六十歳で車の運転業務をしている174cm72キロの男が、一日1400カロリーしか食べていないなんて信じられない。そんなはずはないと言えばいいやこの通り、何度も言えば不信が増すだけなので、そこそこで引き上げるが本当とは思えない。
初めて診断した生活習慣病の人の食生活を調査するようにしている。正確に書いてくれれば、有力な治療戦略の武器になるのだが、三分の一くらいは本当かなあと疑いたくなる結果が出てくる。どうも、大人は信用できない。
その一、意図的に誤魔化す。
その二、意図していないがきちんと思い出せず適当に書いてしまう。
その三、誤魔化している自覚はないが思い込んでいるように書いてしまう。
その四,理解力や表現力が不足している。
くだんの男性患者が言うことには、10年前離婚してから朝はおにぎり一個、昼は会社の弁当、夜はビールとラーメンだそうだ。恐らくビールを申告の倍飲んでいるだろうし何か他につまみを食べていると推定する。半年一年通って貰い気心が知れてくれば、もう少し踏み込んで聞けるかも知れないが、最初に疑っていると思われて良いことはない。
こうして数知れない大人を診察しているせいか、患者の話を鵜呑みにしない能力?が付いた。別にこれは、診療だけでなく、大人を相手にする場面では必要な能力だろう。鵜呑みにしないのは大切で欠かせない手続きなのだが、正確に推し量るのが難しいことも多い。正直な返答を邪推しては信頼関係が築けないし、馬鹿正直に受け取っては、誤魔化されることもあろう。
私は経験からある幅を持って受け取り、万が一を心の隅に置くようにしている。いつも大阪を引き合いに出して悪いが、大阪東南では経験値の修正を迫られるだろう。