駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

思わず口から出たK氏の言葉

2016年07月27日 | 診療

                  

 K氏は七十二歳、一昨年リタイアされ悠々自適の生活をされている。「お変わりないですか」に、「あんまり暇も良くないね」と苦笑いで答えられる。前回の血液検査の結果を説明する。尿酸が7.6mgとやや高い。カルテのメモ欄にアルコールを嗜むという記載があったので、

 「ビールも飲まれますか」。

 「いや、大した量じゃないよ」。

 「ああ、そうでしたか。缶ビール一本位ならいいんですが」。

 「酒は弱いんだよ、女には強いんだがね」。

 「えー、おーそうでしたか」と思わず大きな声を出してしまった。

 「いや、強かった」。と横を向かれる。ここで看護師が半畳を入れると面白いのだが、Aさんは有能なのだが口が重いせいかこの話には乗ってこず、「それでは、お大事に」とお終いになってしまった。

 K氏は小さな会社の社長で、若い時にはそちらの方で活躍の場もあったのだろうと思う。いや、ついこないだまでかも知れない。

 広く浅く診る医者として、初診では必ず酒煙草をどの程度やるか確かめるのだが、ギャンブルや異性関係までは聞かない。全く病気に無関係ではないだろうが、そうした習慣がないので内科では聞きにくい。

 勿論、中には聞いていないの告白したり、時には元気を出したい相談もあるのだが、あっさり出来る範囲で対応している。

コメント (2)
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