『ナヴァロンの要塞』は、英国作家アリステア・マクリ―ンが描いた戦争冒険小説を映画化したもの。ちなみに、ワタクシが初めて映画館で観た洋画であり、何度観ても、当時の新鮮さが蘇る快作であります。
【ストーリー】
第二次大戦中、イギリスの将兵2000名がエーゲ海のケロス島に取り残される。それを海路救出するには、その南にあるナヴァロン島に配備されたドイツ軍の2門の巨砲の射程内を潜り抜けていかなければならない。2門の巨砲は、ナヴァロン島の絶壁の岩肌をくり抜いて作られた穴に設置されているため、爆撃による攻撃が通用せず、また穴の位置が高すぎて、艦艇からの艦砲射撃では届かない。難攻不落の要塞であった。
これを内側から崩壊させるべく、6人による特殊部隊が編成された。まずは、アンソニー・クエイル演じる、作戦の立案者かつリーダーのフランクリン少佐。そして、登山家としてフランクリン少佐の盟友であり、映画の主人公であるグレゴリー・ペック演じるマロリー大尉。アンソニー・クイン演じる、ギリシャ軍将校でレジスタンス闘士のスタブロス大佐。そして、デヴィッド・二ーヴン演じる、化学教授にして爆薬作りの天才ミラー伍長。あとは機械の専門家と殺しのプロが1人ずつという編成。
ナヴァロン島への上陸には、まずは荒れ狂う海を越えてから、高い断崖絶壁を登り切るという最大の難関が待ち受ける。ここで隊長のフランクリンが大怪我を負ったため、主人公のマロリーが替わりに指揮を執ることになる。
しかし、もともと、職業軍人でもないマロリーが指揮を執ることにメンバーからも不安が募る。特に、爆薬作りの天才ミラーは、元来がインテリ=大学教授であり、また個人的な主義により昇進を拒否し続けたため伍長に過ぎないだけで、マロリーを正式なリーダーとして認めない言動を繰り返す。
部隊は、いざこざを繰り返しながら、また怪我人を抱えながら、島にいる連合国協力者の支援も得て、徐々にナヴァロン島内の要塞基地へ近づいていく。しかし、あと一歩のところで、仲間の裏切りに遭って、ドイツ軍に捕まってしまうが‥。
ナヴァロン島に上陸してからは、一瞬たりとも気が抜けないシーンが続きます。戦争映画ではありますが、戦闘シーンは少なく、その多くが緊張感溢れる逃走シーンだったり、侵入シーンだったり、また基地内に爆薬を仕掛けるシーンだったりで、冒険映画という方が相応しいと思います。
この映画の魅力は、まずは主役のグレゴリー・ペックが格好良い。常に冷静でかつ、ニコリともしない。映画の緊張感を、表情だけで演じている名優であります。
そして、常に主役と対立するミラー伍長を演じるデヴィッド・二ーヴンも素晴らしい。ラストのカタルシスは、全てデヴィッド・二ーヴン演じるミラー伍長に因るところ大ですので、重要な役回りです。そして、2人の関係が氷解するラストシーン、マロリーとミラーによる煙草のやりとりシーンは素敵な場面であります。
もちろん、アンソニー・クインが出ているので、ギリシャ軍大佐のスタブロスの存在感も大きい。アンソニー・クインがいるだけで、超大作と呼ばれる映画は、脇が引き締まります。これは、アラビアのロレンスと同じです。
なお、隠れた主役が、ナヴァロン島にある2門の巨砲であります。この巨砲2門が砲門を開いて、イギリス海軍の艦隊に向かって、順番に砲撃を繰り返すシーンは圧巻であります。「息を呑む瞬間」とは、まさにこの時のことを指します。
(ちなみに、この2門の巨砲には、それぞれ『名前』が付けられています。映画の中で、それぞれの名前が確認できますので、そちらも注意してご覧下さい)
ぜひ、大きな画面と音響効果設備が整った会場でご覧下さい。まさに、息を呑むと思いますよ!!