外苑茶房

神宮外苑エリアの空気を共有し、早稲田スポーツを勝手に応援するブログです。

蘇州夜曲

2009-02-23 17:40:19 | 音楽
本日から日常業務に復帰しました。


連日の厳しい日程をフラフラになりながら消化してきたにも拘らず、周囲からは朝から『上海の夜は、どのあたりのお店に繰り出したんですか?』『どのくらい飲み代に使ったんですか?』などという質問ばかり。

『一人ぐらい、バーゼルⅡに対応する銀行の自己資本充実策に関する質問でもしてくれないかなあ』と思っていても、そのような同僚は皆無でした。

これは、全くもって私の不徳の致すところであります。
(T_T)



さて、今回の上海へのフライトで、機内のディスプレーに表示される地図の中に『蘇州』という地名を見つけました。

蘇州と聞けば、一定の年齢以上の日本人の多くは、戦前の流行歌『蘇州夜曲』を連想するのではないでしょうか。



蘇州夜曲は昭和15年(1940年)発表の歌で、作詞は西条八十さん(1892年東京牛込生まれ。旧制早稲田中学(現・早稲田高校)-早稲田大学文学部卒業。1970年没)。

あの学生歌『早稲田の栄光』(昭和22年発表)の歌詞を補作された方です。


西条さんは有名な詩人ボードレイルの研究者であり、フランス留学後に早稲田の文学部で永らく教授をされていました。

そして、学究の傍ら、「東京行進曲」「青い山脈」などの歌謡曲、あるいは「かなりあ」「肩たたき」などの童謡を作詞。当時は『大学教授が、流行歌の作詞などしていて良いものか』と物議を醸したりもしたそうです。


今とは比較にならない制約があったであろう戦前に海外留学を果たし、欧米の詩人を本格的に研究していた西条八十さん。そんな教養の裏付けを持って書かれた歌だからこそ、一時の流行で消え去ることなく、現代もなお輝きを失わないのだろうと私は思うのです。

そして何よりも、肩書や常識にとらわれない自由な姿勢が、とても早稲田人らしいではありませんか。


さて、蘇州に話題を戻します。

地理的には、上海から南京に向かう途中にある町でして、運河による水運が生活に溶け込んでいることから、旧市街地及び周辺の水郷地帯を含め、昔から「東洋のヴェニス」と呼ばれています。


そんな「水の都」蘇州の雰囲気を、ロマンティックに歌い上げる蘇州夜曲。

作詞されてから約70年が経ちますが、その端正な描写の甘く美しいことといったら・・・

時の流れを超越して心に響く西条八十さんの世界を、声を出して読んで実感してみませんか。


蘇州夜曲(作詞:西条八十、作曲:服部良一)

一、

君がみ胸に 抱かれて聞くは

夢の船歌 恋の唄

水の蘇州の 花散る春を

惜しむか柳が すすり泣く


二、

花を浮かべて 流れる水の

明日の行方(ゆくえ)は 知らねども

水に映した 二人の姿

消えてくれるな いつまでも


三、

髪にかざろか 接吻(くちづけ)しよか

君が手折(たお)りし 桃の花

涙ぐむよな おぼろの月に

鐘が鳴ります 寒山寺(かんざんじ)
Comments (2)
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