内容紹介
昔ながらの「日本の組織」はもはや限界にきている。
強い同調圧力や過剰なコンプライアンスゆえに、組織に属している個人の人格や個性を抹殺し、ストレスを増しているのだ。
〈組織はバラバラなくらいがよい〉〈管理強化が不祥事を増やす〉〈厳選された人材は伸びない〉〈大学入試に抽選を取り入れよ〉〈PTAや町内会は自由参加でよい〉……。
従来の組織論・組織運営のまちがい・欠陥を徹底的に追及。
個人を尊重し、成果があがる仕組みに変革する画期的提言を示す。
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個人を幸福にしない日本の組織 (新潮新書) |
新潮社 |
◎[著者からのメッセージ]
周知のとおり第3次安倍内閣は、一億総活躍社会、地方創生を看板に掲げ、女性の登用や大学の国際競争力向上も声高に唱えています。
ところが現状を見ると、IT革命やグローバル化が勢いを増した1990年代半ば以降、企業の労働生産性や国際競争力、大学の国際ランキングなど、わが国の地位や存在感が急低下しています。また、地域格差は広がり、PTA・町内会離れも進んでいます。
原因の一つとしてあげられるのが、わが国に特有の「組織の論理」です。
個人より組織を優先し、組織主導でメンバーを選別し管理・処遇するシステムが、新しい時代の要請に適応できなくなり、さまざまな弊害をもたらしているのです。
本書は、企業・役所、PTA・町内会の組織から、大学入試制度、地方分権など規模も目的も異なる日本の組織を取りあげ、背後に巣くう「組織の論理」がどのような問題を引き起こしているかを浮き彫りにします。
そのうえで、大胆で斬新な改革策を提案しています。
(目次より)
第一章 組織はバラバラなくらいがよい
一 なぜ、「見せかけの勤勉」がはびこるのか
二 こんなチームワークはいらない
第二章 年功制が脳を「老化」させる
一 「35歳限界説」を捏造した真犯人
二 パラサイト・ミドルを救え!
第三章 管理強化が不祥事を増やす
一 過剰管理こそ不祥事の温床
二 管理と依存の悪循環を断つには
第四章 厳選された人材は伸びない
一 公募で逸材が採れないわけ
二 「選ばない」という見識
第五章 大学入試に抽選を取り入れよ
一 競争試験はなぜダメか
二 入学者選抜に抽選を取り入れる
三 大学は組織でなく、インフラに
第六章 地方分権でトクをするのはだれか?
一 地方創生の死角
二 トクをするのはだれか?
第七章 PTAや町内会は自由参加でよい
一 人々を遠ざける無用な壁
二 民主化の三原則
三 意欲に応じた参加のモデル
むすび 組織と社会の構造改革を!
著者について
1954(昭和29)年、兵庫県生まれ。同志社大学政策学部教授。
神戸大学大学院経営学研究科修了。経済学博士。専門は、個人を尊重する組織の研究。
『個人尊重の組織論』『承認欲求』『公務員革命』『がんばると迷惑な人』など、著作多数。講演やメディアでの登場も多い。