AMASHINと戦慄

~STARLESS & AMASHIN BLOG~
日々ブログレッシヴに生きる

フースケ

2005年09月23日 | 二酸化マンガ
実を言うと、私は手塚治虫マンガ大好きの手塚コレクターなんです。
古本屋に行ったらなにか掘り出しモノはないかと、手塚治虫コーナーは必ずチェックします。
なんせ手塚マンガってのは、子供向けから大人向けまで、多種多様なジャンルに渡って何百作品と存在していて、とても全てを集めきれるものではありません。
まぁ手塚作品ってアタリハズレも激しいんだけど、その他の人気マンガ家なんて1作品当てて10年連載続いたらそれで十分名声を得てカッコつく感じだけど、手塚先生の場合はそんなもんより内容濃くておもしろい大傑作がゴロゴロと存在していて、それが割りかし一般的には知られてないマイナー作品であったりするんです。

ただ、最近はもう手塚治虫の名作と呼ばれる作品はほとんど集めきってしまった感があって、その情熱も10代~20代の頃と比べて随分冷めてしまってきてる。
ところが先日、普段あまり立ち寄らない古本屋ブックマーケットにふと入ってみると、見慣れない背表紙の手塚本が私の目に飛び込んできた。

それは『フースケ』であった。


この作品は手塚先生が大人向けに書いた“ナンセンス漫画”と呼ばれる部類のもので、長谷川町子の『サザエさん』や、サトウサンペイの『フジ三太郎』のような、新聞などに連載されてる4コママンガみたいな諷刺画のような絵のタッチで描かれている手塚先生の漫画の中でも少し特殊なテイストの作品(他には『人間ども集まれ』『上を下へのジレッタ』もこの部類)。もちろんおなじみヒョウタンツギも登場する。

『フースケ』は手塚先生の没後、文春文庫からビジュアル版で新たに刊行されていて、私はそれを所持していた。



今回見つけたのは奇想天外文庫から出版された初版本で、当時は定価280円のモノ。
状態も良好で普通ならもっと高値がつきそうなものだが、320円で売られててそらもう即購入ですわ。
なんつっても私の所持してたビジュアル文庫版の味気ない表紙に比べて、こっちはセンス溢れるナンセンスカヴァーが使用してあり、一話一話にもちゃんと表紙がついている。




そしてなにより私を喜ばせたのが、ビジュアル版には収録されていなかった未読のエピソードが一話あったこと!
(まぁビジュアル版の方はこっちより四話ほど多く収録されてあるけど)

「2.11事件」というタイトルで、弥生時代が舞台の物語。
卑弥呼みたいな人物がでてくる。これは『火の鳥 黎明編』がモデルとなってるのかな?



巻末にある手塚先生の「ボクとオンナのマンガ」というあとがきによると、いつも小松左京に「手塚サンは、オトナのオンナが描けんなぁ」と言われてコンプレックスを持っていたのがあったのと、自分は男である以上女の気持ちが描けないので、女をマトモに描かずなにか別の生き物(例えば馬や猫や家)におきかえて男の目線で女をこの『フースケ』で描いたのだという。

たしかにこのマンガでは、異常性欲にトチ狂って凶暴化した女とか、性器だけのクリーチャー、家一軒そのものがオンナみたいなものが描かれている。
それはモテない男から生まれる妄想なのか、願望なのか。これが手塚治虫先生自身の妄想だとしたら、かなりのヘンタイマンガ家だ。
手塚治虫の劇画タッチの大人向けの短編モノには、もっとドぎつい変態性溢れる物語がいくつもあるが、この『フ―スケ』はそれらをポップかつブラックジョーク風にしたってところだろうか。




ちなみに、この「ナンセンスのセンスを極める」奇想天外文庫からは『すっぽん物語』という手塚作品も出版されているみたいなので、これも是非手に入れたく思っている。
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シスの復習

2005年09月21日 | しねしねシネマ
昨日は第三火曜日で、奈良映画1000円の日だったので今シリーズ最終章『スターウォーズ episode 3』を鑑賞してきました。
まぁ実は今回で2度目なんですが。
もっかい観に行きたいくらいよかった!っていうワケではなく、前回観た時、隣の席の男から形容しがたい異臭が漂ってきて映画に全然集中できんかったので。


今回の内容は、多少『エピソードⅣ』へ繋ぐ辻褄合わせなシーンがわざとらしすぎるきらいはあったけど、やはりラストを飾る作品ということもあってか、なかなか気合十分の会心のデキだったように思われる。
相変わらずCG三昧のコテコテな映像ではあるが、やっとアナキンの役者に迫力が出てきて、徐々にダークサイドに落ちていく様を見事に演じきっていた。
とくにラストのオビワンとの師弟対決は凄まじく、緊迫感溢れる決闘シーンの中、憎悪、哀れみといったやるせない感情が両者入り乱れる辺り、ほんとうに心が揺さぶられ、小生不覚にも感情が移り入り移り入りしてしまった。

そして、今回R2-D2がいよいよ凶暴化し暴れまくっていた。
彼の攻撃力はせいぜいアーム伸ばして電気ビリビリ攻撃くらいだったと記憶しているが、ストームトゥルーパーにオイルぶっかけてジェット噴射で焼き殺す残虐なシーンは、あのオチャメでかわいらしいキャラクターイメージを一変させてもーたな~
とんでもない殺人ロボですよ。


実は今回おさらい鑑賞してみて愕然となった事があったんですが、ヨーダに仕えていたウーキー族が2匹でてきたじゃないですか。片方がチューバッカで、もうひとりドレッド風に柔毛を束ねてる奴。
つーのは、夏のペプシボトルキャップキャンペーンでチューバッカを当てるのに必死でこの毒汁のようなペプシを飲みまくって糖尿ぎみにまでなったんすよ。
私は旧三部作ファンだから、まぁ初代キャラゲットできればそれで満足だったんですが。
しかしなかなか当たらんくて、フォースの力でオマケ袋に手をあててなんとかチューイを感じようと思ったが、私はジェダイじゃないからワケな訳よ。邪念だらけやし。
で、とうとう10本目くらいで毛むくじゃら野郎が出てきて「よっしゃ!チューバッカついにゲット!」とおおはしゃぎしていたんやけど、こいつよ~見たらドレッドの方やないかい!って、今回映画みて気づいたんよ・・・・
その瞬間私もベイダーみたいに「ノォ~~~~~!!」って叫びたくなたよ。
見事ダークサイドに堕とされましたわ。



オススメ度:★★★★
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THRASH DOMINATION 05

2005年09月19日 | コンサート
スラドミ東京遠征から、無事帰還してまいりやした。

いや~さすがに疲れた、なんせ約5時間半の濃~い内容のイベントでしたから・・・


THRASH DOMINATION 2005の面子。



今回は大阪の公演がなく、主催者側が関西遠征組のために特別に用意してくれたスラドミツアーバスに揺られながらの遠征だったが、そこでたまたま隣の席に居合わせたブラジル人スラッシャーのロベルト君(なんとまだ20才!以下ロブ)と親しくなり、夜間のバス移動時間は彼とスラッシュ話に花が咲き、とても楽しい旅路となった。
引率員みたいなスタッフの方も同乗していて、なんか一生懸命盛り上げようとしてくれていた。

新宿に朝6時半に着き、とりあえず駅前の早くから開いてたテキトーな喫茶店で、650円もするクソまずいブレンドコーヒーを飲んでから行く所もないので、とりあえず東京都庁を見学に。




そして、会場のある川崎に移動すると、ロブがネット上で知り合ったといういかつめの出稼ぎブラジリアンスラッシュ軍団が待ち受けており、最初はギョッとしたが、みなノリノリのいいやつらで、一緒にマクドで昼食をとることに。
彼らは既に異様な盛り上がりを見せており、マクド店内ではその空間だけスラッシュカーニバルの様相を呈していた(それに黒Tシャツ野郎どもがポルトガル語で大声でしゃべりよるもんだから、よけいに目立つ)。


クラブチッタに着き、私は気合を入れるべく何年も着ていなかったカンニバル・コープスのゾンビTシャツに着替えライブに臨んだのであった。




トップバッターはいきなしKREATORからで、猛り狂ったファンが前方へと押し寄せる。
特にブラジル軍団は狂喜乱舞し、暴徒化に近い状態で凄かった。もういきなりステージダイブしてたもんな。
まぁ実は私、KREATORは『EXTREME AGGRESSION』と『COMA OF SOULS』くらいしかマトモに聴いてなかったので、初期の曲や最近の曲のオンパで正直あまりノることができなかった(「People of The Lie」くらいだったか)。
しかし音を聴いているだけでも彼らの演奏力はかなりの高水準であることはわかるし、間近で観ててスゲー迫力だったし、曲を知っていればもっと楽しめただろうにとちょっと損した気分だった。

それにしても客のノリが素晴らしい。昨年の大阪公演とはもう比べものにならない。
やっぱこういうのは東京まで遠征して観るものなのかなと。


お次はLAAZ ROCKIT。やはりさっきと打って変わって客のノリが悪い・・・
そらあの変わり果てた風貌を見りゃファンでもテンション下がりまっせ。Voのマイケルなんざリチャード・ギアと化していたしなぁ。
「SELF DESTRUCT」のイントロで始まり、いきなりヒットナンバー「FIRE IN THE HOLE」がきた!これはさすがに盛り上がってモッシュの渦もできた。
しかしその後は徐々に人口密度が減りだし、メンバーもちょっと苦笑いだった。
それでも本人達はなんか楽しそうだった。演奏もかなり上手かったし。あの盛り下がりであそこまでテンションが保てるのは凄い。
意外と『KNOW YOUR ENEMY』からの楽曲が多くて嬉しかった。ただ、名曲「EUROSHIMA」の「All too late~~!!」の雄叫びのキーを下げてて残念。
マイケルもう高いキー出せないのね(哀)・・・


そして、中学生の頃から憧れだったバンドで、今回の大本命であったDESTRUCTIONであるが・・・・

ハッキリ言って一番しょーもなかった。
だから最近の曲はこっちわからないのよ。『LIVE WITHOUT SENSE』のセトリをそのままやってくれりゃいいものを。
演奏もなんやアレ?もう昔のデストラクションではなくなってしまっていて、とても残念な気持ちになった。
名曲「MAD BUTCHER」は演奏されたけれども、あんなゴリゴリの音ではほんと台無し。ドラムはうるさすぎやし、マイクのギターはキレが無くなったし、シュミーアのあのトチ狂ったかつての冷徹ヴォイスはいずこへ!?
「CURSE THE GODS」のイントロが流れた時だけは興奮して前まで押し寄せてしまったけど、それぐらいやったかなぁ、まさかデストラクションで立ちながら居眠りするとは思わなかった。
あとでロブに感想を聞くと、彼も同意見で途中で退場したとか。


そして、昨年ドタキャンしてくれたTESTAMENTであるが、さすがトリを務めるだけあって、汚名挽回とばかりに一番盛り上がった。
1stしか持ってない(2ndはテープで持ってる)にわかな私でもかなりハッスルできちゃったくらい。
オリジナルドラマーのあまりの音のショボさに最初かなり不安になったが、その分アレックスが凄まじいギターワークを披露してくれて、ステージはほぼ彼の独壇場と言ってもよかった。
う~ん、彼の事今まで過少評価してたけど、生演奏姿を見てさすが名声に違わぬ名ギタリストであることを思い知らされたわ・・・

「ALONE IN THE DARK」での大合唱は楽しすぎた!しかもギターパートまで!チッタのスラドミ客最高!!
「OVER THE WALL」ではたまらず私もモッシュピットに突撃!!
挙句の果てに皆ステージに這い上がり始めちゃいました。
ステージ上には行きのバスに乗ってた引率のスタッフのにーちゃんもいた!

ウオーーっ!川崎のスラドミはなんて楽しいんだ!

ラストの「DISCIPLES OF THE WATCH」ではモッシュしすぎて足上がらんようになってた。
この曲ってほんまにモッシュするための曲でんな。オベ~~イ!
しかしテスタメントって今思たらすごいポップなバンドやなぁ、だから人気なのか。


退場時、来場者には全員スラドミ記念ステッカーが配られた。



終演後、ブラジルスラッシュ軍団達と別れ際、記念撮影して固い握手を交わし帰路についた。
彼らがいてなんかとても楽しいスラッシュ東京遠征となりました。

オブリガード!



また行くぜ!!
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DENIS“PIGGY”D'AMOUR

2005年09月16日 | やっぱりメタル!!
はぁぁ、もうやりきれない気持ちでいっぱいである。


先日、なにげに“THRASH DOMINATION”のキーワードでネット検索していると、受け止め難い以下の記事が私の目に飛び込んできた。


「カナダのスラッシュメタルバンド、ヴォイヴォドのギタリスト、
“Piggy”ことデニス・ダムールが8月26日、結腸癌のため死去した。
45歳だった。彼は以前から末期癌であることが伝えられていた。」



「ウソやろ!!」と、VOIVODファンサイトを覗いてみると、無慈悲にもそれが事実であったことが判明・・・・

ショックすぎる!

ついに一度も来日を果たさず、彼のプレーを生で拝むことはもうできなくなってしまったのだ。
そんなのあまりにも悲しすぎるじゃないか!!


中学の頃MTVで流れた“RAVENUES MEDICINE”のPVを見て衝撃を受け、聴けば聴くほどこの他に類をみない不可思議な世界は何だ!と、VOIVODはそれから私にとって特別な存在になっていった。
紆余曲折を繰り返しながら決して大ブレイクすることはなく、もうバンドはダメだとポシャりかけたところに、元メタリカ(とフロットサム&ジェットサム)のジェイソン・ニューステッド(Jasonic)が加入し再出発した2003年まで、彼らの音楽をず~と追い続けてきた。
そして、こりゃひょっとしたらこの面子で初来日って可能性も出てきたぞ!って大いに期待してたんだけど・・・




とにかくVOIVODは、私にとって非常に思い入れ深い数少なきバンドのひとつであった。


先日、ピギーへの追悼の意も込めて彼らの隠れた名作『ANGEL RAT』(1991)を部屋を暗くして聴いていた。



このアルバムは初期RUSHのプロデューサーでもあったテリー・ブラウンが手掛けている。
前作のやたら展開の激しいカチカチっとした冷たいプログレッシブな作風と比べ、このアルバムはいたってメロウ且つシンプルな作りで、各楽曲も5分未満と、かなりコンパクトな内容なのであるが、1曲1曲に絶妙なトリップ感を備えながらも実に洗練されていて、かなりのクオリティーを誇るVOIVODの傑作の1つである。
とくにピギーのシャープで不可思議な旋律を持ったギターワークがアルバム全体を通して冴え渡っていて、おそらく彼のギターセンスが一番光っている作品なのではないだろうか?

ラスト曲“NONE OF THE ABOVE”のピギーのギターソロは、まるでやがてくる自分の死期を悟っていたかのような哀愁感に満ち溢れており、彼が亡くなったことでその一音一音がよりいっそうに心に染み込んできて身悶えを覚えるほどである。




ピギーよ、あなたの音楽は私の心の中でずっと生き続けます。

R.I.P.

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