないかということを!
まぁ私自身BUDGIEに関してはベストアルバムのテープを一本持ってたかな程度なんですが、メタルファンならやっぱ彼らの名曲“BREADFAN”をあの有名バンドがカヴァーしたことでの認識の方が強いですよね。

そう、人間椅子の“針の山”。


あと、ついでに言わせてもらうとですねぇ、まぁこれは信じてもらわなくってもかまわないですけど、私が小学校の頃に描いてた手作りマンガに“クロウマン”という超人が出てくるんですが、そいつも確かカラスの頭に人間の体をくっつけたヤツでした。得意技はクロウクロー(カラスの爪。カラスの黒とも掛けていた?)
ようは誰でも考えつきそうなキャラやっちゅーことですわ。

そういえば手塚治虫先生の漫画にも『鳥人体系』っていう読み切り中編作品があります。
手塚SF作品の中でもその想像力と構成力において群を抜く傑作で、まぁ分かりやすくいえば『猿の惑星』の鳥バージョンと申しましょうか。
私の中では手塚作品における一種のクトゥルーものであるかと。



地球支配層の地位にあった猿から進化した人間社会の腐敗ぶりに見切りをつけた神(つまりくクトゥルー神話でいうところのエルダーゴッズだな)が、今度は鳥類に知性を与え地球での支配権を委ねるというお話です。
人間は進化した鳥人の大反乱に遭い、殲滅され、住処を追われ、やがて奴隷のような地位に落ちぶれます。この過程が社会主義的統制や白人がインディアンを迫害していく歴史ソックリに描かれており、風刺めいていて実にに興味深い。
で、鳥人同士の間でもやがて身分階級や人種差別が生まれ、結局人間と同じ道を辿ることになります。
「歴史は繰り返される」という、なんとも救われないダークな結末なんですね。

この物語のオチがまた面白くて、エルダーゴッズ達の会議で鳥人に代わって今度はゴキブリ類に地球の支配権を委ねようとするところで話が終わります。
これはラヴクラフトが『時間からの影』の中でほのめかしていた、人類滅亡後、いずれ地球を支配し、<イースの大いなる種族>が大量に精神転移を行うというあの甲虫類生物のことでなくてなんであろう!


オリジナル メタリカも人間椅子も彼らを聴いて育ったんだ。


今日の1曲:『BREADFAN』/ BUDGIE
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恋の最終解脱

2009年12月27日 | まったり邦楽
「今さら何ゆうてはるん?」って言われるかも知れないが、みうらじゅんに最近女児が誕生したというニュースを聞いて、彼が結婚してたことを知ったのですが、そのヨメさんがなんと有名シンガーのbirdであったことを知ってビックリクリクリ!
しかも今回すでに2人目なんだってね(ヨメさんも)。
しかし、この2人の接点がどうも思いつかない。

みうらじゅんといえば、まぁ妙なものに固執するいわゆるサブカル人として不動の地位を確立した人物で“マイブーム”という言葉の生みの親。その仕事振りから作家としての才能も相当なものであると見受けられます。
ただ、私自身みうらじゅんにそれほど関心をもったことがないんですよね。
姉がやたらみうらじゅんの仏像紀行番組にハマってたけど、私にとっては「それがどうした」って感じでしたし。
あと、彼原作の映画『アイデン&ティティ』に人間椅子が出演しているというので鑑賞したぐらいかな。まぁこれも「別に」という感じでした。
基本サブカル人という人種がなんか信用できんのですわ。とぼけたキャラを装っていて実は計算高いみたいなそういうスタンスが好かんというか。

それにしても、みうらじゅんとbirdとの接点が京都出身ということぐらしか思いつかない。
いや、こういったゲスの詮索とかは私の趣味じゃないので別にどうでもいいのですが・・・

でもなんでよ?!

君は千手観音 / 大日本仏像連合

みうらじゅん+大槻ケンヂ+人間椅子+佐竹雅昭というワケのわからん編成。




birdは一時期よく聴いてました。
1stは全くといっていいほどひっかからなかったけど、2nd『MINDTRAVEL』は今でもたまに聴きます。
アシッドジャズ風の軽快なリズムに合わせて、birdのクールでソウルフルな歌が躍動感を持って縦横無尽に繰り出される会心の1枚。
つまらないアーティストに曲を提供してもいるが、ここでの大沢伸一(モンドグロッソ)氏の仕事振りは本当に素晴らしいの一言。
ヴァリエーションの豊かさ、リズムアレンジ、ムダのない多彩な楽器音の導入、とにかく捨て曲が1曲もない。
軽快なすべり出しのカッティングギターから始まる“MINDTRAVEL”、そのハイテンションのまま連続して畳み掛ける“マーメイド3000”の言葉数の多いこと!超複雑なリズムでカラオケで完唱出来る人は少ないかと。
“GAME”は私がbirdを知るキッカケとなったナンバーで、パワフルなシングルヴァージョンもいいけど、ラテン風のリズムにあわせてbirdが優雅に歌うアルバムヴァージョンも秀逸。
あと、“4 PM”や“9月の想い”のようにシットリ聴かせるナンバーでは、birdの綴った切ない恋心がジンと胸に沁み込んでくる・・・

でもなんでみうらじゅんと?!?!



今日の1曲:『GAME』/ bird
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過去のない男

2009年12月23日 | しねしねシネマ
オヤジが突如、成瀬巳喜男監督の映画『浮雲』について熱く語りだしたので、ふとフィンランドのアキ・カウリスマキ監督の“負け犬三部作”のひとつ『過去のない男』について柄にもなく書きたくなった。
ケーブル映画チャンネルでたまたま観ていて、今まで観たこともない不可思議な感覚になんかハマってしまった作品なんです。

薄寂れたヘルシンキの貧民街で淡々とストーリーが展開していくのですが、「感情どこいったんやねん!」といいたくなるほど登場人物が無表情。
そして主人公をはじめ、とにかく口数が少ない。
この街の連中ときたら皆覇気がなく、無愛想なんだが、妙に人情味に溢れてるんだなこれが。
日本の田舎にもいそうやん。無愛想なんだが妙に親切なおばあちゃんとか。そういう素朴感がたまらんというか。

負け犬三部作つっても、ここに登場する主人公の男は暴漢にボコられ半殺しの目に遭い身ぐるみ剥ぎ取られて記憶喪失になるものの、全然負け犬なんかとちがいます。
負け犬どころか、どん底生活の中ちゃんと職探ししたり、彼女作ったり、なぜかバンドをプロデュースしたりします。
犬といえば有名な食人鬼の名前をつけられた犬コロがいい味だしてます。

恋愛シーンひとつにしても大げさでない微妙な演出の中から様々な心情が読み取れ、それがなんかクセになるという、本当に不思議な魅力を持った映画である。
要は、イケメンやらアイドルが出演しなくても、余命何ヶ月かの命でなくても、どっかの中心で愛を叫ばなくったって愛溢れる素晴らしい作品が作れるってことですよ。
「絶対泣きます!」とか宣伝してるCMの映画みたいな押し付けがましさは微塵もございません。

ヨーロッパの作品だからといってなにも映画マニア向けとか、堅苦しい内容とかでは全然なくて、寡黙でクスリとも笑わない主人公が、出くわす人々にサラリと言葉を交わし淡々と人生を立て直していく姿を見てる内に、自然とこの主人公の魅力に惹かれていっちまうんです。
救世軍(慈善活動団体)に仕事紹介してもらったクセに、余裕でサボりながらそのボランティアンのひとりをベタなやり方で口説くというこのおっさんのふてぶてしさもなんだか笑えてきます。
とにかく、この度の大不況で将来の展望が見えない今現在、とても心に沁み、なんだか可笑しくて、そして心温まる一本であるかと。

それと、やっぱ私は音楽のステキな映画に惹かれるのかもしれない。
『ピストルオペラ』とか『ダンサー・イン・ザ・ダーク』など、音楽が映画を生かし映画が音楽を生かすっていう、そういう作品。
とにかく救世軍おかかえバンドの演る曲がいちいち渋いんですよ。主人公が(雑用係の分際で)ロック色を取りいれてはどうかと助言してからはさらにカッコよくなる。
ここでは猿の惑星に出てきそうな容貌の女チーフまでもがステキな歌声の持ち主で、特にラストに彼女が披露するワルツナンバーは強烈な哀愁感が漂っている。

車内食堂のシーンでBGMにクレイジーケンバンドの「ハワイの夜」が流れるんですが、その時主人公が無表情で食ってるものがにぎり鮨であるところもさりげなくユニークである。
このアキ監督、実は小津安次郎や成瀬巳喜男監督などの日本映画ファンで、負け犬三部作のひとつ『浮き雲』は成瀬監督の『浮雲』のタイトルを拝借したものであるとのこと。

オススメ度:★★★★★



今日の1曲:『悪魔に追われて』/ Marko Haavisto & Poutahaukat
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虎舞竜 VS TROUBLE

2009年12月19日 | やっぱりメタル!!
ちょうど17年前に、本国でThe虎舞竜の「ロード」とかいう曲が大流行した。
歌われてその日カラオケに来たことを激しく後悔する曲NO.1のあのヒットソングだ(個人の感想です)。
そのロードシリーズを第三章までシングルリリースするという信じられない商法で何億円と荒稼ぎしたらしいんだけど、出す方も出す方だが買う方も買う方?

しかもこのシリーズ、実は第十三章まであったってことが判明しました。
詳しくレポートしてくれてるヒマなブログを発見したんでご参考まで。
http://blog.livedoor.jp/textsite/archives/18300770.html


しかし、この中学生のヤンキーが思いつきそうな当て字バンド名には唖然としたけど、デビュー当時は普通に「トラブル」と名乗っていたそうだ。
ちょうど17年前に、私がハマっていたバンドも確か「トラブル」というバンドだったんですが、これはアメリカはシカゴ出身のメタルバンド。




まぁその重厚なリフ構成からモロブラック・サバス直系のバンドで、それにロバート・プラントをハスキーにしたようなヴォーカルが乗っかる感じ。
私が最初に聴いた5th『MANIC FRUSTRATION』は、垢抜けたサウンドで非常に多様性に富んだキャッチーな内容だったが、デビュー当時はドゥームメタルの先駆者としてかなりヘヴィでドロドロしたサウンドを追求していたとてもアメリカンバンドとは思えないウェット感を纏うスタイルで、カテドラルのリー・ドリアンも崇拝していたほどである。

私がよく愛聴しているのは、Def Americanに移籍してリック・ルービンをプロデューサーに迎えた4thアルバム『TROUBLE』(同タイトルの1stと区別するために邦題は『トラブル4』となっている)。




このアルバムから繰り出されるギターリフはもうヘタなスラッシュメタルバンドよりも断然カッチョよい!!
まぁ古色蒼然たるアルバムジャケを見てもわかるとおり、70年代ブリティッシュハードロックを強く意識したグルーヴ感とオーガニックなヘヴィ・ロックが見事に融合した、いわゆるストーナーロックの一大傑作に仕上がっている。
ちなみにこの時のドラマーは、元ZOETROPEのバリー・スターン。



見事にツボを突いてくるクール且つストレートなリフ展開のゾクゾクとくる絶妙さ加減。
間髪入れずにグイグイ進行していくアルバム全体の流れもとてもよい。

名エンジニアの起用で音作りの面においても彼らの最高傑作とされる5thもいいが、ドロっとした湿った感をまだまだ引きずっているこのアルバムのサウンドプロダクションの方が私にとっては遥かに好みなんだなー



今日の1曲:『R.I.P.』/ TROUBLE
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アーカム計画

2009年12月15日 | ルルイエ異本
・・・いあ・・・んがい・・・いぐぐ

てゆーか、絶版になっていたロバート・ブロック著の『アーカム計画』が復刊していた。
ぐぐってたら偶然Amazonでこの書の新刊を発見して、「まだ在庫あったん?!」と興奮して見えざる邪悪な力に突き動かされるままカゴに入れてしまっていた。

今年は東京創元社の50周年らしく、それを記念して復刊して欲しい文庫のリクエストを募ってたんですね。
厳選10冊だったらしくって、まさかその一冊の中にこの『アーカム計画』が入っていたとは・・・
人智及ばぬ暗黒の深淵からのなんらかの緒力が働いていたとしか思えんな。

ロバート・ブロックはアメリカの怪奇小説家で、ヒッチコック監督映画『サイコ』の原作者としても知られている。
また熱心なクトゥルー神話体系の研究者でもあり、彼が師と仰いでいたクトゥルー神話の提言者ラヴクラフトからは“ロバート・ブレイク”と呼ばれていた。

そしてロバートは救いがたいほど軽率なオカルト探求者としても有名である。
彼はとある日、南ディアボーン通りの古書店であのルドウィク・プリン著の『妖蛆の秘密』を発見、さっそくプロヴィデンスの老神秘家(それがラヴクラフトだったという)に翻訳してもらおうと意気揚々とこの呪われし書物を持ち込んだが、この哀れな老神秘家がチョンボして人間の血を貪る<星の送りし下僕>を召喚してしまい、彼が魔物に食い殺された後、ロバートはその家に火を放ってトンズラ。
それにも懲りずに、今度は19世紀にプロヴィデンスで暗躍したカルト教団“星の智慧派”の本部であったフィデラル・ヒルの廃教会に忍び込んだ。
そこで輝くトラペゾヘドロンの箱を発見し、あろうことか、その蓋を閉じてしまったことにより封印が解かれ、這い寄る混沌<ナイアルラトホテップ>を召喚してしまう。
その一週間後、自宅の書斎の中で感電死体となって発見される。

ロバートの死後、発見された彼の日記の中から、ナイアルラトホテップの恐怖を綴った最期の手記をここに紹介しておこう。


「あの尖り屋根が見える あの塔が 窓が 聞こえる ロデリック・アッシャーだ
塔の中であいつが動きだし歩き回っている わたしがあいつであいつがたわしだ
(中略)
あいつが見える ここにやって来る 地獄の風 巨大なにじみ 黒い翼
ヨグ=ソトホース!救いたまえ 三つにわかれた燃え上がる眼・・・」

ロバート・ブロック氏 
ラヴクラフトとは小説の中でお互いを殺しあうほど仲が良かった。



で、今回入手した『アーカム計画』って、一体どんな計画なんでしょうかねぇ。
どうせ魔力を持った石笛を吹き鳴らしたり、ビヤーキー召喚して黄金の蜂蜜酒でへべれけになりながら星間宇宙を旅したり、万聖節前夜に環状列石の前でズカウバの薫香を焚いたり、バルザイの偃月刀で多角形を描いたりして、ヨグ=ソトホースやらシュブ=ニグラスなんかを召喚するといった、ロクでもない計画なんだろう。


今日の1曲:『God of Emptiness』/ MORBID ANGEL
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うるおい成分配合

2009年12月13日 | まったり邦楽
TICAの6年振りとなる最新作「Johnny Cliche」を聴いた。
そうか、「MINING FOR GOLD」以来アルバム出してなかったんや。
まぁ私がTICAを知ったのもちょうど6年前くらいなんだが。

今回も90%くらいがカヴァー曲なのかなと思いきや、最初の3曲はなんとオリジナルだった。
これがどれも素晴らしい!

冒頭の石井マサユキ氏奏でる美しきアルペジオと武田カオリさんのフワっと入ってくる透き通るような歌声を聴いた瞬間、「天使が舞い降りてきた!」って思いましたね。
もう粉塵と不潔なる微粒子に澱んだ私の部屋の空気を一瞬でガラっと変えたというか、体内の悪い血が全部清められるというか・・・このウットリするよな極上ビューティーサウンド。
これはスゴい・・・スゴい作品だ!

とにかく、レコード屋の店頭に並べられている癒し系やらカフェ・ミュージックっていう安易なくくりのコンピアルバムに無駄金をはたくくらいなら、このTICAの崇高なる最新作を買うことを私は強くオススメする。

今回は以前のような電子加工音が随分と抑えられて、フォーキーなバンドサウンドが主体となっており、そのためか、カオリさんの歌声のクリスタル度がますます際立った感じだ。
とにかく、100オクターブの声域やら、押し付けがましいビブラート法なんぞ、カオリさんの透明感溢れる壮麗きわだかなクリスタルヴォイスの前では全てクズと化してしまう。
オリジナル曲の内、石井マサユキ氏がリードVoとるナンバーもあり、普段「男はいらん!」と豪語してる私でもこの曲はジンと心に沁みてくるものがありました。

カヴァー曲はルー・リード(ベルベッド?)の曲を2曲やっている他、“Edelweiss”や“2000 Miles”などの庶民的なスタンダードナンバーをアコースティックにアレンジ。
ラストにビョークの、といってもTHE SUGARCUBES時代の彼らのデビュー曲“Birthday”をカヴァーしている。曲が終わってカオリさんの「ありがとうございました」という声を聞いて「あ、ライヴ音源やったんや」とはじめて気付く鈍感な私。
そういえば今年2月に見に行った奈良橿原でのカフェライヴでもこの曲演ってはったな。

今回かなり感銘を受けたのが、カオリさんが作詞を手掛けてるオリジナルダブナンバー“One Hundred Loves”。
Little TempoのTico(名前まぎらわしいけど)奏でるスティール・パンがダブならではのとてつもない幻惑的な効果をもたらしている。

この季節、ヴィレッジ・ヴァンガードの店内で流れているようなクソつまらないクリスマスカヴァー曲や、日本人に媚売りさばきまくっとるどっかのアメリカ人ヴォーカリストのクリスマスカヴァー曲より、カオリさんの歌う“2000 Miles”の方が1000000倍くらい聖なる響きがあるかと思われる。

Grand Galleryの新レーベルTARTOWNより全曲視聴可能どす。

今日の1曲:『Femme Fatale』/ TICA
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リリイホリック

2009年12月08日 | まったり邦楽
リリイ・シュシュ幻のシングル盤『共鳴(空虚な石)』をお手頃価格で入手。

もうこの商品はほぼ入手不可能だろうと半ば諦めていたのだが・・・
これはCoccoインディーズ時代のCD『Cocko』を入手した時以来の快挙かもしれない。
これでリリイ・シュシュ関連のアイテムはほぼ全て揃ったかと。
このシングルには「共鳴(空虚な石)」、「愛の実験」の他、「Sight」というアルバム未収録のインスト曲が収録されている。

で、12月8日の今日はリリイ・シュシュの生まれた日で、この日付はジョン・レノンがマーク・デビッド・チャップマンに殺された日時と一字一句符号している・・・・・

というようなことは以前の記事にも書いたので、今日はリリイについてのちょっとした経歴でも紹介するとしよう。


本名は鈴木圭子。
リリイ・シュシュという名前の由来は、リリイが言うところの「エーテルをはじめて音楽にした人」であり、彼女が敬愛してやまない音楽家ドビュッシーの家族関係からきている。
ドビュッシーの妻の名前はロザリー・テクジェで、その彼女の愛称が「リリイ」。
そして二番目の妻との間にできた娘クロード・エンマの愛称が「シュシュ」だった。
リリイ・シュシュは、この二人の名前をつがいにして出来た。


リリイは12歳で全寮制のミッションスクールに入校。その頃、はじめてバンドというものをやる。
それが<ブラッドベリ・オーケストラ>。
ご存知の通り、このバンドの正体はいまだほとんど明らかにされていない。


当時<ビタービート>というアマチュアバンドをやっていた加山葛比路が、野田周、木下有法と共に<フィリア>という今までとはまるでテイストの違うユニットを結成。そこにヴォーカルとして起用されたのが鈴木圭子、つまりリリイだった。
加山葛比路はリリイを渋谷のHMVで拾ったというが、コアなファンからしたらどう贔屓目に見ても拾われたのは加山葛比路の方という見方が圧倒的である。


1995年2月21日、無名バンド<フィリア>はシングル『アディクション』でメジャー・デビュー、某レコードのチャートで1位を獲得する。
その後、『アブノーマリティー』『マニック & デプレッシブ』とシングルをリリース、1stアルバム『フェティッシュ』をリリースした後、わずか1年で解散。
加山葛比路は早々に新ユニット<イエロウフェロウズ>を結成。彼はこの成功でメジャーの地位を不動のものにした。


解散から一年後、フィリアのベーシストだった木下有法(この頃UFO木下と改名)のもとにリリイから「エーテルが動き出したの」という連絡があり、フィリアのブレインとまで言われていた野田周がアレンジャーとして加わり、<リリイ・シュシュ>が始動する。


1997年2月に1stミニアルバム『ジュエル』を発表。翌年7月には2ndアルバム『エロティック』をリリース。
2000年4月にはシングル『グライド』が発売され、6月には『共鳴(空虚な石)』のシングルが発売される。
音楽TV番組「HEY!HEY! HEY!」や「ミュージックステーション」などにも出演し、一応ダウンタウンやタモリとも絡んでいる。










そして2001年10月、リリイ・シュシュ不朽の名作『呼吸』が完成する。




2003年にはクエンティン・タランティーノ監督の映画『KILL BILL』に、このアルバムから「回復する傷」が劇中曲として使用されたことは有名(私も劇場でギョッとしたことを覚えいている)。
これはタランティーノが彼女の歌声に惚れ込んだことにより起用が実現したものであるといわれている。

Kill Bill Vol. 1 - Kaifuku Suru Kizu



リリイ・シュシュの活動は例の“野田周事件”によって突如終止符を打たれる。
彼の一連の異常行動は「エーテルに取り憑かれた男」として週刊誌を賑わせた。

“エーテルの具現者”といわれているリリイの歌声の魔力というのは、本当に危険である。
彼女の頬を撫でるようなそのメロディと、皮膚を逆撫でするその言葉たちに共鳴し、取り憑かれた者は、自分の無力さを自覚し、絶望、破滅へといざなわれていく。
私自身もこないだ睡眠状態のまま“光の束”を聴いていたら、魂を持っていかれそうなパニック状態に陥った。


「私たちが何処へゆくのかはエーテルの気分次第。
何のため生まれて来たのかと悩む人がいる。理由はないの。歌がある。エーテルのうねりの中に。
だからあたしは歌うしかない。歌っているあいだだけが幸福。いえ、幸福なんてものも存在しない。
ただエーテルがこの世界を満たしているだけ。」
                            
リリイ・シュシュ




今日の1曲:『共鳴(空虚な石)』/ Lily Chou-Chou
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ピアノソロライヴとカレーライス

2009年12月06日 | コンサート
近所のこ洒落たダイニングバーで、ケイ赤城というジャズピアニストのソロライヴを見に行ってまいりました。
ていうか、母親が勝手に2人分の席を予約しており、付き合わされたと言った方がよい。

ケイ赤城氏は、仙台市生まれで4歳から12歳までオハイオ州で育ち、国際基督教大学に入学し、哲学と作曲を学んだ後、再び渡米してカルフォルニア大学サンタ・バーバラ哲学科博士課程を専攻。
25歳の時にプロミュージシャンとしての道を歩み始め、様々なバンドを経て1989年、日本人として初めてマイルス・デイヴィスのレギュラーメンバーとして迎えられ活躍(あと、過去にアラン・ホールズワーズと共演していたことも判明!)・・・と、とにかくもの凄い経歴の国際的ピアニストであることは確か。
10年前から日本人ミュージシャンらとトリオバンドを始動させたらしく、私としてはこっちだったらよかったのになと思った。

ピアノソロライヴというのは、例えるとイングベイのギターソロだけを延々聴かされるみたいなイメージがあってどうも乗り気ではなかった。
オカンみたいな人種は普段、音楽とかには全く興味がないクセに、やたらこういうゴージャスな時間を過ごしたい願望が強くて、わけもわからずこういった気品の高そうなイベントに参加したがるのだ。
店に来ていた人も大半がそういう年配の常連、またはご近所さんの集まりらしかった。
案の定、ライヴが始まって5分と経たぬ間に意識を失う人がチラホラと。

演奏が始まるや、なんか「ん~~、ん~~」という妙な音が聞こえてくる。厨房でミキサーかなんかが回転してる音かと思ったら、発信元は赤城氏本人からであった。
どうやら鼻歌で曲調を計っているらしく(作曲してる時みたいな感じ?)、ジャズミュージシャンによく見られる奇癖みたいなもんだろう。
ん~~、ん~~はともかく、ほぼ即興で訳がわからぬとはいえ、尋常でない鍵盤テクニックであった。

家に帰ってから、無性に日本人ピアニストの音源が聴きたくなり、Hiromi's Sonicbloomの『BEYOND STANDARD』と、筋肉少女帯の『仏陀L』を鑑賞した。




店のチラシによると、3月のはじめにこの店になんとカルメン・マキが来店するとのこと!!
これはちょっと興味がある。

しかし、こんな閑散とした辺鄙な学研都市のダイニングバーにマキさんみたいな大物が来てくれはるって、ここの店主どんなパイプ持っとんや?
てゆーか、カレーライスの量いくらなんでも少なすぎる。

アラン・ホールズワーズ・バンド with ケイ赤城


今日の1曲:『Devil take the hindmost』/ Allan Holdsworth band
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