勿論、錯覚ではあるが有名な画家の作品を見ていてこれなら俺にも描けると思うことがある。マチスにもちょっとそういうところがあって、この絵など自分にも描けそうな気がした。
芸術の評価には評論家と定評の他に大衆性があり、絵の場合には画商も噛んでくる。芸術に限らず物事の評価は好みと表裏一体で微妙なところがある。まあしかし、十年の年月に堪えられれば一定の価値ある作品と言え、百年の年月に堪えられれば間違いなく本物ということになろう。
絵画鑑賞が好きなのには父の影響も大きいが、絵を描き始めたのには、仕事のストレス解消という現実的な理由の他に、ちょっと気恥ずかしいというか笑われそうだが辻まことと洲之内徹に触発されたところもある。