あぽいち

温泉とヨガ、たまに心臓外科医

肺塞栓

2006-04-12 01:39:34 | 緊急
今日は、午後から盛岡の学会へ予定であったが、先々週緊急でCABGやった88歳のおばあちゃんが肺梗塞になり、緊急オペとなり、発表も何も無い私はトーゼン居残り手術となった。今週は学会のためオペ室の看護婦さんも休みを取っており、下っ端の私は今日も機械出しナースの真似事をすることとなった。うちのやり方はSVCとRAの二本脱血で超低体温循環停止下に左右のPAをあけて内視鏡でのぞきながら血栓除去をしていく、PAを閉じたら最後にIVCの脱血管を一時的に抜いて、その穴から内視鏡を突っ込んでRA内の血栓の有無を確認して、あればRAあけて取るが、無ければまた脱血管突っ込んで温度戻して心肺を離脱して手術を終える。冷却と復温が時間かかるが、あとはそんなに複雑なことをやるわけではなく5~6時間で手術は終了し、帰りにカテ室でアンブレラを入れてもらった。ポイントとしては、内視鏡でPA内を確認すること、PAの内膜を傷つけないこと、これを傷つけるとすぐ破けたり血が止まらなくなったりするらしい、fogartyとか突っ込んでやるのは破ける危険があるのでダメだとボスはいう。
しかし、肺梗塞というのは疑ってかからなければ診断付かないもので、このかたも
今日飛んだわけではないと思う、数日前から呼吸状態悪化しており、最初はLOSかと思いカテをしたらIMA-LADがつまっており、このためかと思いPCIを考えていたが、内科のM先生からPAが高い割にはレントゲン上うっ血は無く、おかしいと言われ、タンポを疑いCTを取ったが、タンポなく、肺梗塞も否定できず造影CTしたところ、ドカーンとつまっていた。今思うと離床したころから状態が悪くなっており、しかもIABPが入っており術後に抜いてソケイ部を圧迫していたときに静脈血栓できたのだろうと考えられる。
レントゲンと血ガスのギャップには注意しなくてはいけないと思った。
反省である。
明日は、朝一でボスと盛岡に行くこととなった。
これからかえって準備しなくてはいけません、でも、ねみーよー。
楽しんできまーす。