ねこ絵描き岡田千夏のねこまんが、ねこイラスト、時々エッセイ
猫と千夏とエトセトラ
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キャットラバー・ミーツ・キャット
2007年07月04日 / 猫
まさに、可愛い、としか言いようがない。キジトラ猫だろうか、ふわふわで、手のひらに乗るほどの大きさである。段ボール箱の中からこっちを覗いているつぶらな目、無力な小さな足、人見知りすることさえまだ知らない、あどけない寝顔。
本当に赤ちゃんで、ただただ可愛らしいので、雲島さんのブログに掲載されている数枚の写真を何度も見比べて、「可愛い、可愛い」とため息をついていたら、どこからともなくみゆちゃんがやって来て、パソコンの画面の前に座り込んだ。
尻尾をぴんと立てて振るわせて、にゃあと訴えたけれど、適当に返事をして適当に頭をぽんぽんと叩いて、また雲島さんの子猫の方に気を取られていたら、今度は私の座っている椅子の背もたれのあいだに降りてきたので、そこで寝たいのかなと思って、からだをずらして場所を空けてあげたら、背中を両足で蹴っ飛ばされた。
たとえば、パソコンで全然猫とは関係のない、友達のブログなんかをみて大笑いしていても、みゆちゃんは知らん顔しているのに、今回、猫の写真を可愛いとほめていたら、このやきもちである。普段、ためしに猫の写真なんかを見せてみても、まったく興味なしなので、やはり猫には平面的な絵のようなものはわからないのだろうと思っていたのだけれど、本当は、ちゃんとわかっているのかもしれない、というのは、猫好きの買いかぶりだろうか。
ちなみに、雲島さんは、猫と暮らしたいと切に願いながらも、今まで叶わずにいた。それがとうとう、このおちびちゃんに出会ったのである。猫好きが運命の猫に出会う、こんなにおめでたいことはない。
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めだか三代物語(4)
2007年07月03日 / 魚
生き残った黒めだかのことを黒ちゃんと呼んで可愛がった。一匹だけをひいきするのは良くないけれど、ほかの緋めだかたちはどれがどれだか区別がつかないし、名前も付けようがなくて、自然、黒ちゃんに注意がいった。
黒ちゃんは雌で、どんどん卵を産んだ。もともとがからだの弱い黒めだかなのに、産卵を繰り返すことで、寿命が磨り減っていくのではないかと心配になった。お腹に五つ、六つの卵をつけて泳いでいるのを見るたびに、もういいよ、もういいよ、と心の内に思った。
黒ちゃんの子供たちは、十匹余りが育ったが、二〇〇五年の十月一日に、とうとう黒ちゃんは死んでしまった。
七匹の親めだかと、十数匹の子めだかは、その冬を越したけれど、去年の夏、一晩のうちに次々と死んで、とうとう全滅してしまった。先に書いた友人の家でも、この夏にたくさんのめだかがいっぺんに死んでしまったというから、気候か何かが原因しているのかもしれない。
その親めだかが死んでいなくなった鉢を、はやく片付ければいいものを、不精な性格からしばらくそのままに置いておいたら、ある日、緑色になった水の面に、小さな子めだかが泳ぐのを見つけた。親は死んでしまったけれど、卵は残っていたのであった。そう思うと、感慨深いものがあった。黒めだかもいて、黒ちゃんの遺伝子は、ちゃんとそこに受け継がれていた。
親が死に絶えた水の鉢から育った四匹の緋めだかと一匹の黒めだかが、ふたたび親となって、先日、新しい赤ちゃんめだかが生まれたのであった。三年前、ホテイアオイの根っこにくっついて、我が家にやって来た黒ちゃんたちの孫である。小さな水槽の中で、命は廻っているのであった。
だけれど、うちのめだかは血が濃い。少しでも健康な子供たちが生まれるように、よそから新しいめだかを呼んで来ようかと考えている。(了)
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めだか三代物語(3)
2007年07月02日 / 魚
友人に、大きな甕にめだかを百匹ほども入れて飼っている人がいて、めだかに詳しいので、こちらの状況を詳しく話して聞いてみたのだけれど、その人にも、子めだかが死ぬ原因がわからず、電話口の向こうで首を傾げるばかりであった。
原因がわからないので対策も講じられない。歯がゆく思いながらも、日々数が減っていく子めだかの群れを、ただ指をくわえて見つめるしかなかった。
四十匹いためだかが十二匹になって、ようやく不可解な死はおさまった。四十匹のうち、だいたい六割が緋めだか、四割が黒めだかだったのだけれど、黒めだかのほうが弱いのか、黒めだかで生き残ったのは二匹だけであった。
その十二匹が秋口には親になって、卵を産んだ。たくさん孵ったけれど、またたくさん死んで、生き残ったのは五匹だけ、その五匹も、里子に出した先で、お腹がぱんぱんに膨れて、みな死んでしまった。(つづく)
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