つい先日、時々行く寿司屋でお客は我々夫婦二人だった。よく話をする親父で、最初にイカを頼んだら、今日はイカはありません。手で大きさを示しながらこんなんが二千円ですよ、とても買えません。三十年前、よく蛸を食べたけどいつも蛸はないねえ。蛸なんて高嶺の花で、この頃魚の値段がめちゃ上がりですよと嘆く。そうか、いつも安いけど今日は高いのかなと内心不安になる。
WBC見ました?と聞くから大谷がトラウトを三振で討ち取るところ見てたよと返事をした。大谷凄いっすよねえ、家の娘が大谷と結婚したいと言ってるんですよ。おやおやという我々の反応を無視して、そうなったら鮨屋止めますからと言う。無理だねいう我々の顔を見て、いや実際に結婚したら大変でしょうけどねとあり得ない?話に落ちを付けていた。
勘定はいつもより二割増しだったが、それでも回転寿司の倍までは行かなかった。お好みでの値段にすれば納得の行く額だった。