駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

サッチャー、四半世紀後の記録

2013年02月18日 | 小考

              

 マーガレット・サッチャー元英国首相のドキュメンタリーを見た。引退後四半世紀、存命中であるがメディアへの露出はなくなり、まだ直接彼女に接したジャーナリストが健在で、記録の好機を捉えている。

 私自身も彼女の現役時代を記憶する者として、個人的な感想を抱きながら見た。当たり前かもしれないが、メリルストリープの演技を圧倒一蹴している。鉄の女と呼ばれるに相応しい人であったようだ。直に接した記憶を辿りながら論評する英国ジャーナリストの優れた力量と公平な視点も感じた。

 振り返れば権力の常であるが、十一年半はやや長過ぎたのだろう。夫の助言もあってか潔い引き際であったが有終の美ではなかった。

 上流階級の出身ではないせいか余裕とユーモアのセンスに乏しかったが、私には紛れもなくイギリス文化の産んだ人物という印象が強い。

 人物の評価は歴史的に為されると言われるが、儂はどうなっているというリチャード三世のうめき声も聞こえる。ドキュメンタリーは小説を凌駕できるだろうか。ストーリー性を好む受け手の心に届く記録をと思ったことだ。

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宇宙船地球号

2013年02月17日 | 小考

            

 混乱の世界を揺るがす大隕石、ロシア中部に落下。広島に落とされた原爆の何十倍ものエネルギーが拡散されたようだが、死者がいなかったせいか親しみを感じない?国のせいか、さほどの大ニュースとなっていない。

 しかしまあ、宇宙船地球号に乗っていることを改めて感じさせられた。冗談ではなくいつか、今回の隕石の何十倍何百倍という小惑星が衝突してくるだろう。その時まで人類が生き延びているか、その時には衝突を防ぐ技術を持っているかわからないが、自分がたまたま今という悠久の一瞬を生きているのを思い出した。

 絶望したことがない奴が何を言うかと忖度されて、聞く耳を持たれないかも知れないが、暗黒の宇宙空間に浮かぶ青い地球を思い浮かべれば、思いとどまれることもあるかもしれない。 

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口ごもる時

2013年02月16日 | 診療

          

 今朝は吐く息が白かった。それでも、中腹まで雲が掛かる周りの山はどこか春めいて見えた。

 患者さんはいろいろな言い訳?を考えつく。Kさんは六十代の糖尿病の女性だ。この数ヶ月、血糖値が上がり勾配なので、「食べ過ぎていませんか、運動していますか」。とチェックを入れる。

 「食事は注意してますよ。毎日、一時間歩いてます」。と心外そうな答え、「原因はわかっているんです。ストレスなんです」。

 「何か心配事があるんですか」。

 「いや、旦那と居るのがストレスなんですよ」。

 「えー、そうですか」。

 「先生は、男だから分からないんですよ」。

 「そうかなあ、夫婦なんて、お互い様でしょう」。

 「先生はそうなんですか」。と看護婦までこちらを向いて、二人で尋問が始まる。

 「そーりゃ、あーりゃ」。と、慌てて口をつぐむ。

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疲れた夜に懐かしい歌を

2013年02月15日 | 身辺記

       

 又忙しくなった。インフルエンザもかなり出てきた(殆どがA型)。毎日九十人近い患者さんを診ると、帰宅してどっと疲れが出るようになった(二、三年前までは平気)。

 夕食後、録画したNHKの碁や将棋も、見ている内に寝てしまい、あれー井山が負けたのかと驚いている。最終画面を見ると勝った井山が首を傾げて、負けた羽根が泰然と前を見詰めておりあたかも勝ったように見えてしまった。

 やれやれと書斎に戻り、ユーチューブで懐かしい歌(歌姫)を聞く。このところ倍賞千恵子、森昌子、鮫島有美子・・を惚けたように、否惚けて聞いている。なんと心に滲みる歌声か。

 森昌子カムバックしたんだ。もう何年も経つようだが、歌は聴いていなかった。相変わらずうまいなあ。うまさに味が出てきた。何があったか詳しくは知らないが、おじさんは了解している。勿論、残念だがとやかくは言わんぞ。懐かしい名曲を歌って聴かせてくれれば良いのだ。

 青葉城恋歌・・・脳髄から五臓六腑に浸み渡る。

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如何にして共存

2013年02月14日 | 小考

             

 気*いに刃物(核兵器)と思うのだが、それを放棄させるのは容易ではない。盗人にも三分の理というくらいだから、たとえ1-2%にしても、彼らに彼らなりのは言い分(我々から見れば妄想としか思えない)、がある。結局、いつもそれは自分が正しいという構造になっている。そしてそれを互恵共感による共存ではなく、恐怖という脅しで支えているわけだ。

 現実離れした異常な人々の仕業に見えて、極く小さいけれど似たような種は身の回りにもある。まともな人が多いはず??の医師にも、同業者の近隣での開業を何とか阻止しようと暗躍する人がいる。今では独禁法に触れるので公には阻止できないのだが、悪口雑言排除の手法を医師会仲間に振り撒く人も居る。多少収入が減っても武士は相身互い、別に仲良くやればいいじゃんと私は思うのだが、目が三角になった人には通じない。

 どうもこの病気?は珍しいものではなく、人類に付いて回る難病のようだ。であれば、短兵急でない粘り強い治療を続けるしかあるまい。外務省と政治家に中長期的な視点と持続性が求められる所以だ。

 

 

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