先日 「布遊び展」の友達 栞さんから 懐かしいネルの生地を頂きました。
幅70センチ 長さ4メーター あります。 高校生の頃 呉服売り場 それもネルの売り場にいたことがあります。 沢山の ネルの反物に埋もれるようにして動き回っていました。
ダンボールを芯に巻かれた 反物を両手で 回して広げ 物差しで計って 売っていました。
まだ 化繊など無い時代で お正月前に 母は それぞれの子供の寝巻きとして ネルで着物を縫っていました。 大晦日には 枕元に 其の着物や 新しい下着を置いて寝ていました。
ネルの着物の上に ちゃんちゃんこや綿入れ半纏で 暖をとっていました。 真空管ラジオが浪花節を途切れ途切れに 放送し 隙間風の入る部屋は シンシンと冷え 遠くの列車の音まで 聞こえていました。
このネル ご近所の女のお付き合いで お世話になる人にも 御腰一枚分を熨斗をつけて 届けていました。 大げさではなく ほんの気持ちですから 相手もお返しの心配などせず 此方の気持ちを分かってもらう そんな暮の〆だったようです。
今は 見かけることもなくなった このネル さてさて 何にするか 私の宿題です。