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ビル・ブラッフォードが活動を再開したらしいとの朗報が舞い込んだ矢先・・・
その彼のSNSから悲しい知らせが・・・・
第3期キング・クリムゾンなどで活躍したパーカッション奏者、画家、ジェイミー・ミューアさんが、去る2月17日に死去。享年82歳。
ジェイミー・ミューアなんてアーティストは、まぁキング・クリムゾンの音楽を嗜んでいなければ、縁もゆかりもない存在かと思われる。
しかもジェイミーがクリムゾンの作品に参加したのは、たった1枚(まぁクリムゾンの場合、そんなメンバーがゴロゴロいるけど)。
それが、1973年リリースの5th『太陽と戦慄』である。
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ただ、ジェイミーはこの作品1枚で、我々クリムゾンファンに強烈なインパクトを与え、その後残ったメンバー(特にビル・ブラッフォード)にも多大なる影響を与えることになる。
ジョン・ウェットン、ビル・ブラッフォードという誰もが知る優等生メンバーに、無名のジェイミー、そしてデヴィッド・クロスというヴァイオリニストが加わった第3期の新編成クリムゾンってのは、一番トチ狂った音楽性を放っていた時期かと思われる。
ブラッフォードは、絶頂期のイエスに莫大な違約金を払ってまでしてバンドから脱退し、クリムゾンに加入している。
彼のクリムゾンに対する憧憬の念は、当時相当のものだったと推測できる。
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上のDVDは、20年くらい前にヤフオクか何かで購入したブートレグだったと思うが、これに収録されていた「太陽と戦慄 パート1」のビート・クラブの奇跡のライブ映像がとにかく衝撃だった。
このステージでのジェイミーの変人奇行ぶりは伝説的で、まぁ観てもらえばわかるだろう。
King Crimson - Larks' Tongues in Aspic (1972)
『太陽と戦慄』は高校時代後半くらいの頃に購入し鑑賞したと記憶してるが、ちょっと難解だった1st『宮殿』にようやく馴染んできた頃で、本作でまた恐ろしくワケのわからんことになってて、まぁ一筋縄ではいかなかった。
ただ、人間椅子の和嶋氏も「天国に結ぶ恋」などで模倣している「太陽と戦慄 パート1」におけるロバート・フリップのあのヘンチクリンな変態奏法は、不可思議にも私の感性に刺さるものがあった。
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『太陽と戦慄』は、神秘的なジャケットからも醸し出されてるように、錬金術的なオカルティズムに溢れている。
ロバート・フリップはこの時期、ニューヨークで出会った白魔術師であるという女性ウォリ・エルムラークのソロ作品をプロデュースしたり、神秘学者G・I・グルジェフの思想に強く影響を受けていたという。
本作における一種の密教儀式のような、この神秘主義的インプロヴィゼーションは、指ピアノ、木琴、ゴング、ホイッスル、自転車のパフパフ、ノコギリ、キッチン用品などをかき鳴らす、毛皮を羽織ったジェイミー・ミューアの自由奔放なパーカッションと、異質な存在感が絶大な化学反応をもたらしているのだと。
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気だるいリズムに合わせて打ち鳴らされる「バシャ、バシャ」という音は、ジェイミーが水面を手で叩いているのだとか。
ジェイミー・ミューアがクリムゾンを一年足らずで脱退した経緯も実に奇妙なもので、最初はEG社員がなぜか事実を隠していたこともあり、様々な説が尾ひれを付けて流布したらしい。
私が浪人生の頃に知り合った同じ予備校に通っていた人間椅子好きの女の子から聞かされた内容は、いつものごとくクリムゾンのステージで打楽器をシバきまくっていたら、シンバルが彼の足の上に落ちてくるというアクシデントに見舞われたんだとか。
ジェイミーは「ウギャーーーっ!!」という奇声を発してステージから逃走。そのまま謎の失踪を遂げ、二度とクリムゾンに戻ることはなかった。
そして数年後、どこかの修道院に入門していたことが発覚した・・・・というものだった。
後日キング・クリムゾンの特集本を読んで、そこで語られていた真相は、クリムゾンに加入した頃、ジェイミーは仏教に傾倒していたんだとか。
ある日彼は、インドの神秘家パラマハンサ・ヨガナンダの著した『あるヨギの自叙伝』という本を読んで感銘を受け、それから瞑想をはじめ、禁欲生活を選択。
アルコール、タバコなどの嗜好品をいっさい絶ち、精神修行を積んだ末にドラマティックな神秘体験(肉体離脱)を経てクリムゾンを脱退・・・という流れだったらしい。
一度ブックオフで見かけたことがあるが、古本でも高価でよー手が出ナンダ。
この本にはロバート・フリップ卿も感銘を受けたんだとか。
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ちなみに、原タイトル『Larks Tongues In Aspic(ゼリーの中の雲雀の舌)』という象徴的なフレーズは、ジェイミーが生み出したもので、この作品がいかにジェイミーの奇抜な発想の上に成り立っているのかがわかろうというものだ。
ジェイミーの魂は、奇想天外な彼の即興センスとクリンとしたチョビ髭、そして神秘的な『太陽と戦慄』のデザインとともに、これからも我々クリムゾンファンの心の中で生き続けるだろう。
R.I.P. Jamie Muir.
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その彼のSNSから悲しい知らせが・・・・
第3期キング・クリムゾンなどで活躍したパーカッション奏者、画家、ジェイミー・ミューアさんが、去る2月17日に死去。享年82歳。
ジェイミー・ミューアなんてアーティストは、まぁキング・クリムゾンの音楽を嗜んでいなければ、縁もゆかりもない存在かと思われる。
しかもジェイミーがクリムゾンの作品に参加したのは、たった1枚(まぁクリムゾンの場合、そんなメンバーがゴロゴロいるけど)。
それが、1973年リリースの5th『太陽と戦慄』である。
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ただ、ジェイミーはこの作品1枚で、我々クリムゾンファンに強烈なインパクトを与え、その後残ったメンバー(特にビル・ブラッフォード)にも多大なる影響を与えることになる。
ジョン・ウェットン、ビル・ブラッフォードという誰もが知る優等生メンバーに、無名のジェイミー、そしてデヴィッド・クロスというヴァイオリニストが加わった第3期の新編成クリムゾンってのは、一番トチ狂った音楽性を放っていた時期かと思われる。
ブラッフォードは、絶頂期のイエスに莫大な違約金を払ってまでしてバンドから脱退し、クリムゾンに加入している。
彼のクリムゾンに対する憧憬の念は、当時相当のものだったと推測できる。
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上のDVDは、20年くらい前にヤフオクか何かで購入したブートレグだったと思うが、これに収録されていた「太陽と戦慄 パート1」のビート・クラブの奇跡のライブ映像がとにかく衝撃だった。
このステージでのジェイミーの変人奇行ぶりは伝説的で、まぁ観てもらえばわかるだろう。
King Crimson - Larks' Tongues in Aspic (1972)
『太陽と戦慄』は高校時代後半くらいの頃に購入し鑑賞したと記憶してるが、ちょっと難解だった1st『宮殿』にようやく馴染んできた頃で、本作でまた恐ろしくワケのわからんことになってて、まぁ一筋縄ではいかなかった。
ただ、人間椅子の和嶋氏も「天国に結ぶ恋」などで模倣している「太陽と戦慄 パート1」におけるロバート・フリップのあのヘンチクリンな変態奏法は、不可思議にも私の感性に刺さるものがあった。
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『太陽と戦慄』は、神秘的なジャケットからも醸し出されてるように、錬金術的なオカルティズムに溢れている。
ロバート・フリップはこの時期、ニューヨークで出会った白魔術師であるという女性ウォリ・エルムラークのソロ作品をプロデュースしたり、神秘学者G・I・グルジェフの思想に強く影響を受けていたという。
本作における一種の密教儀式のような、この神秘主義的インプロヴィゼーションは、指ピアノ、木琴、ゴング、ホイッスル、自転車のパフパフ、ノコギリ、キッチン用品などをかき鳴らす、毛皮を羽織ったジェイミー・ミューアの自由奔放なパーカッションと、異質な存在感が絶大な化学反応をもたらしているのだと。
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気だるいリズムに合わせて打ち鳴らされる「バシャ、バシャ」という音は、ジェイミーが水面を手で叩いているのだとか。
ジェイミー・ミューアがクリムゾンを一年足らずで脱退した経緯も実に奇妙なもので、最初はEG社員がなぜか事実を隠していたこともあり、様々な説が尾ひれを付けて流布したらしい。
私が浪人生の頃に知り合った同じ予備校に通っていた人間椅子好きの女の子から聞かされた内容は、いつものごとくクリムゾンのステージで打楽器をシバきまくっていたら、シンバルが彼の足の上に落ちてくるというアクシデントに見舞われたんだとか。
ジェイミーは「ウギャーーーっ!!」という奇声を発してステージから逃走。そのまま謎の失踪を遂げ、二度とクリムゾンに戻ることはなかった。
そして数年後、どこかの修道院に入門していたことが発覚した・・・・というものだった。
後日キング・クリムゾンの特集本を読んで、そこで語られていた真相は、クリムゾンに加入した頃、ジェイミーは仏教に傾倒していたんだとか。
ある日彼は、インドの神秘家パラマハンサ・ヨガナンダの著した『あるヨギの自叙伝』という本を読んで感銘を受け、それから瞑想をはじめ、禁欲生活を選択。
アルコール、タバコなどの嗜好品をいっさい絶ち、精神修行を積んだ末にドラマティックな神秘体験(肉体離脱)を経てクリムゾンを脱退・・・という流れだったらしい。
一度ブックオフで見かけたことがあるが、古本でも高価でよー手が出ナンダ。
この本にはロバート・フリップ卿も感銘を受けたんだとか。
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ジェイミーの魂は、奇想天外な彼の即興センスとクリンとしたチョビ髭、そして神秘的な『太陽と戦慄』のデザインとともに、これからも我々クリムゾンファンの心の中で生き続けるだろう。
R.I.P. Jamie Muir.
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