駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

人を見て診療する

2016年03月14日 | 診療

            

 高血圧や高血糖には余程重症でなければ自覚症状がない。たまたま咽喉頭炎やインフルエンザで受診した患者さんで血圧が高かったり尿糖が陽性だったりすることがある。そうした時には、相手の反応を見ながらどうしたらよいかをお話ししている。

 先ず血圧が高いあるいは尿に糖が出ていることをお話しし、今までそれを指摘されたことがあったかどうかを確かめる。既に他院で治療中の人が三分の一くらいおられる。その場合は、今日は血圧が高いですねとか今日は尿糖が陽性でしたと申し上げるに留めて、それ以上のことは言わない。中には不十分な治療の例も含まれているかも知れないが、それは一回の診察では判断できないので論評は差し出がましいと考えるからだ。

 現在治療していなくて過去に指摘されたことのある人は高血圧で70%くらい尿糖で50%くらい居る。こうした患者さんは、その時に軽い説明を受けたか、軽く受け止めたかのいずれかだ。その辺りは更になぜ放置していたかを聞いて判断してゆく。大人は脚色したり本当のことを言わないことがあるので、そのままは受け取れないが、放置しておいてはいけないので折を見て医療機関を受診するようにお伝えする。

 四人に一人くらいは初めて指摘されたと言われる。そうした例の半数くらいは健康診断を受けていない。こうした方には風邪が治ったら医療機関を受診するようにお勧めしている。

 当院で診て欲しいという方には家庭血圧測定や血糖検査を指示するようにしている。ちょっと狡いかも知れないが、重症でない限り直ぐに私のところで調べましょうと積極的には勧めない。高血圧症や糖尿病は本人に検査し治療しようという自覚が無いとうまくゆかないからだ。自覚症状がない場合の動機付けは一筋縄では上手くゆかない。取り敢えず最初の一押しあるいは追加の一押しをさせて戴いている。

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