外苑茶房

神宮外苑エリアの空気を共有し、早稲田スポーツを勝手に応援するブログです。

アルバイトの話題

2010-03-31 18:08:57 | 社会全般
ある人材サービス会社がアルバイト情報誌やインターネットへの求人広告を集計したところによれば、アルバイトの時給が前年同月比+2.1%の989円となり、三ヶ月連続で前年同月比プラスとなっているそうです。

従来から、アルバイトの時給は景気の先行指標として常にモニタリングされており、時給上昇は景気が回復基調にあることをいち早く示していることになります。

もっとも、今回の上昇には景気回復とは別の側面もあるようです。

一つは、労働者派遣法改正の動きです。
働き手の保護を強める内容の法改正を前に、従来派遣社員に依存していた工場や倉庫内の軽作業などをアルバイトやパートに切り替える動きが顕在化しているというのです。

今回の労働者派遣法の見直しを巡る論議で『製造業への派遣禁止は、正社員登用への道を、逆に狭くすることを招くのではないか』と心配されていた事象が、現実に生じているということになります。

もう一つは、就職戦線が厳しくなる中で、『オフィス・ワークや営業職の方が就職に役立つ』と大学生たちが考え、コンビニ、家庭教師や引越しなどのアルバイトを敬遠する動きもあるそうです。
実例を挙げると、ある女子学生は、保険会社のコールセンターでのアルバイトを通じて、言葉遣いやビジネスマナーの基礎を学ぶというのです。

私が学生時代に経験したアルバイトといえば、新宿などのナイトクラブのエキストラ・ベース奏者、有楽町のビアガーデンのチケット売り場、横浜港の輸出車船積みの運転手、目白の英会話学校のポスター貼り、横浜のガソリンスタンドの給油員、目黒区内の美容院の助手、小田原競輪場の開催日限定の道路案内人等々、『就職に役立つから』というような考えは毛頭ない、テキトーなアルバイト学生でした。

就職活動も、私の大学四年生の秋、10月1日に会社訪問が解禁されて銀行で最初の面接を受け、10月3日の夜に「明日、来て下さい」と電話があって、10月4日に行ってみると午前中に部長レベルの面接、午後から役員面接が待っていて、その夜に電話で内定が出るという短期決戦で決着。

大学三年生の頃から就職活動で何ヵ月間も苦労する現代の学生さんたちの話を聞くにつけ、私たちの時代は本当に恵まれていました。

そんな情けない経験しか持ち合わせない私ですが、アルバイトする学生さんたちに一つだけ助言するとすれば、『正社員であれ、アルバイトであれ、所定のマニュアルに従って行なう仕事では、いくらやっても本当の職業能力は身に付かない。』ということ。

別の言い方をすると、『マニュアルに従う仕事の経験だけに基づく職業観は、決して仕事の本質を捉えていない』『腰を据えて業務知識を習得して、マニュアルを制定する立場になってください』という事です。

先ほどの保険会社のコールセンターを例にすれば、マニュアル作成の立場となれば、販売担当者に必要な資格の確認、商品知識、関係法令等に基づく必須説明事項と禁止事項、心を動かすセールストーク、時間帯別・曜日別のコール数の見積もりと必要人員、想定通話時間の計算とコスト見積もりと所属部門での承認、法務部門・商品開発部門・営業推進部門などの関連部門からの承認、顧客との想定問答集の作成、スタッフ研修、運用実績の検討とマニュアル見直し、苦情対応と金融当局への報告等々、とても幅広い業務知識とノウハウが必要となります。

とても大変ですが、だからこそ仕事が上手く運んだ時の充実感は格別なものとなります。

一方、マニュアルを与えられるアルバイトの立場では、『言葉遣いやビジネスマナーの基礎を学ぶ』というぐらい認識なのですから、その裏側でどのような仕事が行なわれているのかは、到底理解できません。

アルバイトの社会経験は大切だと思いますが、それをもって『仕事とは、こんなものだ』と勘違いしてしまうと、いざ正社員になってからも安易に転職してしまうことにつながり、いつまでたってもマニュアルを与えられる立場にとどまることになってしまいます。

『桃栗3年柿8年』
仕事の本当の難しさと面白さを知るためには、どんな業種であっても腰を据えた勉強が必要なんですね。

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東芝に勝利

2010-03-31 16:25:37 | 大学野球
本日行われた、東芝とのオープン戦は、2対0で早稲田が勝ちました。

福井くんが好投。
今日も渋い得点数でしたが、とにもかくにも、やっと社会人チームに勝つことができました。
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『開放段階』

2010-03-30 17:45:25 | 大学野球
数日前に買った「大学野球」春季リーグ戦展望号に、"神宮観客動員数の推移"というページがありました。

昨年、2009年秋季リーグ戦の一試合平均観客動員数は8,246人。
ちなみに、私が大学四年生であった1978年春季リーグ戦では平均22,625人だったとのこと。

魅力的な選手たちが各校に集まった良き時代に、学生生活を過ごすことのできた幸せを、ただただ感謝するばかりです。

この原体験を抱きながら、社会人となってからも、いたってシンプルな毎日を過ごしてきて、良くも悪くも学生時代と何ら変わらない心持ちで私はいるわけですが、一方では今年で満55歳になろうとする現実もあります。

ある金融専門誌を読んでいたところ、ニッセイ基礎研究所・研究員の前田展弘さんが、加齢、すなわち年齢を重ねることに伴う心身の変化について、コンパクトに説明されていました。
銀行が、高齢者の金融取引において、どのような配慮をすべきなのかを考える際の参考資料です。

(1)感覚機能 (東京都老人総合研究所の資料)
①視覚: 老人性白内障は50代で60%、70代で90%、90代でほぼ100%に生じて、視力が低下し、色の判別ができなくなる。採取光量も60代では20代の3分の1程度まで減少する。
②聴覚: 聴覚の低下は20代から始まり、女性よりも男性が低下の程度が大きく、特に高音が聞こえにくくなる。
③臭覚: 60代まで臭覚の減退は顕著ではないが、70代から急速に低下しやすい。
④味覚: 個人差が大きく、一様ではない
⑤体性感覚: 触覚は45歳ごろから鈍感になっていき、下半身のバランス感覚も低下していく。

(2)社会的側面
①子供の独立
②定年退職に伴う役職・肩書きの喪失
③家族や友人との死別
④新たな夫婦の時間
⑤祖父母としての新しい役割
⑥開放された多くの時間

(3)経済的側面
① 勤労収入から年金収入を中心とする生活へ移行することによる収入の減少
②資産の取崩し
③医療費の負担増(生涯医療費の約半分は70代以降に支出される)

(4)心理的変化 (精神科医ジーン・コーエン氏の臨床体験から)
①40代前半以降: 自分の存在を確認したいという葛藤に駆られる (再評価段階)
②50代後半: 『今やるしかない』という意識が強くなり、行動も活発化する (開放段階)
③60代後半: 人生の総括を行ないながら、自らの人生の意味を再確認する行動に及ぶ (まとめ段階)
④70代後半: 人生最後に、もう一度これをしたいという思いに駆られる (アンコール段階)

私自身を上記に当てはめてみますと・・・
>感覚機能: 『そういうものなんだろうな』という感想ですが、できるだけ自分には生じて欲しくない、生じたとしても認めたくないというのが本音。
>社会的側面: 一人娘が大学を卒業し、社会人として働き始めるというイベントが昨年起こりました。
>経済的側面: 幸いにして今のところ変化無し。外国銀行ですから一寸先は闇ですけれど。
>心理的変化: 『今やるしかない』という開放段階に、今まさに突入しようとしているところ。

特に、心理的変化の分類が面白いですね。
私自身だけでなく、クラス会で会う仲間たちの様子とも合致します。
もっとも、女性は何歳か年上の男性と結婚していることが多いので、同い年のクラスメートであっても、社会的側面や経済的側面においては、男性よりも数年先のステージを歩んでいるような気がします。

このような自己分析を慎重に行なった結果、『早稲田スポーツを応援するぞ。それも今やるしかない』という私の思いが実にもっともなことであると、学術的にも立証されたわけです。(本当かいな・・・)

これで、迷うことなく、そして、これまで以上の熱意を持って、早稲田スポーツを応援することにいたします。
(^^)v

写真は、今回の話題と何の関連もないのですが、東京の下町・森下で一杯やった帰りに偶然通りかかったメガネ屋さんのショーウィンドウ。

メガネ・フレームの棚に、何故かウルトラ怪獣のフィギュアが並んでいたので、思わず一枚撮りました。
左から、レッドキング、ペギラ、ゴメス、そしてバルタン星人です。

飲み歩いて時刻も遅かったので、もう店内に人影はありませんでした。
でも、どんな方がご店主なのか、無性に知りたくなりました。
(*^_^*)
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富士重工に敗れる

2010-03-30 16:08:46 | 大学野球
本日行われた富士重工戦は、2対3で早稲田が負けました。
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強打者の証明

2010-03-29 18:20:06 | 大学野球
先日、吉澤俊幸さんを話題に取り上げた際、「佐藤さん、吉澤さんは、試合前の打撃練習で面白いように外野席に打球を運んだ」というコメントをhchs21さんからいただきました。

そう言われてみれば、最近の早稲田には巧打者はいても強打者と呼べるバッターがいなくなりました。
今年度のチームも、これまでのオープン戦での戦いぶりを見る限り、優れた投手力に対して得点力の不足を心配してしまう状況にあります。

早稲田スポーツファンさんからご指摘のあった安部主将のチーム打率2割そこそこでの優勝という先例もあるのですが、とにかく胃に良くありません。
(;^_^A

写真は、1979年の春、神宮の室内練習場で打撃練習を行う、当時四年生の岡田彰布選手(北陽-早大主将-阪神)。
向こう側の打席は島貫外野手(福島商業-早大-巨人)。

岡田選手らが強烈な打球を連発していたら、ヤクルトスワローズの選手たちがロッカールームから集まってきて、特に岡田選手の打撃練習を遠巻きに見つめているという光景です。
※左下には別の写真も写ってしまっていますが、ご容赦ください。

プロ選手に対しても、これくらい存在感を与えていたのですから、この写真は岡田選手が、既に学生時代から誰もが認める強打者であったことの証明と言えるでしょう。

記録面でも、岡田選手は凄かった。
通算打率.379(リーグ歴代1位)
通算打点81(同歴代1位)
通算本塁打20(同歴代3位)
通算安打117(同歴代4位)

岡田選手が翌年阪神にドラフト一位で入団した時の春季キャンプで、当時の吉田監督は次々に外野スタンドに突き刺さる岡田の強烈な打球を見て「この打球は田渕や!阪神に田渕が帰って来たんや!」と興奮したという当時のスポーツ紙の記事も記憶に残っています。

岡田選手は大のお酒好きでして、なおかつ人気球団の阪神は、とにかく夜のお誘いが多い。
そのお酒がプロ入り後の岡田の成長の妨げになったと後年耳にしました。
それがなかったら、岡田はプロでも打撃タイトルを何度か獲得したのではないでしょうか。

先週発売された「大学野球」最新号にも、岡田選手に関する記事が2ページに渡ってありますが、岡田選手の現役時代の存在感を最も的確に伝えてくれる写真は、今回の室内練習場の一枚だと私は思っています。

現在、新聞の一面で取り上げられる大学野球の選手は、現在は斎藤佑樹投手しかいません。

岡田選手は、主将となった春季リーグ戦でチームを優勝に導く原動力として大活躍しました。
斎藤投手にも、大先輩の岡田選手のように、プロ野球の選手たちをもビックリさせるような投球でチームを優勝に導いてくれることを期待しましょう。
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住友金属鹿島に敗れる

2010-03-28 15:42:34 | 大学野球
住友金属鹿島との交流試合は、0対1で早稲田が負けました。
これで2試合連続の完封負けです。

今日のスタメンは、顔ぶれは予想通りでしたが、打順はちょっと意外でした。

ベンチ入りメンバーをどんどん投入して神宮に慣れさせるために、打順には拘らなかったという側面もあったでしょうし、卒業後にもプレー続行を希望している四年生をスタンドに集まっている社会人チームの首脳陣に見てもらおうという意図も感じました。

5渡辺
4松永
9土生
6後藤
7山田
2杉山
8大石
3宇高
1斎藤

早稲田は、斎藤-福井-小山田-大野-大石という投手リレー。
福井くんが特大の一発を打たれましたが、斎藤、大石を含め、四年生三人衆は順調な仕上がりだったと思います。

大野くんは制球に苦しみ、少しピリッとしない投球でしたが、何といっても貴重な左腕。
下級生の時よりも球威は着実に増していますから、あとは制球力と打者との駆け引きに磨きをかけてもらいたいところです。

連投となった新人・小山田くんは、最速148キロの速球を投げて、今日も存在感を示しました。
来たる春季リーグ戦でのデビューを予感させる、小気味よい投球だったと思います。
もう一人の新人投手・横山くんもベンチ入りしてブルペンでは投げていましたが、今日は登板の機会がありませんでした。

さて、投手陣が順調な仕上がりを披露してくれましたが、打撃陣は今日も苦しみました。

主軸では、土生くんの打撃不振が心配です。
彼は体調が悪くてロス・キャンプに帯同せず、東伏見で復調に努めました。
既にコンディションは万全とのことですが、打ち込み不足の感は否めません。

ロスキャンプ中の死球から戦線離脱していた松永くんも、打ち込み不足。
彼は、ヒジを傷めて昨秋から養生に努めてきまして、ようやく思い切りプレーできるようになった途端のデッドボールでした。

松永くん、土生くんのバットが振れてくれば、打線全体が活性化されるように思います。

一方、昨日2安打を放った新人・大野遊撃手は、今日は代打で出場し、しぶとく四球を選びました。
クセのない打撃と守備は、最近の早実出身の選手には珍しいタイプ。安心感と伸びしろを感じさせてくれる内野手です。
早くも上級生を脅かす存在となった実戦に強い選手です。

代打でセンター前にクリーン・ヒットを放った桜庭一塁手(金足農)、代走で出場した川崎二塁手(南山高校)も、厳しい部内競争を戦い抜いて今日のベンチ入りを果たした選手です。

甲子園で活躍した選手ばかりにスポットライトが当たりがちなメディアの風潮のある中で、大石、桜庭、川崎、杉山、小山田らが頑張ってくれると、大学野球ファンとしては本当に嬉しいです。


最後に本日のベンチ入りをお知らせします。

投手
斎藤、福井、大石、池下、大野、小山田、横山

捕手
白川、市丸、杉山

一塁
宇高、桜庭、古山

二塁
松永、川崎

三塁
渡辺、松本、徳井、

遊撃
後藤、佐野、大野(大)

外野
山田、川西
大石、佐々木
土生、地引
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東洋大学に敗れる

2010-03-27 15:51:54 | 大学野球
本日行われた東洋大学とのオープン戦は、0対2で早稲田は敗れました。

東洋大学は藤岡-藤田-乾という投手リレー。
早稲田打線は、渡辺が三安打を放つなど、チャンスは作るものの要所を抑えられて、完封されてしまいました。

早稲田のマウンドは、新人の小山田投手(古河三高)が先発で登板。
東都の強豪相手で、さすがに固さの見られた初回に、自らのワイルドピッチが原因で一点を失いましたが、その後は快速球が唸り、追加点を許さないで五回を投げ切りました。

また、同じく新人の大野遊撃手(早実)がスタメンからフル出場。
無難に守り、打撃でも2安打を放って気を吐きました。

勝負は負けましたが、新戦力の活躍という収穫もあった今日の試合です。

ところで、既に「新潟高校」というタイトルで話題にしたことですが、明後日の夜9時から、東大野球部のエース投手だった大越さん(写真)が、ニュース・キャスターとしてNHK総合に登場します。
過去ブログ記事へのリンク

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「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」

2010-03-26 17:20:17 | ビジネス
ユニークな書籍をご紹介します。

「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」
(岩崎夏海)ダイヤモンド社1,680円

主人公は都立高校の野球部の女子マネージャーです。
一回戦負けのチームを甲子園に連れていこうと彼女は決心しますが、その方法が分からず、悩んだあげくに書店で一冊の本を買う。
それが何と、企業経営に関する名著であるドラッカーの「マネジメント」!

彼女は、経営に関するドラッカーの数々の名言を、弱小野球部の練習の中に取り込んでいって、チームは地区予選に突入していきます。

都立高校出身の私は、ストーリーの中に、すぅーっと吸い込まれていってしまいました。

お薦めです。

なお、ご覧の通りの表紙です。
私と同世代の男性が、ブックカバーをつけずに電車の中でこの本を読んでいると、変な目で周囲から見られるかも知れませんので、くれぐれもご注意を。
(;^_^A
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日立製作所に敗れる

2010-03-26 15:47:24 | 大学野球
本日行われた日立製作所とのオープン戦は、1対3で早稲田が敗れました。

先発は池下くん。
死球の影響で戦線離脱していた松永くんが、ようやくスタメンに復帰したそうです。
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卒業式、そして入学式

2010-03-25 17:51:10 | 大学野球
今日、早稲田大学の卒業式が行われました。
野球部主将だった山川くんをはじめとする四年生たちも、就職、あるいは大学院進学と、次の人生のステージに向かって飛び立っていきました。

いずれの分野に進むにしても、早稲田で学んだ学問と学生野球の精神、そして仲間との友情を糧にして、若者らしく元気に頑張っていってもらいたいと思います。

彼らの卒業と入れ替わりに、新入生たちが早稲田にやってきます。
これから競技者として早稲田スポーツに加わろうとする若者たちの姿を想像すると、私も胸がワクワクしてきます。

さて、スポーツの世界におけるプロとアマチュアの垣根は、五輪憲章の変遷に象徴されるように、ずいぶん低くなってきました。

しかし、アマチュア・スポーツの起源を調べてみると、現代の私たちが考えるものとは、かなり異なる概念だったことが分かります。
世界中の植民地を支配して栄華を謳歌していた18世紀前半ぐらいまでの時代の英国の貴族階級が、排他的にスポーツを楽しむための思想、すなわち下層階級の者をスポーツから排除するための貴族仲間同士の申し合せが、アマチュア思想でした。
IOC理事であった故・清川正二さん(旧制東京商科大学(現一橋大学)出身。1932年ロサンゼルス五輪の100m背泳で金メダル。元・兼松江商社長)が、著書『オリンピックとアマチュアリズム』の中で記されています。
>当時の英国の陸上競技会の参加資格はアマチュアに限るものとした。かつて賞金を目当てにプロフェッショナルと一緒に、あるいはこれに対抗して競技したもの、生活費を得るために競技の如何を問わずに練習を教えたりそれを仕事としたり、手伝いをしたことのある者、手先の訓練を必要とする職業、あるいは雇用者として機械工、職工、あるいは労働者、これらはアマチュアとは認められなかった。
>ボート競技においても、漕ぎ手は、陸海軍士官、文官、紳士クラブの会員、大学の学生、もしくはパブリックスクールの生徒、名門ボートクラブの会員に限られていた。

でも、産業革命が起きて、貴族階級以外に資本家という富裕層が登場したことによって英国の社会構造が変化して、スポーツも大衆化されていったのです。

早稲田スポーツは、日本におけるスポーツの大衆化に大いに貢献してきた存在だと私は思いますが、その一方で、昔かたぎというか、伝統校ならではの良い意味での頑固さも持ちあわせているのが特徴だと思います。

早稲田スポーツ新聞1962年1月号で、ラグビー部の名将・大西鐵之祐さんが次のように運動部の新人たちに訓示されています。

『アマチュアスポーツは、何よりも自分自身を作り上げることが第一義であろう。結局、自分の心との戦いである。人間形成は生半可な気持ちでやっているのはマイナスである。やる以上は何よりも真剣さが肝要である』
『人はどうでもいい、自分だけ強くなればそれでいいという考え、そして必要以上に勝負に執着する態度、それらはすべて排撃すべきものである。そんな小さな考え方ではスポーツそのものを深く理解することはできない。もっと、大きく広い態度を養わなければならないと思うのだ。』
『具体的に申せば、伝統ある早稲田スポーツ全体の歩みをしっかリ見つめること、自分のおかれている立場をしっかり踏まえることだ。多くの先輩達が偉大な努力をはらってきた。その事実を認めること、早稲田スポーツという長い歴史を担い、橋渡しをする承継者なのだという自覚、過去から伝えられたものを更に高め、未来の人々へ継承させていくのだという自覚、それさえ持っていれば、学生スポーツを至上のものと出来よう。学生スポーツの良さはそこにある。“歴史の中の継承者”としての自覚、これこそが大切なことである。』

高校から早稲田スポーツの世界に飛び込んでくる選手たちには、高校時代とは違う雰囲気に面食らう選手もいるでしょうし、中には『早稲田の伝統』『部の伝統』と先輩諸氏から言われて反発を感じる新入部員もいるかもしれません。

しかし、鍛錬を積み重ねて上級生となり、後輩たちの指導にも配慮する立場になってくる頃には、ラグビーの大西先生や野球の広岡さんが伝統の大切さを説かれる理由、学生スポーツの本当の意義が十分に理解できるようになっているはずです。
また、そうでなければ、早稲田スポーツに身を投じた意味も半減してしまうでしょう。

早稲田の全体の入学式は、今年も4月1日。続いて学部ごとの入学式が各々行なわれます。

新入生の皆さんが、学業、技量、そして心を磨き上げる、充実した4年間を早稲田で送られんことを期待してやみません。

がんばれ新入生!
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