AMASHINと戦慄

~STARLESS & AMASHIN BLOG~
日々ブログレッシヴに生きる

カミューラ・ランバン・アタック

2018年08月28日 | まったり邦楽
新作出たら必ず購入する数少なきアーティストのひとつPerfumeのフルレンス作品も今回で7作目。
1stが出た当初は存在すら知らなかった(というか知られてなかった)が、あの革新的大ヒットナンバー『ポリリズム』から私もPerfumeの音楽にハマって10年目にあたる。
私もあれから歳とったけど、彼女たちも今年で三十路。


今回のアルバム『Future Pop』。

おとぎの国の森を軽やかに散歩してるかのようなメルヘンチックなイントロダクションからして「ん?ヤスタカ氏また意表を突いてきたな」と思ったが、アルバム一周したときは「え?もう終わり?」と、スレイヤーの『Reign In Blood』のA面を初めて聴いた時のような呆気なさを感じた。
で、そのままやけど「なるほど、確かに未来的でポップな作風やな」と。




今回は3分台のラジオエディットばりのコンパクトな楽曲がほとんどで、いつもの5分超えのナンバーは皆無。トータルタイム42分という、46分カセットテープにも余裕で収まるコンパクトさ。
シングル曲にカップリング曲、CMソング、映画、ドラマの主題歌など、既出の楽曲が大半を占めているが、不思議といつものような詰め込み感はなく、バラエティに富みながらももの凄くバランスの良さが感じられるスッキリとした仕上がり。

いままでで最もおしゃれポップで言葉の羅列遊びが楽しい「Tiny Baby」、なんかのコンクールの出品用に作られたかのような、硬質なデジタルサウンドと和のテイストが融合した格調高いアーティスティックなナンバー「FUSION」、3人のまっすぐな歌とポップなサウンドが痛快な「宝石の雨」など、ヤスタカ氏の相変わらずのおしゃれ感覚が十二分に発揮された楽曲を聴くと安心する。

「FUSION」は映像実験を前提としたdocomoとのコラボ企画用に作られた楽曲。
やはりかしゆかの重低音ヴォイスが耳をひく。




ただ、今回は全体的にズベベベとしたバッキバキ感がかなり抑えられ、音数も以前より少なくなったように思う。
ハジけるというよりハズむリズム。そして今回は音色ひとつひとつがとても美しい。
2曲目の表題曲が一番いつものテクノポップな楽曲かと思われるが、冒頭の美しい旋律のアコギギターのイントロにのっかるかしゆかのしなやかなヴォーカリゼーションからして今までとは違う、歳相応なアダルトさというか、なにか崇高な雰囲気が感じられる。

そして、今回はやけに歌をフィーチャーした楽曲が印象深い。
Perfumeのテクノポップな魅力はかしゆかの天然倍音の声に因るところが大きいと思われるが、今回一番まっすぐな歌い方で加工されがちなのっちの生っぽい歌声にハッとさせられる瞬間が何回かあった。
のっちのソロ歌が冒頭を飾る「Everyday」、そして映画『ちはやふる -結び-』のテーマ曲である「無限未来」がそうである。

特に崇高でウットリするような美しさのイントロ(これ映画のエンディングで流れたら、もの凄く効果的だろうなぁ)からスっと入ってくる「無限未来」の神々しいのっちのVoは秀逸。
いつの間にこんな包容力身につけたん!?




いやいや、ヤスタカ氏は、彼女たちをまた一つ上のレベルに上げた感がある。


んで、今月発売された『Sound & Recording 10月号』の表紙が、この雑誌だからこそ実現したPerfume×中田ヤスタカ氏の初4ショットということで、全く縁のない雑誌だったが思わず購入してしまった。



今回の雑誌での4者初対談。やはりこの両者の関係性は興味深い。
ヤスタカ氏独特の曲作りの考え方、3人との共同作業としてのレコーディングの姿勢。
彼は方向性を決められるのを嫌って、デモをあらかじめレコード会社に聴かせないというスタンスを貫いているそうだ。
やはり業界の常識や慣習にとらわれない人だからこそ、いい作品が作れるのだと。
そして、そういうヤスタカ氏のやり方を受け止め理解している3人の順応性もいい。

特にあ~ちゃんのこの発言には意識の高さを感じないではいられなかった。
「私は一番最初にコレーディングさせてもらているんです。あまり曲を聴き過ぎるとその歌が好きになって、歌い込んじゃうんですよ。そうなると歌心ばっかりのボーカルになってしまう。そうなると怖い・・・・・だから最初に先入観が無い状態で歌わせてもらうようにしているんです」

まぁEDM系の音楽はちょいちょい聴くんだけど、この手のジャンルに関してはかなり疎い方なので、今回の作品に2015年頃から流行り出したという“フューチャー・ベース”なるサウンド形式の要素がフンダンに取り入れてあると言うのだが、それがどんなものなのかネットで調べたり音源を聴いてみたりしたがイマイチよくわからん。
「If you wanna」がそのフューチャー・ベースなる形式の典型らしいが。あるサイトでは「簡単に言うと、スタイリッシュな図太いベース音のデジタルサウンドに女の子のキラキラとしたヴォーカルがのっかったもの」みたいな解説だった。それって、今までのPerfumeとどう違うんや?

ヤスタカ氏が構築したプライベートスタジオ。こういう写真が掲載されるのもサンレコならでは。


伝説の電話ボックス(写真右)。つか今はもうこの中で歌入れしてへんのや。
テーブル型のレトロゲーム機が置いてある。Perfumeが高校生くらいの時にスタジオにレコーディングに来てずっと遊んでたというのはこれか。


ところで、今回のジャケットデサインを見て、真っ先に伝説巨神イデオンを思い浮かべたのは私だけだろうか?




今日の1曲:『無限未来』/ Perfume
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太陽賛歌 ~黄昏編~

2018年08月15日 | 名所ガイド、巡礼記
まぁ盆休み予定が全くといってなかったこともあって・・・
2年振りにヤツに再会してきた。

そう、万博記念公園の白いヤツに!


今月初めから盆にかけて「イルミナイト万博 夕涼み」とかいうイベントが開催されてるってことで、電車を4回乗り換え特に用のない万博記念公園の地に再び降り立った。
公園内はなかなかの人だかりで、このインスタ映えの現代において恰好の被写体なもんやからみんなパシャパシャやってた。
それにしても、やっぱみんな太陽の塔が好きなんだね。


密教の儀式さながらに禍々しくデコレーションされた大地にたたずむ太陽の塔は、まさに万博の白い悪魔。



目が光ってるのを見たのは初めて。ビ~~ってなんか出るんちゃうか。



輝くトラペゾヘドロン的な。



Heading For Tomorrow的な。



後ろの顔萌え~~



人がゴミのようだ!崇めよ!みんな太陽の塔にひれ伏すのだ!!



こ、ここは、もしや・・・・・



くそ、やっぱりか・・・・・早く内部に入りたい!



家でもイルミナイト。



今日の1曲:『太陽賛歌』/ Pink Floyd
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中年プログレクソ野郎*

2018年08月12日 | プログレッシヴ草稿
1年くらい前に岡山の大学時代のツレの家で、このツレがなかなか筋金入りの音楽マニアで、彼がその時なにげに観せてくれたのが英国のプログレバンドFROST*の『The Rockfield Files』という作品のライブ映像。
ライブといっても、メンバーがスタジオに籠もって客なしで演奏を繰り広げるというもので、一発録りのレコーディングみたいなものだ。

まぁメンバーに新生IT BITESの2代目ヴォーカル兼ギターを務めるジョン・ミッチェルが在籍しているので、関連バンドとして興味あるだろうと私に観せてくれたんだと思うが、最初なんかダサめの冴えないオッサンどもがスタジオで戯れてる感じのこの映像を、少し嘲笑ぎみの態度で観ていたのだが、徐々にこのオッサンどもの一筋縄ではいかない卓越した演奏力と絶妙な楽曲のメロディセンスにグイグイと惹き込まれている自分がいた。

その後、このFROST*のことが頭の片隅にずっと残っていて、このスタジオライブの映像作品がどうしても欲しくなり、ネットで探しまくったのだが、まぁマイナーなバンドなもんだから日本盤はすでに廃盤で、輸入盤ですら入手困難な状況だった。
で、先週ディスクユニオンのウォントリストをふと閲覧してみると、どうやら最近また限定再発されたみたいで新品購入可能状態となっており、一も二もなくカゴに入れ、同じく品切れ状態であったモーターヘッドの“Road Crew”ビールと共に無事私のもとに届けられた。

本作はスタジオライブのDVD映像、そして同内容のCD音源の2枚組。
Disc1の方がDVDとなっており、本作が映像メンイで制作されたことが窺える。
約1年振りに本作を鑑賞してみたが、やはり私がこの映像に心動かされたあの時の心情は間違ってはいなかったのだと確信に至った。
やはりこのバンドは凄かった。




まぁこういう例えは陳腐過ぎるかもしれないが、一言でいうと“DREAM THEATER meets IT BITES”といったところか。(ゴメンナサイ、近代プログレバンドは、この2バンドくらいしか知らないもので)
DREAM THEATERからジェイムズ・ラブリエの要素を除き、IT BITESのポップさでバンドをスッキリさせた感じといおうか。
まぁハッキリいってIT BITESよりテクニカルで、今のDREAM THEATERより断然楽曲センスが優れいている。

このバンドの主導権を握っているのは、明らかにキーボーディストのジェム・ゴドフリー。
最初映像を観た時、この七福神の布袋尊のような小太りのオッサンが、まさかリードヴォーカルも兼任していることがわかった時は思わず噴き出してしまった。まぁまずヴィジュアル系バンドじゃ考えられないだろう。
ただ、これが結構いい声をしていて、まぁこのオッサンがなかなかの曲者だったりする。




キーボードテクは超一級。3台の鍵盤を駆使し、ニコニコと余裕の表情で様々な洗練された音色のシンセを巧みに操作する。
まぁ元々売れっ子のプロデューサー業の人みたいで、スタジオの使い方は熟知してるらしく、細やかなSEなど実にハイサウンドなセッティングを施している。
ソロも全編に渡りどれも超絶でカッコいい。
そしてこの人はなんといっても歌メロセンスが抜群に優れいてる。
ここまで超絶なプログレ構成の楽曲でありながら、ちゃんとポップで絶妙なメロディセンスを兼ね備えており、そこんとこはIT BITESと相通ずる部分ではあるが、まぁそこらへんのテクニカルなだけのプログレメタルバンドとは明らかにレベルが違う。


見よ!この余裕の反りポーズ!



インテリアにもなかなかのこだわりを持っているようで、なんかアイロン台がシンセ。



ジョン・ミッチェルもこのバンドではサポート的な役割ではあるが、随所でいい感じのリードヴォーカルもとっており、ソロ&バッキング共にカッコいいフレーズをきかせていて実にいい仕事をしている。

横顔のアングルはタスマニアデビルにしか見えないが。



リズム隊もしっかりしていて、ドラムのクレイグ・ブランデルは申し分ないパワフルさ、ベースのネイサン・キングは新生IT BITESでもプレイしてる人物だが、確実なリズムを保ち、ここぞというところでベースをうねらせてくる。キー高めのコーラスもうまい。



このスタジオライブで演奏された楽曲はアコースティックセッションを除き6曲で、いずれも粒揃い。
まず1曲目のプログレフュージョンなインストナンバー“Hyperventilate”からその転調の絶妙さにすでに惹き込まれてしまう。一番キャッチーな作りのポンプロックナンバー“Heartstrings”でのジェム&ジョンの聴かせる歌の掛け合いも素晴らしい。
キラキラとした美しいシーケンスループが印象的な10分を超すプログレナンバー“Black Light Machine”の後半の怒濤のスリリング展開には興奮せずにはいられないし、ヘヴィサウンドで最もハードな曲展開をみせる“Dear Dead Days”においてもやはり歌をもの凄く大事にしていて、特に冒頭のジェムの歌メロが素晴らしい。
そして本作のハイライトとも言うべき24分超えの壮大なスケールの超大作“Milliontown”。
ジェムによるQUEENのようなシットリとした独唱で始まり、そしてダイナミックな怒涛のプログレ展開へ。ここでは各々のプレイヤーが己のプログレセンスを遺憾なく発揮しており、個人的にはネイサン・キングのベースワークが注目に値するかと。
終盤ではセッションならではの、客の盛り上がりではなく、リラックスムードだった各プレイヤー同士の触発のし合いが、プログレッシヴな演奏にいよいよ拍車をかけ、スタジオ内に凄まじい高揚感をもたらしているのが見てとれる。


CGを使った余計な映像遊びも。いらんことしいの一面もあるようだ。



いや~この盆休み、墓参りと通院以外は全く予定がないのだが、このFROST*のライブDVDで5日間もつんじゃないかというくらい、久々にプログレバンドで興奮してる。
まぁ私の自室にはPerfumeのライブDVDなんかも数点あるんだけど、そんなものより、まず女の子は食いつかないであろうダサい感じの中年のオッサンどものスタジオ内の戯れ事を観て興奮してる私はヤバいですか?



今日の1曲:『Milliontown』/ Frost*
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コケのむすまで

2018年08月05日 | ♪音楽総合♪
先月十三の映画館で『北朝鮮をロックした日 ライバッハ・デイ』を鑑賞し、再びライバッハの音源に興味が湧いてきて、さっそくオンライン中古で見つけて購入したのが、牧歌的なジャケットが印象的な『VOLK』というカヴァーアルバム。

今回の映画でも北朝鮮の民謡をライブでカヴァーしていることからも、実はライバッハにとってカヴァー曲はかなり重要な位置を占めており、これまでヨーロッパの「The Final Cowntdown」、映画『サウンド・オブ・ミュージック』の主題歌、ローリング・ストーンズの「悪魔を哀れむ歌」、そしてなんといってもビートルズのアルバム『Let It Be』の楽曲を、タイトル曲以外をまるまるカヴァーして一枚のアルバムとしてリリースするという、ふざけたようなことまでしている(ポールがこれを聴いてすごく気にいっていたとか)。




で、今回購入した『VOLK』は、全編世界各国の国歌のカヴァーという、なに考えとんねんというか、大それたことを敢行している。
カヴァーされてるのは、ドイツ、アメリカ、イギリス、ロシア、フランス、イタリア、スペイン、イスラエル、トルコ、中国、日本、スロヴェニア、バチカン市国、NSK。
で、案の定、ロシアからは「国歌を侮辱した」ということで入国禁止をくらっている。

ただこの作品、彼らの意図してる事はともかく、内容的にそれほどふざけた作品でもない。
まぁ私の知ってるのは日本の「君が代」とアメリカの国歌ぐらいなのであるが、とにかく楽曲アレンジがとても洗練されていて秀逸。
ロシア国家など、少年合唱団の聖歌のようなコーラス、そしてロシアの発明家が生み出した電子楽器テルミンの音色も導入されていて、とてもこだわりが感じられる。

イスラエル、トルコらへんになると、まぁ元曲を知らないので何とも言えんが、普通にカッコいいインダストリアルナンバーにしか聴こえない。
ヴォーカルのミランは、普段太めの厳めしいダークヴォイスでブツブツつぶやくといったスタイルが主流かと思われるが、本作では実はかなりの美声の持ち主?ていうくらい澄んだ声で歌っているのだが、これはひょっとしたらミランではなく、影のヴォーカリスト(匿名のメンバーもいるらしい)の歌声かもしれない。
いかんせん、謎の多いバンドで自分もよく知らんので。

そして注目に値するのがやっぱり日本の国歌「君が代」のカヴァー(曲タイトルは「Nippon」)。
なんとちゃんとオリジナルの日本語で歌っている。
このアレンジのクオリティがまたすこぶる高い。
水墨画のようなピアノとストリングスのみの伴奏で、厳かでしなやかな美声に透き通るような女性コーラスがのっかるという。しかも他の国歌より3分くらい長い作り込みようで、なにかしら敬意すら感じとれる。

この映像を観るとやはり歌メロを歌っているのはミランやないみたい。そおいえば、映画でもこのスキンヘッドの人チラっと出てきたな。


なんかの世界タイトルマッチで、日本の有名歌手による国辱的な歌唱アレンジの君が代をよく耳にすることがあるが、それこそライバッハを日本に誘致し、是非そういった場で君が代を歌ってもらいたいものである。


まぁラストの「NSK」に関しては、正確にはカヴァー曲ではない。

NSKとは・・・・・
ライバッハのメンバーが1984年に設立したNewe Slowenische Kunst(新スロベニア芸術)という活動組織。
NSKはスロベニアの首都リュブリャナを拠点とし、国境や民族などの概念を超えた多角芸術運動体として活動を開始。
1992年にはSpiritual State(精神国家)を宣言し、モスクワとベルギーのゲントにはNSK大使館を設置し、NSKパスポートの発行や各種展示なども行っている。
NSKはさまざまなアーティスト活動を行う集団が複雑に絡み合い「時間軸上の空間」を形成している。
誰でも、どこに住んでいてもNSK国民になることができ、NSKパスポートを取得することができるという。

こないだのライバッハ講演会でレコード屋の店長さんが持参してたNSKの蔵書。


で、この「NSK」の国歌が一番インダストリアル感がなく、やけにリアルな民族的国歌に仕上がっている辺り、ライバッハのヤバくて強いユーモアが感じられた。


まぁ自分が求めてたのは、もっとバッキバキでメタル色の強いインダストリアルなライバッハの音源であったが、これはこれでなかなか趣のある作品である。
寝るときに聴くととてもよい。


今日の1曲:『Nippon』/ Laibach
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