東京都内の図書館でアンネの日記が何百冊と破られていたと報道されている。どうも図書館内での犯行のようで、人員を動員しきちんと捜査をすれば犯人が特定できそうに思う。警視庁がどの程度重要視しているかわからないが、極めて悪質で重点捜査に値する犯罪だと思う。アメリカのユダヤ系団体から憎悪に基づく攻撃的な犯行という声明が出ているようだが、少し違うような気もする。
私が犯人を捕らえる必要性を強調するのは、なぜそういうことをしたのかを明らかにして欲しいからだ。犯人にも上手く説明できないかもしれないが、こうした犯罪の背景に心理学者や精神医学者はもっと精力的に迫って欲しい。精神科医は同業者であるが、敢えて努力不足とまで申し上げたい。高血圧や糖尿病などの病態解析治療の進歩に比べると、犯罪者の精神病理の解明は遅れているのではないか。社会に渦巻く憎悪など、精神科の領域ではないと言われそうだが、逃げず?に踏み込んで頂きたい。
どうしてアンネの日記を破くのか、卑劣と非難するのは簡単だが、動機と背景を分析すれば社会に渦巻く多様な憎悪や歪みを緩和する手がかりが得られるかもしれない。町医者の分際で出過ぎたことをと言われる方も居られるだろうが、私は無関係という心境にはなれない。明日に何某かの責任を感じてしまう。