東京都のコロナ用の入院病床数が不足する中で、多くの無症状の陽性者は、自宅での2週間隔離を義務付けられています。自宅隔離の方々は、担当の保健所の方から、時々連絡があって、症状に変化がないかどうか確認されるのですが、6名に1人の割合で、そのうち連絡が取れなくなるという実態があるそうです。
無症状とは言え陽性者ですから、出歩いてしまえば、世の中にコロナを撒き散らす無責任な行動を取っているということ。このことはけして許される行動ではありません。しかし、こうした背景には、非正規雇用者の追い込まれた事情があることも忘れてはなりません。
正規雇用者であれば、2週間の自宅隔離でも、賃金や賞与が減少する事態にはなりませんが、非正規雇用の方は、コロナ陽性というだけで、仕事を失ったり、生活資金が失われたり、という事態に追い込まれていくケースが多発している様子。
生活資金が尽きてしまった時、自宅隔離期間をただ水を飲んで凌いでいくのか、無症状であるなら、1000円でも2000円でも稼ぎに行きたくならないか。そうした緊迫した事情に追い込まれる人が増加しているということ。
コロナ感染者数の急増が、医療現場を崩壊へ向かわせていると同時に、多くの方々、特に非正規雇用の方々の生活を、かなりのスピードでギリギリまで追い込んでいます。このことは世の中の治安を悪化させるだけではなく、無理な働き方が増えて、かえって感染スピードを増す原因にもなっているようです。
昨年の第一波、第二波を乗り超えた時、日本人の道徳心の高さが世界からも賞賛されましたが、今、その高潔な国民性すら危なくなるほど、追い込まれてきたということ。これこそ大変深刻な状況だと感じざるを得ません。