昨年のちょうど今頃、科学技術予算に係る事業仕分けをブログで取り上げました。
過去記事へのリンク
「2番では、どうしてダメなんですか」という仕分人たちに、文部科学省の意を受けたノーベル賞受賞者らが激しく反論。
その様子は世間で大きな話題となりました。
そして、それ以降、専門家の皆さんは「資源のない日本は、科学技術の研究こそが生命線だ」と、ことあるごとにプロバガンダするようになりました。
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しかし、現在でも私は冷めています。
薬害エイズ事件しかり、長良川河口堰しかり、空港や道路の需要予測しかり、科学者・専門家たちの意見といえども常に正解というわけではないという冷徹な現実を、嫌と言うほど体験してきました。
だから、「この科学技術こそが日本の将来を支える」と熱く語る科学者の声を聞いても、「それって、本当なのかな」と私は感じてしまうのです。
どのような科学技術が日本の将来を支えてくれるのか。
環境保護、新エネルギー、医療介護、農業・・・ それぞれの分野に、専門家の目から見て有望な領域があるのだろうと思います。
しかし、どのような分野に、どのくらいの金額を、どんなタイムスパンを想定して、泣け無しの予算を実際に投入するのか。
そして、どうやって投資効果を検証するのか。
その見極めと優先順位の決定には、総合判断、あるいは、ある種の賭けのような部分があるはずです。
だとすれば、議論の積み上げを通じて、資金の出し手である納税者の合意を形成する必要があると私は考えます。
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しかし、科学者あるいは官僚は、それをトップダウン式で決めようとします。
だから、社会から幅広い支持を受けることができないのです。
官僚は、「有識者にお集まりいただき、意見を集約した上で決定している」と反論するかもしれません。
でも、提案者サイドの尺度で選ばれた少人数の意見が、国民の声を代表していると言えるのでしょうか。
「坂の上の雲」の時代は、少数の秀才を鍛え上げて、彼らの英知を信じて国を将来を託すという図式だったと思います。
でも、それを現在の社会に当てはめようとしても、それは無理というものです。
専門用語を使わずに、ていねいに納税者に説明する
見通しのつかない不確定要素が含まれる場合は、その事実を誠実に公開して、幾つかの場合分けしたシナリオを示す。
そのようなプロセスを通じて、納税者の合意と決断を得る。
そして、定期的に納税者に対して経過報告を行なって、判断の前提となった状況の変化があれば、軌道修正も行なう。
科学者にも、官僚にも、そのような謙虚な姿勢と地道な努力が要請される時代です。
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「2番では、どうしてダメなんですか」という仕分人たちに、文部科学省の意を受けたノーベル賞受賞者らが激しく反論。
その様子は世間で大きな話題となりました。
そして、それ以降、専門家の皆さんは「資源のない日本は、科学技術の研究こそが生命線だ」と、ことあるごとにプロバガンダするようになりました。
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しかし、現在でも私は冷めています。
薬害エイズ事件しかり、長良川河口堰しかり、空港や道路の需要予測しかり、科学者・専門家たちの意見といえども常に正解というわけではないという冷徹な現実を、嫌と言うほど体験してきました。
だから、「この科学技術こそが日本の将来を支える」と熱く語る科学者の声を聞いても、「それって、本当なのかな」と私は感じてしまうのです。
どのような科学技術が日本の将来を支えてくれるのか。
環境保護、新エネルギー、医療介護、農業・・・ それぞれの分野に、専門家の目から見て有望な領域があるのだろうと思います。
しかし、どのような分野に、どのくらいの金額を、どんなタイムスパンを想定して、泣け無しの予算を実際に投入するのか。
そして、どうやって投資効果を検証するのか。
その見極めと優先順位の決定には、総合判断、あるいは、ある種の賭けのような部分があるはずです。
だとすれば、議論の積み上げを通じて、資金の出し手である納税者の合意を形成する必要があると私は考えます。
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しかし、科学者あるいは官僚は、それをトップダウン式で決めようとします。
だから、社会から幅広い支持を受けることができないのです。
官僚は、「有識者にお集まりいただき、意見を集約した上で決定している」と反論するかもしれません。
でも、提案者サイドの尺度で選ばれた少人数の意見が、国民の声を代表していると言えるのでしょうか。
「坂の上の雲」の時代は、少数の秀才を鍛え上げて、彼らの英知を信じて国を将来を託すという図式だったと思います。
でも、それを現在の社会に当てはめようとしても、それは無理というものです。
専門用語を使わずに、ていねいに納税者に説明する
見通しのつかない不確定要素が含まれる場合は、その事実を誠実に公開して、幾つかの場合分けしたシナリオを示す。
そのようなプロセスを通じて、納税者の合意と決断を得る。
そして、定期的に納税者に対して経過報告を行なって、判断の前提となった状況の変化があれば、軌道修正も行なう。
科学者にも、官僚にも、そのような謙虚な姿勢と地道な努力が要請される時代です。