駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

できるだけのこと、誰のために

2022年01月20日 | 診療
         

 二年前から寝たきりの九十五歳のお婆さん、腎機能も低下し貧血も進行している。認知も高度で娘も付き添い世話してくれる人と思っている。先日、誤嚥性肺炎を起こした。もうこれ以上は無理ですこのままでとお話ししたところ、危篤と聞いて駆け付けた息子と孫たちができるだけのことをしてくれと言い出した。それでは入院しかありませんと申し上げると、折角家で看取ろうと世話をしてきた娘さんと喧嘩が始まった。
 毎日食事に下の世話で、めっきり老けて白髪になられたお嬢さんを知っている身としては、出来るだけのことをしてくれって誰のためにと思ってしまった。
 末期がんや超高齢者を毎日世話していた家族と静かに看取ろうとしていると駆けつけた身内が、点滴をしろ入院だなどと騒ぎだすことは何度も経験した。

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2 コメント

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めっきり老けたお嬢さん (徒然)
2022-01-20 10:35:58
しんみり読ませてもらいました
先生のおっしゃるだけに説得力があります
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Unknown (arz2bee)
2022-01-20 14:58:11
 数多くの患者さんを看取ってきた看護師や私のような内科医は、多分私と似たような気持になると思います。人間は必ず死にます。医学的に十分な治療を受け手厚く看護を受けた患者さんの最後は自然に静かに見守るのが良いと思います。点滴や心臓マッサージなど意味はありません。経過を知らない人には分からないかもしれませんが。
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