早いもので、今年も残すところあと3日。
この一年間、世間を賑わせた様々な事がございましたね。
相撲界の暴力沙汰騒動や、北朝鮮のミサイル問題にこのハゲーーーーっ!!と。
そして、メタル好きとして知られるインドネシアのジョコ・ウィドド大統領が訪問先のデンマークで、宮殿で行われた公式訪問の際、同国のラース・ロッケ・ラスムセン首相からサプライズでメタリカの『MASTER OF PUPPETS』デラックス・ボックスをプレゼントされたという、大変微笑ましいエピソードも今年の印象深いニュースのひとつ。
「あとで、アーティレリーもお渡ししますね」と、ラスムセン首相。
そう、今年はあのメタリカの究極のモンスターアルバム『MASTER OF PUPPETS』が発売されてから丁度30周年(と思ったら31年だった)。
今月、各メタル雑誌でもこのアルバムの特集が大々的に組まれている。
このアルバムは確かに当時、メタル界を大いに揺るがす衝撃をもって世に放たれた。
そして、この私もリアルタイムでその衝撃を受けた者のひとりであり、それまでの私のメタル嗜好(といってもまだメタル歴一年くらいだったが)をガラリと路線変更させた一枚であった。
メタリカに出会う以前は、ナイトレンジャー、モトリー・クルー、アクセプト、イングベイ、リジー・ボーデン、そしてアイアン・メイデンなど、いわゆる正統派というか、妙に色とりどりな、今思うとキテレツ極まりない派手な衣装に身をつつみ、ヴォーカルはだいたいハイトーンっていう王道のメタルバンドを聴いていた。そういうメタルが常識だったし、それがカッコいいと思っていた。
だが、ある日突然ラジオから流れてきたメタリカの「Master of Puppets」は、そんな常識をいとも簡単に打ち砕いてしまった。
ザクザクと刻まれるリフの応酬、吐き捨てるようなヴォーカル(といっても、この頃のジェームズの声にはもうすでに整合感が備わってきていたが)、曲展開の激しさ、そして長尺!
それまで8分超えの曲なんてあまり聴いたことなかったから、当時の私としてはとんでもないものを聴いているような気がした。
Metallica-Master Of Puppets (Lyrics)
この作品は、「Battery」や「Disposable Heroes」などのスピード感溢れるキラーリフに満ち溢れた楽曲群の秀逸さもあるが、バラード「Welcome Home」やタイトル曲、そして故クリフ・バートンが作曲の大半を担った遺作ともいうべき長編のインスト曲「Orion」に見られる整合感と知性に溢れる楽曲が含まれていることが、以前は「うるさいだけ」「速いだけ」と、メタリカやその辺のスラッシュを蔑んでいた者を振り向かせたという点で、大変な偉業を成し得た作品といえよう。
煌びやかで華やかなメタルバンドが幅を聴かせていたアメリカで、NWBOHMに影響を受け、決してイケメンじゃない普段着を着た連中がアンダーグラウンドでシコシコやっていた過激なスラッシュバンドが、PVの力も借りず(MTV全盛期の当時としては異例)実力だけでスターダムにのし上がったのである。
コスチュームでない彼らのファッションセンスも、当時メタルの常識を真っ向から覆した。
デニム&レザー。クリフのジージャンにベルボトム姿も印象的だった。
『MASTER OF PUPPETS』は、凄まじい猛威をふるって全世界に波及した。
いわゆるスラッシュメタルムーブメントが勃発したのである。これはもはや社会現象といってもよかった。
その影響力は凄まじく、私が通っていた京都南部の田舎の中学校にまで及んだのである。
私の周りではわりとメタルが流行ってて、まぁ持ちこんだのはおそらく私だと思われるが、私よりも人望があって影響力のあるやつが他のクラスで広めたといったところだ。
ラジオでメタリカの音源を目の当たりにした私は、さっそくワルツ堂に赴き『メタルマスター』という、カセットテープかみたいなダサい邦題のついたメタリカのレコードを取り寄せた。
そしてさっそくメタル仲間に聴かせたところ、4、5人のやつがやはり共鳴した。ただ、ハマらないやつも何人かいた。
メタリカのサウンドに感じいったものは、それからいわゆるスラッシャーという人種に変貌していって、もっと過激なスラッシュバンドはないかと、互いに競い合うかのように音源漁りに邁進していった。
そこでスラッシュコミュニティみたいなものが形成され、いままで聴いていた産業ロックめいたメタルには見向きもしなくなっていった。
そしてメタル仲間の中で派閥みたいなものができて、論争やケンカにまでは発展しなかったものの、メタル正統派の連中とは自然と付き合いがなくなっていった。
当時私の下敷きにはさんでいたものも、いよいよ過激さを増してゆくのであった。
それから2nd、1stと遡って聴いていって、今となってはその初期3枚の中で3rdはサウンド的に一番もの足りない作品となってしまったが、以降の作品にロクなものがないことからも、まぁ『MASTER OF PUPPETS』ってのはメタリカにとって、これ以上ない頂点に達してしまった作品といったところですわな。
それから歳月は流れ、メタリカのあの印象深いロゴは今じゃブランド、ファッションと化しており、イオンに入店しているような安物のアパレル店で購入したメタリカのロゴの入ったTシャツを着た若者を最近よく見かけます。
そういう若者を見ては、メタリカの音楽と共にスラッシングな青春時代を過ごした最良だった日々が思い出され、ああ、この子たちがせめて『MASTER OF PUPPETS』ぐらいは聴いてて欲しいものだと、思ったり、思わなかったり。
今日の1曲:『Battery』/ METALLICA
この一年間、世間を賑わせた様々な事がございましたね。
相撲界の暴力沙汰騒動や、北朝鮮のミサイル問題にこのハゲーーーーっ!!と。
そして、メタル好きとして知られるインドネシアのジョコ・ウィドド大統領が訪問先のデンマークで、宮殿で行われた公式訪問の際、同国のラース・ロッケ・ラスムセン首相からサプライズでメタリカの『MASTER OF PUPPETS』デラックス・ボックスをプレゼントされたという、大変微笑ましいエピソードも今年の印象深いニュースのひとつ。
「あとで、アーティレリーもお渡ししますね」と、ラスムセン首相。
そう、今年はあのメタリカの究極のモンスターアルバム『MASTER OF PUPPETS』が発売されてから丁度30周年(と思ったら31年だった)。
今月、各メタル雑誌でもこのアルバムの特集が大々的に組まれている。
このアルバムは確かに当時、メタル界を大いに揺るがす衝撃をもって世に放たれた。
そして、この私もリアルタイムでその衝撃を受けた者のひとりであり、それまでの私のメタル嗜好(といってもまだメタル歴一年くらいだったが)をガラリと路線変更させた一枚であった。
メタリカに出会う以前は、ナイトレンジャー、モトリー・クルー、アクセプト、イングベイ、リジー・ボーデン、そしてアイアン・メイデンなど、いわゆる正統派というか、妙に色とりどりな、今思うとキテレツ極まりない派手な衣装に身をつつみ、ヴォーカルはだいたいハイトーンっていう王道のメタルバンドを聴いていた。そういうメタルが常識だったし、それがカッコいいと思っていた。
だが、ある日突然ラジオから流れてきたメタリカの「Master of Puppets」は、そんな常識をいとも簡単に打ち砕いてしまった。
ザクザクと刻まれるリフの応酬、吐き捨てるようなヴォーカル(といっても、この頃のジェームズの声にはもうすでに整合感が備わってきていたが)、曲展開の激しさ、そして長尺!
それまで8分超えの曲なんてあまり聴いたことなかったから、当時の私としてはとんでもないものを聴いているような気がした。
Metallica-Master Of Puppets (Lyrics)
この作品は、「Battery」や「Disposable Heroes」などのスピード感溢れるキラーリフに満ち溢れた楽曲群の秀逸さもあるが、バラード「Welcome Home」やタイトル曲、そして故クリフ・バートンが作曲の大半を担った遺作ともいうべき長編のインスト曲「Orion」に見られる整合感と知性に溢れる楽曲が含まれていることが、以前は「うるさいだけ」「速いだけ」と、メタリカやその辺のスラッシュを蔑んでいた者を振り向かせたという点で、大変な偉業を成し得た作品といえよう。
煌びやかで華やかなメタルバンドが幅を聴かせていたアメリカで、NWBOHMに影響を受け、決してイケメンじゃない普段着を着た連中がアンダーグラウンドでシコシコやっていた過激なスラッシュバンドが、PVの力も借りず(MTV全盛期の当時としては異例)実力だけでスターダムにのし上がったのである。
コスチュームでない彼らのファッションセンスも、当時メタルの常識を真っ向から覆した。
デニム&レザー。クリフのジージャンにベルボトム姿も印象的だった。
『MASTER OF PUPPETS』は、凄まじい猛威をふるって全世界に波及した。
いわゆるスラッシュメタルムーブメントが勃発したのである。これはもはや社会現象といってもよかった。
その影響力は凄まじく、私が通っていた京都南部の田舎の中学校にまで及んだのである。
私の周りではわりとメタルが流行ってて、まぁ持ちこんだのはおそらく私だと思われるが、私よりも人望があって影響力のあるやつが他のクラスで広めたといったところだ。
ラジオでメタリカの音源を目の当たりにした私は、さっそくワルツ堂に赴き『メタルマスター』という、カセットテープかみたいなダサい邦題のついたメタリカのレコードを取り寄せた。
そしてさっそくメタル仲間に聴かせたところ、4、5人のやつがやはり共鳴した。ただ、ハマらないやつも何人かいた。
メタリカのサウンドに感じいったものは、それからいわゆるスラッシャーという人種に変貌していって、もっと過激なスラッシュバンドはないかと、互いに競い合うかのように音源漁りに邁進していった。
そこでスラッシュコミュニティみたいなものが形成され、いままで聴いていた産業ロックめいたメタルには見向きもしなくなっていった。
そしてメタル仲間の中で派閥みたいなものができて、論争やケンカにまでは発展しなかったものの、メタル正統派の連中とは自然と付き合いがなくなっていった。
当時私の下敷きにはさんでいたものも、いよいよ過激さを増してゆくのであった。
それから2nd、1stと遡って聴いていって、今となってはその初期3枚の中で3rdはサウンド的に一番もの足りない作品となってしまったが、以降の作品にロクなものがないことからも、まぁ『MASTER OF PUPPETS』ってのはメタリカにとって、これ以上ない頂点に達してしまった作品といったところですわな。
それから歳月は流れ、メタリカのあの印象深いロゴは今じゃブランド、ファッションと化しており、イオンに入店しているような安物のアパレル店で購入したメタリカのロゴの入ったTシャツを着た若者を最近よく見かけます。
そういう若者を見ては、メタリカの音楽と共にスラッシングな青春時代を過ごした最良だった日々が思い出され、ああ、この子たちがせめて『MASTER OF PUPPETS』ぐらいは聴いてて欲しいものだと、思ったり、思わなかったり。
今日の1曲:『Battery』/ METALLICA