AMASHINと戦慄

~STARLESS & AMASHIN BLOG~
日々ブログレッシヴに生きる

ドリームシアター(夢の音の数攻め劇場)

2017年09月20日 | コンサート
いつものツレから、ドリーム・シアターが今年『IMAGE AND WORDS』発売25周年を記念した完全再現ライブを敢行するという知らせがきたときは、「お、それなら久々に見に行ってもいいかも」と、すでにドリムシの近年の作品には全く興味を失っていた私もライブ観戦する意欲が沸き起こった。
大阪公演もあったが、愛知公演は土曜日と日もよく、久々に名古屋観光を楽しみたいなという思いもチラついて、愛知遠征を選択。

ただ、愛知県なら当然名古屋だろうと早合点していたのが、ツレからチケットを受け取ると豊田市の辺鄙な街のホールで開催されるということが判明し、名古屋のディスクヘブンに寄って元DEATHのドラマー、ビル・アンドリュース氏に再会するという私の当初の思惑は叶わなかった。


豊田市民文化会館。



ドリーム・シアターのライブを見るのは実に10年振りで、確かOCTAVARIUMツアー以来。
客層は我々と同世代が圧倒的に多かったかと思われるが、若い子もチラホラと。
そしてみんなだいたいドリーム・シアターのTシャツを着ているという忠誠心の強さ。

あと客の中に、なんとあの元官僚コメンテーターで昔よくたかじんのそこまで言って委員会などに出演していたH.K氏がいた。
彼もドリムシTシャツでバッチリきめていて会場に入ると最前列に座っていた。
豊田市まで見に来るとは、筋金入りのドリムシファンと見受けられる。

我々はかなり右端の席。



3時間タップリあるということで、尿分を体内からできるだけ絞り出しライブに臨んだ。
17時ちょっと過ぎてからメンバーが出てきた。できれば座って見たかったが一応メタルバンドなのでそういうわけにはいかない。
それにしても、いやはやドリムシファンは熱いね。



一発目は「The Dark Eternal Night」。このへんまでは作品聴いてたから覚えてた。
あと第一部で私が確認できたのは、4thからのインストナンバー「Hell’s Kitchen」、6thのキャッチーなメタルナンバー「As I Am」くらい。




今回の動機として、ドリムシでのマイク・マンジーニのドラムプレイを一度拝んでみたいというのもあった。
彼の生プレイは、20年以上前のエクストリーム大阪追加公演以来である。

豪快かつ正確。ただ、私には(昔の)チャド・スミスが叩いてるようにしか見えなかった。



鋭利なショルダー・・・・パッド?



ノリノリだぜ。



メンバーん中で一番風貌が変わってしまったのがこの人。無人島で暮らしてるのかしら?



昔は唯一人東洋系で見た目が一番浮いていたが、今じゃ清潔感が漂っていて一番カッコいいね!



さて、第一部が終わり、約20分くらいのブレイクタイムを挟んで、いよいよ第二部『IMAGES AND WORDS』完全再現である。
本作がリリースされた1992年頃に流行ってたニルヴァーナやレッチリの曲がラジオのチャンネルを回す形で流れて、最後DJが「Pull Me Under!」と紹介してから、あのウットリするようなイントロギターが奏でられた時は、「ウオオオォォォーーーーっ!!!」って感じで客席が歓喜と興奮の渦に沸いた。
私もこの出だしにはサムイボを禁じ得ないほどあがるものがあった。




問題は次であった。
ラブリエにとっても鬼門となっているであろう「Another Day」。
完全再現のプレッシャーも相当であろう。
果たしてあの高音域の歌唱を今回は完璧に出せるであろうか。



・・・・・・・・・。
「Another Day」の演奏を聴き終えた後、「こりゃ次のTake the Timeも絶望的だな。」と思ってしまった。
まぁこの日のラブリエは大健闘していたとは思うが、なんか荒いんよな。
てかさ、今回は『I&W』完全再現って名目を掲げてんだから、せめてサックスプレイヤーをつけてほしかった。

ラブリエだけでなく、演奏方面にしても全体的に荒かったように思われる。
席の位置のせかもしれないが、各楽器の音のバランスもあまりよろしくなかった。
とくにマイヤングのベース音が全然聞こえなかったのは残念だった。
せっかく名作の完全再現なのだから、音響設備も完璧に整え、もう少し丁寧な演奏、音出しを心がけてほしかったかと。




今回のハイライトは間違いなく「Metropolis Pt.1」。
完全再現つっても、まぁそれなりにライブアレンジの拡張はされてます。
「Metropolis」の怒涛の間奏部分でのユニゾンアレンジは、さすが凄まじいものがあった。

ただ、ここらへんで私ん中で音を受け付ける限界のピークに達していたね。
それ以降は、もうこれ以上の音数に耐えうるキャパシティーは残ってなかったように思われる。
だって頭ん中がジンジンしてきたんだもん。

ラスト感動の「Learning to Live」も、なんか疲労感で全然感動できず・・・・
こんなハズじゃなかったんだ!




そしてアンコール・・・・・
正味私以外に本心からアンコールを叫んでないファンも何人かいらっしゃったのではないか?
だって、23分に及ぶ長編曲「A Change of Seasons」がアンコール曲ってすでにツレから聞かされてたんだもん。
ほんまムチャしはるわ、この人ら。
もう途中、何やってはるんかわからんなってたし。
この詰めに詰め込まれた今回の音攻めプログラムのトドメの1曲は、正直拷問に近いものがあったね。
つか演ってる側イヤにならないのか?




ライブ中、私はふと思った。
本国のピンク・フロイドトリビュートバンド原始神母のライブも約3時間におよぶプログラムであるが、今まで3回いって疲れたことなど一度もない。
要は疲れを感じさせないくらい、最初から最後までライブを楽しめてるってことだ。
同じプログレバンドなのに、この差は一体何だ?

「って、バンドのタイプが全然ちゃうやろ!」と、つっこまれるのを承知で敢えて言わせてもらうと・・・・
原始神母は全体的に演奏がもの凄く丁寧だし、なんといっても音響にとことんこだわっている。
音数や超絶テクではドリムシは圧倒的だが、音の響きやグルーヴ感を持つ原始神母の方が、ライブバンドとして圧倒的に勝っていると思う。


まぁでも凄いね、この人たち。強靭というか・・・お疲れちゃん。



そして豊田市のラーメン屋で坦々麺食ってとっとと帰った。
(ちなみに食後の帰りの車の中でのシメはアラニス盛りセット)



今日の1曲:『Metropolis Pt. 1(The Miracle and the Sleeper)』/ DREAM THEATER
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ベッカンコ

2017年09月10日 | ♪音楽総合♪
それは、今月行われる予定のドナルド・フェイゲン来日公演に乗じて、先月末に刊行された『THE DIG』のまるまるスティーリー・ダン特集本を図書券を使って購入し、週末にiPodで彼らの珠玉の名ナンバーを聴きながら、コーヒーハウスでカップ片手に本書を読み耽って、ひとりで大いに盛り上がっていた矢先の訃報だった。


「スティーリー・ダンでの活躍でも知られるウォルター・ベッカー(Walter Becker)が死去。
いずれもベッカーの公式サイトの発表を元に報じています。死因は明らかにされていません。
ベッカーは67歳でした。」




まぁこのウォルター・ベッカー逝去のニュース、最初ツイッター上で知ったのだが、すぐに訃報ニュースの記事が削除されたり、公式サイトがハッキングされてベッカー逝去のデマが流布したなど、かなり情報が交錯してて不可解さ極まりなかった。
つか、デマだったとしても誰に何のメリットがあんねん?と、謎は深まるばかりなのだが。


とにかく私にとってウォルター・ベッカーは、昔から実に謎めいた存在であった。
スティーリー・ダンの楽曲は大好きで、学生の頃から嗜んでいたが、ウォルター・ベッカーの存在を認識したのは確か10年前くらいからだったと思う。
彼は一体バンド内でどのパートを担当しているのか?彼の特性とは何か?
と、まぁ私の中でウォルター・ベッカーは、ワムにおけるアンドリュー・リッジリーみたいな存在だったと思う(というのは言いすぎか)。

ただ、写真を見てもわかるとおり、ヴィジュアルで売っていたなんて可能性は1ミリたりとも感じられない。
日本全国探しても「ウォルター・ベッカーが大好き!」なんて言ってる女子高生を見つけ出すのは至難の業であろう。

ウォルター・ベッカー(右)どうみてもオタクっぽいよな。



で、10年前にスティーリー・ダンの作品を紙ジャケリマスタでコンプリートした時にわかったことは、バンド内ではベースを弾くこともあり、ギターも所々で弾いてるらしいということだった。
こんな曖昧な認識で、ま、特にそれ以上追求することもなく現在にまで至ってしまった。
で、今回特集本が刊行されたので、これだけ好きなんだからいっちょその辺のことを詳しく追及してみようと本書を購入したわけである。

スティーリー・ダンがまだ固定のメンバーがいるバンド形態だった初期の作品(1st~2nd)では、ベッカーはベースを担当していたらしい。だってバンド内にはスカンク・バクスターとデニー・ダイアスという2人の弾きまくりのギタリストがいたからね。
ま、ベッカーのベースに関してはそれほど目立ったプレイは見られず、あくまで楽曲に沿った当たり障りのないプレイ。
で、3rdから固定メンバーにとらわれず、ゲストプレイヤーをガンガン投入するようになって(さわやか革命)、ここで初めてベッカーはギターで参加するようになる。
ただ、特集本でも「この曲のこのギターソロはベッカーだと思われる」といったように推測の形で語られていて、実に曖昧な説明がほとんどなので困ったもんだ。

ま、彼はベースにしろギターにしろ、グイグイ前に出て見せつけてやろうってタイプのプレイヤーではなく、あくまで理想の、いい楽曲を作ろうというクリエイトタイプの人なんだと思う。
つまりいわゆる“楽曲至上主義”ってやつ。
もちろん人前でもギターを弾く一流のプレイヤーなんであるが、なんせ当時のスティーリー・ダンの2人は大のツアー嫌いだったらしく、とにかくスタジオに籠もって曲作りをしていたい奴らだったんだって。その辺も実にウマの合う似た者同士の2人だったんだろう。
まぁそんな2人のエゴイズムが他のオリジナルメンバーを追い出す結果になるのだが(ただし、ダイアスは『Aja』まで残在していた)。

この特集本で提示された曲を聴いて、ベッカーのギタープレイを確認してみたりしたけど、思ったのは地味にカッコいいということぐらいだった。
ようはベッカーは“センスの人”なのだ。

スティーリー・ダンの楽曲はどれも“おしゃれ”だということが言える。
でも、おしゃれな曲なんて世の中にいっぱいある中で、スティーリー・ダンの楽曲が特別に惹きつけられるのは、やっぱフェイゲン、そしてベッカーが編みだすコード進行が他にはない並々ならぬ斬新さと美しさを備えているからなのだろう。
それもこれ見よがしではなく、私のように音楽理論の知識がほとんどない者にはそれがわからないほどさりげにやっているということ。


バード大学の音楽サークルの部室前を通りかかったフェイゲンが、そこから聞こえてきたウォルター・ベッカーの奏でるギターの音色に惹かれたことがキッカケで2人は出会い、スティーリー・ダンが誕生した。
その運命的な唯一無二の相棒を失ったことのフェイゲンの今の喪失感は、我々には想像を絶するものであろう。

来日公演を直前に控えたフェイゲンの心境がとても気がかりな今日この頃である(行く予定はありませんが)。


Live on Letterman in 1995


今日の1曲:『Josie』/ Steely Dan
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

メタル学部プログレ学科

2017年09月07日 | やっぱりメタル!!
DREAM THEATER(以下ドリムシ)の最高傑作と誉れ高い1992年作の2nd『IMAGES AND WORDS』のことを今更ブログで言及するのは少し恥ずかしい気もするし、ここ数年のドリムシ作品には全く手をつけてない私ではあるが、今週末、本作の25周年記念完全再現ライブを見に行くので、この機会にと思って。


高校時代から浪人時代にかけて、70年代の古典的なプログレッシヴロックに傾倒していた私は、最初ドリムシにはかなり懐疑的な思いを抱いており、手をつけてなかった。
それというのも、その時代に出てた(90年代初頭)プログレッシヴハードロックバンド作品に手を出しては失敗ばっかこいていたからである。
Magellan、Marillion、Watchtower、Thought Industry等・・・、B!誌ではかなり高評価だったが、私の肌には全く合わなかった。
その頃ハマっていたプログレバンドといえば、It BitesとVoivodくらいだったかなぁ。
そして大学に入学し、軽音学部に仮入部した時、最初に私に話しかけてくれた同じ学部のメタラー君がドリムシの『IMAGES AND WORDS』を強く勧めてきたのであった。
他にも、最初に組んだバンドのヴォーカルの奴もこのドリムシの2ndを大絶賛してやまないし、とにかく軽音内のメタラーでドリムシをけなす者は皆無に近かった。
で、偏屈(それほどでもないが)者の私も、とうとう重い腰を上げて、このアルバムを近所の電気屋でその時ハマっていたレッチリのアルバムと一緒に購入した。


まず、冒頭のイントロギターの旋律で一気に惹き込まれてしまった。
メタルならではのヘヴィなリフを全面に打ち出しながらも、柔軟でムードある展開にキャッチーなサビ、1曲目の“PULL ME UNDER”は、初聴の者の心をガッチリ掴むには上々のオープニングナンバーだ。
そしてサックスソロが挿入されるAORな雰囲気を纏った美しいバラード“ANOTHER DAY”を挟んだ後は、ほとんどが7、8分を超える長尺曲が並び、楽曲が進むごとに展開もいよいよ激しくなっていく。
“TAKE THE TIME”のような、コール&レスポンスには持ってこいのメタラーの心をくすぐるばかばかしい要素もキッチリおさえている。
それにしても、どの曲もあれだけ変調しまくるのに、メロディは耳に残り、曲全体は実に整合感があり絶妙で、それでいて中弛みしないのはすごい。
なるほど、軽音のメタラーたちが熱中するワケだ。

本作は、まさしくプログレッシヴメタルの理想的な形を、各々の卓越した演奏技術でもって完璧なまでに構築したハイレベルのメタルアルバムといっても過言ではない。
と、いまさら声を大にして言うのもかなり恥ずかしい。


本作からジェームズ・ラブリエが加わり、今日までバンドの中で不動の地位を獲得することになるが、本作ほどラブリエの歌メロが印象に残る作品もないと思う。
まぁ最初彼の歌を聴いたときは、マイケル・キスクになったり、セバスチャン・バックになったり、器用なやっちゃなーとは思ったが。
そして、本作がこれだけ名作たらしめたのは、ケヴィン・ムーアの貢献もデカかったように思える。
“TAKE THE TIME”でのソロワークも素晴らしいが、小曲“WAIT FOR SLEEP”、そしてケヴィンの奏でるこの美しい旋律が、ラストの“LEARNIG TO LIVE”に見事繋がって(Replay)いくこの流れには、心底「やられた!」と思った。
このケヴィン・ムーアの本作での功績は、B!誌の人気投票のキーボード部門の上位にトミー・リーやエディがランクインするという情けない結果に終止符を打つほどであったと思う。


女子としゃべれなかったダークで孤立した高校時代から5、6年が経った後の同窓会で、クラスでけっこうかわいかった女子が突然私に話しかけてきてた。
「あましんくん高校の時メタル聴いてたやろ?私も最近弟の影響でメタル聴いてんねんけど、ドリーム・シアターがめっちゃ好きやねん」
ええっ!?高校のとき谷村有美とか加瀬大周とかではしゃいでた娘が・・・・
その時私はちょっぴりうれしかったのと、「このドリムシの誘引力!おそるべし!」と思ったのを覚えている。
ただ、その頃の私はちょうどメタル離れしていて、ツイストパーマとかかけててヒップホップとか聴いてた頃だったので、その後その娘とはあまり話がかみ合わなくてもったいないことしたなと思った。





今日の1曲:『PULL ME UNDER』/ DREAM THEATER
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする