Coccoが表紙の『広告批評』1998・6(NO.217号)をヤフオクで落札購入。
これはかなりの希少本であるかと。
1998年といえば、2nd『クムイウタ』がちょうどリリースされた頃で、私が初めてCoccoの音楽に触れた年でもある。
本書の内容はかなりよかった。
まず壁の隅に後ろ向きで立っているCoccoの表紙がシュールでええ感じ。
ほんでこの頃のCoccoの定番のファッションである水色のNIKEのジャージにGパンスタイルがいい。
ジャージ正面には“雛豚(ひよこぶた)すき”という、わけのわからぬ言葉がマジックで殴り書きされてある。
やっぱ変わった娘だ。
インタビューの内容もなかなかディープで、デビューして1年目の等身大のCoccoが浮き彫りにさており、Coccoを形成したルーツ的な背景などもかなり掘りおこしてくれている。
その印象深かった箇所をいくつか紹介しよう。
「バレリーナになるために東京にきた」
このことは今となっては周知のことだが、現在でも一番好きなのは踊る事らしい。
「やわらかな傷跡」のPVでも草原で伸びやかにバレイを踊っている姿が実に印象的である。
子供の頃はバレイ教室に通うためお金を稼いで全部自分で授業料を払っていたそうな。好きなことに打ち込む根性はハンパないのだ。
「最初は歌わされた」
Coccoは歌を歌うことは最初べつに好きではなかったらしい。レコード会社の人の前で歌ったら上手いと褒められたので、「作品にしたら儲かるぜ」「そりゃーいい」というノリで歌を作り出したのだという。
最初に作曲したのは「首。」。この曲は最初ビクターから拒絶されたそうだ。この曲を耳にしたプロデューサーの根岸孝宗氏が「あいつらバカだ。なんでこいつを世に出さないんだ?自費で俺が出す。」と言ってbounceレコードからEP『Cocko』がリリースされる。
「ただ自分が眠るために歌ってる」
疲れて寝ようとしたら、タンタターン♪ちゅう感じで字幕みたいに言葉が出てきて、それを歌にして出してやらないと眠れなかったのだそうだ。完全に歌の神様に魅入られたとしか思えない話である。
ほとんど垂れ流し状態で、出してない曲でアルバム作ろうと思ったら3枚は作れるのだそうだ。だったら3枚組アルバムとか出して欲しかったな。
英詩の歌も全部英語で出てくるのだそうだ。ちなみに英語は全然わからなかったらしい(ホンマか!?)。
ところで、沖縄には“ユタ”という霊媒師がいるのだが、子供の頃、Coccoにはユタの資質があったという。
他の人に見えてない人がいっぱい見えたのだそうだ。
ユタの人に「あなたはユタになりなさい」と勧められたが、母親が強く反対したのだという。
英詩の歌が降りてきた時にはCoccoの中には、英語圏の霊魂が憑依してたんではないだろうか?
「あっちゃん(Coccoの自分の呼び名)を捨てた人とか残して死んだ人とか、みんな後悔させるくらいの人になるぞって思ってた」
「復讐からなんにも生まれないっていうのは信用してないの。だって、Coccoは絶対復讐から始まってる。ほかに理由なんてなかったんだから。歌がすきだからとか、そんな理由、こっぱみじんもなかったし、ただもう、すごい人になって後悔させてやるってだけで。」
キレイ事や、体裁を整えるがためのカッコつけた事ばかりぬかしてるやつらに聞かせてやりたい痛烈な言葉である。
この辺が他のアーティストとかとは全然違う点である。
彼女にとって歌を歌うことは“自分が眠る”ため、そして“復讐するため”の手段に過ぎなかったのである。
私はこの記事を読んで、ブラックジャック19巻230話「復しゅうこそわが命」のエピソードを思い浮かべずにはいられなかった。
ブラックジャックが家族を殺したんだと誤解し復讐しようとする患者を敢えて自分のところに置いて、治療、リハビリを施すブラックジャック。
ただ、2nd『クムイウタ』の時点ではもう復讐しようという気持ちは消えてたのだそうだ。
それは歌うことによって“痛い”を出す事でやさしくなれるという事を1st『ブーゲンビリア』を完成させて気付いたからである。
確かにこのアルバムはCoccoのメラメラと渦巻くドス黒い復讐心が生々しく感じられる作品なのだが、女々しくてドロドロしてるというより、聴いていてなんか鬱積したものを全て吹き飛ばすような爽快感がある。
まぁ歌詞だけ読んでいると重いと感じるかもしれないが、Coccoのあの魂の叫びのような生々しい天然ともいえる歌声が、それを全て浄化させているのだと思われる。
それ程に彼女の歌声は強烈なのだ。
そして、Coccoは「復讐してる暇はない。自分のために生きるぞ。」と、達観するのである。
最後にCoccoはこうも言っている。
「でも、復讐するぞって戦ってた自分も嫌いじゃないし、いとおしい。それがなかったら歌おうとも思わなかったし、今のCoccoもいなかったんだしね。」
私もこの頃のCoccoがいとおしい。
今日の1曲:『首。』/ Cocco
これはかなりの希少本であるかと。
1998年といえば、2nd『クムイウタ』がちょうどリリースされた頃で、私が初めてCoccoの音楽に触れた年でもある。
本書の内容はかなりよかった。
まず壁の隅に後ろ向きで立っているCoccoの表紙がシュールでええ感じ。
ほんでこの頃のCoccoの定番のファッションである水色のNIKEのジャージにGパンスタイルがいい。
ジャージ正面には“雛豚(ひよこぶた)すき”という、わけのわからぬ言葉がマジックで殴り書きされてある。
やっぱ変わった娘だ。
インタビューの内容もなかなかディープで、デビューして1年目の等身大のCoccoが浮き彫りにさており、Coccoを形成したルーツ的な背景などもかなり掘りおこしてくれている。
その印象深かった箇所をいくつか紹介しよう。
「バレリーナになるために東京にきた」
このことは今となっては周知のことだが、現在でも一番好きなのは踊る事らしい。
「やわらかな傷跡」のPVでも草原で伸びやかにバレイを踊っている姿が実に印象的である。
子供の頃はバレイ教室に通うためお金を稼いで全部自分で授業料を払っていたそうな。好きなことに打ち込む根性はハンパないのだ。
「最初は歌わされた」
Coccoは歌を歌うことは最初べつに好きではなかったらしい。レコード会社の人の前で歌ったら上手いと褒められたので、「作品にしたら儲かるぜ」「そりゃーいい」というノリで歌を作り出したのだという。
最初に作曲したのは「首。」。この曲は最初ビクターから拒絶されたそうだ。この曲を耳にしたプロデューサーの根岸孝宗氏が「あいつらバカだ。なんでこいつを世に出さないんだ?自費で俺が出す。」と言ってbounceレコードからEP『Cocko』がリリースされる。
「ただ自分が眠るために歌ってる」
疲れて寝ようとしたら、タンタターン♪ちゅう感じで字幕みたいに言葉が出てきて、それを歌にして出してやらないと眠れなかったのだそうだ。完全に歌の神様に魅入られたとしか思えない話である。
ほとんど垂れ流し状態で、出してない曲でアルバム作ろうと思ったら3枚は作れるのだそうだ。だったら3枚組アルバムとか出して欲しかったな。
英詩の歌も全部英語で出てくるのだそうだ。ちなみに英語は全然わからなかったらしい(ホンマか!?)。
ところで、沖縄には“ユタ”という霊媒師がいるのだが、子供の頃、Coccoにはユタの資質があったという。
他の人に見えてない人がいっぱい見えたのだそうだ。
ユタの人に「あなたはユタになりなさい」と勧められたが、母親が強く反対したのだという。
英詩の歌が降りてきた時にはCoccoの中には、英語圏の霊魂が憑依してたんではないだろうか?
「あっちゃん(Coccoの自分の呼び名)を捨てた人とか残して死んだ人とか、みんな後悔させるくらいの人になるぞって思ってた」
「復讐からなんにも生まれないっていうのは信用してないの。だって、Coccoは絶対復讐から始まってる。ほかに理由なんてなかったんだから。歌がすきだからとか、そんな理由、こっぱみじんもなかったし、ただもう、すごい人になって後悔させてやるってだけで。」
キレイ事や、体裁を整えるがためのカッコつけた事ばかりぬかしてるやつらに聞かせてやりたい痛烈な言葉である。
この辺が他のアーティストとかとは全然違う点である。
彼女にとって歌を歌うことは“自分が眠る”ため、そして“復讐するため”の手段に過ぎなかったのである。
私はこの記事を読んで、ブラックジャック19巻230話「復しゅうこそわが命」のエピソードを思い浮かべずにはいられなかった。
ブラックジャックが家族を殺したんだと誤解し復讐しようとする患者を敢えて自分のところに置いて、治療、リハビリを施すブラックジャック。
ただ、2nd『クムイウタ』の時点ではもう復讐しようという気持ちは消えてたのだそうだ。
それは歌うことによって“痛い”を出す事でやさしくなれるという事を1st『ブーゲンビリア』を完成させて気付いたからである。
確かにこのアルバムはCoccoのメラメラと渦巻くドス黒い復讐心が生々しく感じられる作品なのだが、女々しくてドロドロしてるというより、聴いていてなんか鬱積したものを全て吹き飛ばすような爽快感がある。
まぁ歌詞だけ読んでいると重いと感じるかもしれないが、Coccoのあの魂の叫びのような生々しい天然ともいえる歌声が、それを全て浄化させているのだと思われる。
それ程に彼女の歌声は強烈なのだ。
そして、Coccoは「復讐してる暇はない。自分のために生きるぞ。」と、達観するのである。
最後にCoccoはこうも言っている。
「でも、復讐するぞって戦ってた自分も嫌いじゃないし、いとおしい。それがなかったら歌おうとも思わなかったし、今のCoccoもいなかったんだしね。」
私もこの頃のCoccoがいとおしい。
今日の1曲:『首。』/ Cocco