駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

青春の旅立ち

2011年03月19日 | 小験

 新しい研修医制度が始まって七年経った。今年も当地の総合病院で研修した研修医が巣立っていった。地域医療の研修を手伝わせて頂いたので、謝恩パーティに招かれ出席した。

 卒後最初の職業人としての二年間の意義は大きい。恐らくどの仕事でも最初の二年間はその後何十年の専門職としての経歴の中で特別な意味を持っていると思う。上手く離陸でき、順調堅実な職業人として成長していけるかの鍵を握っている。

 皆、異口同音に内容の濃い楽しい二年間だったと指導医看護師職員に感謝の気持ちを披露した。よく学びよく遊んだ二年間だったようだ。研修の間に恋が芽生え結婚するカップルもいるらしい。青春の締めくくり、彼等の輝く若さの熱気に咽せながら、羨ましく懐かしく自分の若い頃を思い出した。

 アメリカのマッチングシステムによる研修制度を真似て導入されたこの研修医システム、当初かなりの混乱が起き随分非難されたが、小さい手直しで持ちこたえてきた。医師のような一人前になるのに時間が掛かる職種では、システム変更の価値は十年経ってから再評価すべきだろう。後三年、一期生が指導医に成り始める頃には、良いシステムだったと評価されると思う。卒業大学とは別な同窓を持つことが出来る意義は大きい。若い身空で見知らぬ土地での幾多の成功挫折の経験は、卒業した大学での訓練とは一味も二味も違うだろう。研修病院の人気不人気や寄らば大樹の傾向は、大人の社会の反映で簡単には責められない。長い目で見れば是正されてゆくと思う。

 彼等の前途に期待し、心から巣立ちを祝福したい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする