不思議な夢を見た。切通しのある屋敷町に紛れ込んで、バス停を探していると、向こうから痩せた白髪のお爺さんが歩いてきた。爺さんの横に大きな猫のような黄色い斑の動物が歩いている。なんだか丸い座布団のようで、奇妙な猫だなあと思っていると
突然ぱっと走り出し、道沿いの屋敷の塀に駆け上った。猫のような身のこなしなのだが太った猫をひしゃげたような形で、前後に頭と尾が付いている。なんだこれはと、見慣れぬ生き物に気味が悪いので立ち止まって凝視していると、近づいてきた爺さんはそれに気付いて、にこにこしながら「ああ、あれは、**ですよ」。と図鑑か何かで見たことのある動物の名前を言った。「ああ**ですか、初めて見ました」。と返事をしていると、それはさっと駆け寄って爺さんを駆け上り肩の所に張り付いた。頭はちょっと小振りだが猫に似て丸い目で私を訝しげに見詰めた。獰猛な感じはせず怖くはなかったが、どうも手を出して触る程の親しみは湧かない。
おずおずと「珍しいものを見ました」。と軽く会釈をして別れた。五六歩過ぎてから振り返ると道には誰も居らず、切り通しの向こうに青い空が見えるばかりだった。
で目が覚めたのだが、何だ**ですかという**が思い出せないのだ。確かに夢の中ではああそれなら何かで見たことがある、聞いたことのある名前だったのだが思い出せない。一体あれは何だったんだろう。