駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

じわり効く教授の話

2009年06月27日 | 診療
 教授の話は親の話に似て、後から効いてくる。生意気な学生だった私(我々?)は、名誉教授の特別講義と最初の内は禿頭を見つめながら身を入れて聞いていたが、古色蒼然の昔話になんだこれは、あんまり科学的じゃないなあと眠くなったものだ。
 患者の顔をよく見なさい、話をよく聞きなさい。ぐっと睨めば当たりが付いて、話を聞けば8割方診断は付くものだ。本当かなあと言うのが正直の感想で、昔はそうかも知れんが今はなどと、生意気に見当違いの考えが頭をよぎったものだ。
 それが今は、回ってくる研修医に同じ事を言って、彼らの顔に浮かぶ表情に昔の自分を思い出している。ただ、今の研修医の方が素直で目を輝かせて感心してくれる若者も居る。果たしてその方がよいのかどうかわからない。素直であることは良いことだが、若者に生意気さは付き物だと思う。町医者はしょうもないことを言うと思われても腹は立たない。
 先輩が若気の至りをそうやって見逃して呉れたと、今頃気付いて感謝しているからだ。
 しかしこの顔をよく見て話をよく聞くというのは、病気の診断だけでなく、その人の診断にも役に立つと思う。
 品性と能力、本当は政治家にこれが求められるはずだったのだが。浜の番長や宮崎のセールスマンの顔をじっと見て、話を吟味すると品性!と能力?に疑問符がつきそうだ。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする