なでしこが中国に一対二で負けた。実力は全くの五分、焦りと迷いが勝負を分けた。野村監督が負けに不思議の負けなしと言っているが、その通りでまたも焦りと迷いから生ずる決定力不足で苦杯を飲まされた。
明らかに相手が強くなっている。FIFAランキングでは上でも、上がり坂のティームと下り坂のティームの差はうんと縮まっているものだ。何百回も指摘されている決定力不足だが、それは一瞬のようで一瞬ではない。勿論、個の逡巡に大きな原因はあるのだが、それまでの流れ経緯に一番の問題があるのだ。一言で言えば読み負けているので、決定できない決定的な場面にしか遭遇できないのだ。しばしば素晴らしいアシストと極めて日本的に支え補助の重要性に重きを置いた発言があるが、それは皮相の見解で縁の下の力持ちであるアシストのアシストまで思いを巡らせなければいけない。ここはどうすると次の次まで瞬時に読んでいなければ、戦いを制することは出来ない。
いみじくも見違えるほど美しくなった沢が指摘したように宮間が何でも背負い込み過ぎている。背負い込み過ぎると言うよりは勝敗の責任を宮間一人で背負うことは出来ないということを思い知らなければ、いつも申し訳ないという涙で終わってしまう、それでは次の一歩を踏み出すことは出来ない。
中国のゴールキーパーは素晴らしかった。手足が長くて俊敏で、中国人なのと聞きたくなるが、中国は広く多様な人種が入り交じる国なのだ。人材には事欠かない。