駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

魔の時間帯

2016年03月11日 | 診療

             

 飛行機の事故は離陸15分と着陸15分に多いと聞いている。これは診療にも言える。

 離陸に当たる始業時のトラブルは、診察直前に検査や処置をしている時に起こりやすい。検査や処置に慣れていない患者が思いがけぬ動きをして手間取ったり、約束の時間に遅れて患者が来た時に早くやろうとして焦るために、ミスが起こりやすい。幸い大事故はないがヒヤリハットは年に二三回ある。

 着陸に当たる終業時には、定刻通りに終わりたい焦りと病院側に受け入れ体制が出来ていないことから何とかその場を凌ごうとする姿勢からミスが起きやすい。

 冷静沈着で居られない自分を棚に上げるわけではないがミスは医療者側の焦りと患者側の勝手や思い込みとの重なりから起きる。常識のはずなのだが、きちんと医師や看護師の指示に従うこと、約束の時間には遅れないこと、調子悪い時は終業間際に駆け込まず早めに受診することを患者さんには繰り返しお願いしたい。

 これをトラブルとは言わないかも知れないが、時間外に急病患者を頼む時にしばしば嫌な思いをする。もしもし、OO医院の**ですがと言っているのに救急担当の医師は名乗らない。いかにもまたかという声色で、うちに掛かったことのある患者ですかなどと遠い電話で聞いてくる。どうしてもっと大きな声ではっきり話をしてくれないのだろう。患者の名前年齢病態を説明する。数秒を置いて送ってくださいと返事が返ってくる。ありがとうございますとお礼を言う。確かに救急患者を受け取る方は大変だとは思うが、ちゃんと名を名乗り分かりました先生どうぞ送ってくださいと返事をしてくれる当直医も居るのだ。

 この程度のことは屁とも思わないもっと太く鈍感な神経が欲しいと思うこともある。まあしかし、それでは良い内科医であることは難しいかもしれない。

コメント
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