今年もクリスマスまで2カ月余りとなりました。サンタクロースにとっては,世界中の子どもたちへの贈り物の準備で,すでに大忙しといったところでしょうか。
今から104年前の,1897年9月のことでした。8歳のアメリカ人の少女バージニアは,友だちとサンタクロースについて話していて,とても悲しくなってしまいました。その友だちは,「バージニアって子どもだなあ。まだサンタクロースを信じているの?」と言って,からかったのです。家に帰ってバージニアは,お父さんにサンタクロースがいるのかどうか聞いてみました。お父さんは,しばらく考えてから,新聞社だったらどんな質問にも答えてくれるだろうから手紙を書いてみるといい と言いました。そこで,バージニアは家で読んでいるサン新聞社宛てに次のような手紙を書きました。
サン新聞社さま…… 私は8歳です。私の友だちに「サンタクロースなんているもんか」ってい
っている子がいます。パパは,「サン新聞に聞いてごらん。サン新聞のいうことが正しいだろう
よ」 と,いっています。どうか,ほんとうのことを教えてください。サンタクロースって,いるん
でしょうか。 バージニア・オハンロン より
この質問に対して,サン新聞は9月21日付の新聞で記事を組み,その答えを掲載します。この記事については日本語訳の本も出版されていますので,もうすでにご存知の方もたくさんいらっしゃるのではないかと思います。
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この記事の中で,「そう,バージニア,サンタクロースはいるのです。」と語られます。
…目に見えるものしか信じようとしない人は,サンタクロースがいることを疑ってしまいます。
…サンタクロースがいなかったら,すなおに信じる心も,詩も,夢のような物語もなく,人生はちっともたのしくないでしょう。わたしたちが,喜びを感じるのも,見たりさわったり聞いたりできるものだけになってしまいます。そして,子どもたちが世界中にともした永遠の光も,消えてしまうことでしょう。
…サンタクロースを見た人は,だれもいません。でも,だからといって,サンタクロースがいない,といえるでしょうか。この世の中でいちばんたしかでほんとうのもの,それはおとなの目にも,子どもの目にも見えないのです。
…目に見えない世界は,一枚のカーテンでおおわれていて,どんな力持ちでも,そのカーテンを引きさくことはできません。そのカーテンを開けることができるのは,信じる心,詩,愛,夢見る気持ちだけなのです。そういう心さえあれば,カーテンの向こうにひろがる,美しく,きらきらした輝かしい世界をみることができるのです。
…今から1千年たっても,いえその百倍の月日が流れても,サンタクロースは子どもたちの心の喜びとして,ずっとずっと生きつづけることでしょう。
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『星の王子様』にも,「 かんじんなものは目では見えない,心でさがさないと… 」という一節があります。
見えないものを見ようとすることで,世界は大きく広がって来るのではないでしょうか。その広がりの中に,サンタクロースの姿が見え,子どもたちが幸せな時が世界が幸せな時と考えるサンタのハートまで見えてくるような気がします。
サンタクロースのことを考えるだけで,楽しく幸せな気持ちになります。
なぜサンタの服は,赤いのか。青空色の服も似合うのでは……。なぜサンタは,おじいさんなのか。おばあさんサンタや子どもサンタがいてもいい……。世界を回るのには,トナカイのソリよりはロケットに乗った方がずっと速いのでは……。いやいや,どこでもドアの方が便利なのでは…? 新たなサンタ物語がつくれそうな気がしてきました。