飲み干した後のグラスやジョッキの内側に出来る『エンジェルリング』、初めて知りました。
良い居酒屋の判断法 「焼きナス出す居酒屋は間違いない」
16:00 NEWSポストセブン
ライフスタイルが変われば飲み屋選びも変わるもの。しかし気に入った居酒屋を探すのはなかなか難しいものだ。呑兵衛の達人はどうやって良い店を探し当てているのか。
もちろん飲食店である以上、酒と料理のクオリティに注文はあるだろう。一般的に、全国各地の地酒や焼酎が数多く揃っている店は「気の利いた店」と思われがちだが、必ずしもそうとは言えないようだ。ある居酒屋のオーナーが打ち明ける。
「あまりに多くの種類を揃えると、物によっては空になるまで日数がかかってしまう。そうなると、最後は古くなった酒を出すことになりますから、店主が厳選した酒を揃えている店の方がいい。店に置いてある酒について、店主に質問するのも一手。こだわりが見えてきます」
食品安全教育研究所代表の河岸宏和氏はこんな見方をする。
「店の扱い方によって味が変わるのが生ビール。飲み干した後のグラスやジョッキの内側に『エンジェルリング』と呼ばれる泡の輪が二重三重についていれば、優良店とみてよいでしょう。ビールサーバーやジョッキ類が綺麗に洗浄され、温度や炭酸ガス濃度がしっかり管理されている証拠です。店主が酒だけでなく“食材を大切にする人”であることがわかります」
料理でまずチェックすべきはメニュー品目だ。
「印刷された定番のメニューとは別に、壁の黒板などにその日のお勧めメニュー、旬のメニューなどが書かれている店は、仕入れに力を入れている証拠です」(前出・河岸氏)
頻繁に通う店であれば、毎回同じお通しというのも味気ない。“常連を飽きさせないための配慮があるか”はお通しが変わるペースからも読み取れる。カギとなるのは“季節感”だ。
「たとえば、揚げ物に使う野菜のネタ。春ならばアスパラガスやタケノコ、夏はインゲンやカボチャ、秋はギンナンやサツマイモ、冬ならゴボウやユリネというように、揚げ物にさりげなく旬のものを取り入れている店は、客を楽しませようという心意気が感じられます」(前出・居酒屋オーナー)
一方、数多くの“居酒屋本”を出版している作家・太田和彦氏は、「焼き茄子のように、値段は高くできないが、意外に手間のかかる料理を出している居酒屋は、間違いなくいい店です」と太鼓判を押す。
薬味からも店の姿勢が見える。『おじさん酒場』の著者で、自らも飲食店を経営する山田真由美氏がこう話す。
「高価な本わさびを大衆居酒屋で求めるのはさすがに酷ですが、ニンニクやショウガは安いので、良心的な店は生のものを使っています。そうした細やかさや手間をかける姿勢が、店の雰囲気にも表われてくると思います」
これから10年間通いたくなる店、いや死ぬまで通える「ご近所居酒屋」はきっとあなたの住む街にもあるはず。第2の人生を満喫しようではないか。
※週刊ポスト2017年12月1日号